2005.02.19.

夢の跡
01
しろくま



■ 春の夜の悪夢1

私の名前は岩瀬琴美、今親友の美香と共に学校の屋上に来ています。
・・・これから彼女と一緒に、ここから飛び降りて自らの命を絶とうと思っています。
犯罪って、意外と自分の身近に存在しているモノの様です。ニュース等でよく耳にする事件、まさかそんな事件に自分達が巻き込まれるのだなんて、今まで思ってもいませんでした。
現実って、本当に厳しいんですね・・・
・・・数日前、私は夢を見ました。とても嫌な夢、最低の悪夢でした。でも所詮夢は夢、目覚めさえすれば必ず元通りの現実が訪れる。少なくとも私はそう思い込んでいました。
今思えば、私の人生はあの夢を見た時点で狂ってしまったのでしょう。
嫌な夢を見せられたからといって自暴自棄にならず、あの夢が何を意味していたのかもっと深刻に受け止めるべきでした。
何故私達なの?・・・そう何度も悩みました。あんな夢さえ見なければ私は・・・
いいえ、全てを夢の責任にしても仕方がありませんね。きっと、これが私の運命だったのでしょう。あの夢を見たことも含めて、全て・・・
しかしもう手遅れですね。・・・もう、これ以上我慢することは出来ません。
ママ、パパ、そして美香、ごめんなさい。・・・さようなら。
その後2人は飛び降りて自殺した・・・

数日前・・・
琴美「え?・・・うんうん、そうねぇ。」
彼女の名前は岩瀬琴美、12歳。
琴美「大丈夫よぉ、私と一緒じゃない。それに他の人達も結構まともそうだし・・・うん。そうだねぇ。じゃ、明日の朝8時15分にあたしん家まで来てね?・・・うん、それじゃぁまた明日ね? ええ、おやすみなさ〜い!」
明日からは中学校の授業が始まる。不安も多かったが親友の美香も同じクラスだったため、多少は落ち着いているらしい。
琴美「えっと、数、国、英、社、体、と・・・よしOKぇ!」
明日の準備を整え電気を消した。
琴美(もう、美香は心配性なんだから。さ、私も寝なきゃ・・・)
そして琴美は眠布団に入った。
・・・しかし妙に寝苦しい。  
琴美(何だろ・・・まぁ、いっか・・・)
しかしその時は気にもせず眠りについた。これから永い夜が続くとも知らずに・・・



琴美「・・・ぅん・・・あぁ! もうこんな時間!?」
何故か夜が奇妙な程に短く感じた。
彼女が目を覚ました時、時計は既に8時を示している。一刻も早く出発しなければ遅刻してしまう。
琴美「ちょっとママぁ! 何で起こしてくれなかったの!? これじゃ初日っから・・・遅刻しちゃうじゃない!」
母親の責任ではないのだがついつい当たってしまう。しかしこれはいつも通りの軽いノリ、母親も冗談混じりで答えるのが日課となっている。
琴美の母「・・・ん? あぁ、あなたももう中学生なんだから、学校に行ってちゃんと大人になってきなさい。きちんと先生に指導して貰うのよ?」
琴美「???・・・何ぃ、それ。急に真面目になっちゃってさぁ。はいはい、しっかりとお勉強してきますよぉ〜だ。・・・おっと、急がなきゃ!」
そして琴美は慌てて朝食を済ませ、急いで支度を整えて学校に向かった。
琴美の母「そう・・・しっかりと、ね・・・」

