ガシャーン! という音が、会場の中に響き渡った。
八百万間堂十周年パーティ記念会場≠ニ大きく垂れ幕の張られたパーティ会場。そこに居並ぶ八百万間堂の幾多の登場人物の視線が、舞台奥に集中した。なにかを落とすような大きな音は、そこから聞こえてきたのだ。
 そばにいた何人かが素早く舞台へと駆け上がり、音源を確認する。そこでいくつもの飲み物の入ったガラス容器(強化製なので割れていない)の載った盆を落とし、へたへたと腰を抜かして、震える指を伸ばしているのは、田辺真紀だった。
 その指の伸ばされた先へ視線が向かうや、ようやく田辺は絶叫する。
「い……いや――――っ!!」
 田辺が叫ぶのも、無理はなかっただろう。そこにあったのは、他の登場人物同様に正装に身を包みながらも、頭からだらだらと血を垂れ流し動かなくなったもの=\―滝川陽平の死体だったのだから。

「……死亡推定時刻は、死体発見より一時間から三十分前まで。死因は、鈍器による後頭部殴打の結果の失血死。凶器の特定は難しいが、ある程度長い棒状の、先端に突起物がある――ゴルフクラブのようなものが一番それらしく思われる」
「死亡推定時刻の自信のほどは?」
「俺は内科医で、検屍は専門じゃない。だが、これは間違える方が難しいって代物だな。なにせまだ死後硬直が始まってない。筋肉細胞を見てみても、解硬――死後硬直が解けたんじゃなくまだ始まってないってのは明らかだ」
「なんで三十分以上前だってわかるの?」
「出血の量で嫌でもわかる。骨格が強化セラミックだったり筋肉細胞の組成が普通の人間と異なってたりする人間の体が、普通の人間と同じ仕組みで動いてるとして、だけどな。まぁ解剖前に医学書さらってみた限りじゃそう変わった反応はないはずだけど」
「そう……」
 辺りに漂う血臭もまるで気にした様子もなく、パーティ会場にいた時と同じ礼服のままで、こちらは礼服を手術着に着替えたディックが差し出してきたレポートを読みつつ、速水厚志は考え深げに首を傾げた。
 とんとん、と人差し指で軽く数度頬を叩いたのち、うんとうなずいてさらっと言う。
「じゃ、生き返らせてくれる? ザオリク使える人呼んできてもいいんだけど、どうせなら早い方がいいでしょ」
「はいはい。……最初からそうしておけばよかったんじゃないのか」

「……犯人を、見てないぃ?」
 速水が思いきり鼻に皺を寄せて言うと、滝川はおずおずと(口元はごまかすようにへらへらと笑ませつつも)うなずいた。
「いや、だってさぁ、俺十周年記念の挨拶みたいなのすることになってたじゃん? 一番古株の作品の主人公(原作は違うけど)ってことで。そんで必死に原稿暗記しようって、いっしょーけんめー原稿読んでたんだよ、ずっと! だから他のことに神経行ってなかったっていうか、いちいち気ぃ使えなかったっていうかさ……」
「ふーん……それで犯人取り逃がしたんだ。このサイト内でも一番の古株のくせに」
「うぐ」
「それどころかあっさり一撃で殺されてGAME OVERってわけ。もしこーいう席じゃなかったら本気で死んでたよねー、僕たちの世界死んだらそれまでだしねー、完全にYOU LOSEでYour Diedで第三部完だよねー」
「うぐぐ……」
「……というのはさておき。これはただごとじゃない事態だね」
「へ……」
「確かにな」
 きょとんとする滝川の横でうなずくディックにうなずき返し、速水は「行くよ」と告げて歩き出す。ディックは「着替えてから行く」と手を上げて、滝川は慌ててついていった。
 そう――本当に、これはただごとではないのだ。

