授乳女教師
Tsuka:作

■ 苦悩と戸惑い3

追いかける間もなく真知子は廊下に取り残された。
(あの牧野君が人目を憚らず涙を見せるなんて……。いったい何が彼を…? もしかして………、いや、そんな訳あるはずが……)
先程の事を思い返しながら、真知子は職員室に入る。真知子が職員室に入るなり牧野の担任教師から声をかけられた。
「あっ、川上先生。今そこで牧野君と会いませんでしたか?」
「! ……ええ…会いましたけど…」
「彼、最近様子がおかしいんです。以前は明るい子だったんですけど、人が変わったように暗くなって…」
「……そう…みたいですね」
「ちょうど体育祭の後からなんですよ、川上先生何か心当たりありませんか?」
「!!」
真知子はドキッとした。
心当たりはあるのだ。牧野が変わってしまったのは保健室での出来事がきっかけだと思ったからだ。
しかしあの時の出来事を話せる筈がない。真知子は隠すように答える。
「いえ……私には分かりません…」
「そうですか…」担任教師は渋い顔をして肩で息をつく。
「いやぁ…今回の試験で牧野君の順位が急落しましてね、面談していたんです。今までの彼の成績を考えると信じられなくて…」
「……そうなんですか…」
真知子も一年生の時の担任だったので、彼の優秀さは知っている。正直驚いた。
「彼は母親をまだ幼い頃に亡くしている関係で家事とかもこなしているらしいんですよ。ああ見えても優しくて、芯はしっかりしている子なんで…。何か家庭内の事情があるのかと思ったんですが…なかなか心を開いてくれませんでね」
「……………」
真知子は黙って聞いている。
「こんな事を言うのもなんですが川上先生からも聞いてやって貰えませんかね?」
「!、えっ…私がですか?」
「あ、無理にとは言いませんけど、彼には母親がいない状況なものですから、女性の川上先生なら何か進展するかなと思いまして。川上先生は彼が一年生の時の担任でしたし…今も副担任ですから。まぁ…失礼ですが、川上先生も普段は厳しい方ですから何とも分かりませんが…」
担任からの願いを無下に断る訳にもいかない。また、牧野の事も気になる。
「そうですね…機会があれば…」
「すみません、お願いします。このままだと彼の進路にも響いてくるので…」
「はい……分かりました」
その日、真知子は帰宅しても牧野の事を考えていた。普段は家でほとんど生徒の事は考えないが彼がそこまで深刻な状況では考えざるを得ない。

(牧野君がそこまで真剣に思い詰めていたなんて…。)
体育祭中の保健室での真知子の言動が牧野を絶望の淵に追いやったのは間違いない。あれを境に彼の性格が一変していたのは真知子も薄々気づいていた。
(私…やっぱり言葉がキツ過ぎたわね。でもあの時はあのくらい厳しくしないと、彼のためにも私のためにも良くないと思ったから…)
あの時、真知子は大嫌いだと言い放ったのだ。
(あの事は牧野君に謝る必要あるわね…、でもそれで牧野君は元の明るさを取り戻すかしら?)
廊下ですれ違った時も、職員室前で会った時も目に涙を浮かべていた。いや……泣いていた。
何かをグッと堪えて哀しみを押し殺している表情が強く印象に残っている。職員室前ではさすがに声をかけたが、真知子の呼び止めにも応じず走り去ってしまった。
(このままでは牧野君が本当におかしくなってしまうわ……何とかしなければ…)
真知子は考え込む。
(私が牧野君の気持ちに応えるのが一番良いって事…? でもそれって、私が彼の恋人になって心も身体も開くって事なの…?)
その状況を想像して急に恥ずかしくなる。
(そんな…、そんな事! ……私は教師よ! そんな恥も外聞もない事なんて…)
真知子の自問自答が続く。
(でもこのまま放って置く訳には……何とか牧野君を立ち直させなくては…あぁ! いったい私はどうすれば良いの!)
いくら考えても堂々巡りで結論が出ない。真知子の胸がもどかしさにチクチク痛む。
いや…もどかしいだけでは無い。母乳が胸に溜ってきているのだ。一日に何回も搾乳しなければならない程に真知子は母乳の出具合が良い。
既に乳房はミルクでより大きくパンパンに張り詰めている。その時、隣の部屋で寝ている赤ん坊がむずがって泣き始めた。
慌てて隣の部屋に駆け込む。
「ん? どうしたの? ママのミルクが欲しいの?」
真知子は服を脱ぎ、ミルクタンクと化した大きな胸をはだけさせる。牧野が憧れ、強い欲望を抱くJカップの美しい爆乳だ。
既に先端の乳首には、母乳の白い多量の粒が出ている。真知子は我が子に桜色の乳首を含ませて授乳を始める。
真知子は学校では見せる事のない優しく穏やかな表情をしながら乳房を与える。
母乳にはたくさんの女性ホルモンが含まれているという。真知子は毎日、それも異常なくらい大量に母乳を分泌しているのだ。
彼女はまさに母性本能の塊だった。
そのうえ学校では厳しい態度を取っているため、授乳の際は反動してより母性が強くなる。真知子は微笑みながら自分の乳房にすがりついて母乳を飲む我が子を見つめる。
真知子は授乳する事を気に入っていた。母性が強い彼女は、いつも誰かにミルクを与えていたいという願望があるのだろう。
また、授乳行為に密やかな快感を覚えていた。四六時中、母乳を大量生産しているお陰で、いつも爆乳はパンパンに張っている。
そのため母乳がピューと噴き出るとちょっと快感なのだ。赤ん坊の舌が他意もなく乳首に触れたりすると、快感にビクッと身体を震わせてしまう事も頻繁にある。
夫が性に淡白な事もあり、性生活も久しい。仕事が忙しく、帰宅も遅い。
今日も帰りは遅いのだろう。気立てが良く、立派な夫だが性に関しては少し不満を抱く真知子だった。
身体が少なからず性的な欲求不満を訴えているのは事実だ。授乳行為で少しでも不満を解消しようとしていた。 教師としては満たされていても、女としては満たされていなかった。最近は特にそれを感じる。
(想像の、想像だけの世界だから……)
真知子は自分にそう言い聞かせ、乳首を含む我が子に牧野の姿を重ね合わせる。

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