2010.08.22.

セレブ欲情調教
24
影山有在義



■ 幻惑1

 11月に入り急に寒さを感じるようになってきた。
庭の木々も紅葉とまでは行かないものの色づき始めた。

部屋の中は床暖房が張り巡らされ寒さを覚えることはなかった。
しかし、外の風景をみているだけで、冷たい空気が身体の中に刺してきそうだった。

のり佳の生活は平穏を戻していた。
源蔵からはまったく何も反応がなかった。
あれから、約一ヶ月がたとうとしていた。
すべてが元に戻ったのだ。
のり佳は頭でそう理解しているのだが、なぜか不安な気持ちになるのであった。
義男があんな姿にされたのに何もしてやれない、そんな気持ちが働いているのだろう。
スポーツクラブもとても行く気になれなかった。

「どうしたのだね、最近元気がないじゃないか。何か悩み事でもあるのかね」
突然、後ろから夫の正樹に肩をたたかれてビクッと肩をあげた。
正樹は優しく笑っていた。
 まさかこの人は私があんな痴態を晒していたとは夢にも思ってないだろう。
夫の優しそうな笑顔を見ていると、急に悲しさと安堵感がやってきた。のり佳は涙を浮かべて、夫を見た。

「何かあったのかね?」
正樹はびっくりして心配そうにのり佳の顔を覗きこんだ。
そのとき初めて今日が日曜日であったことにのり佳は気がついた。

「何だか寂しくなっちゃって。でも、何でもないの」
「何か気晴らしにでも行ってきたらどうだね」
「そうね。でも今日は寒そうだし、家に居ることに致しますわ。そう、久しぶりに、お茶のお師匠さんをお呼びしてご教授いただこうかしら」
 のり佳は元気を取り戻した様に明るく答えた。

 一時期、茶の湯に熱心になったことがあった。
毎日のように通って来てもらったものだが、最近はすっかりご無沙汰であった。

たまたま今日の夕刻ならよろしいとの返事をもらい、到着を待つこととなった。
3時ころお師匠さんが見えられ、茶室にお通しした。

 特に名だたる先生ではないものの、その立ち居振舞いはまったく無駄な動きがなかった。
すべての動作に切れと区切りがあった。
さりげない動きにすべて意味がこめられているようだった。
久しぶりの茶の場に、のり佳は緊張を持って臨んでいた。

師匠のすばやく動く手元を見ていた。
「随分とご無沙汰いたしておりました。お元気そうでなによりでございます」
30歳を超えたぐらいの感じだが決して言葉がくだけることがなかった。
いつでも初対面からまったく変わらず、凛としていた。
のり佳はかすかに好意を抱いていた。

「本当にご無沙汰していました。何かと雑用にかまけまして。まったくもって不徳のなすところでございます」
「ますます、お綺麗になられましたようで」
 今まで、あまりその手のお世辞を使ったことのない人から面と向かって言われたことにのり佳は顔を赤くした。

「それでは」
すばやく茶を点てはじめた。
以外に大きな手だなぁ、とのり佳は見ていた。
先が大きく開いた茶せんですばやく茶を攪拌する。
その手元を見ていたとき、突然その手がどこかで見たことがあることに気がついた。
初めて源蔵の地下室に入ったとき、あの節くれだった大きな手がシェービングクリームを刷毛でといていたときだ。

 のり佳の脳裏がフラッシュバックを起こしていた。
ねっとりとした白いクリームをたっぷりと塗りつけた刷毛が乳首に迫ってくる。
ぬらぬらとした、生暖かな感触とざらざらした刷毛が、コリコリになった乳首を刷いてゆく。
のり佳は深いため息をついた。

無造作に鷲掴みにされ、指の間から飛び出した痛々しく硬くなった乳首にも刷毛があてられた。
クリームにまみれた乳房の小豆を節くれだった指がいいように、いじくりまわす。
のり佳は下唇を舐めた。

「奥様、いかがなされましたか?」
突然の声で薄く眠りから覚めかけた。
「大丈夫です」
焦点の定まらない眼で必死で茶の器を見ようとした。
茶せんが相変わらすばやい回転をみせている。

剥き出しにされたアヌス、刷毛の毛が刺さる感覚。
指で大きく広げられたバギナに、クリームを盛ってポッテリと膨らんだ刷毛が挿し込まれる。
攪拌するように中から躊躇なく、無慈悲にまわされる。
むちゃくちゃな振る舞いに、思いっきり淫らではしたない狂態のお返しをする。
後ろ手にされたまま、仰向けで、足を大きく開いて爪先立ちになって尻をふていた。

私の高貴な振る舞いに、折檻を加えるような激しい接合。
ねじ込まれていく肉棒。軋むひだ。容赦のない突き上げ。
いやがおうにも、湧き上がる淫汁、汗。
やがて感情さえも支配され、思ってもみない、痴態や言葉を発してしまう。

「奥様、どうされました!」
突然の声に目が覚まされた。
しばらく、周りを見回してい、やっと自体が飲み込め、あわてて襟をただし座りなおした。

使用人の誰かが、夫を呼びに行ったのか、慌てた様子で正樹が駆けつけた。
「大丈夫か、のり佳」
夫は驚いた様子でのぞきこんだ。
「はい、だいじょうぶです、あの、何か、急にぼおっとしちゃって」
しどろもどろに答えた。
「今日はこのまま、ゆっくり寝ていなさい。無理は禁物だぞ」

 のり佳は自分の寝室で寝かされた。
しかし、横になっても身体の火照りは消えることがなかった。
何とか別のことを考えようとすればするほど、淫らな想像が浮かんでくるのであった。

こんなことでは、いけない。夫との生活を大事にしなければ。
それにしても、この身体の火照りを静めなければいけない。
のり佳はベットを抜け出し、バスルームへと向かった。

バスルームでシャワーを浴びながら、のり佳の手は自らの乳房をさすっていた。

“そうだわ。ここではじめて源蔵に犯されたんだわ”

あの時は、ペニスの大きさに圧倒されこん棒を身体に突っ込まれたような感覚に失神してしまったが、今はあの巨根にすっかり馴染んでしまった。
いや、もしかしたら、病みつきになってしまっているのかもしれない。
のり佳は頭を激しく振ってその思いを否定した。

“そんなはずが、あるわけない!”