琴美「美香、おはよ〜!・・・ふぅ、ヤバかったぁ、今日は目が覚めたの8時よ? 8時。ホント、危ないったらありゃしないわ。私ったら、そんなに熟睡してたのかしら?」
初日からの遅刻はなんとか免れたようだ。しかし琴美が到着した時にはもうクラスの殆どの生徒が席に着いていた。
皆緊張しているのであろう、話しをしている者は多くない。
因みにこの学校では同じクラスに友人を持つ人間は少ない。何故ならここは進学校、それも私立で一流の名門校である。県外から来ている生徒も多い。
美香「もう! 独りで心細かったんだから。琴美ちゃん、休むかと思っちゃったじゃない。今日は大切な日なのよ? ほらぁ、私も琴美ちゃんも、初めてなんだからさっ・・・」
何の冗談であろうか、確かに中学校の授業は初めてではあるのだが・・・
琴美「・・・はい? 何が?・・・あ、先生来ちゃった。ほらほら、前向いて?」
琴美の席は美香のすぐ後、いつも最初はこの席順である。小学生の頃からクラスもずっと一緒。初めのこの席順もあって、小学校で最初の友達は彼女だった。彼女とはもう6年以上の付き合いになる。
琴美(・・・何か、違う!? 美香、少し・・・変だなぁ。う〜ん・・・)
普通の友達なら気付かない程度の違和感。不可思議な発言は兎も角、気にしければ気にならないけれど、多少雰囲気が違うように感じた。
・・・そう言えば母親も少し変だったような。焦っていたためその時は感じなかったが・・・
担任「はい、皆さんおはよう。昨日の始業式、御苦労様でした。えぇと、昨日簡単な紹介がありましたが私は−−−」
長い自己紹介が始まった。・・・先生の見た目は正直最低、はっきり言って性格も好きにはなれない。
琴美(はぁ・・・本当、外れだなぁ・・・何なのよ、あの担任の先生。気持ち悪い目付きしちゃってさぁ。はぁ・・・長いなぁ。)
そうして短いHRは終了した。
結局、担任の自己紹介だけで終わってしまった。他のことも色々と知りたかったのだが・・・
琴美「・・・ねえ、次は数学よねぇ、何で担任が残ってるの?」
HRが終わり最初の1限目が始まる時刻なのに数学の先生は来ない。小学校の時と違い先生は入れ代わるはずである。
美香「数学? 何言ってるの? 昨日言われたじゃない。まさか・・・予習してこなかったの!?」
琴美「・・・そんなのあったっけ?」
話しが全く見えてこない。確か昨日はずっと美香と一緒だったはず、自分だけが知らない訳はない。・・・度忘れしたとも思えない
美香「えぇ!? ビデオ見て来なかったのぉ!? 何で!?」
担任「えっとお前は・・・芦澤! 何騒いでるんだ! もう授業は始まってるんだぞ?」
驚きの余りか美香は大声をあげてしまい、担任に注意されてしまった。
美香「は、はい! 済みません。」
昨日はもっと大人しい性格の先生だと思っていたのだが、どうやら勘違いだったらしい。初日から怒鳴って、そして馴れ馴れしい口調で話しかけてくる。
担任「ふぅ、まあいい・・・そうだな。一番手はお前にやって貰おう。秋山、相手はお前だ。・・・お前等ちゃんと予習はしてきたんだろうな? ほれトップバッターだ、気合い入れていけ!」
美香「え!?・・・あ、は、はい。解りました。有難うございます。」
秋山「ぼ、僕が最初ですか!? なんか、緊張するなぁ・・・よし、頑張るぞっ!」
担任は突然美香を指名した。美香は何をするのか知っている様子だったが、当然琴美には知らされていない。
担任「よ〜し! 皆、机を後ろに移動させなさい。」
そして生徒達は一斉に机を移動させた。琴美にはこれから何をするのか、見当もつかない。他の皆も知っているようだが・・・
琴美「ねぇ、何をするの? 一番手って何? 授業は? ねぇ、美香ぁ!?」
美香「・・・え? あ、ごめんごめん、少し緊張してて・・・えっと、ナニをするって、勉強するに決まってるじゃない。何か今日の琴美ちゃん、少し変よ?・・・大丈夫? あぁ、緊張するなぁ。失敗しちゃったらどうしよう。」
琴美「・・・・・・?」
皆は教室の中央を空けて広がった。その中心には美香と秋山が立ち、見つめ会っている。
・・・皆の様子が普通ではない。男子は興奮して、女子の中には赤面している娘もいた。
担任「はいはい、皆さん注目! これから2人には男女の正しい遊び方を実践して貰います。昨日配布したビデオで予習済みだとは思うが、次は《生》の行為を観察しましょう。・・・では、始めなさい。」
すると美香は無言のまま頷き膝を落とした。そして秋山の股間に手を当てた。
秋山「う・・・わっ。」
何回か軽く撫でた後、ズボンのチャックをそっと下ろした。
琴美「美香!? な、何を!? ちょっ、自分が何してるか分かってるの!?・・・美香ぁ! 止めなさい!!! ほら、手を退けて、立って?」
琴美が急いで駆け寄り大声で説得しようとした。しかしすぐに担任に取り押さえられてしまった。美香も、慌てている琴美の姿を不思議そうな顔で眺めていた。
琴美「先生! さっきから、何訳分からないこと言ってるんですか? 大体、美香に何をさせる気なの?」
担任「は? ナニってお前・・・授業だろ? お前こそ何を言ってるんだ? この学校に入学したらまず初めに《性》について学び、そして初日には初体験を済ます。そうしないと何も始まらないからな。それに女子は先生と男子の命令に絶対服従だと校則にも書かれているだろ? 何をやってるんだよ、それは授業妨害だぞ? みろ、芦澤も困っているじゃないか。」
琴美(・・・何、何? 何なの? 何を言ってるの? 性って? は、初体験って!?)
混乱している琴美の元に美香が近付いて来て、彼女を宥めた。
美香「琴美ちゃん、大丈夫だよ。一緒に頑張ろ?・・・・・・あの、先生! 岩瀬さんは少し緊張してるんだと思います。だから彼女を先にさせてあげて下さい。そうすれば少し落ち着くと思いますので・・・」
担任「ん? そうか、分かった分かった。まぁ、あれだ。今は思春期だしな、反抗したくもなる気持ちも解る。ふむ、なら先に岩瀬と井上のペアを済ませるか・・・いや待てよ、よし! 岩瀬は特別に先生が相手をしてやろう。今回だけは特別だぞ?」
美香「琴美ちゃん、良かったじゃない! いいなぁ、羨ましいわぁ。」
琴美「・・・・・・」
あまりに非常識な発言が続いたため琴美は言葉を失った。全く話が噛み合わない。



NEXT ▼



この小説は、完全なフィクションであり、実在の人物、
団体等と何の関係もありません。
この小説へのご意見、感想をお寄せください。
感想メールはcopyright下のアドレスまで


NEXTBACK TO NOVELS INDEX


18's Summer : 官能小説、恥辱小説とイラストの部屋