真梨子
羽佐間 修:作
■ 第9章 肉人形23
− 木島紀子 − 9月9日(金)U
長い渡り廊下を抜け、本館の奥へ向かって無言で進んでいく横田の後を真梨子は少し早歩きで付いていく。
やがて突き当りの地下室の入口だという大きな木製ドアを開けと、地下に続く石畳の急な階段が見えた。
「あの、、、 横田さん、、、」
「もう直ぐですよ。 羽佐間さん。 足もとに気をつけて」
横田は真梨子の腰に手を廻し、転ばぬように気遣いながら階段を下りていく。
階段を降りきると、ぼんやりとした灯りにまっすぐに続く通路が見えた。
「突きあたりを曲がったところがワインの貯蔵庫です」
「はい、、、 でも凄いですね、このお邸、、、」
「ああ。 大正時代の建築を由紀先生が手直しして住んでおられるんだけど、地下は昔のままらしいですよ。 ワインクーラーとしてはうってつけだね」
「そうなんですか、、、」
「古めかしさがサスペンスドラマに出てきそうな雰囲気だと思わない?!」
「ええ、、、 少し、、、」
真梨子のヒールの音がコツコツと響き、不気味な雰囲気を助長する。
気のせいか呻き声が聞こえたような気がした。
「はっ! よ、横田さん、、、」
真梨子がはたと立ち止まった。
「どうしました?」
「今、声が、、、 誰か、いるんですか?!」
「ああ、もう始まってるのかな。 由紀先生のプレイルームがあるから」
「プレイルーム?!」
「見てみるといいさ」
更に進み、角を曲がった。
「ひっ! こっ、これは、、、」
真梨子の目に飛び込んできたのは、高倉由紀が縄で拘束され素っ裸で木馬に跨っている姿だ。
傍らに立ち、由紀を嬲っているのは木島常務だった。 由紀の股間の隙間から木馬から生えた赤い突起物が秘裂に食い込んでいるのが見える。
由紀は自ら身体を揺すり、微かに喘ぎ声を上げいるのだ。
――ど、どうして、、、 えっ?! 奥にいるのは、、、
由紀に目を奪われていたが、牢屋のような部屋の中には由紀の娘・真由美も、その娘・まどかも同じように裸身を拘束され淫具を装着され身悶えしているのに気が付いた。
「驚いた? 羽佐間さん」
「あぁぁぁ、、、 そんな、、、」
「由紀先生のご家族の、人に絶対知られちゃならない性癖なんだ。 誰にも言っちゃダメだよ」
横田は、ショックを受けよろける真梨子を抱え、由紀達の前を離れ奥へと進む。
「よ、横田さん、、、 もう上に戻りましょう、、、」
「ふふふっ。 遠慮するな。 同じ性癖をもった牝犬のお楽しみはこれからだよ。 真梨子」
「いっ、いやぁぁぁぁ、、、」
――同じ性癖、、、 牝犬、、、 横田さんは私の事を知っている!? 吉岡専務の秘書だもの、知ってて当然だわ、、、
横田から逃れようと真梨子は身悶えるが、痛いほど強く腕をつかまれ更に奥へと曳き立てられていく。
「いっ、いやっ! 許して。 お願いっ」
「さあ、ここだ」
横田が開いたドアの中は広々とした空間が広がり、壁面にいくつもの大きな絵が掛けられギャラリーのような雰囲気だった。
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