愛の妙薬
俊輔：作
■ 第１章 二人の美女
第１節 我が社の女医、早苗さん1
第１話 誘惑
葵ちゃんとの不思議な体験から１０日ほど経った日のことです。
私の会社の歓送迎会が京橋の料亭で開かれました。
２０人ほどが出席しましたが、その中に医務室の内科医、中村早苗さんもいました。
乾杯が済んでからというもの、早苗さん、チラチラと私の方に視線を送ります。
早苗さんは、葵ちゃんの友達です。
熊田曜子さんにそっくりの、わが社で最も美しい２７歳です。
メガネ美人です。
彼女にはフィアンセがいます。３１歳の、やはり内科医ですが、現在、我が社から派遣されて、ベルリン大学に留学しています。
早苗さんって、整った細おもての顔の輪郭、澄みきった二重瞼の瞳、魅力的なポッテリした唇、Ｄカップの美しいバスト、括れたウェスト、すらりとした脚、なんだか、グラビア写真を見ているようです。
宴が進むにつれて、早苗さん、私から目を離さなくなりました。
何か、私に話したいことがあるのかなーって、思うんですが、彼女、私の隣に来るわけでもありません。
だいぶ離れた宴席についています。
私＜不思議だなー、私に話しかけたいんだけど、宴席で話すのは気が引けるなー！って、思ってるのかなー？＞
なんだか、行動を監視されているようです。
誰かが早苗さんにお酒を注ぎにいっても、なんだか上の空みたいです。
ずーっと私を見つめています。
私＜もしも私が席を外したら、早苗さん、どうするのかな？＞って考えたくなります。
私＜そーだ、この料亭の外に行って、久しぶりにタバコを吸ってみようかな？彼女、どうするのかな？＞
私、中座してお部屋の出入り口に向かいます。
早苗さん、やっぱし、立ち上がりました。
私から５ｍくらいの距離をとって、私の後ろについてきます。
私、料亭の玄関を出ます。玄関の前にある灰皿を通り過ぎます。
暗がりに行きます。タバコに火をつけます。
早苗さんが近づいてきます。立ち止まります。
早苗さん『山中顧問、いつもお世話になっています。
葵ちゃんの友達の中村早苗です。』
私『もちろん、知っていますよ、
葵からもよくお話を伺っておりますし、何しろ、我が社で１番の美人ですから。』
明るく照らされたお部屋の中でも美しい早苗さん、暗がりの中では、一層、とんでもなく驚くほど綺麗なんです。
早苗さん『あー、よかった、あのね、顧問、私、顧問に相談したいことが２つあるの！聞いて頂けるかしら？』
私『もちろんです。私にできる事だったら、何でもお応えします。
何しろ、早苗さんは葵のお友達だし……！』
早苗さん『あのね、結論からいうと、３日後の日曜日、会社で私の相談にのって頂けないかしら？』
私『えっと、日曜日ね、大丈夫ですよ、何時ごろがいいですか？』
早苗さん『うれしいわ、あのね、１０時頃いかがかしら？
私の医務室においで下さいませんこと？』
私『了解です。それで、２つの相談って？』
早苗さん『ここではキーワードだけ言うわね、話が長いと、宴席の方々が＜あの二人、なかなか戻ってこないね＞
って思うかもしれないから……。
１つ目は＜ＨＲＧ＞のこと、もう一つは＜ＥＤ＞のことなの＞』
私『ＯＫです。うまく相談にのれるといいですね！』
早苗さん『大丈夫よ、顧問なら心配ないわ！
じゃ、席にもどりましょう。日曜日とっても楽しみにしているわ！
お薬を飲まないでいらっしてね！』
早苗さん、なんとも意味深長な言葉を３つ残して、私をみつめます。
私と早苗さん、タイミングを少しずらして、席に戻ります。
宴は順調に進行し、最後の乾杯のあと、大半の人達は２次会に行きます。
私と早苗さんは、まっすぐお家に帰ります。
早苗さんは、今日の目的を果たしたようなんです。
ところで、私は会社の顧問なので、会社の重要な会議には出席しています。
ですから、会社の重要事項は熟知しています。
＜ＨＲＧ＞って、Healing Roof Garden のことです。
直訳すると、屋上にある癒しのお庭、っていう意味です。
会社の人達は＜芝スポット＞って呼んでいます。
ＨＲＧについて説明する前に、我が社の厚生施設のうち、女性社員の為の厚生施設についての解説をいたしましょう。
我が社の本社の医務室がある１７階には４つの女性の為の厚生施設があります。
それは全て、女性副社長である岩田副社長の発案によるものです。
いずれも、女性社員のケアの為の施設で、男性社員は利用する事ができません。
一つ目は、医療施設です。
超近代的な検査装置がズラリとそろっています。
ＭＲＩ，ＣＴ，ＰＥＴ、光トポ、超音波診断、―――などなど、他に、乳房用Ｘ線診断装置、なんていうのもあるんです。
高額な検査装置１７装置の総投資額は、１１億円です。
２つめは、エステしながら楽しめる超豪華なオーディオルームです。
会社の中のエステなので、美顔エステとか、痩身エステというのではなくって、もっぱら、リラックスエステです。
有料ですが、例えば、アロマヒーリングテラピーは７００円です。
新宿のミスＰなら、１８０００円ですよね。
有料と言っても形だけ有料なんですよね。
ミスＰの１８０００円がここでは７００円なんです。
お好みの音楽を超ステレオサウンドで自分だけで楽しみながら、アロマヒーリングテラピーができるんです。
でも、ここには、就業後にしかこれません。
総投資額は、１億５０００万円です。
３つ目は、サウナ付のラウンジです。
サウナは無料ですし、５００ｍｌの缶ビールは２４０円です。
ドンキーよりも５円安いんです。
ここにも、就業後にしかこれません。
総投資額は、１億円です。
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