真梨子
羽佐間 修:作
■ 第6章 従属1
−オークション− 7月22日(金)U
「乗れ」
千歳空港のセンタービルを出ると、梶が迎えの車らしい黒塗りのベンツに歩み寄り後部ドアを開けた。
押し込まれるようにして後部座席に座る。
運転席に座る男は、後姿からすると小柄な中年のように感じられた。
身じろぎもせず二人が乗り込む様子を注意深く窺っているようだ。
梶が隣に乗り込みドアを閉めると、運転手は無言のまま車を発進させた。
◆
太陽は沈んでいるのに空はまだ少し明るい。
真梨子は窓から流れる景色をぼんやりと眺めていた。
――私はどうなってしまうんだろう…
梶に翻弄され、浩二を裏切り続ける毎日のその先に何があるんだろう…
絶対迎えたくない結末…浩二との別れ…
9月までという期限を支えに、恐れる結末が思い浮かんでは、ひたすら打ち消す毎日だった。
――この車はどこへ…
無言の車内が何とも息苦しい。
聞こえる音は微かなエンジン音と、真梨子の秘肉で梶の指が奏でるビチャピチャという淫らな音だけだった。
「あぁ… あの… どこへ行くんですか?…」
「オークション会場だ」
「…オークション?・・」
「そうだ。 牝犬のな!」
「め、牝犬?…」
「ふふ。 お前を売り飛ばして少し儲けさせてもらおうと思ってな」
「えっ! それは… ま、まさか! そ、そんな… お金なら何とか用意しますから、許してください!」
梶がニヤリと笑って真梨子を見詰めていた。
「誰でもいいから淫らな姿を見せたいお前だ。 折角だから楽しんで金が儲かるなら一石二鳥だろ?! それに金で買われる売春婦って惨めな境遇がお前には嬉しいだろ!」
「いやぁ… そ、そんな… 酷い… 」
――身体を売られる?! そんなことをしたらもう…
「安心しろ! オマ○コは守ってやる。 さ、股を開け! いつものようにオマ○コに鍵をかけてやる。 お前との約束だからな。 あはは」
「あぁぁ… お願いです! 私を売るだなんて… 許してください! お願いです・・・」
「真梨子! こいつの元へ帰りたいんだろう? さあ、股を拡げろ!」
「ひっ!いやぁぁぁ〜〜〜 ひどい・・・」
梶が手にしていたのは、真梨子のパスケースから抜き取った浩二の写真だった。
動揺が奔り、真梨子の頬を涙が伝う・・・
真梨子が一番気に入っている浩二と二人で写る写真だ。
梶がひらひらとかざす浩二が微笑む写真が、真梨子の頬をピタピタと撫でる。
――浩二さん… ゴメンナサイ…
真梨子は、運転手の後姿を気にしながらおずおずと足を開く。
「しかし、オマ○コをさせない売春婦なんて売れると思うか? どう思う、真梨子? くっくっくっ」
「……」
「まぁ、お前にはオマ○コに劣らない尻の穴があるからな! あ〜はっはっは」
梶は、濡れた秘貝を嬲りながら3箇所のラビアリングを南京錠で閉じていった。
「あの… 顔は隠させてください… お願いです…」
涙声で哀願する真梨子はとてつもなく哀れで綺麗だった。
身震いするほど真梨子を犯したいと欲求が突き上げてくる。
梶は得体の知れぬ雅の厳命がなければこの場で真梨子を押し倒し、ズボンの中でいきり立つ怒張で真梨子を陵辱せずにはおかなかっただろう。
「ふん。 何のために札幌くんだりまで来たと思っているんだ? 顔を晒したほうが興奮するマゾ女のくせに生意気言うな!」
「で、でも… どこの誰だかわからない人に… 身を任せるなんて…」
「ほっほぉ〜 half moonじゃ身元のしっかり人達が相手だからいやらしいことが出来たっていうのか? じゃどこの誰だか分かっている俺ならいいのか? ん? くっくっ。 お前も良く知っている直属の上司の俺もオークションに参加するか?!あん?」
梶の姦計に抗う術もなく真梨子は流されていく。
いつのまにか車は札幌の市街地に走り、やがて瀟洒なレストランらしき敷地に入っていった。
車寄せに車が留まると、タキシードの男が駆け寄りドアを開けた。
◆
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