SMごっこ
二次元世界の調教師:作

■ SMごっこ2-5

 翔の部屋の中には、やはり彼女がいた。そして翔が私を彼女と2人切りの場に呼んだ理由がわかった。彼女は目隠しされていたのだ。

 それだけではない。床に奇麗な脚を崩して座っている彼女の首には首輪が嵌り、チェーンで勉強机に繋がれていた。更に背中に回した彼女の両手にも手錠が嵌り、小柄な体を切なく慄わせながら

「翔君……
 怖い……
 怖いよう……」

 と蚊が鳴くように呟く彼女の可憐な声は、ドキッとするくらい悩ましかった。

 この子は翔と合意の上で、こんなプレイを行っているのだろうか? 部屋の入口で立ち竦んでしまった私の姿を認めると、翔は見せ付けるように彼女に寄り添い、怖いと声を慄わせている彼女と唇を合わせた。

 すると彼女が嬉しそうに首筋まで真っ赤に染めた表情を緩めて翔に唇を預け、ガチガチになって慄えていた体の力を抜いてしまうのがわかった。そして翔は手に持っていた青い円筒型の道具を私に見せると、静かな振動音をさせながら彼女のセーラー服の胸に押し当てていった。目隠ししてあんな刺激を加えられたら、どんな女の子でもたまらないだろう。ブラウスを美しく盛り上げていた彼女の乳房の先端がググッと膨らんで、着衣を下から突き上げるのが見えたかのような錯覚を覚えた。いや。羞ずかしい事に私の乳房が反応して、そんなはしたない乳首の勃起をさせてしまったのだ。

 翔は彼女の唇を吸いながら、両胸の先をローターで刺激すると、開いていたもう片手を彼女のやや短か目のスカートの中に潜り込ませた。彼女のはいていた女子高生らしい、かわいい薄いピンクのショーツが見え、きっちりとじ合わせていた両脚は力が抜けて翔のなすがままになろうとしている。

「し、翔君……
 そ、そこ駄目え……
 ああんん……」

 唇を外し脚を広げさせた翔がローターをピンクのショーツに押し当てて行くと、彼女は愛らしいよがり声を私にも聞こえるくらい吹きこぼし始めた。
 
(馬鹿野郎っ!
 そんな事したら……)

 彼女はもうメロメロだろう。見ていた私ですら、乳首とクリがビンビンになっていたたまれなくなったのだから。私は何とも言い難い気分になり、そこまで見届けると部屋を出て、今は使われていない自分の部屋に向かっていた。

 ああ、私は何てくだらない賭けを翔と行ってしまったんだろう。弟と人の道に外れた肉体関係を持ってしまった高校時代を清算し、彼への思いを断ち切るがために、お互い恋人を作って体の関係を持つと言う賭けだった。

 実の姉と弟などでなく、ノーマルな他人との恋愛によってお互いが相手の事を忘れる事が出来るだろうと思ったのだ。そのため私は高校までとは別人のように積極的に振る舞って彼氏を作り、彼と体を通じ合わせる事で翔への思いが消えてくれるように努力した。

 だが現実は、熊のように無骨な彼のセックスは翔の素晴らしいセックスを忘れさせてくれない。

 そして私の期待以上の成長を見せた翔が、せっかくかわいい彼女を射止めて体の関係まで結んでしまったと言うのに、私はまるで彼を祝福してやる事が出来ない。彼女とのSMプレイを見せ付けるのはやり過ぎかも知れないが、それより私は自分が情けないやら腹立たしいやらで仕方がなかった。

 ああ、もう駄目だ。頭の中でさまざまな思いが渦巻いて整理出来ず、今頃翔は彼女と行為に及んでいるだろうかと思うと、大粒の涙がぼろぼろとこぼれて来た。何て情けない惨めな私。

 ベッドに上がり布団に潜り込んだ私は、オンオン泣きながら、自分に罰を与えるかのように発情している胸と股間を手でまさぐった。弟に彼女との行為を見せ付けられ、私は1人で泣きながらオナニーに耽る。これ以上悲惨な仕打ちがあるだろうか。だが、彼女との愛を育くみ始めた弟に比べて、彼への道ならぬ思いが忘れられず、悶々と懊悩している駄目な私にはふさわしいと思った。

 どのくらい経ったのだろうか。

「めぐ姉」

 翔が私の部屋に入ってベッドの中の私に、すぐ側から声を掛けて来た。泣きながら体をまさぐっていた私は、慌てて痕跡を見せないように表情を繕い、翔と目を合わせねばならなかった。なるべく強気を装って発したつもりの声は、少しかすれてしまっていたかも知れない。

「彼女はどうしたんだ」

「怒って帰っちゃったよ」

「嘘つけ!」

「ホントだよ。
 彼女には無理矢理あんな事をしたんだ。
 めぐ姉が行ってから、手錠とか解いてあげたら、こんな事する人は嫌いだって……」

 彼女の気持ち良さそうなよがり声を考えるとちょっと信じ難い気もしたが、どんな女の子でもSMプレイを受け入れるわけではないだろう。愚かな私は翔の言葉を信じる事にした。彼女が帰ってしまい、今私と翔は1対1で向き合っている。それで十分ではないか。

「お前らしくないな。
 SMって合意の上でやる事なんだろう?」

「うん。
 僕、彼女がめぐ姉とは違うのをうっかりしてたよ」

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