「……殺人、事件?」
「そう。これは紛うことなき殺人事件だよ」
 パーティ会場に招待され、今はその会場内に留め置かれている八百万間堂の登場人物たちに、速水は深々とうなずいた。
「滝川は、パーティ会場の最奥の舞台の裏で、一人で挨拶の練習をしているところを、後頭部を殴られて死んだ。舞台袖からは通路が通っていて、会場の外まで出ることができるけれど、このホテルのこの階から出るには通行証を係員に見せなくてはならない。そしてその係員は、パーティの始まった一時間半前よりあとには誰もこの階を出入りしてはいない、と言っている。そして、僕の手の者に調べさせたけど、その出入口以外から誰かがこの階に出入りした様子はまったくない」
「……だから?」
「わからない? あまりに使い古されてもはやすえた匂いすら感じられる台詞だけど、あえて言おう。――犯人は、この中にいる」
『――――!』
 空気がきん、と緊迫する中、速水は笑顔ですらすらと話す。
「滝川はすでに蘇生されているけれど、だからといって殺人行為が罪にならないというわけではない。僕は滝川の友人兼飼い主として、断固としてその行為を告発する」
『…………』
 しん、と場は静まり返る。滝川は「飼い主ってなんだよ、おい!」ときーきー騒いでいたが黙殺された。
「幸い、捜査自体は容易だ。なにせ、ここには嘘を100%見抜くことができる呪文、虚言感知≠フ使い手であるフェイクくんがいるんだしね」
「……俺か」
 渋い顔でフェイクは肩をすくめる。反論の声が次々上がった。
「その虚言感知≠ニやらをごまかす方法とかだってあるんじゃねーのか?」
「つか、そもそもお前が犯人だって可能性だってあるじゃねェかよ」
「ないよ。虚言感知≠ヘ一度かかれば、どんな特殊な方法を使おうとも確実に嘘を感知する。これは絶対確実だ。世界のルールがそうできている。――そして、僕は最初から『僕だけが捜査を行う』とは一言も言っていない」
「……なに?」
「容疑者はここに揃っている。嘘をつけばたちまち見破られると、全員が知っている。なら、お互いの証言を聞いたところで問題はないだろう? 全員が全員の証言を聞き、考えればいい。全員が容疑者で――全員が捜査官だ」
 ざわっ、とその場がざわめくのにかまわず、速水は背後のホワイトボードにキュッキュッと図を描いていく。
「状況を整理しよう。死亡推定時刻は一時間から三十分前。滝川はパーティが始まってからずっと、舞台袖で挨拶の練習をしていたと証言している。そして練習に夢中になるあまり、気配にも時間にも気づかず、いつの間にやら後頭部を殴打されて死亡。田辺さんが様子を見に舞台袖をのぞいたことで、事件は発覚した――まぁ、挨拶の時間が迫っていたから、田辺さんじゃなくても誰かがすぐ発見しただろうけどね」
 キュッキュッ。舞台袖の状況を細かく絵に描き、その上に滝川の死体を描く。
「田辺さんがのぞいた時、舞台袖には滝川の死体をのぞけば誰もいなかったそうだ。凶器は、検屍の結果によると、『ある程度長い棒状の、先端に突起物のある鈍器』が一番それっぽいらしいけど特定はできていない。舞台袖に残されていたものは、パイプ椅子が四脚、放送用の機材がひと揃え。そのどれにも、血がこびりついている様子もふき取った様子も、それどころかかかった様子もない。まぁ特殊な方法を用いて痕跡を消したということも考えられるけどね。ただ床と接する足の部分には流れ出た血がいくぶんついていた。滝川の倒れ方は、舞台奥の壁を背にした形で、会場に向けて倒れていた。他に痕跡らしいものはなし。数歩歩いた先には通路に出る扉がついているけれど、そこにも血をはじめとした痕跡らしいものはなし。ただし、ざっと調べただけだから今後の調査で新しい証拠が出る可能性はある」
 さらにキュッキュッキュッ、と舞台袖から会場に続く絵を描いていく。
「会場から舞台袖に直接行くには、舞台に上がって袖に引っ込む、っていうすさまじく目立つ手段を取らなきゃならないけど、いったん会場の外に出て通路を大回りすれば誰にでも外から舞台袖に入ってくることはできた。会場自体は実質フリーパスだったからね、トイレとかあるし。せいぜい十分もあれば往復できる。そして、人が入れ代わり立ち代わりしていたパーティ会場では、全員の完璧な場所の把握は不可能だった。監視カメラの類も、嫌がる人のことを考えてオフにしておいたしね。つまり、自分が死亡推定時刻にどこにいて、なにをしていたかは、人の証言に頼るしかないわけ」
 キュッ、と音高く最後の一文字を書いてから、速水はフェイクに向き直った。
「ここまでいいかな? さて、じゃあフェイクくん、虚言感知≠ゥけてくれる?」
「……わかった」
「おい、それじゃあ……」
「さっきも言ったでしょ、全員が容疑者で捜査官だって。めぼしい証拠がまだ見つかってない以上、犯人を推理するには証言を聞くしかない。――いい? フェイクくん」
「ああ。呪文、かけたぞ」
「よろしい。では」
 きらり、と黒い瞳をきらめかせ、ぱちん、と指を打ち鳴らしてみせる。
「証言、開始だ」

