2005.04.28.

オモテウラ
01
アサト



■ オモテウラ

 金曜の気だるい午後。あと数時間の仕事の時間を終えれば、待ちに待った休日である。だが、そんな少し平和な空気を切り裂いたのは、女の怒鳴り声だった。
「ちょっと、またなの!? 佐藤君!! 一体何度同じことを注意すれば分かるの?!」
「……申し訳ありません。」
 主任の森下美弥子に怒鳴られ、佐藤祥平は俯いたまま肩を落としていた。同じ年に入社したというのに、美弥子は主任、祥平はまだ平社員である。そして、事あるごとに怒鳴られる毎日なのだ。
「ほら、こことここ。ちゃんと読み返したの!? 文法がおかしいっていうことぐらい読めばすぐに分かるでしょ!?」
「すみません……」

 同僚達は遠巻きに祥平を見つめて、ひそひそと何かを言い合っているだけで、美弥子をなだめようともしない。皆、自分の身が可愛いのだ。
「主任、けっこう俺たちにもキツイけどさぁ、佐藤にはそれ以上にキツイよな……」
「そうそう。何か恨みでもあるのかしら……」
「ちょっとでも誤字脱字があるだけで、あんなに怒られなきゃいけないなんて……佐藤君、可哀想……」
「だから、26にもなって、処女だって噂が流れるんだよな、主任……」
「だって、普通に考えて嫌だろ? あんなにキツイ女……」
「あぁ……」

「早急に手直しをして、再提出します。」
「今日中よ。分かってるわね?」
 不機嫌そうに祥平を睨みつけて、美弥子は自分のパソコンに向かった。ひそひそと話していた同僚達も、慌てて仕事に戻った。
「佐藤、ドンマイ」
「あぁ、ありがと」
 祥平は隣の席の同僚に微笑みかけると、パソコンに向かい、美弥子に指摘された箇所を素早く直し始めた。同僚はその様子を見て安心したのか、再び自分の作業を始めた。
 美弥子はパソコンに新着メールが一通あるのに気づいた。それを開こうとして、ふと手が止まった。
(そっか……もう、金曜日なのね……)
ここの所忙しくて、曜日感覚が薄れて来ていた。美弥子は先程までの不機嫌な表情が嘘の様に嬉しそうに微笑むと、そのメールを開封した。

FROM:SS
  今夜、僕の部屋で会いましょう。

 一行だけのそのメールに、美弥子の体温が上がった。頬が赤くなっていないか気にしつつ、美弥子はメールのウインドウを閉じた。

 定時に仕事を終えた美弥子は自宅には戻らず、彼の部屋へと向かった。合鍵で鍵を開けると、部屋の中は真っ暗だった。明かりを点けて、部屋の奥に向かうと、テーブルの上に一枚のメモが置かれていた。

