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ぶっ! 私はアイスコーヒーを吹きそうになっていた。もし私が高校生なら、想像だけで鼻血を出していたかも知れない。しかしこんな事を平然と話す彼女は、私のような中年には理解の及ばない「新人類」というやつなのだろうか。私はもう根掘り葉掘り質問して、彼女にエロオヤジと見られてしまうのを避けるなんて、不自然な事はやめにした。官能小説について面接してるんだから、そんな遠慮は無用ではないか。
「あの、ケーキでも食べますか?
もう少しお話を聞かせて頂きたいので。」
すると彼女は、そんな、とんでもありません、と礼儀正しく断ろうとしたので、私は自分にもケーキとなくなってしまったアイスコーヒーを追加注文し、彼女の分も強引に注文してしまった。
「あ、あの、このお勘定は、私の方が払いますので。」
彼女はとても恐縮して見せながら、そんな殊勝な事を言う。全くどこまで礼儀正しいしっかりした子なのだろう。本当にこの子が、チカンに尻穴とクリちゃんをイジられて潮を吹きパンツをベチョベチョにしてしまったという体験の持ち主なのだろうか?
「勘定の支払いなんか気にしないで下さい。
あなたは実に興味深い体験をお持ちのようだ……
これは、ひょっとするといけるかも知れませんよ。」
「ありがとうございます!
あの、実は1つだけ大きなウソがあるんですけど……」
「ほう、それは何ですか?」
「私この時急いで電車に乗ったんで、トイレがヤバい状態だったんです。
だから、潮を吹いたなんて事はなくてただおしっこを洩らしちゃっただけで……」
「いやいや科学的には潮吹きってのはおしっこも含まれてるみたいですよ。
それに男性にとってはおしっこしてくれるのも興奮しますから。」
「そうですか。
それなら良かったです。」
そんなにニッコリと笑われると、今話してる内容とのギャップがあり過ぎるように感じてしまう。しかしこれは仕事の話なのだから、これで良いのかも知れない。私は彼女が遠慮してしまうので、自分のケーキを口に運びながら話を続けた。
「他に違う所はありませんか?
違ってても悪くはありませんから、正直におっしゃって下さい。」
これはもう仕事を離れ、私個人の男性としての好奇心を満たすだけの質問になっていた。しかし彼女は、やはり遠慮がちにケーキを口に運びつつ、ハキハキと答えてくれた。
「そう言えば、スカートの下にじかにパンツと言う事はありませんでした。
普段はやはり、こういう物を……」
「あ、いえ、別に今ここで見せて下さらないでも結構です!」
彼女がケーキを食べる手を休めて、長いスカートをめくって下に黒いパンチラ防止の衣類をはいているのを見せて来たので、私は慌ててしまった。彼女は天然なのだろうか、わざとなのだろうか、男心をくすぐってカッカさせる少女のようだ。パンツはどんなのはいてましたか、と聞けば見せてくれそうだったが、さすがに店の人もいる事だしそれは言えなかった。
「あの、ですから、やっぱり潮を吹くほど気持ち良くはなかったです、ホントは。」
「まあ、チカンものに、そういう下穿きは大いに興ざめですからね。
書かれないでもいいでしょう。」
「気持ち良い、と言うより、気持ち悪い、とかくすぐったい、とか言うのが正直な気持ちでした。」
「そうでしょう。」
正直興ざめな話だったが、それが実際だろう。チカンの指に感じてしまって、と言うのは良くある官能小説の定番だが、現実にある事とは思えない。だから皆フィクションで楽しむのだ。
「でも、これをずらされて、パンツの上からと直接タッチされたのは、すごく良かったです、マジで。」
彼女は「マジで」などという蓮っ葉な言葉を使っちゃってごめんなさい、とでも言いたそうにペロッと舌を見せて笑った。ううむ、どこまで信じていいのだろうか? 私はだんだん彼女に翻弄されて虚実の区別が付かないような危険な判断力の状態になって来るのを感じていた。
「あのチカンのおじさんの凄い所は、お尻の穴の触り方でした。
私、アナルがあんなに気持ちいいとは知りませんでしたから。」
「アナルの事を描写するのはいいですね。
読者にも一番ウケるのはアナルですから。」
「それは良かったです。」
私はズボンの前で治まりが付かなくなっているペニスに加え、お尻の穴までムズムズするのを感じてしまった。
「ところで、この後話はどうなるんですか?」
時間がないと思い、途中まで読んで話していた私は、好奇心が抑え切れずにそう聞いてみた。
「ええと、男性視点の小説の方は、この後チカンの指でメロメロにされてしまった彼女は、チカンと一緒に次の駅で下車して誘われるままにトイレでしちゃうんです。
あ、いえ、おしっこだけではありません。」
私は思わず吹き出しそうになった。そこで2人で小便をする、というオチではシュール過ぎてウケないだろう。
「あの、チカンさんにおしっこする所を見られた後で、後始末をチカンさんのお口でされちゃうんです。
そしてイカされて興奮しちゃった彼女は、チカンさんのおちんちんをお口でしてあげて、ごっくんしちゃいます。
それでもまだまだ元気なチカンさんと彼女は、トイレでめでたく合体、という話でして。」
「定番通りですが、なかなかいいですね。」
「ありがとうございます!
