走狗
MIN:作

■ 第1章 出来事5

 俺は、其処までを見て一旦映像を止めた。
 時計を見て、時刻を確認すると、22:50だった。
 携帯を取りだし、ダイヤルする。
 電話が繋がり、相手が不機嫌そうに応対し出す。
「あっ、課長…叶です。実は、九州の叔父が亡くなったらしくて…はい、はい…唯一の血縁者ですので、4日程…はい、すいません」
 既に亡くなっている、九州の叔父を再度殺し、俺は休暇を取った。

 これで4日間…、土日を入れると丸々1週間が空いた。
 そして、更に携帯を操作し、別の所に電話する。
「もしもし…日下部か…。近々時間を取れないか…あ、あ…調べて欲しい物が有るんだ…ああ…それじゃぁ、明後日…秋葉の駅で…」
 本庁の専門家に電話して、都合を付け終わった俺は、パソコンのモニターに視線を移す。
 画面には大柄の男が、腕組みしている映像で制止している。
 俺は段々自分の中から、感情が消えて行くのを感じながら、モニターに向かった。
 そして、一時停止ボタンを解除し、画像を再生させる。

 腕組みをしていた大柄の男が動き出し、香織の右手を左手で取り、手錠を掛けた。
 驚く香織を余所に、そのまま左手を掴んで、後ろ手に拘束した。
 鮮やかな手並みは、その行動が慣れている証拠だろう、そのまま後ろに回り手錠を締め上げ、香織の動きを封じる。
 残りの男達は、一人が一本ずつ香織の足を持ち固定する。
 目出し帽の女が動いて、香織の膝の直ぐ下に黒い革製のベルトを嵌め、60pぐらいの棒で繋ぐ。

 香織は、下着を着けた状態で、オープニングでしていた拘束姿になった。
 拘束を終えた4人は、カメラマンの後ろに移動したのだろうか、姿が見えない。
 立った状態の香織は、足をがに股に開いて、手を後ろにやって俺を睨んでいる。
『これで、自慢の逮捕術とやらも使えないわね…いい気味よ…』
 そう言いながら、カメラの女は香織の無防備な腹に、蹴りを入れる。
 ド素人の、足を押しつけるような蹴りだが、がに股に後ろ手錠では避ける事も出来ず、香織は尻餅を付いた。

 そして、香織を囲んだ5人の輪は、その間隔を狭め、香織の直ぐ近くに集まった。
 上から見下ろすアングルで香織を捉えながら、5人は香織の身体にオープニング時に有った青痣を付け始める。
 文字通りの、袋叩きだ。
 転がった香織の身体に、目出し帽の女が近づき
『さあ。邪魔な物は、取り外しましょうね〜』
 ハサミで下着を切り、香織を全裸にすると、目の前で外した下着を細かく切り刻んで行く。
『生意気な奴隷は、許可が出るまで下着を着けちゃいけませ〜ん。見つけたら片っ端からこうしちゃうからね〜』
 楽しそうな声で、香織の下着を切り刻む、目出し帽の女。
『おい…自己紹介どうすんだよ…』
 フレームの外から、大柄な男の声がして、画像が切り替わる。
 ここから、オープニングの自己紹介の下準備が始まったのだろう。
 切り替わった画面は、項垂れた香織を斜め上から映していた。
 香織の姿勢と状態が、オープニングの自己紹介の姿と繋がる。
 そして、この後香織はこの5人に、散々嬲り物にされる。

 香織は、首に黒い首輪をはめられた。
 犬用のではなく、完全にSM用の物で、金具が沢山付いているやつだ。
『何するの、変態止めてー!』
 香織が画面の中で叫ぶ。
『そう…。俺達は変態で頭がおかしいから、何でも出来る。普通のやつだったら、女の子にこんな事はしないだろ』
 そう言うと、足を蹴られた男が香織の髪の毛を引っ張り、仰向けに引き倒し、無防備の乳房をサッカーボールのように蹴る。
『ぎゃーーーっ!いやー!止めてー!お願いそんな所を蹴らないでー!』
 香織の悲鳴と必死で懇願する声。
『じゃぁ、此処だったら良いのか』
 目を叩かれた男が、大きく開かれた股間を蹴り上げる。
『ぎーっ!ひー、嫌…嫌…止めて…酷すぎる…』
 未知の痛みに、香織は涙を流す。
『だから、最初に言っただろ…。俺達は仲良し鬼畜クラブだって…。鬼畜って言葉知らないのか?』
 大柄な男が、香織の顔を正面から踏みつけ、香織の顔の上で片足立ちになる。
『ぐーーーっ』
 口から鼻迄を足の下に置かれているから、香織の口からはくぐもった悲鳴しか出てこない。
『私たちはさー、別にあんたが反抗しても構わないの…。たださー、私たちも気持ちよく遊びたいのよ…。生意気な口…お利口さんじゃ無くない?』
 そう言いながら目だし帽の女が、香織の両の乳首を両手の親指の爪で、握りつぶして引っ張った。
『ぐぅうーーーっ』
 まだ、顔の上に大柄な男が乗っているため、くぐもった声を上げ、足をばたばたとさせる。

 足をバタつかせたため、片足立ちしていた、男がバランスを崩して香織の顔から下りる。
 香織の顔には、クッキリと大柄な男の靴の後が、残っていた。
 大柄な男は香織の顔をグーで、殴った。
『馬鹿野郎!振り落とすんじゃねー』
 と、言いながら。
 パンチは頬に当たり、頬に大きな青タンが出来、皮膚が切れ血がにじんで来た。
『顔はバレるから止めなさいって、言わなかったっけ…』
 カメラの女が、舌打ちしながら大柄な男に注意する。
『ごめん…ついムカついちまってよう…』
 大柄な男が謝る。
(リーダーは、この女か…)
 俺は、驚きを隠せなかった。
『反抗するのは自由って言ったわよね…いつまで持つか楽しみにしても良いわね…でも、忘れないでね。こうなったのは、生意気な態度が原因だって』
 カメラの女が、おびえる表情の香織を正面から捉え、言い聞かせるようにゆっくりと話す。

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