愛の妙薬
俊輔:作

■ 第2章のコーダ、第3章のプロローグ2

老舗旅館の女将は、旦那様を持っているのがいいよねって、シェフ長初め、全従業員が言ったの。
ほんとはね、従業員の方々、かすみさんが、恋人を東京に残して、泣く泣く盛岡に帰ってきた事を知ってたのよね、みんなでかまをかけたの。

それで、かすみ、彼に、光井物産を退社して盛岡に来てくれないかしら、って真剣に相談したの、彼、即座にオッケーして盛岡に来たのよ。

それはそれは盛大な結婚披露宴だったわ、八幡宮に1000人もの方々が出席したのよ。
マスコミ関係の人達も大勢来てたわ、何しろ、盛岡でナンバーワンの老舗旅館でしょ、おまけに、美人でしょ、それに、二人とも、超エリートの光井物産元社員とくるから、当たり前っちゃ、当たり前ね』

私『ふーん、かすみさんってすごい方なんですね〜、でも、どうして、未亡人なんですか〜?』
あやめさん『そのご主人、結婚式の1ヶ月後に、交通事故で亡くなったの』
私『っていう事は、お母様が亡くなって半年も経っていなかったんですか〜?』

あやめさん『そうなのよ、かすみ、まだ23歳だったの、亡くなったご主人って、かすみをとことん愛していて、毎晩のように、かすみ、浮遊の世界をさまよったのよ、それって、物産時代からなのよ、かすみが東京にいた時、いつもおのろけを聞かされたわ。』

私『そんな優しいご主人が亡くなったら、かすみさん、とっても淋しいでしょうね〜、想像に難くないです』

あやめさん『それでね、先月、大学の同窓会が東京であったの、かすみが来たのね〜、彼女、とってもつらそうに<私、とっても淋しいの、彼がとっても優しく毎晩のように愛してくれたでしょ?
最初の1ヶ月は我慢できたんだけど、その後は、もう、お布団に一人で入るのがつらくって、つらくって>。

そうなのよ、かすみって、三度の飯よりセックスが好きだから、一人になったら、我慢できないんだもん』
私『それで、かすみさん、何かをあやめさんにお願いしたのですか〜?』
あやめさん『山中さん、図星よ、かすみね、<今度、東京に出てくる時、誰か身持ちの固い人を紹介してくれないかな〜、できたら、1度に、二回か三回、できたらいいな〜>って、言うんです。』

私『ふぇ〜、たまげた、すごく、あからさまなんだ〜!』
あやめさん『そうなのよ、私とかすみって、ずーっと、お互いのセックス体験のお話をしてるの、それで、私、』

私『それで、かすみさんが今度、東京に出てくる時に紹介する男性は見つかったんですか〜?』
あやめさん『みつかったわー、ここにいらっしゃる方よ!
ばっちり、太鼓判だわー! かすみ、きっと大喜びするわー!
ね、山中さん、かすみが腰を抜かすほど、かわいがってあげてね!!』

という事で、私、盛岡ヒルトンホテルをキャンセルして、出張の準備を整えました。

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