あとがき。

 いやぁ〜……ようやくようやくようやっと商人の街〜ダーマ編終わりましたよ……。調べてみたんですけど、あと二週間ぐらいでこの話始めてから三年になるんですよねぇ……。三年かかってまだダーマですよ! まだ旅の中間地点にも来てませんよ! なに、なんなのこの遅さ!?
 まー自分が気が多くてあっちこっちの作品に手を出すのと遅筆なせいなんですけども。この作品を楽しみにしてくださってる方々には大変申し訳ないのですけれども、自分たぶんずーっとこんな感じだと思うんで、どうか気長に待ってくださると嬉しいです……。
 さて、辛気臭い話はこのへんにして、本編について軽く触れてみましょうか。今回はダーマ、転職の神殿編です。なのでパーティメンバーを誰か賢者に転職させることは、君物を書き始める前から決めていたことでありました。自分賢者という職業大好きなのでね。強いから(あと話的にもゲーム的にも呪文の専門家がほしかったし)。
 で、転職する奴をロンにするのも決めていたことでありました。いや、普通呪文使いに転職させるなら、素早くて賢さがそこそこあってMPがある奴にするのがセオリーなわけですから、普通なら盗賊とかにするべきだと思うんですよ。そっちのが強いもん。自分有利ですから攻撃わりと好きな人なので。美学よりも有利さ。思い入れのあるキャラだからこそデータ的に弱いのは我慢できない。
 ですがね、ここはどーしてもロンにせねばならなかったのです。話的に。ストーリーテラーの端くれとして物語にはなによりも誠実でなければなりませんので。
 で、その理由っつーのが、『ロン以外にこのパーティの中で悟りを開けそうな奴がいない』ってのなんですけど。
 前回のあとがきにこのダーマ編でも書きたかったことがあるって書いてましたけど、それがこれ。賢者に転職する際の悟りを開く≠チて代物。自分はこれにどーしてもこだわりたかったのです。
 なんつーか……世に溢れるDQ3二次創作って、たいていみんなすっげーあっさり賢者に転職してるじゃないですか? あっさり悟りの書手に入れて、あっさり解読してあっさり神殿で転職。そんな簡単になれる職業なのに、賢者はスゴイ、賢者は偉いって職業については褒めちぎる。それが自分どーにも面白くなくてですね。
 だってそんなすごい職業ならなるのだって相当に大変じゃなきゃおかしいじゃないですか。何十年も誰もなれないとかいうならそりゃもー超大変な試練が課されるはず。勇者たちのパーティメンバーがなれたのならそれにはすごい理由があるはず……なのにその悟りを開く≠ニいう過程についてはなんかどーにもなおざりにされがちな気がして。
 それと自分はですね……京極夏彦の『鉄鼠の檻』読んでから悟りというものを一度自分なりに書いてみたい! という欲望がこっそりあったのですよ。悟りを開くということがどういうことか、自分なりに考えたことを書いてみたい、って。
 で、賢者への転職の過程をあれこれ考えて、ガルナの塔で試練を受けて、精神的に弱らされて最終的に問いを受け、その過程で悟りを得ることができたら合格、というちゃんと悟らないと駄目な形にしてみたわけなのですが……どんなもんだったでしょーか。なんとゆーか、我ながら勢いが空回りしてるなーという感じが否めないのですが……。もーちょっとこう……。
 でもまぁ自分なりの悟りに対する認識を書けたということではある程度は満足してます。自分の強さやら弱さやら、醜さやら美しさやら、世界の残酷さやら慈悲やら、すべてをそのままにそういうものとして受け容れること。悟りを得たと思っても、それが次の瞬間には失われるかもしれないものであると自覚し、それだけで満足して終わってしまわないこと。言葉だけで理解するのではなく、体感として悟りを会得すること。そういう辺りをね。
 まー、そーいう思考は言ってしまえばほとんどが禅宗のテキストからの孫引きみたいなもんなんですが。役寮とか禅語とか、全部禅宗からそのまんま引っ張ってきてます。
 もちろんこれはDQ3二次創作なんで、ただ悟りを開いておしまいというわけではないので。これから賢者となったロンはいろいろと活躍してくれると思います。いろいろとね。正直自分でもこれやっていいのかなぁひんしゅく買わないかなぁとひやひやしているあのだーだー流れる英字やらラストのサヴァンのあれこれやらからいろいろと想像してくださると嬉しいですv
 で、前回からこの話の間中落ち込み気分を引きずっていたセオですが、それに巻き込まれて険悪な感じだったラグたちですが……本当ならもっとえんえん落ち込み気分を引きずってもらう予定だったんですが、なんというかあまりに書いてて辛気くさくてねぇ……自分で書いててなにいつまでもうだうだゆーとるんじゃえー加減にせー! と言いたくなってきちゃって。
 なんとかもーちょっと早めにちょっとでもいいから立ち直ってもらえないかいろいろアプローチを試みてみる予定です。現在も一応サトリとかにいろいろ言われて少しは前向きになってはいるんですけどね。ラストの言葉通り次回からしばらくはサヴァンが旅に同行するんで、そこらへんでいろいろやってみようかと……。
 あ、それとダーマとの勇者的な関わりについては(堕ちた@E者がどうとかって辺り)、さほど大きくは話に影響してはこないと思うんですが……いろいろあとを引く問題を内包してはいます。
 この話の勇者というものの設定上、勇者ってものすごく貴重な武器じゃないですか。政治家さんたちからしてみれば。世界にただ一人っつーんじゃないからこそ。そういうのをなぜ旅立たせて放っぽりぱなしにしとくのかとか、政治家さんたちにとっての勇者ってどんなん? っつーのをつらつら考えて、そこらへんをちょろっと出してみたりした次第です。ま、このネタがちゃんと話に絡んでくるのは相当あとのことだと思うけど。
 あとー、セオの物語≠ノついてはー……とりあえずあとを引く問題だとだけ申し上げておきましょうか。なんていうか、あんまりにもあとを引きすぎて忘れた頃にしか出てこなさそうな予感。今回もほとんどの人は忘れてたんじゃねって感じですし。ていうか自分も忘れそうになった……阿呆や。
 さて、最後に軽くインミンについて触れておきましょうか。彼女は一応ヒロイン候補bSとして出したつもりです。
 ストーリーとしては、ゲイにマジ惚れしてしまった女の子を巡る悲喜こもごも、という感じ? ロンはゲイで、女性に恋愛感情を抱くことはないと公言しています。そんな男に本気で惚れた女の子がいたらどうなるか。周囲の反応相手の反応ロン自身の反応、どれもいろいろ複雑なものがあるはず。そういうね、ゲイと女の子という題材を頑張って書いてみようか、ってね。
 なので一応インミンは好感度の高い……というか、嫌いにくい健気系の女の子を目指して書いたつもりです。どんな感じを受けられましたでしょうか、ご意見ご感想お待ちしております。
 さて、次回はサヴァンと一緒ののんびり道中です。どちらかというと、というよりもろインターミッション的な話になる予定。さくっと終わらせられるよう頑張ります。

戻る   次へ
『君の物語を聞かせて』topへ