スペクトラルタワー2の話


メーカー アイディアファクトリー

「スペクトラル」
この言葉の意味はいったいなんだろう。
「スペクタクル」とよく似ているけど、意味は全然別のようだ。
英和辞典でひいてみると「幽霊のような」「怪しい」「空虚な」
と書かれている。
なるほど。確かに的を射たタイトルだ。

このゲームを一言で表すなら「クソゲー」で事足りる。
いや、本当にどうしようもない。
まず、初めから無理難題を押しつけてくる。

1万階の塔を登れと言うのだ。

桁をひとつどころかふたつ間違えているんじゃないか?
けれど、僕は最初こう思った。
「1万階って言っても実質1万階じゃなくて、設定上での数字だろう。
 たとえば10階飛ばしになっているとか、100階ぐらいまで登ったら
 一気に1万階にたどりつくとか」
とりあえず「いくらなんでも小学生の一発アイデアじゃないんだから、
1万ってのはウソだろー」と、思ったのだ。

が、どうやら事実らしい………。
根性で100階まで登ったが、それまで1階たりとも
飛ばして進めた階はなかった。
いろんなHPを見て回ったけれど、1万階というのは冗談ではなく、
本当にちゃんと登らなければならないらしい。

さて、嫌だけれど本題に入ろうか。
このゲームは、見かけはRPGライクだ。
たくさんのパラメータがあって、画面を歩き回る敵に触れると
戦闘シーンに入って、コマンド入力タイプの戦闘になって、と、
まあ、ごくごくふつーの、オーソドックスな作りだ。
これだけなら普通の、毒にも薬にもならない人畜無害なRPGだ。
しかし、このゲームでは塔を1階登るごとに、
その階にある宝箱をいくら開けたか、また塔に置いてある壺をいくつ壊したか、
何回敵を倒したかによって「ボーナスポイント」が決まる。
で、僕は思うわけだ。

ボーナスポイントって何だよ?

宝箱を開けた数だの、なんで置いてあるのかわからないような
壺を壊した数によって、脈絡もなく「ボーナスポイント」が決まる。
なんで1階登るごとに、昔のアクションゲームみたいに
得点の集計をやるんだ?

おまけに、どういうわけか「時間制限」まである。
これをオーバーしても先には進めるんだけど、1分以内に出口まで
たどりつければ、残り秒数に応じて、これまたなぜか
ボーナスポイントが加算される。
で、僕はまた思うわけだ。

無意味にプレイヤーをせかすなよ。

しかも、1分以内に出口にたどり着こうと思ったら、
かなり飛ばして進まないといけない。
宝箱や壺なんかに構っているヒマなんかない。

多分、制作者側は「今までのRPGに無い斬新なシステムだぜ」とか
言って得意になっていたんだろうけど、何か勘違いしてないかな。
そりゃ今までにないシステムではあるけれど、
その前に「ポイント制であること」の脈絡がまるでない。
時間制限だって、何のためにあるのか意味不明。
推測だけど、それらはおそらく、ゲーム性を高めようと思って
思いつきで付加したものなんだろう。
いくら何でも、ほとんどイベントらしいイベントもないまま、
ただ単に戦闘を繰り返すだけで1万階まで行け、っていうのは
無茶だから、と。
だから、時間制限を設けることでメリハリをつけよう、と。

けれども、元々やってることが単調だから、そんなものを導入したって
大して変わらないんだよね。
むしろ、各階を1分以内にクリアしようとしてたら、
かなりせかせかしたプレイになって、ゲーム自体を楽しむことができない。
いや、元々楽しめる内容ではないんだけれど。

そんなどうでもいいところに「ゲーム性」を求めなきゃ
いけないくらいだから、当然、事実上RPGの根幹をなす戦闘部分は
相当ひどい。

とりあえず常に楽勝。

ほとんどの敵が一撃。最悪でも2発以内に99%の確率で倒せる。
ルーツ(これはまた後述する)によって様々な技や魔法を
修得するらしいんだけど、そんなもの必要なし。
ただひたすらノーマルな攻撃を選んでいればノープロブレム。
おまけに敵に与えるダメージ量が数値で表現されないので、
どれくらい強いのかもよくわからないとくる。
つかみどころのない戦闘は淡々と進む。
もちろん敵の攻撃力は某ドラクエスライム並だ。