《証言》

・ガンパレードマーチ
【速水厚志】
「さて、まずは僕からだね。僕はパーティが始まる前からこの階にある別室で、ガンパレの仲間たちを集めてサプライズの企画の詰めを行っていた。ああ、そのサプライズがこの事件ではない、ということはここで明言しておくよ。給仕として働いている何人か以外の仲間たちは全員同じ部屋にいて、一時間前も三十分前も何人もの人間と話をしていたから、その時間に僕が舞台袖に行くことはまず不可能だっただろうね」

【芝村舞】
「次は私か。私は速水と同様に、サプライズ企画の詰めを行っていた。私の企画内担当は速水とは別で、おのおの熱心に話し合っていたので、お互いの様子をしじゅう確認し合っていたわけではないが……あれは、そうだな、四、五十分ほど前に、一度企画の全体像を話し合う機会があったので、その際に速水の姿を確認している。私も、速水も、死亡推定時刻に部屋から抜け出すのは極めて困難だっただろうな。最後に、改めて宣言しておくが、私は滝川を殺してはいない。以上だ」

【田辺真紀】
「え!? え、え、私も証言、するんです、か……? わ、わわ、わかりました。えっと、私はパーティが始まってからずっと、会場でお給仕の仕事をしてました。それで、何度も転んで、飲み物をこぼしちゃったりしたんですけど……それで、あの時ふと、滝川くん、ずっと挨拶の練習してるけど、喉が渇いたりしないのかな、って思ったんです。それで、飲み物を持って行って……まさか、あんな……あんなことになるなんて……」

・ピノッチアのみる夢
【マスター】
「俺は……死亡推定時刻の間には、主にサモンナイト3のレックスと教育について激論を戦わせたり、DQ5のアディムと子供のことで口喧嘩したり、シスプリの兄一をからかったりしてた気がする。細かい時間までは覚えてないが……ちなみにランパートは一時間前にはサモンナイト3のナップと武術論を戦わせていて、五十分前にはクレしんのしんのすけと小競り合いをし、四十分前にはヘッポコーズのノリスにからかわれて腹を立て、三十分前にはDQ8のユルトとお喋りをし、と忙しかったから犯行はまず不可能だと思うぞ」

【ランパート】
「……うん、だいたいマスターの言ってた通りだよ」

・シスター・プリンセス
【兄一】
「……ずっと妹たちに囲まれてたんだぞ、他のことなんて気にしてる暇あるわけないだろ。確かにマスターさんにからかわれたのは覚えてるけど……その時マスターさんは、しんのすけと一緒だった気がする」

・クレヨンしんちゃん
【しんのすけ】
「んー、なにしてたかなー、思い出せないなー……AKB48の写真集買ってくれたら思い出すかも」

・テニスの王子様SWEAT&TEARS
【天野騎一】
「えっと……俺はだいたいテニス部の仲間たちと一緒に喋ってました。あとは九龍さんやライくんと料理の話したりとか。八十八さんとも。あと草薙くんや四物さんに家事のコツとか教えたりとか……時間までははっきり覚えてませんけど、少なくとも俺と話した人たちは、会場から長い間離れてはいなかったんじゃないかと思います」

