2007.11.10.

桃  香
01
木漏れ日



■ 01

私がその少女に出会ったのは、まったく偶然だった。
昼過ぎ。
私は用事を済ませて帰る途中一匹の子犬に出あった。
体毛は白。
首輪がないので飼い犬ではない。

子犬は人なつっこく私の手を舐めた。
その時私の背後で自転車の止まる音がした。
「わー可愛いっ!」
振り返ってみると少女が犬を見ている。
7歳位だろうか? 赤いチェックのスカートに白いセーターを着ていた。

「その犬お兄ちゃんの?」
「違うよ…。」
「じゃ頂戴!」
少女はさっと子犬を抱き上げた。
そして自転車の前かごに犬を載せた。
少女は走り去った。

これが桃香との出会いだった。
数日後。
私と少女はまた出あった。
今度は店の中で。
私がデパートの本屋で立ち読みしていると、子供がぶつかってきた。

「あっごめんなさいっ!」
私の顔を見て、
「あっお兄ちゃん…。」
少女は本棚の上の方を見ていたようだ。
それで私にきずくのが遅れてぶつかった。
「どうしたの?」

「ごめんなさい! よそ見してて…。」
「本捜してたの?」
「うん…。」
「みつかった?」
「ううん…。」
「一緒に捜そうか?」


「ありがとう…。」
私は少女と捜した。
「あ、あった!」
少女が手に取る。
参考書のようだ。
「良かったね…。」

「うん、ありがと…。」
数日後。
夕方。
私が家で仕事をしているとチャイムが鳴った。
ドアを開けると少女が立っていた。
「今日は…。」

「ああ、あの時の…。」
「良かった! やっぱりここだったんだ…。」
私はどうしていいか分からずただ見ていた。
「上がっていい?」
「え? ああ、どうぞ…。」
「お邪魔しまーす…。」

少女は明るく言うと部屋に入ってきた。
「ねぇ、一緒に食べよ!」
そう言って袋を差し出した。
袋の表面にドーナツの絵が描いてある。
駅ビルの中にある店だ。
「あ、どうも…。」

私は紅茶を入れてテーブルに上に置き、
「君、名前は?」
「あ、ごめんなさい…桃っていいます…。」
「どんな字?」
「果物の桃…。」
「そうか桃ちゃんねぇ…。」

「あ、僕はねぇ…。」
とたんに少女が言った。
「修二さんでしょ?」
「なんで知ってるの?」
「ネーム見たから…。」
「そうか…。」


「うーっさぶっ」
「あ、炬燵の方がいい?」
「できれば…。」
「ごめん、移動しよう…。」
二人で隣の部屋に移動する。
今は2月、寒い筈だ。

私は炬燵のスイッチを入れる。
「さ、入って…。」
「ありがと…。」
彼女は青いセーターに紺のスカート。
髪は肩位、可愛い感じだ。
白いソックスを履いている。

私は紅茶を飲みながら聞いた。
「どうしてここが分かったの?」
彼女は微笑みながら、
「あとつけたの…。」
「いつ?」
「きのう…。」

「なんで?」
「興味あったの…どこに住んでるんだろうって」
「それで今日来た訳か…。」
「うん…ねぇ時々遊びに来ちゃいけない?」
「まぁいいけど仕事の邪魔をしないって約束出来るかな?」

「うん…。」
「じゃいいよ…。」
「ありがとう…。」
「ところで桃ちゃんは幾つなの?」
「幾つに見える?」
「さあ? 7〜8歳?」

「12、もうすぐ13だけど…。」
「え? もうすぐ中学なの?」
「うん、驚いた?」
「うん…。」
私はそう言い紅茶を飲んだ。
「ねぇ、彼女いるの?」


「いないよ…。」
「ふーん、そうなの?」
「うん…。」
「女の子好きじゃないとか?」
「別にそう言う訳じゃ…。」
「ねぇ彼女欲しい?」

「うん!」
「あたしなんて圏外?」
「いやストライクだと思う…。」
「ホントに?」
「うん…。」
「あたし胸とかないよ…。」

「別に気にしない…。」
「ほんとに?」
「うん!」
「じゃつきあっちゃう?」
「うん!」
「決まりね! ヨロシク!」

彼女は手を差出握手してきた。
小さい手だった。
彼女は不意に炬燵を出た。
そしてベットに這い寄る。
白いショーツが丸見えだ。
彼女はベットの下からH本を見つけて引っ張り出した。

「あっそれは…。」
「お兄ちゃんもこういうの見るんだ!」
私は慌てて取り返そうとした。
しかしすばしっこいので捕まられない。
彼女は本を持ったままキッチンへ行った。
「何これ信じられない!」

彼女は炬燵に戻ると、
「何あれ! ちゃんと片付けて!」
「つい時間がなくて…。」
「もう! あたしが片付ける!」
彼女はキッチンで洗い物を始めた。
「お仕事に戻ってね!」


水音が止んだ。
「ちょっとトイレ貸し手ね…。」
「分かる?」
「うん。」
暫くして、
「じゃああたし帰るね!」

「うん…ありがとう…。」
彼女は帰っていった。
仕事が一段落して夕食の支度をして食べる。
キッチンはきれいに片付いていた。
一人で食べるのは味気ない。
風呂に入りベットに移動する。

ふと見ると枕の下から少し白い布が見える。
私は枕をどかしその布を手に取った。
ショーツだった。
前のところにリボンがついている。
私は股の当たる部分を見た。
黄色く変色している。

間違いない。
これは桃が穿いていたショーツだ。
そうだとすれば彼女はノーパンで帰ったのだろうか?
私はそれを枕元に置いて寝る事にした。
それから三日過ぎた。
その間彼女は一度も現れなかった。

私は彼女がもう一度現れるのを願った。
四日目、まだ来ない。
5日目。
諦め掛けた時チァイムが鳴った。
私は急いで出た。
彼女が立っていた。

「さあ、入って!」
「お邪魔しまーす。」
私は彼女を炬燵に入れた。
「どうして来なかったの!」
私は口調が厳しくなった。
「怒ってるの?」



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