奥さまはマゾ
二次元世界の調教師:作

■ 9

 排泄をすませたばかりの女陰部を新山さんの口唇で舐め清められるというおぞましい行為で、生まれて初めての絶頂を3度も立て続けに味わってしまった私は、人の弱みにつけ込んで私の体を奪った彼のことを、もうどんなに嫌悪しようと思っても憎みきれない心境に陥っていました。それどころか、さ、行こうか、と首輪を引かれると、私は新山さんにすり寄るように身を寄せてしまうのでした。

「新山さん、あの……」
「ノーパンになってしまいましたね、奥さま。下着を買いに参りましょう」

 公園を出てミニスカテニスウェアにノーパンと言う泣きたくなるくらい頼りない下半身に夕暮れ前の冷たい外気を感じながら、私が連れて行かれたのは繁華街の外れにある薄汚れた雑居ビルの1階にある、その名もズバリ「アダルトショップ」と言う看板の出たいかがわしい店でした。店内に入るとうなぎの寝床のような狭い通路に、見るも穢らわしい雑誌だのアダルトグッズが所狭しと山積みにされていました。

――こんな所で下着を買うだなんて……
 
 恐らくそれは私が見たこともないようなえっちな下着なのでしょう。しかし普通なら吐き気を催しそうな猥褻物品で溢れた店内に脚を踏み入れた私は、体の奥深くからゾクゾクとアブない興奮がとめどなく込み上げて来るのを覚えていたのです。そして新山さんが購入しようとした「下着」は私の想像をはるかに超える卑猥な代物でした。

「マゾの奥さまにふさわしい下着をプレゼントしましょう」

 店内にはところどころにいかがわしい雑誌を立ち読みしているような男性客がおられ、その中を顔を隠し手を拘束され露出度満点のテニスウェアを着用した若い女性が通るのですから、当然注目を浴びてしまいます。新山さんに首輪を引かれながら店の奥に歩を進めていると、10人近い男性がぞろぞろと付いて来てしまい、私はもうアブない興奮が募ってフワフワと雲の上を歩いているかのような非現実的な気持ちに陥りました。

 店の一番奥にはショーウィンドウがあって、そのカウンターの後ろには、恐らく店主なのでしょう、小柄でハゲ上がった初老の男性が、ニヤニヤといかにも好色そうな笑みを浮かべて座っていました。そのウィンドウの中には一目でえっちな物品だとわかる道具類が置いてあり、私は慌てて目を反らしましたが、その実ドキドキと胸を高鳴らせていたのです。

「私の彼女にバイブレータ付きの貞操帯をはかせたいのですが」

――ていそうたいですって?

 日常生活で使うことのない単語でしたが、おそらく淫猥な道具なのだろうと予測は付きました。「はかせる」と言うことはそれが下着なのでしょうか? 私は戸惑いじっと下を向いていましたが、店主のおじさんは立って奥から何やら持ち出して来られたようでした。

「それでしたら、こちらはいかがでしょうか。最新の機能が付いたスグレモノですよ」

 おそるおそる上を見ておじさんの手にした黒い革のパンツみたいな品物を見た私は、想像もしなかった卑猥なモノが視界に飛び込んで来てショックを覚え、再び弱々しく下を向いてしまいました。その「パンツ」の股当て部には大小2本の男性自身ソックリの突起がニョキリと生えていたのです。ところがあまりのイヤらしさに目を反らした私を、新山さんは叱りつけて来ました。

「綾子! しっかり見ながら、店長さんの説明を聞きなさい。 さもないと、ここで恥を晒すことになるぞ……」

 見物人の手前でしょうか。私を名前で呼びつけにし、命令口調でそう言った新山さんが一瞬私のミニスカをめくってしまったのでお客さんがどよめきました。どなたかが、ノーパンかよ、と驚いて囁いているのが聞こえ、私は慌てて目を上げて、ハゲ頭の店長さんがそのイヤらしいデザインの「下着」を説明するのを聞かねばなりませんでした。

「どうやって使うものか、説明してやってくれ」
「大きい方はおま○こに、小さいのはアナルに入れるものです。それからココにイボイボが付いていますが、これはクリ○リスに当たるようになっております」

 見ると大きい方の「ペニス」の根元辺り一面にビッシリとイボイボの突起が植えられていました。こんなに沢山付いていればどんな女性でも確実に一番感じる部分に当たってしまうに違いありません。

「それぞれが別々にこのリモコンで動きます」

 そう言った店長さんがリモコンを操作して見せると、2本の大小の突起がジーッと小刻みに慄えながらクネクネとイヤらしく首振り運動を始めました。

――い、イヤだ! こんなのを入れられるなんて……

 大きい方は新山さんよりもビッグサイズでしたし、主人とは勝負にならないほど巨大なのです。それに小さい方はお尻の穴に入れるだなんて正気の沙汰とは思えませんでした。それが振動しながら暴れ回ると言うのですから、どれだけ淫靡な感触になるのだろうかと思うと生きた心地もしない恐怖で、私はワナワナと慄え始めていました。

「綾子、どうだワクワクするだろう。何だ嬉しくて慄えてるのか? お前はイヤらしいことが大好きなマゾだからな」

――違います!

 新山さんが意地悪く大きな声でそんなことを言うと、見物客が又一段とざわめきました。

「おい、この女マゾだってよ」
「見りゃわかるだろ。でも若そうだな」
「顔見えないけど美人みたいだぜ」
「ここで実演してくれねえかな」

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