SMごっこ
二次元世界の調教師:作

■ 5

 両手を背中で括られてるなんて絶対に人にバレてはならない。私は仕方なく背中で手を組んでいるフリをして、過激で露出過多なミニスカを隠さず歩くよりなかった。道行く人達の視線が皆羞ずかしい私の下半身に注がれて来るような気がして、私は胸を真綿でグッと締め付けられてしまうような羞恥を覚え、顔が真っ赤になって上げる事も出来ない程凄まじい興奮に襲われていた。こんな露出狂のようなセーラー服の女子高生と、一緒に連れ立って歩いている背が高くイケ面風の男子高校生のカップルは、どのように見られているのだろう? まさか血を分けた本物の姉と弟だなどと見破る人はいまい。

「あれ、めぐじゃん。
 こんちは。」
「あ、こ、こんにちは……」

 何と同じ空手部の子と会ってしまった。もう私の心臓はバクバクで胸から飛び出そうだ。彼女はジロジロと見た事もない私の超ミニスカ姿を眺めて何か言いたそうだったが、それについては触れず、翔の事を、誰、この人? と無遠慮に聞いて来た。彼女は弟の事を知らないのだ。私が火が噴き出そうな顔を俯かせて何も言えないでいると、翔の方が私に聞いて来た。

「恵美さんのお知り合いですか?」
「うん、部活の子……」
「そうですか。
 あの、僕、一級下なんですけど、恵美さんとお付き合いさせて頂いてます……」
「あ、そ、そう……
 失礼します!」

 彼女は、まさか私に彼氏がいるなんて信じられないと言った驚きの表情を見せると、逃げるようにその場を離れていった。パンツが見える寸前の超ミニスカと、格好の良い一級下の彼氏。どちらも普段の私からは絶対に想像出来ない、裏の顔だ。これで明日から空手部ではこの話題で持ちきりになるに違いない。

「し、翔……」
「ごめんね、あんなウソついちゃって。」
「ああ、私、もう……」

 翔が私の羞ずかしい格好を正面からじっと見つめている! その視線を露出した下半身に感じた私は頭がクラクラして、堪えきれず道端にしゃがみ込んでしまった。ところが……

「めぐ姉。
 パンツが丸見えだよ。」

 う、ウソお〜! が、中腰になった私を見下ろしながら翔の言った言葉は本当だ。チラッと視線を下にやった私は、自分が物凄くえっちなパンチラ状態になっているのに気付いて愕然とする。両手が使えずしゃがみ込むのは自殺行為だとわかった私はしかし、目の前に迫って来た翔の視線に射止められたかのように、股間の白い物を彼の視線に晒しながらしばらく動く事が出来なかった。

「かわいいよ、めぐ姉。」

 パンツを見せてるから、かわいいの? 私は「カッコイイ」と言われる事はあっても、ほとんど言われた事のない言葉を、一番言って欲しかった人に言われた感激に潤んでしまった目で彼を見上げる。するとちょうど目の前に迫っていた翔の股間が、学生ズボンの前をそれをわかるくらいはっきりと大きく膨らませている事がわかって、ますます異様な興奮に包まれていった。

(翔がおちんちんを大きくしてる!
 この子、私のパンツを見て興奮してるんだ……)

 そう思うとこの出来の悪い弟が愛おしくて、私はこのとんでもない「SMごっこ」を、もう強く拒否する事は出来ない心理に陥ってしまった。人生で始めて必死で頑張って勉強し結果を出した翔に対する「ごほうび」なのだ。パンツを見せるくらい、どうって事ないではないか。それがそれ以上の事態に発展してしまうであろう事も十分予測出来たのだが、私はもう翔とならそうなっても良い、とアブない思考に頭を支配されて来たようだった。いや、翔にパンツを見られて全身を揉み抜くように込み上げて来る異様な興奮が、理性を麻痺させていた。

「め、めぐ姉、ちょっと、そのままじっとしてて……」

 そんな気持ちが伝染したのか、翔の言葉も興奮で慄えていた。ああ、今この子の目には、私が隠しようがなくてバッチリ見せてしまっている、ミニスカの下の白いパンツがしっかり映っているのだろう。こんな事になるなら、もっとオシャレなパンツをはけば良かった……カラダの奥がこれまで感じた事のなかった勢いで熱くざわめくのを覚え、ドクン! と込み上げて来る滴りが感じられた。

「リボンを取るよ。」

 え〜っ!? 翔の手がセーラー服の胸元に掛かり、大きなピンクのリボンを外して行く。目の前には大勢の人が流れて行く光景が展開しているのに、もうさほど気にならなくなって来た。余りの羞ずかしさからか、私の理性がここが翔と2人切りの空間であると錯覚しようとしているのだろう。手を縛られてしまった後から「嫌」と口にして、翔に取り合ってもらえなかった私は、興奮して慄える弟の手がブラウスの胸元をだらしなく緩めてはだけてしまい、白いブラジャーがのぞけるえっちな格好にしてしまう狼藉を働くのを、ただ黙って許してしまっていた。

「パンツもブラも丸見えだ。
 キレイだよ、めぐ姉。」

 ば、バカ野郎っっ!! 女の子をこんな羞ずかしい格好にしておいて、「キレイ」だと? だけど私は、こうして女の子らしい姿を晒け出す事で、翔がそう思ってくれるのなら構わない、そんな倒錯した心理から抜け出せなくなり、ミニスカの中が次第に湿っぽくなって来るのをはっきりと感じていた。

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