でもこれは完全にフィクションです。」
「それは、そうでしょう。」
私は何となくちょっとガッカリしてしまった自分を、しょうがないヤツと自虐したい気分だった。「事実は小説よりも奇なり」と言っても、そんなオイシイ展開が実話だったら世の官能小説家は失業してしまう。
「女性視点の方は、ほぼ実話通り再現しました。」
私はついゴクリと喉を鳴らす分かり易い反応をしてしまった。娘のような高校生に欲情してしまって情けないとは思うが、男の本能は抑え難い。
「チカンのおじさんの手を掴んで次の駅で降りました。
そしたらおじさんが青くなって泣きながら土下座して謝るんです。
みっともないので、トイレに行っておじさんの話を聞きました。
私と同じくらいの高校生の娘がいるんだそうです。
でも、家では奥さんと娘さんにイジめられてて、もう半年くらい普通に口も利いてくれないそうです。
それにカラダ中があざやら切り傷だらけでした。
もしチカンがバレたら本当に殺される、って言ってました。
私はかわいそうになったんで、チカンのおじさんとトイレでしちゃうんです。
あ、いえ、おしっこだけじゃありませんよ。」
「……それで、最後はさっきと同じですか。」
私の声は情けないくらい慄えていた。
「はい、そうです。
あ、最後におじさんにお小遣い2千円あげちゃいました。
無一文だそうなので。」
「……今日はどうも原稿を見せて頂き、貴重なお話までお伺いしましてありがとうございました。」
「あ、あの……
もっと詳しくお話させて頂けませんか。
場所でも変えて。」
何か思い切ったかのような口調で、彼女は私にそう持ち掛けて来た。たぶん(覚悟は出来てます)という意思表示なのだろうか。彼女は何とスカートの下の黒いスパッツをその場で脱ぎ、原稿と一緒にこれもお預けします、と私に手渡し、長いスカートをくるくると丸めてイマドキの女子高生らしい超ミニにしてみせた。が、私の股間は爆発しそうでも理性は崩壊しなかった。頭に浮かんだのは、ちょっとトロいわが娘の顔である。
「あなた、高校生ですよね。」
「あ、それまずかったですか?
現役高校生で売り出してくれるんじゃ?」
「私の娘も高校生なんですよ!
官能小説って18禁なんですから、無理な事はわかるでしょ!」
そうだ。始めからそう言って断らねばならなかったのだ。私はつい男としての好奇心から、彼女に気を持たせるような面接までしてしまった事を後悔していた。すると彼女は急に笑い出した。
「なーんだ。
大丈夫です、私ホントは23ですから。
高校はもうとうに卒業しました。」
「ウソを付いてたのか?」
「ごめんなさい。
でも高校生の方がおじさんにウケルかな、と思って……」
こいつの話はどこまで信用出来るのだろうか? 今度こそ本当の事を言ってるようにも思われたが、私の決断は変わらなかった。
「残念ですが、今回はちょっと無理です。
又新作が出来ましたら、持って来てください。」
「じゃ、原稿とスパッツ返して下さい!」
まだ彼女の言葉は丁寧だったが、明らかに怒っているようだった。
「いえ、応募された原稿類は原則としてお返ししませんので。」
「このエロオヤジ!」
彼女がぷんぷんしながらバッと立ち上がり、去って行く時超ミニスカがめくれて白いものがチラッと見えた。私は彼女の2作品の原稿と、年齢詐称された顔写真付きの履歴書、そしてなぜか彼女が置いていく事になったスパッツを手に、当分オナニーのネタには事欠かないかな、と思ったが、実に複雑な心境だった。だって家の娘に欲情してしまいそうではないか。しかしこれからどう足掻いても欲情しそうにないツマの顔を一緒に思い浮かべて、男ってどうしようもない動物だな〜と、我ながら実感していたのである。
〜おしまい〜
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