2011.04.26.

梨華子と亜矢子
001
百合ひろし



■ 第一章 劣情1

竹田亜矢子は疲れ果ててベッドに顔を埋めてうつ伏せになっていた。―――それも股間から尻にかけてジトッと濡れているオレンジの縞パンティ一枚姿で太股の一部も濡らしていた。それ以外はネックレスやイヤリングすら身に纏わない姿で―――。
顔を上げてツインテールの髪をかき上げて隣を見ると親友で幼馴染みでボブカットの髪の遠藤梨華子が亜矢子とほぼ同じ格好―――ピンクのパンティ一枚姿で亜矢子と同じ様にパンティを濡らし、太股にも愛液が伝っていた。その状態で彼氏の岡山大介の厚い胸板に顔を埋めて沿い寝をしていた。二人はスヤスヤと心地好い寝息をたてていた。

亜矢子は幸せそうに眠りに落ちている二人を見て、クスッと笑ってそれから眠りに落ちていった―――。


01章 劣情


五年半程前、中学一年の初夏―――。
梨華子と亜矢子はいつもと同じ様に登校した。この日から衣替えで夏服になる。梨華子、亜矢子共にただ小学生時代の普段着から中学の制服にかわっただけで、その制服が薄着になってもただそれだけの話であって大した変化は無いと思っていた。

しかし違った―――。

亜矢子の前の席の女子生徒のワイシャツを透して背中に薄く見えるモノ―――。ブラジャーだった。
そう、中学生になると同時につける人はかなり多い。制服を着ると同時に大人への階段を意識する頃なのだ。
亜矢子はツインテールの髪を揺らしながらボブカットの梨華子の所に行き、耳打ちした。
「……さん、ブラジャーしてる……」
それに梨華子は頷き、
「……さんもだよ」
と亜矢子に小声で返した。梨華子が言った人は身長155cmでまだ伸び続けている梨華子よりも背が低く成長が小学生時代にほぼ終了してしまった背と同じ様に胸も殆んど無い、いわゆる貧乳な子だった。
その子がブラジャーを着けていたからである。

体育があるんだし着替えるときに分かるじゃん―――と思うかも知れない。
この学校には更衣室が無いため女子生徒はワイシャツの下に体操着を入れ、中から着てからワイシャツを脱ぐ、という技を持っていた。蛇足だが下はもっと簡単である。スカートはいたままスパッツを穿き、スカートを脱ぐだけである。
これが梨華子と亜矢子が今まで2ヶ月間気付かなかった理由その1。

体操着の色が濃い事。濃いとまず透けないため、その部分を触るないしは意識して見ないと意外に気付かない。更には天候の関係で気温が低く、ジャージを着ている事が多かった点。これが理由その2。

そして、そういう「あーっ、誰誰密かにブラしてるー」なんていう話をするタイプの人達のグループに属さなかった事―――。これが理由その3。
これらの理由が重なり梨華子と亜矢子が今まで気付かなかった理由であった。

梨華子と亜矢子はいつも通り途中の交差点までは仲の良いグループと一緒だったが、東町の交差点からは二人で帰った。
「え?梨華子も亜矢子も知らなかったの?」
とグループのリーダーで梨華子と亜矢子よりも背が高いクラスの委員長は言った。このグループは大だい的にはそういう事話さなかったが、暗黙の了解みたいな感じで知ってるかと思ってた。
「あなた達もあと半年もすれば着けるようになるから」
と笑った。勿論委員長は着けていた。5月からであるが―――。


梨華子は、
「私達は私達のペースでいいんだよ。きっと」
と言い、亜矢子は、
「そうだね。焦ることないし」
と返した。二人はニッコリと笑顔を見せた―――。


変化が来たのは3ヶ月後の9月中旬―――。まだ夏の暑さが残り文字通り残暑―――、アブラゼミの鳴き声はまだまだけたたましかった。
梨華子は亜矢子を呼んだ。亜矢子が来ると少し恥ずかしそうにして、
「見て。初ブラ」
と言って制服のワイシャツを肌に押し付けた。すると僅かにブラジャーの線が見えた。梨華子は亜矢子以外に気付かれるのが恥ずかしかったのか、まだ暑いのに我慢してブラジャーの上にTシャツを着てなるべく透けない様にしていた。
心持ち、梨華子の胸は初めてブラジャーを意識した時より大きくなっていた。
「亜矢子もそろそろいいと……思うよ」
梨華子は顔を赤くして言った。亜矢子は、
「う、うん。そうだね―――でもそれより」
と言ってから、
「おめでとう、梨華子」
と大人への階段を意識して登り始めた梨華子を称えた。