【赤月隼人】
「……テニス部の奴らと喋ってた。あとは……走一と、車のことについて喋ったり、ナップに効率のいい勉強の仕方とか教えてもらったり、アルバーさんとトレーニング方法についてちょっと話したり……言っとくけどなっ、俺たちの仲間には人殺すような奴いねーからなっ!」

【越前リョーマ】
「……ずっとテニス部の奴らと一緒だったから。アリバイはそいつらが証明してくれると思うけど」

【赤月巴】
「うーん、だいたい仲間内で話してたけど、時々他の女の子とも話したりしてました。イリーナさんとか、エニシアちゃんとか、あとは園亞さんとかゼシカさんとか。みんなすっごく可愛くていい子でしたよ。時間がどうこうまでは覚えてませんけど……あ、そうだ! 四十分前ぐらいに音楽がいったん途切れたから、いったん周囲を見回したんです。そうしたら八十八さんが、ロンさんと一緒になんか話しながら会場を出てくの見ました。珍しい取り合わせだなーって思ったから覚えてたんです。これって、もしかして手がかりとかになります?」

・DRAGON QUEST V
【アディム】
「僕はもちろん愛するうちの子たちとビアンカと一緒にいたとも。だからうちの子たちとビアンカだけは犯人ではないと断言できるよ! ……それはもちろんときおり目が離れる瞬間はあったかもしれないけれども、可能な限り素早くうちの子たちの姿を捉えて心からの愛を込めて愛でていたからね! 少なくとも一分以上僕はうちの子たちから目を離したことはないよ。……マスターくん? まぁ、確かに口喧嘩はしたけど……死亡推定時刻中の動きまでは当然確認していない」

【ビアンカ】
「………(はーっ)。この人がこんな感じだから、私は被害を抑えるためにもできるだけ家族のそばにいたわ。でも、こういう機会ってあんまりないし、私も女だからお喋りは好きだもの。年の近い子とか、境遇が似てる相手とかと喋ったりもしてたわね。一時間前の前後は……マリアさんとミーティアちゃんと、DQ人妻同士でお喋りしてたし、それから少しあとでマーニャさんと経産婦同士の話もしてたかな。でも、家族から十分以上離れていたことはないわよ」

【セデル】
「一時間前から三十分前……うーん、いろんな人と話してたから、順番とか時間までいちいち覚えてないや。ルビアが一緒だったのは確かだけど。お父さんとお母さんはだいたい一緒だったけど、時々大人の人と話したりしてたからずっとじゃないよ。あ、それにお父さんは、四十分前ぐらいかな? 面白いこと聞いたから教えてあげようって思って探したんだけど、会場のどこにもいなかったし。すぐに戻ってきたけど」

【ルビア】
「………。わたしとお兄ちゃんは、一時間前前後の十分はナップさんたち四人の生徒さんと話していました。五十五分前から五分間ほどは家族でお喋りをして、五十分前からまた五分ほどヘッポコーズのみなさんと。それからヘッポコーズのみなさんとランパートさんと話をしたり、レウさんと話をしたり、フェイタスの方々と話をしたりして、三十分前前後はライさんたちにお料理のことで話をうかがっていました。……いまさら言っても意味がないとは思いますけど、わたしの家族が人殺しだとは、わたしには思えません」

・九龍妖魔学園記
【葉佩九龍】
「んー、山ほどいろんな人と話したから順番とか時間とかいちいち覚えてないな。きーくんと料理の話したのは覚えてるよ、パーティが始まってから少ししてから、料理もぐもぐやりながらライがぶつぶつ料理の研究してんの見つけて話しかけたところに、きーくんが近づいてきて、やとやんも寄ってきたんだ。あと、閃くん煌さんとは少し長く話したかな、舞台繋がりで。で、会場内ちらちら見ながら動いてたから断言できるんだけど、会場から直接舞台袖に乗り込んだ人間は絶対にいない。あと、舞台袖では乱闘とかは少しも起こらなかった。ざわめきで人が静かに倒れる音くらいは消えてたかもしれないけど、それ以上の音はしなかったよ」

