変身
二次元世界の調教師:作

■ 8

「うう〜ん、お兄ちゃ〜ん……
 あん、ああんん!……」

 俺の触手の本能が稲妻に撃たれたような強烈な衝撃を受けた。さくらの布団がモゾモゾと蠢いているのだ! コイツ、半ば無意識に俺の名を呼びながら、体を弄って慰めているのか。俺も性に目覚めた中学生の頃、眠っている間に無意識にチンポを弄っていて夢精してしまい、朝おねしょしたのかと思ってビックリしたことがある。天真爛漫な小学生みたいなさくらも、女らしく丸みの出て来た体の発育ぶりから見て性に目覚めていてもおかしくない。いや、成長の早い女子にしては遅過ぎるくらいだ。あの汚れのない清純なさくらのことだから、決して直接性器を弄ったりしてはいないだろう。恐らくパジャマの上から胸やアソコをスリスリして無意識に幼い性の歓びを楽しんでいるのではないか。だからあんなに布団がモゾモゾ動いて見えるのだ。ダメだ、見てはいけない……一瞬だけわずかに残るヒトの理性がそう訴えたが、はるかに強い触手の本能には勝てなかった。俺は目一杯さくらがオナニーに耽っている様子を思い浮かべながらモゾモゾと蠢く布団に意識を集中させ、ますます強くなった嗜虐欲を殺すことに苦悶しながら夜を明かしたのであった。

「お早う、お兄ちゃん」

 昼夜逆転した自堕落な生活を送っていた引きこもりの俺と正反対で、良い子のさくらは朝早く起き出すと、う〜ん、よく寝た〜、などと言いながら大きく伸びをして、イソギンチャクのような化け物の俺に向かってニッコリ微笑みそう言った。

(あ、ああ、お早う、さくら)

「私朝ご飯食べて来るね。
 お兄ちゃんは何を食べるの?」

 う。母さんに言ったように、「女性の快楽エネルギー」を食べるだなんて言えるわけがない。それにしても朝っぱらから何てさわやかな、いい子なんだコイツは! 俺はメラメラと燃え上がる、妹を襲いたいと言う邪悪な欲求に身を焦がしながら必死で堪え、さくらがバタンとドアを開けて出て行くとホッと安堵のため息を付いた。ああ、さくらお願いだからもうここへ戻って来ないでくれ。まるで業火のようにボウボウと俺の体を芯から焼き尽くす、いたいけなさくらを襲いメチャクチャに犯ってしまいたいと言う触手の本能を押さえつけることは最早限界だ。

 ああ、かわいいさくら。俺は彼女が朝食をとって帰って来るまでの間に、こんな人でなしで引きこもりの俺を慕ってくれる妹に対する感情が、完全に男女の関係を望む許されないものであったことを確認した。勉強が苦手で出来ない宿題は必ず俺を頼って来る甘えん坊でひどい泣き虫だが、とても優しくて誰からも好かれるさくら。何より醜悪な触手に変身した今でも俺をかばってかくまってくれる、俺にはもったいないようないい子の妹だ。もし嫌がるコイツに手を出そうとする奴がいたら、ヘタレな俺でも命を懸けてそいつを叩きのめし、さくらを守ってやるだろう。なのに、俺は、俺は……

「お兄ちゃん、私学校に行く支度するね」

 血を吐くような俺の願いも空しく、当然ながら朝食を終えたさくらは自分の部屋に帰って来ると、まるで俺を挑発するかのような言葉を掛けた。俺は妹を襲いたいと言う触手の本能に抗って七転八倒の苦しみを味わいながら、必死でさくらに念を送る。

(さくらっ!
 俺を今すぐ部屋の外に摘み出せっ!)

「どうして?」

 ピンクのパジャマを来たかわいい妹がキョトンと小首を傾げる。バカ野郎っ! お前はもう小学生じゃないんだぞ。その無邪気な仕草が男を狼に替えるんだ……

(お前、そこで着替えるんだろ?)
「うん」
(俺がここに居るのに)
「あ〜っ、いっけないんだ〜」
(やっとわかったか!
 頼む、俺を外に出してくれえっっ!!)
「ええ〜っ
 でもお兄ちゃんがかわいそうだし、それに……
 ごめんなさい、お兄ちゃんに触るのちょっと気持ち悪いよ」
(さくらっ!)
「目をつむるか、あっち向いててよ」

 そんなことが出来るくらいなら苦労はない。俺は今やおあずけを喰らった犬、いや、若い女の血に飢えた吸血鬼のような状態なんだぞ!

「大丈夫だよ、お兄ちゃんはそんなえっちじゃないもん」

 ぐあああ〜っっっ!!! さくらがついにピンクのパジャマを脱ぎセーラー服に着替え始めた。目を背けるどころか俺の全身全霊は妹の着替えと言う見てはならない蠱惑的な眺めに釘付けになり、体中の冷たい筈の血が沸騰した。正に地獄の業火に焼かれるような壮絶な苦しみである。さくらはそんな俺のことなど委細構わずにどんどん着替えを進め、可憐なセーラー服に身を通し、そして一撃必殺の眺めが俺にとどめを刺すべく視界に飛び込んで来た。着替えるためしゃがんださくらのスカートの奥の薄暗がりの中、はっきりと確認出来てしまったイチゴプリントの純白パンツだ。

(さくらあ〜っっっ!!!)
「きゃんっ!……」

 とうとう本能に流され瞬間移動でさくらに突入した俺は、非道にも悲鳴を上げようとした妹の口を無数の触手で塞いでいた。

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