体育祭―――。梨華子と亜矢子は活躍した。梨華子は100m走と玉入れ、亜矢子はスゥエーデンリレーと二人とも自分達のクラス―――1組の点数アップに貢献した。
二人は成績が良く、その上おとなしくて目立たず、しかも運動部所属では無い為にクラスメートは兎も角、他のクラスの人にとってはダークフォースであった。


冬休み前―――。
亜矢子は梨華子を呼んだ。梨華子が亜矢子の元に行くと、亜矢子は梨華子をトイレに連れて行き、ブレザーとセーターを脱いだ。それからネクタイをずらし、ワイシャツのボタンを3つ外し、前を開けて見せた。
「私も―――着けたよ」
顔を赤くしながら言い、ボタンを直した。梨華子は、
「おめでとう、亜矢子」
と自分が掛けてもらった言葉を亜矢子に掛けてあげた。亜矢子は、
「ありがとう、梨華子」
と言い、脱いだ服を全て着ると二人は教室に戻った。


それから約10ヶ月後、二人が中2の時の体育祭―――。
もう二人はダークフォースでは無かった。しかし今度はクラスが違う為敵味方に別れて闘う事になった。
梨華子と亜矢子はお互いに成績でも運動でも対決してきた仲でもあった。しかし、お互いに実力は伯仲している為、リレーの様に自分の番に来る前に差がついていたら逆転はほぼ不可能だった。
その為、HRでどの種目に入るかを決めるのだが、二人ともサシで対戦できるものを希望した。
それが100mとクラス対抗リレーの1走だった―――。
スウェーデンリレーの1走でも良かったが、1走の距離が短すぎるので先の2つが無理だったらという条件だった。

その想いが実り対決した。100mでは亜矢子が勝ちクラス対抗リレーでは梨華子が勝った。
しかし、この日の対戦はこれだけでは無かったのである―――。
クラス対抗騎馬戦というのがあった。1年から3年までの1組が一つのチームといった具合だった。
梨華子の組、3組と亜矢子の組、4組が勝ち残り、決勝戦が行われた。しかし、制限時間一杯まで闘っても同数残り、決着が着かなかった。
そこで行われた大将戦が行われた。その大将の騎手になったのが―――梨華子と亜矢子だった。
梨華子と亜矢子は身長160cmを越えるやや大柄な体型であり、通常小柄な人が努める騎手には不向きだった。男子ならば平均より大きい人が騎手になっても、高校生にもなればその平均より大きな騎手を支えられるだけの相当な体力を持つ人がいる。そういう人が馬をやればいいが、女子でそういう人は稀だった。
しかし、短い時間で勝負が決まると踏んだのと、お互いに絶対に勝ちたいから騎手に強い人を選びたいというのがあった。ちなみに梨華子も亜矢子も平均より大柄だった為今までは馬だったが―――。

梨華子と亜矢子は馬の人や応援するクラスメートも驚く位の取っ組み合いをした。頭の鉢巻きを必死で守り、相手の腕を掴んで更に鉢巻きに手を伸ばす―――。
その凄まじい闘いにいつの間にやら静かになっていた。普段の仲の良さを知ってるだけに、まるで喧嘩そのものの様な闘いに息を飲むしか出来なかった。
結果は―――亜矢子のクラスの馬が力尽きて崩れた瞬間に梨華子が亜矢子の鉢巻きを奪って勝利した。鉢巻き奪うか馬を潰せば勝ちというルールで両方を成し遂げるという完全勝利だった。
後ろ手をついて起き上がろうとする亜矢子を梨華子は何も言わずに見下ろした―――。
敵味方ではなくなったその日の帰り道では梨華子と亜矢子はお互いの健闘を称え合った―――。


梨華子と亜矢子が再び同じクラスの2組になった中3の1学期終わり―――。一人の女子生徒が停学になった。担任の先生はその生徒の為に詳しい事情は伏せていたがクラスメートの大半は理由を知っていた。