ハッキリ言って戦闘が何のためにあるのかわからない。
実際に、戦闘をこなさなくても宝箱で手に入るアイテムで
キャラは成長させられるし、実は戦闘に勝利しても経験値の概念が
ないので、その階をクリアした時にボーナスポイントがわずかに
加算されるだけ。つまり敵を倒してもせいぜいHPが雀の涙程度
アップするだけなのだ。
敵と接触しないように移動していれば、戦闘をしなくても何ら
問題なくゲームは進んでしまう。
かなり長期間、戦闘をさぼっていても、常にこちらの方が
圧倒的に強いのだ。

ここまで来ると、しまいには戦闘が邪魔以外の何ものでもなくなってくる。
そんな大した戦闘ルーチンでもなければ、大きな画像や立体データを
読み込んでるわけでもないのに、読み込み時間はそれに見合わないほど長い。
敵はうじゃうじゃいて、ちょっと動いてはすぐに戦闘、
なんて楽しいひとときが思う存分満喫できるという、
まったくもってイキな計らいがなされている。

わけのわからない箇所はまだある。
それがこのゲームの最大の謎「ルーツ」だ。
これはちょうどFFでいうところの「ジョブ」にあたるもので、
8桁の数字を入力することでいろんなルーツに目覚める、というもの。
まあ、戦士やら魔法使いやら一般的なものから、パラディンだの
殿様といった、なんだかわけのわからないものまでいろいろ。
数字は適当に入力しても無駄で、ゲーム中に情報を集めるしかない。

で、わからないのは、なんで「数字」なのか、ってことだ。
どうして文字じゃなくて数字なわけ?
世界観はベタベタなファンタジーなのに、なんでここだけ
数字入力という機械的な表現なの?
この数字を変なじいさんに告げると、突然その「ルーツ」に
目覚める、という設定なんだけれど、これもなんだか意味不明だ。
はっきり言ってこのゲーム、いたるところで
脈絡のないシチュエーションが多すぎる。

あと、たとえいい「ルーツ」を発見しても、
その数字を自動で記録してくれない。
自分でメモして、じいさんのところまで行って、
なおかつ手動で入力しないといけない。
もー、シバいたろかい!
(本当は特別な数字を見つけると記録してくれるんだけど、
 そんなのなかなか見つからない)

…と、まあどこをとってもいいところなんてひとつもないゲームだが、
アイディアファクトリーはこれを1万階まで登れと言う。
ふざけてろ。
仮に1階を1分でクリアしても160時間以上かかる計算だ。
最近の普通のRPGでも平均で50時間ぐらいかかる。
良質のRPGだって、何十時間もかかるとなるとそれなりに
疲れてしまうわけだけど、このゲームはおよそゲームとは
呼べないほどの「作業」を延々100時間以上やれと言う。

あのさ…。
本気で思うんだけど本当にちゃんとテストプレイした?
てゆーかゲーム作ったことある?

他にも、宝箱を開けるときにわけのわからない「運試し」を
させられたり、あってもなくてもいいような陳腐なシナリオも
用意されているんだけれど、もうめんどくさいから言及しない。

多分、このゲームを知らない普通の開発職の人に、
このゲームの企画書を見せたら、
「え、何これ。親戚の小学生の子が書いたの?
 うーん、でもこれじゃあちょっとファミコン時代でも無理
 なんじゃないかな。ごめん、今忙しいから」
と、真顔で一蹴されることだろう。

おそらく、このゲームを知らない普通のプロデューサーに、
このゲームをテストプレイさせたら、
「ああ、あれね。何だっけ………、えーと…SCEさんがやってた……
 そうそう、『ゲームやろうぜ』だっけ? 黒いプレイステーションの。
 あれで素人さんが作ったやつだろ、これ?
 ちょっとさあ、ひどいよこれ。いくらアマでもこれはないだろ、これは。
 ゲームになってないよ。だって1万階だよ?
 これクリアした物好きいたらちょっとウチへ連れて来てよ。
 デバッグチームに回すから」
と、言われるのがオチだろう。

ま、とりあえず、いくら中小企業だからといって
許される内容じゃないことは確か。
SCEIも大変だねぇ…。こんなのでもプレスしないわけには
いかないんだから。


え、点数?
それはもう聞かないで。



余談。
「2」というくらいだから当然「1」もある。
やったことはないけれど、プレイした人の話によれば
「『2』って『1』より格段に面白くなっている」とのこと。
もちろんちゃんと1万階まであるからタフな貴兄も安心だ。
ちなみに「1」は最上階にいる「神」がラスボスらしい。
それって、もしかして「魔界塔士Sa・Ga」?
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