理科室
秘月:作

■ 4

 阿山の声もどこか高くて、ああ「はじめて」なんだな、と思った。そういう場合ではない。節操(死語)の、ピンチ。
 ハーフパンツに、手がはいる。その下のパンツ(ではなく、ショーツ)にも、手がはいる。
「やめてっ」
 手が動かせず足も動かせない状態。わたしはどこか興奮しながらも、もし万一だれかがきたらというコトを考えて冷静に、静かな心を保とうと決心していた。
 ところで、ショーツと書いた。重大なことを忘れていた、わたしは今生理中だったのだ。
 もう終わりかけ、ナプキンにも茶色っぽい染みが付いてるのみとなったが、今日は万一のことを考えてつけていたのだ。
「これ……?」
 阿山も気づいたらしく、はっと息をのむ雰囲気が伝わってきた。手も、ふっとゆるむ。そこを必死にふりはらって、わたしは阿山の下から上半身だけながれでた。ところが、すぐ後ろは壁だ。
 神様は、わたしにケンカを売っているのだろうか……。そう思ってみたりもした。

「なにか、文句あんの?」
 口をぱくぱくさせている阿山に、わたしは吐き捨てた。
「どいてよ」
 阿山はどかなかった。だが、ごめんと一言つぶやいた。
「どいてって」最後までいわせず、阿山は首筋にくちびるをあてた。それを、ゆっくりと胸元までおろす。わたしはまだTシャツを着ている。ふりほどいて逃げる希望があるわけだ。でも、わたしは動けなかった。
「生理だったっけ? スズキ、もう来てんだ」
「知ったようにいうな、ていうかチビだからとかいうなよ」
「濡れてなかった」
 ぽつんとつぶやいて、阿山はばっとわたしからTシャツを脱がせた。あっというまに、ブラが降りる。ブラまで、まだびしょびしょだった。どれをとって、肌のうえの小さな水の粒をすべて「なめた」。
 思考が停止する。ぽけっとしていると、ハーフパンツまでおろされる。あまりのことに、ふるふると震えていると、阿山はもとのシャイみたいな顔で笑った。
「ダイジョブ。処女は奪わん」
 ダイジョブじゃねー! とつっこむ勇気もなく、わたしは震えていた。ショーツがおろされ、なんだ、血、でてないじゃんという。
「生理、終わってたんだ?」
 すると、いきなり……大切なところに、掌をあてた。秘所って、ここのことだろう。
「やめてぇ」
 今さらやめてなんてねぇだろ、そういうとそっと肛門のあたりまで、手をそわせる。
「おまえ、女には穴が3つあるの、知らねえんじゃねえの?」
 そう笑って、そっと肛門のちかくをつっついて、
「ケツの穴……」
 と言った。本人も、教えてやろうという顔ではなく、やや緊張した顔だった。

 肛門から手を下ろして、ちぢれげのはえたあそこをさわる。わたしがんっと声を出すと、力を抜いたように笑った。股間の勃起が、めだっていた。
「これが、ションベンする穴」
 恥ずかしい。さらに顔を赤らめると、阿山は調子に乗ったようにいった。
「これが……」
 そういって、なんだかなつかしいところにふれた。
「赤んぼが生まれるとこ。セックスに使う穴」
 そういうと、いきなり指をつっこんだ。
「痛いっやめて! やめ……ん」
 指の動きが一段落して、自分が悩ましげな姿勢になっていたことに気づいて、はあと息を吐きだしたわたしに、阿山が笑った。
「ちょっとぬれてきた」
「どうでもいいよ……って、きゃあっ変態!」
 いきなりそこに顔を近づけて、その……「秘所」をぺろんとなめた。
「やああ」
 気がついたら、わたしはあえいでいた。下品なものだ。恥ずかしくて、生理的な涙がうかんでいたはずだ。そんなわたしを見て、阿山はほったらかしのタオルをわたしの肩にかけた。
「挿れていいか?」
 一瞬、は? って感じだった。呆然とするわたしに、阿山は笑う。
「セックスしようかって。なんかおれ、限界かも」
 一瞬、頭がおかしくなったかと思った。わたしも、あっちもだ。

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