 だが、現に今まで感じたことのない肉欲にこうして、さいなまれている。

 ああぁ…

深いため息と共に手が胸にのびる。掌で乳首を転がす。すでに硬くコリコリになった小豆から、摘まれる感覚が体の奥を疼かせる。
シャワーヘッドから噴出する湯の糸達を胸にあてた。
湯の糸は、乳首を弾き、叩いてゆく。
のり佳のアップにした髪がほつれ、額に貼りつく。
うっすらと開いた口から舌がのぞいている。

次第に下半身に手がのびてゆく。慈しむようにヘアを撫でていた手は、少しづつ窺うようにバギナにむかっていった。
こわごわとバギナに掌を当てると、まるで別の生き物ののようにぬらぬらとしていた。
明らかにシャワーの水とは異なる液をはく軟体動物がそこにはいた。
掌がふれたとたん、その生き物が手に吸いついた。

 くぅっ!

 疼きが軟体動物からもたらされた。指全体でギュッと押すと熱いひだがまとわりついてくる。
かすかに曲げた中指がクレパスに入り込んだ。そのまま手前に引くと、小粒の核が爆ぜた。

 うぅん!

軟体動物が私を支配している。
自らの指によってもたらされた刺激にすっかり虜になり、中指がしきりに往復する。
何時の間にか片足をバスタブの淵にかけ、腰をつきだす。

源蔵がナマコのように大きなマラを自らしごいている姿が頭によぎる。
きっとあれで私を貫くに違いない。
あの薄汚い小男で、猿顔の源蔵が。あの大きな手で私を鷲掴みにして…。

 あっ、あうっ、あああっ

つい大きな声を出し、慌てる。でも、もう止められない。

源蔵のしごく手が早くなり、マラの瘤のひとつひとつがクッキリと大きくなる。
のり佳の中指と親指が淫核を摘む。
荒い息遣いがバスルームに広がる。

“あの瘤が!あの瘤付の肉こん棒が!クネリながらすごい早さで私を突き上げ、飛沫を上げさせるんだわ!”

耐えられなくなったのり佳は左の手の指を咥えて声を押し殺した。
右手のシャワーをバギナに当てた。

シャワーの糸が力強くあたる。
一本、一本がバギナのひだを、淫核を次ぎから次ぎえと打ちぬく。
咥えた指に舌が這いずりまわっている。
腰が前後にゆられている。
とろんとした顔で、咥えていた指をバギナに滑らした。
シャワーを当てたまま、バギナを中指と人差し指で大きく開いた。
開いた口から舌がしきりに唇をなめている。体を反らし、激しく腰をふっていた。

 その日の夜、夕食の後のり佳は久しぶりに夫の寝室に行くことをねだった。
「今夜、可愛がってくださりませんか」
 正樹は少し驚いた様子だった。
「今日は休んだほうがいいのではないか。それにしても、お前から誘ってくるなんてめずらしいな。はじめてじゃないか」
おどける夫の言葉に、のり佳は赤らんだ。
確かに夜の営みは、すべて夫から誘われた時に行われていた。
その事に詮索がいくことを恐れて、慌ててのり佳は言った。
「ゆっくり休んだせいかしら、あなたが恋しくなってしまったのでしょうか」
「あとで、私の寝室にいらっしゃい」

 夫には特に何も気づかれづに、その場をやり過ごすことができて、のり佳はホッとした。
 バスルームで自らを慰めようとしたが、逆効果となってしまった。
逆に火のついた体を鎮めてくれるのは、もう生身の肉棒だけだ。

 屋敷の使用人達が各々の部屋に戻り、静かになったのを見計らってのり佳は、夫の寝室へと向かった。
久しぶりの夫とのセックスだが、のり佳の気持ちは切羽詰ったような感じだった。
とにかく早く、この重たい欲望を払拭してほしかった。
できるだけ、激しく抱いてほしい。

のり佳は部屋に入って、ドアを閉めるのももどかしく、夫に抱きついた。
「ばかに急いでいるじゃないか」
正樹はにこやかに迎えた。
だが、のり佳はそんなことが、まったく聞こえていないように、夫の唇に貪りついた。

舌と舌が絡む、ねちゃねちゃとした粘膜質の音が部屋に響いた。
のり佳はそのまま、夫とベットに倒れ込んだ。
着ていたスエットを引き千切るように脱ぎ捨て、夫に襲い掛かった。

「どうしたというのかね、今日は。明かり位、消しなさい」
正樹が部屋の明かりを落とし、サイドボードのランプを灯した。
その間ものり佳は夫のガウンとパジャマを剥ぐように脱がせた。
 のり佳の矢継ぎ早の催促に正樹も興奮を覚えた。

正樹の上で唇を貪るのり佳を組し抱き、愛撫を加えようとした。
その時、のり佳の手が下から正樹のペニスを掴み、しごきはじめた。
 こんな妻をみるのははじめてであった。
妻とのセックスは常に正樹がリードし、妻が主導権をとることなど今まで一度も無かった。

“一体どうしたことだろう”



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