優等生の秘密
アサト:作

■ 14

「そろそろ、いい頃か?」
 太い指を、ゆっくりと夏美の中へ埋める。かさついて、滑らかとはいえない指だったが、すんなりと飲み込まれてしまう。
「痛い……やめてぇ……っ!!」
 大粒の涙をぽろぽろとこぼしながら、いやいやと首を横に振る夏美の仕草は、あまりにも可愛かった。
「お前、処女か?」
「……悪い?」
「いや……それなら、奪うのはまずいな。」
 加藤はそう言って、指を抜いた。急に紳士的になった加藤に、夏美は困惑していた。
「何で、急に……」
「お前、仲原に惚れてるんだろ?」
 貢太に聞こえないように、耳元で囁かれた言葉に、夏美の身体が熱くなる。驚いたように身体を硬直させる夏美に、加藤は思わず微笑んでしまった。
「図星、か。」
 言いながら、加藤は先程まで夏美の中に入れていた指を、夏美の口元に持っていった。自らの匂いが、鼻をつく。夏美は微かに顔をしかめた。
「……だがな、途中でやめてやれるほど、人格ができていないんでね……」
 加藤は夏美を抱き起こし、自分の膝の上に座らせると、その白くて細い首筋に唇を這わせた。
「やっ……んぅ……」
 小さな悲鳴を上げようとした口に、加藤の指が差し込まれた。自分自身の微かに甘みのある酸味が、口の中に広がる。半開きの口の中を、指がぐちゃぐちゃとかき混ぜる。時折、舌の付け根の辺りを押さえられるのが、妙に気持ちよかった。
「しゃぶってくれると、嬉しいんだが……まぁいい。」
 加藤は少し残念そうにそう言うと、口から指を引き抜いた。そして、反対の手で夏美をしっかりと抱きしめると、首筋や肩に舌を這わせた。
「んっ……嫌……ぁ……」
 ぞくぞくとした感覚が、夏美の脳を痺れさせてゆく。自分の唾液で濡れた加藤の指が、背骨に沿って徐々に下へ降りてゆくのも、どこか遠い場所の出来事のように感じていた。

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