内側の世界
天乃大智:作

■ 第8章 青蓮と紅蓮6

「あ〜ん、あ〜、壊れる〜う〜ん、だめ〜」
 ジャネットは、腹這いのまま、のたうち回っている。僕は、ジャネットの白い太腿を引き上げ、腰に密着させた。この方が、奥まで入る。僕は、腰の動きと、腕の力で、子宮の奥まで突き入れた。
「地獄突き」、僕は、命名した。この突きに対抗できる、曼荼羅(まんだら)は、ないであろう。やはり、ジャネットは、失神して、失禁までした。
 僕は、秘孔から男根を一度も抜かずに、三回目の射精をした。僕の男根が出入りする度に、白濁の汁が溢れ出す。

僕が三回射精する間に、ジャネットは数え切れないほど、絶頂を迎えた。
僕は、バックのまま体位を変えることなく、延々と突き続け、この体位で三回放ったのである。
バックは、良く効く。
「犯して、犯して」
ジャネットは三度、白目を剥(む)いて失神した。
 目覚めたとき、彼女は連れて行ってくれと頼んだが、僕は断って情報を得た。
 そのお礼に、4回目の「地獄突き」を敢行した。
入れたまま、ジャネットから情報を聞き出していたのであった。だから、話が終わった後に、僕は、再び男根を動かし始めたのであった。話の最中も、話の内容が不鮮明になったり、言い淀(よど)むことがあると、僕は男根を動かせて、催促したり警告していたのであった。
「ああああああああああん、だめ〜、もう、イク〜うん、あ〜ん、あは〜ん」
 今度は完全に、ジャネットは、イった。完全に失神したのであった。ここまでイクと、そう簡単には、目を覚まさないであろう。

 僕は、重傷を負っていた。
天の鏡のネックレスは、紅蓮の攻撃を完全には撥(は)ね返してはいなかったのである。魔羅(まーらー)の攻撃は、それほど強烈であった。
きよしちゃんは懸命になって、手当てをしてくれた。
また、意識が遠ざかる。
・・・
少し、意識が戻った。
まだ、激流の中である。
僕たちを、黒い魚人の影が追う。
「水の中の方が、安全だ」と、きよしちゃんが言ったように思った。
 僕は、自分ではエネルギーの補充が出来なかった。きよしちゃんが、自分の生体エネルギーを僕に与え続けた。目を覚ます度に、きよしちゃんが、やつれて行く様に見えた。
「もう、いいよ」僕は、言いたかった。
でも、言葉には出来なかった。テレパシーなら、通じている筈であった。
そして、また、・・・眠りに落ちた。

 そして、見たくもない悪夢に襲われた。
邪悪なる存在は、僕の手足を切断した後、腹を割いて、内臓を引き出した。邪悪なる存在は、僕の血で汚れていた。
僕の内臓を喰らい始めた。喉を潤(うるお)す為に、今度は、僕の血を啜(すす)っている。
不思議と僕の意識は、まだ、そこにあった。
体は切り刻まれているのに・・・

次に目覚めた時、暗闇から垂れ下がる鍾乳石(しょうにゅうせき)が見えた。それは、今にも僕を目掛けて降ってきそうに思えた。
僕は、はっとして眼を大きく開いた。
やっと体が動いた。
そこは、水の中ではなかった。
僕は、地面の上に横たわっていた。湿った堅い地面が、僕を支えていた。
僕を支配していた奴は、もう居ない。
隣で、きよしちゃんが、僕を庇(かば)うように倒れていた。
僕は、慌てて名前を呼んだ。
返事がない・・・
まだ息がある。
僕は、治癒能力のある掌を、きよしちゃんの胸の上に当てようとして、苦痛に呻(うめ)いた。
左足が、動かない。
右手が、動かない。
それでも無理矢理動くと、左脇腹に激痛が走った。
うっ。
僕は、何とか、時間を掛けて、ゆっくりと、それでも、確実に、きよしちゃんの胸に僕の掌(てのひら)を置いた。
「死ぬな。生きるんだ」と叫んだ。叫んだその声は、空ろであった。
強く念じた。強く、強く念じ続けた。
きよしちゃんの体が、淡い光に包まれた。そして、光が消えると、きよしちゃんの目が開いた。
「おはよー。朝飯は、何だ? 」きよしちゃんが、言った。
僕は、きよしちゃんを、思い切り抱きしめた。
「苦、苦しい。お前は、聖魔だぞ。そんなに強く締め付けられたら、俺は、死んでしまう―」
僕は慌てて、きよしちゃんから手を離した。きよしちゃんの体が、縮んだ様に思えた。
小さいのだ。
その僕の顔を見て、きよしちゃんは弱々しく笑った。
「キーボー、なんて顔してやがる」
つられて、僕もニコっと笑った。
「お前、角が―」
僕は、角に触れた。それは、大きく成長していた。体も成長し、骨格が大きく変わっていた。
僕は、怖くなった。
「これから先は、儂(わし)らは、もう、護衛は出来んのじゃ。地下道と地下水が交わる所が無いのでな。久遠(くおん)、後は頼んだぞ。天鬼(てんき)、親父さんに宜しくじゃ」
そして、魚人防人シーズは、乱杭歯(らんぐいば)の並ぶ口から海藻を吐き出した。空気中では魚人の声は、聞き取り難かった。それでも、聞き取れた。テレパシーであろう。どうやら、魚人防人シーズは、ずっと見守っていてくれた様であった。
「この海藻を磨り潰して天鬼の傷に塗るのじゃ。直ぐに良くなるじゃろうて―」
それだけ言うと魚人防人シーズは、水面をその巨大な尾鰭(おびれ)で叩いて水中に潜った。その波を被った僕たちは、びしょ濡れになった。
僕ときよしちゃんはお互いの顔を見て、・・・ゲラゲラ笑った。僕たちは、生き延びたんだ。魔羅と魔鬼の襲撃に、耐えたんだ。

 その同じ頃、紅蓮と青蓮が、地表に這(は)い出した。土と埃を被った二人は、動く石像に見えた。紅蓮の赤い長髪が、泥と血で背中と顔に、こびり付いていた。そして、大の字に横になった。
「酷(ひど)い目にあった」
「ああ」
「ここは、どこだ? 」
傷だらけの青蓮が、双角鬼王に聞いた。
「分からない・・・」
「これからどうする? 」
「鬼神の子を取り逃がしたんだ。ただでは済まない。ウ、ウーッ・・・」
「紅蓮、大丈夫か? 」
紅蓮は、酷い傷を負っていた。
「あ、あ・・・。サタネルの元には、戻れない・・・。しばらく、姿を暗ますしかないな。・・・あの蓮池の森だ。あそこで、傷を癒す・・・」
歩き出した二人の鬼を、夕日が照らし出した。オレンジ色の世界で、二つの黒い影が動いた。足を引き摺(ず)った、ぎこちない動きである。二人が肩を組んで、よろよろと歩き始めた。
独角鬼王と長髪を靡(なび)かせた双角鬼王であった。
そこは上海の東、蘇州(そしゅう)に程近い所であった。
「そして、ゆっくり考えよう・・・。髪も、洗わなきゃ、な―」

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