■ 01
■バレンタインデー
「ユウタ、ちょっといい?」
今日はバレンタインデー。女が男にチョコに気持ちを乗せて告白する年に一度のビックイベント。
「はい、これ。」
この娘はミカ。けっこうかわいくてクラスでも人気が高いんだけど男勝りでいつも男を追っかけまわすような性格だった。
「へぇ〜、ミカでも義理チョコとかくれるんだ〜。」
ミカの顔がなんだか赤い。でも僕は気づかずに話を進めた。
「やったね、これで5個目。でもこれが一番大きいな。けっこう高かったんじゃない?」
「あのね……それ本命なの。」
「えっ??????」
■付き合い始めて
そんなわけで、僕たちは付き合い始めた。男勝りと思っていた性格だったが、付き合ってみるとけっこう女の子っぽいところがあった。学校のみんなの前では見せないその女の子っぽさがすごくかわいかった。
僕たちは小学生だったから放課後は毎日いっしょにデートをした。いや、遊んだというほうが正しいかもしれない。
僕もミカも映画を見るのが好きだった。週末はよく映画館に行った。一ヶ月が過ぎた頃、映画を見たあとに公園で話をしていた。
「あぁ〜、すっごくいいはなしだったね。」
映画の最中、ミカは泣きっぱなしだった。かなり涙もろいんだ。
「うん、そうだね。」
「わたしたちもああいうふうになりたいね」
そう言ったミカの顔がすごくかわいかった。僕はミカにキスをした。なんて柔らかい唇だろう。ファーストキスだ。
「エヘヘ」
ミカはキスが終わるとうれしそうに、そして恥ずかしそうに微笑んだ。
僕はずっとミカといっしょにいたいと思った。
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