不純異性交遊―――

様はその女子生徒は誰だか分からないけど男とsexしたということだ。そこまでは知らなくても、その女子生徒には彼氏が居るというレベルで知っていた人も含めればその中には梨華子と亜矢子も含まれた。更にその話を聞いた直後に保健の授業なんてあった日には性というものを意識せずにはいられなかった。
梨華子は初めて大人への階段を登る事、女の子ではなく女性である事を意識した時の事を思い出した。
「おめでとう、梨華子」
と亜矢子が初ブラジャーを祝ってくれた日―――。である。その頃―――、クラスでのブラジャー普及率が9割を越えた頃悪戯で他の子のブラジャーのホックを外して回る子がいた。彼女は軽量級ではあるが柔道部員であり、軽快さと素早さを活かして器用にホックを外していた。そして親しい人が相手だった時は態と男子に向かって
「誰誰ちゃんのホック外したよ〜」
とか言っていた。梨華子、そして後にブラジャーを着けた亜矢子もターゲットになったが、その子が近付いたら何とかかわしていたので被害には合わなかった。しかし、普及率が100パーセントになった頃には飽きたのか、それとも精神的に落ち着いてきたからなのか、それは分からないがその悪戯をしなくなっていた。その子を今更ながら思い出すと同時に梨華子は亜矢子のブラジャーのホックを自分の手で外してみたい、と思うようになった。
しかし、亜矢子には何と言えばいいのだろうかと悩んだ―――。

そんな想いは一時的な物であったかの様に暫くすると梨華子は忘れ去ってしまった。しかしある事―――普通の人なら何でもない誰もが経験するイベントが忘れかけていた記憶のスイッチを再び入れた。

中学最後の体育祭である―――。

梨華子は今度は味方となった亜矢子とは今度は同じ種目で戦い、クラスの点数アップに貢献したいと思った。
一年の時は違う種目でクラスに貢献し、二年の時は敵味方で同じ種目で闘って決着をつけた。だから三年では一緒に戦い、しかも手から手へとバトンを繋ぎたかった。その為二人はクラス対抗リレーとスウェーデンリレーの二つにエントリーして二つ共認められた。この二つは配点が高く、どのクラスも運動神経のいい人を並べてくるので異論は無かった。
そして全て決まった後、委員長は一年から三年まで全員でやる騎馬戦の説明に入った。
「今年も今までと同じで男女共鉢巻きを取るか馬を潰したら勝ちです。騎手を誰にするかは1〜3年の2組全員集まって決めます―――」
と言った―――。

去年の大将戦が特別なのであって体格的に自分も亜矢子も、もう騎手になる事なんてないだろうな……と思い、ボーッと話半分で聞いてたら、

騎馬戦―――を取る……

と聞こえた。その時たまたま前の方の席に座っていた亜矢子の背中が見え、薄い黄色のブラジャーが所々透けて見えていた。それを見て自分もそうだが、初めて着けて二年も経てば慣れもあるのか、色がついたり可愛いのを着ける様になってくるんだな、と思った。

そう―――。亜矢子と二人で去年鉢巻きを取り合ったようにブラジャーを取り合えば―――。と思った。問題はこんな嫌らしい遊びがしたいなんてどう亜矢子に伝えるかだが。
それにうまく伝えた所で亜矢子が引いてしまう、今までの友情が壊れてしまうかもしれないと思うと怖くて言えずに悶々としていた―――。


体育祭が終わって一週間―――。梨華子は一度嵌ったその気持から抜け出せず、身が入らない状態になっていた。
珍しく小テストで亜矢子には愚かクラスの上位1/3位の人よりも低い点数となってしまい、先生には、
「一気に落ちたぞ。気を抜くと竹田と同じ高校は入れなくなるから気を付けなさい」
と注意された。梨華子は、
「はい……気を付けます。頑張ります……」
と力無く答えた。
その日の帰り道、亜矢子は流石に心配になった。今までも梨華子が調子崩していたのには気付いていたが、梨華子は弱くないからきっと自分で解決すると思ったし、今までもそうだったので聞かなかった。
しかし、今回は不調な期間が長すぎた。最初のうちは今までの貯金があるからいきなり成績が落ちたりはしない。しかし、それが底をついたら一気に出る―――。今回の梨華子はそれだった。



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