■ 02
気が付いたとき彩夏は、ここがどこなのかも、自分がどうしてここにいるのかわからなかった。記憶がなかった。ただ、とてつもなくそこは暗い。明かりは外灯がひとつあるだけ。
(暗い……ここはどこ? 私、どうしてここにいるんだろう。)
辺りを見渡す。どうやらここは公園内のようだ。そしてそこには見知らぬ男がいる。
「やぁ、気が付いたかい? 彩夏ちゃん」
(そうだ、私…………)
記憶がよみがえる。そして恐怖が彩夏を襲う。
「近寄らないで。大声出すわよ」
そうお決まりのせりふを言う。しかし男は、
「どうぞご自由に。こんなとこ、人なんか通りゃしないよ。それに、おとなしくしていたほうが身のためだよ、彩夏ちゃん。」
そういうと、男はポケットの中から、「何か」を取り出す。
その「何か」に、彩夏は身をこわばらせる。暗い闇の中、外灯の光でキラリ、と怪しく光る。泣きそうになる。どうしてこんな目に遭うのだろうか。やっぱり、遠回りをしてでもいつもの道で帰ればよかったと、いまさらになって後悔する。
男はニヤニヤしながら彩夏をなめるように見ている。暗くて顔はよくはわからないが、若そうである。二十代、もしかすると十代かもしれない。彩夏にはそう見えた。
彩夏も中学生。性への好奇心がもっとも強い時期だ。これから何をされるかは大体予想が付く。こんなところで、見知らぬ男に自分の大切な処女が奪われるなんて……。
彩夏には同じクラスに好きな人がいた。家が近くて、小学校から同じ、いわする幼馴染。野球部に入っていて、名前は光一という。口数は少なく、教室でいつも難しそうな本ばかり読んでいて、近づきがたい印象を与える。だが本当はけっこうおしゃべりで、優しくて、センチメンタルで…………。教室では、もう長いこと会話していないが、家に帰った後などによく話をする。彩夏がこの世で一番信頼していて、この世で一番愛している人だった。そんな光一に自分の処女を受け取って欲しい、そう彩夏は思っていた。そんな大切なものを、どうしてこんな奴に……どうして…………助けてよ、光一。
男の手が彩夏の胸に触れる。自分以外、誰にも触られたことのない胸が、いままさに、触れられている。初めての感覚。しかもその手は見知らぬ者。
「イヤッ」
彩夏は小さな声で抵抗する。大声を出したい所だが、さっき見せられた刃物のせいで彩夏は声を出せないでいた。
見知らぬ男は彩夏の乳房を遠慮なくグリグリ揉みしだく。
「いっ……!」
胸に痛みが走る。
「いっ、痛い。お願い……お願いだから許して…………」
「痛いのかい、彩夏ちゃん? 大きいのに感度がいいねぇ」
男はそういいつつも、遠慮なく胸を揉む。
「それにしても彩夏ちゃんはおかしなこと言うねぇ。僕がいけないレイプという犯罪行為をしようとしているだけで、君は何にも悪くないのに」
そして、
ビリ、ビリビリビリ。
男は彩夏のブラウスを引き裂く。
「イヤー!!!」
「うるせー!」
男はそう言うと同時に彩夏の頬をはたく。そして、パン、という乾いた音が当たりに響く。
「静かにしろ。抵抗しなきゃブチ込むだけで殺さないでやるよ。」
彩夏はその言葉にただうなずくだけしなできなかった。
(誰か助けて。お願いだから誰か助けて…………光一)
男が彩夏のブラジャーを刃物で引き裂く。ついに、ついに見られてしまった。彩夏の顔がみるみる赤くなっていく。頭の中が恐怖と羞恥心でいっぱいになる。
「へへっ、いい胸してんじゃねーか。」
そういって、男はまた揉み始める。
「ぃ、いやぁ…………」
彩夏はか細い声で抵抗する。しかしその声がさらに男を興奮させた。そして、彩夏の乳房に噛み付くようにむしゃぶりついた。
「ひっ!!!」
揉まれるのとは違う、新たな感覚に彩夏は困惑する。彩夏の全身が強張る。男は舌で、彩夏の乳首を転がすように舐めまわす。それと同時にゾクゾクとした感覚が彩夏の全身を駆け巡る。そして股間が熱くなるを感じた。
「イヤ、お願いだからもう」
そういうと同時に、男がいっそう強く吸う。
「いっ、イヤー!!!」
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