優等生の秘密
アサト:作

■ 41

 それから数日が経った。事あるごとに暴力を振るうようになった貢太に母親は怯え、家にいないようだった父親は、あまり帰って来ないようになった。愛人の一人でもいるのかと勘繰ってみたが、仕事にしか興味のない彼は、帰らない日は格安のカプセルホテルに泊まっているようであった。
 貢太はここ数日ですっかり変わってしまっていた。髪を茶色に染め、ピアスの穴を開け、まだ上手く吸えないが、煙草も吸うようになっていた。学校にはもう通えないので、母親から金を半ば巻き上げる形で手に入れ、日がな一日ゲームセンターで時間を潰すのが日課になっていた。ゲームセンターは中学時代に行ったきりだったが、もともとゲームは得意な方だったため、長居するのも苦ではなかった。
 毎日、財布の中が空になるまで遊び、時折気の弱そうな人間から巻き上げてまで遊ぶようにもなっていた。たった数日で、よくここまで変われるものだ、貢太は自身でも呆れるほど豹変していた。

「貢太……」
 ふいに、名前を呼ばれた。格闘ゲームで、あと少しでラスボスを仕留めれるというタイミングで乱入されて苛立っていた所に、この声だ。
「んだよ!」
 苛立ちを隠そうともせず、貢太は振り返って、声の主を睨みつけた。そこにいたのは、制服姿の夏美だった。
「……夏美。」
「……ゴメン、邪魔して……」
 夏美は、画面の中で無抵抗のまま殴り続けられている、貢太の操作キャラを見て言った。
「……丁度、やめようと思ってたとこだ。別にいいよ。」
 そう言って、ゲームの途中だというのに立ち上がり、夏美の手を引きゲームセンターを出た。煙草の煙が充満した店内に、これ以上夏美を居させたくなかったのだ。
「……で、こんなとこまで来て、何の用だ?」
 貢太の問いに、夏美は少し表情を曇らせた。
「……私、ね、特進クラスに入れるようになったよ……」
「そっか。おめでと。」
 貢太はそれだけ言って、夏美の顔を見ないように、そそくさと歩いた。声から分かる。夏美の表情が暗いものだということは。夏美のそんな表情を、貢太は見たくなかったのだ。
「……でも、貢太がいないんじゃ、意味、ないよ……私が、特進クラスに入りたかったの、貢太と一緒のクラスになりたかったからだもん……」
 今にも泣き出しそうな声で、夏美が言う。きっと表情も泣きそうになっているのだろう。周りを歩く人間が、じろじろと貢太たちを眺めているのが分かる。居た堪れなくなり、貢太は夏美の手を少し乱暴に引いて、帰る事にした。
「ちょ……っ、貢太っ……!?」
 困惑する夏美をよそに、貢太はそのまま商店街を抜け、住宅地へ入る。それから程無くして、自宅に帰りついた。
「……入れよ。」
「え、でも……」
「いいから!」
 貢太は困惑する夏美を自分の家へ招きいれた。幸い、両親はいない。貢太は夏美を部屋へ連れ込むと、ベッドの端に座らせた。
「何か、飲み物いるか?」
「ううん、いい……」
 夏美はそれだけ言って、何か言いたげに貢太を見つめた。そして、しばらく沈黙していたが、思い切ったように口を開いた。
「前に言ったよね……特進クラスに合格したら、もう一度想い伝えるって。あの気持ち、こんな事になったけど変わってないよ……」
 瞳を潤ませながら、夏美は貢太をじっと見つめた。その目はあまりにも真っ直ぐで、貢太にはその目を見つめる事が出来なかった。
「……私、まだ、貢太のこと好きだよ……大好きだよ……」
「……そうか……」

 貢太は突然夏美をベッドに押し倒した。
「こ、貢太!?」
 突然の事に困惑し、抵抗しようとする夏美の肩を押さえつけ、起き上がれないように覆いかぶさって、制服の前をはだけさせる。レースと刺繍のあしらわれた、かわいらしい下着が露わになる。それを乱暴に掴むと、ホックも外さずに上にずり上げた。小振りだが形のいい胸が露わになる。貢太はその胸を乱暴に揉みしだいた。
「嫌ぁあっ!! やめてっ!! こんなの、ダメぇっ!!」
「うるせぇな、俺のこと、『大好き』なんだろ!?」
 言いながら、硬く強張った胸の頂を無遠慮に舐め上げる。
「ひっ!!」
 夏美の口から、短い悲鳴が零れる。嫌悪感を隠しもしないその悲鳴に、貢太のサディスティックな部分が刺激される。軽く吸い上げ、歯で挟み、その度に零れ落ちる夏美の悲鳴を心地よく聞いていた。
「んぅっ……や、やめてぇ……」
 夏美の声に、嫌悪感以外のものが混じり始める。貢太はそれを聞き逃さなかった。スカートを捲り上げると、ブラジャーと同じデザインのショーツの上から、恥丘をなぞる。クロッチのぶぶんが僅かに湿り気を帯びていた。
「嫌がっている割に、体はちゃーんと感じてるじゃねーか。」
 意地悪い笑みを浮かべながら、貢太は夏美の耳に息を吹きかけた。
「ひぁっ!」
 背中を弓なりに仰け反らせて夏美が反応する。貢太は耳朶を甘噛みして、そのまま舌を耳から首筋に向かって這わせた。
「んんっ、い、いやぁ……っ……!」
 言うだけで、夏美は抵抗らしい抵抗をしない。敏感な部分を攻められて、抵抗できないというのが正しいが、経験の少ない貢太はそこまで考えが回らない。ショーツを乱暴に引き摺り下ろすと、濡れた茂みとショーツの間にいやらしく糸が垂れた。
「糸引くぐらい濡れてんじゃねぇか。」
「そ、そんなこと言わないで……!!」
 夏美の頬が、耳まで真っ赤に染まる。貢太の顔を直視できないのだろう。貢太から顔を背け、僅かに抵抗しているつもりなのか、貢太の服の袖を掴んでいる。
「いきなり突っ込んでも入りそうなくらいグシャグシャだぞ?」
 言いながら、ズボンのジッパーを下ろし、引きずり出したものの先端で、茂みの奥の亀裂をなぞる。それだけで、貢太の背を快感がはしり抜ける。擦り付ける度に、そこからにちゃにちゃと濡れた卑猥な音がした。
「や、やめてぇ……っ!!」
 先端が無理矢理に夏美の身体に割り入ろうとする。足をばたつかせたり、腰をくねらせたりして抵抗するが、力で男の貢太に敵うはずも無い。貢太は夏美の腰を押さえつけると、夏美の中にゆっくりと自身を埋めていった。
「う、あっ……は、あぁっ!!」
 しっかりと濡れてはいたが、全く慣らされていなかったそこは、貢太を拒むかのようにきつく締まっていた。夏美の身体に、快感よりも先に無理矢理に押し広げられる苦痛が走り抜けた。
「いっ……やめ……っ!!」
「っ……根元まで、しっかり入ったぞ?」
 貢太がそう言い放った瞬間、夏美の頬を涙が一筋流れ落ちた。

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