2009.05.03.

虜〜露出に目覚める女たち〜
01
パーラメント



■ プロローグ

ここは、とある県立高校。平凡なこの高校に通う少年少女たちが、この物語の主人公になる。

「おはよー」

「愛原先輩、おはようございます」

時間は朝8時を少しまわったくらい。運動部の掛け声が響く中、一人の女子生徒が校門をくぐる。
名前は、愛原美香。この高校に通う2年生だ。抑えめの茶髪に薄化粧で整えた、大人っぽい顔立ち。白のカーディガンを羽織り、指定の赤チェックのスカートは膝上あたりの長さ。一見すれば、モデルや芸能人と勘違いしてしまうくらい美しい容貌の持ち主だ。
校門を過ぎ校舎に入るまでに何人もの生徒に声をかけられる。先輩後輩問わず、誰からにも声をかけられ、それに笑顔で答える彼女。
彼女の人気の秘密、それは生徒会での活動にあった。入学早々、自ら学級委員を志願し、クラスの問題に真剣に取り組んできた。
この学校では、生徒会や先生から提案される議題を各クラスの学級委員を交えて審議するというシステムをとっており、このため普段は意見の言えない生徒からも声を聞こうというのが目的だ。
この議会で残した、彼女の功績が人気の秘密であった。
数年前から生徒・教員間で意見が平行線をたどっていた議題を難なく解消した他、要望の強かった髪色の自由化も制限付きという形で、あっという間に可決してしまった。周りの支持なども後押しして、実質的に生徒会長以上の人気と権限を持っている人物なのだ。

「美香、おはよー」

「里奈ちゃん、おはよー」

教室に着くと、既に教室にいた一番仲良しの庄司里奈に迎えられる。
里奈とは高校での出会いだが、すぐに意気投合し今に至る。

「美香〜、古文の課題できた?」

「うん。授業ちゃんと聞いてれば簡単だぞ〜」

課題を見せ合ったり、昨日見たテレビの話をしたり…。カリスマと謳われている美香も、普段は普通の女の子なのだ。

そんな美香を、教室の隅の席から観察している男が一人。



“あぁ、美香ちゃん。今日も可愛いな”

教科書を読むフリをしながら美香を眺める男。彼がもう一人の主人公、宮前翔太だ。性格は温厚で、勉強も出来ないほうではないが、趣味がアニメ鑑賞とゲームという、いわゆるアキバ系なのだ。
ややぽっちゃりした体系にメガネ、携帯の待ち受けやストラップは大好きなアニメキャラで統一しているという凝りようだ。
別段、それでいじめに遭ったりしているわけでもなく、むしろ典型的アキバ系だというのをウリに周囲から面白がられ受け入れられている。

“今日の美香ちゃん。何色なのかな?”

この年頃の男子なら、クラスの可愛い女子に性的な目を向けるのは仕方のないことだ。翔太も、3次元の女性にはちゃんと興味が向くのだが、愛原美香に対するそれは度を越えたものがあった。

“昨日は確か…ピンクだったよな。カーディガン着てなかったからすぐ分かったよ。あんなに胸パンパンにしてたら、色透けてるしボタンとボタンの間から見えるんだよね…”

彼の観察力・執着心は常人の理解を越えるほどで、その日の下着の色を盗み見てチェックしたり、こっそり携帯のカメラで隠し撮りしたりと、一般的にストーカーと呼ばれる行為にまで及んでいた。とは言っても、自宅までついて行ったりすることはなく、校内限定でそれまがいの行為をする程度だ。

そんな行為をしながらも、美香に対してはちゃんとした好意を持っていることを付け加えておく。愛情表現がうまく出来ないだけで、好きという気持ちは人並みにあるのだ。

ぼんやり美香を眺めていた翔太が、急に教科書を閉じて美香を凝視する。教室の真ん中あたりの席で話をしていた美香がカーディガンを脱ぎはじめたのだ。

“今日は、今日は何色だろ…”

暑いよねー、なんて話をしながらカーディガンを脱いだ美香。その背中を穴が開くほど鋭く見る翔太。

“今日は黒かぁ。肩紐が透けてるぞ♪”

心の中で美香をからかうような台詞を吐く。しかし、彼にはもう一つ確かめなければいけないことがあった。

“黒ってことは…。今日はどっちかな?”

なんと、美香が黒い下着を2着持っていることまで調べあげていたのだ。そのどちらを着けているのかを見るまでは納得しないといった感じだ。何とか怪しまれずに確認しようとしていると、思わぬチャンスが訪れた。

「あ、宮前君、この前借りてた参考書返すね〜」

なんと、美香から話し掛けてきたのだ。こちらへ歩いてくるときも、美香の身体から視線を外さずに凝視したおかげで、美香が自分のところに来るまでに目的が達成できた。

「あぁ、ありがと。貸してたの忘れてたよ」

「少し長い間借りちゃったかな。迷惑だった?」

「ん〜ん、全然平気だったよ。また必要だったら言ってね」

ありがと、と一言言ってその場を離れる美香。その背中をいつまでも見つめる翔太の頭の中は、美香の着けている下着のことでいっぱいになっていた。

“水玉だった! でも、前までの白の水玉じゃなかったな。新しく買ったのか”

色々と思いを巡らせているうちに、ホームルームの時間となる。



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