 シャワーを浴びて、待ってて。すぐに帰るから。

 美弥子は嬉しそうに微笑むと、すぐにバスルームへ向かった。
 普段は髪をきっちりとアップにまとめていて、伊達眼鏡をかけているために年齢より幾分老けて見えるが、髪を下ろし、眼鏡を外したその顔は、大学生といってもいいほどあどけなさが残っていて、美しかった。そして、適度に脂肪の蓄えられた、丸みを帯びた身体は、グラビアのモデルのようにスタイルが良かった。もし、芸術家が彼女のこの姿を見ていたのなら、間違いなく作品として残しているであろう。
 美弥子は少し熱めのシャワーを浴び始めた。仕事ができる女を装ったメイクをしっかりと落として、ワックスで固めていた髪もしっかりと洗い流した。
 身体を洗おうとした時、背後でバスルームのドアが開いた。
「ただいま、美弥子。」
 筋肉質な男の腕が、背後から美弥子を抱きすくめた。美弥子は嬉しそうに微笑んで、男の手の甲に唇を落とした。
「お帰りなさい。祥平……」
 美弥子を抱きすくめていたのは、祥平だった。
「今週も……よくもあんなにキツく当たってくれたね……」
 低く、少しドスの効いた声で、祥平は囁いた。そして、美弥子の形のいい豊満な胸を揉みしだいた。
「あっ……待って……まだ、身体洗ってない……」
「まだ洗えてないの? 相変わらず、のろまだね……」
「ごめんなさい……」
「仕方がないから、僕が洗ってあげるよ……」
 祥平はそう言うと、ボディソープを手の平に取り、美弥子の身体に塗りたくり始めた。
「あんっ……やぁ……っ!! そこは……」
「ほら、綺麗にしないと……」
 祥平は美弥子の胸を揉みながら、ボディソープを泡立てた。ヌルヌルとした感触が、徐々に、胸から腹部、下腹部を伝って秘所へと降りてきた。
「あれ……? ここ、もうヌルヌルしてる……石鹸じゃないよね?」
「や……そんな事言わないで……っ……」
 頬を赤らめて首を横に振る美弥子の耳朶に噛み付きながら、祥平は指をさらに奥へと這わせた。濡れた音をわざと立てて、美弥子の羞恥心を煽る。
「祥……やだ……あぅ……っ!!!」
 美弥子の膝が、カタカタと震え始めた。祥平はそれを見て満足げに微笑むと、貪るように美弥子の唇を奪った。
 唇を吸い、舌を絡ませて、相手に呼吸をする暇すら与えないような激しいキスだ。
「んぅ、ふ……っ……」
 唇の間から、甘い吐息が漏れる。唇を離すと、唾液が未練がましく糸を引く……
「どうして欲しい?」
「祥平の……入れてほしい……」
 耳まで真っ赤になりながら、美弥子はそこまで言うと俯いてしまった。その様子を見て、祥平は意地悪く微笑んだ。
「僕の、何をどこに入れて欲しいの?ちゃんといわなきゃ分からないよ……」
言いながら、祥平は美弥子を抱きすくめた。美弥子の腰に、硬くなった祥平のモノが押し付けられた。熱くなり、激しく脈打っているのが伝わってくる。
「しょ……祥平の、ぉ…………を、私の…………に……」
「こいつを入れて欲しいんだ。」
 祥平は自身を美弥子のアナルにあてがった。
「やっ……そっちじゃない……っ!!」
 慌てて否定したが、既に遅かった。泡がしっかりと塗りつけられたそれは、ゆっくりと美弥子のアナルへ埋められていた。
「ひぃ……っ、ぃ、いやぁああっ!!」
「嫌? こんなに締め付けてきてるのに?」
「あぅっ……あぁっ!!」
 祥平が腰を振る度に美弥子は喘いだ。そして、いつの間にか自分から腰を振っていた。その度に美弥子の胸は大きく揺れていた。
「あぁんっ……祥ぅ……っ!! だめぇっ……」
「何が、ダメなの? 自分から、腰振ってるくせに。」
 ぱん、ぱんと、肉を打つ音がバスルームにいやらしく響いていた。美弥子の耳にそれが届くたびに、羞恥心が煽られるということを、祥平は知っていた。
「やだぁ……そんな事……言わないで……っ……」
 瞳を潤ませて、美弥子は首を横に振る。だが、腰を振るのをやめようとはしなかった。
「淫乱……」
 耳元で囁かれて、美弥子はついに涙を流し始めた。
「そんなっ……そんな事、言わないで……っ……」
「どうして? 本当のことなのに……」
「ち、違う……」
「違う? 本当なら、こういう使い方しないとこに突っ込まれて、口半開きで喘ぎながら、悦んで腰振ってる女のどこが淫乱じゃないって……?」
 祥平は、美弥子の奥深くまで突きたてて一気に引き抜くというのを繰り返した。その度に美弥子は悲鳴に近い声を上げていたが、悦んでいた。
「わ、私……っ……もうっ……イッ、ちゃぅ……あ、あぁああああああっ!!!!!」
 身体を仰け反らせて、祥平をきつく締め上げてくる美弥子に、祥平は恍惚とした表情を浮かべた。そして、息を詰まらせながら美弥子の中に精液を注ぎこんだ。
「く……っ、はぁ……」
「あぁ……あ……」
 祥平から解放された美弥子は、壁に寄りかかり、力なくうずくまった。祥平はシャワーで自分の身体と美弥子の身体を流すと、ぐったりとした美弥子を抱きしめた。
「これで、終わりだと思わないでよ? まだ、休日は始まったばかりなんだからさ……」
「うん……」
 祥平は美弥子を抱き上げると、その頬に優しく口付けをした。
「一週間、僕を会社でいじめた分、たっぷりと可愛がってあげるからね……」

 まだ、金曜の午後6時……まだまだ休日は長いのだ……

<終>



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