・DRAGON QUEST VIII
【ユルト】
「仲間たちはみんなバラバラに行動してたな。三十分前にランパートと? うん、確か喋ったと思う。棍って面白い武器だなーって思ったから、それについてちょっと。あとはセオくんと、ローグくんと、澳継くんと龍斗と……聞かれてる三十分の間に喋った相手はそのくらいかな。あと、誰が犯人か、ってわかるわけじゃないけど……僕には滝川さんを殺すこと、たぶんできたと思うよ」

【ヤンガス】
「アニキは人殺しみてぇなケチな真似しやしねぇっ! 漢ヤンガス、それだけは誓って言えるでがす!」

【ゼシカ】
「だいたい女の子たちとお喋りしてたかな。巴ちゃんとか、ディラさんとか、あとミーティアとか。十分以上会場を離れたことはないわ。実際みんな、会場の出入りはけっこう普通にしてたしね。少なくとも私の見た限りじゃ、人の行き交う中で舞台袖へ出る扉に続く通路に堂々人が歩いていく、なんてしたらちょっと目立つと思うわよ」

【ククール】
「美しいレディのみんなと楽しくお喋りをさせてもらってたぜ。ビアンカ嬢とも話したし、マリア嬢とも話したし、マーニャ嬢やユィーナ嬢、ミレーユ嬢ともな。ただその中でたまたま目に入ってたんで言えるんだが、ユルトが会場を出て行ったことはたぶんないと思うね」

・サクラ大戦V
【大河新次郎】
「星組のみなさんとだいたい一緒にいましたけど……たぶんですけど、女性が会場の出入り口以外から会場に出入りしたことはないんじゃないかと思います。え? なんでって……その、女性独特の雰囲気で、なんとなく」

・DRAGON QUEST III
【セオ】
「……ほとんど、仲間のみなさんと、一緒に……いま、した。話した相手は……覚えて、いま、せん」

【ラグ】
「だいたい仲間たちと一緒にいて……あとは他のDQ3の戦士たちと戦士同士の話をしたくらいだな。仲間たちはだいたいいつもそばにいたと思う……ただ、レウはあっちこっち駆け回ってたからどこにいたかわかってたわけじゃないけど。特にセオはずっと一緒に……いた……よな?」

【フォルデ】
「基本仲間たちといた。けどこの会場人多いし、ちょくちょく離れたりはしたな。……あの澳継とかいうガキ、いっちいち生意気でムカつくったら……あのローグとかいう野郎もなんか無駄に偉そうだしよ……まぁ、そんなこんなでちっと他の奴とやり合いはしたけど、仲間たちと十分以上離れたってこたぁねーよ」

【ロン】
「ふむ、そうだな。先程の九龍の証言だが、目に見えず音にも聞こえない存在でも舞台袖に直接乗り込んでいないと断言できるのか? とは思うな。……八十八? 彼との間のことについて、他人に言う気はさらさらない」

【レウ】
「んーと、いろんな奴らと話したり遊んだりしてたよ。セデルとルビアとか、ナップとか、ライとか、セディシュとか。あとホイミンにーちゃんって優しいよな、俺がお盆ひっくり返して服汚しちゃった時も、当たり前みたいに染み抜きしてくれたし。時間? えっと、パーティが始まってから五十分くらい経った頃だと思うけど。その時、他に? えっと、ロンと八十八にーちゃんがなんか人気のない方行くのは見えたけど」

【ユィーナ】
「私は常にゲットと一緒にいましたので、ゲットが証人になるならば私のアリバイは成立します。ただ私が捜査官の立場ならばアリバイは成立しないと考えるので言いますが、私は数分ごとに奇声を上げるゲットを殴り倒していたので全員に聞いてみれば数分ごとのアリバイは成立する可能性が高いです。それと、パーティ開始から三十分ほど経ったころだと思いますが、私は十分ほど世界樹の迷宮でギルドフェイタスのギルドマスターをしてらっしゃるディックさんと話をしました。ゲットは騒ぎましたが、冒険の導き手を担う者同士、思うところがありましたので。それと、私も含めて言えることですが、DQ3のパーティはDQ3のパーティ同士で固まって話をする傾向があったようです。なのでアリバイを調べるのは比較的容易でしょう。同じDQ3であろうとも別パーティであるならば、常識的に考えてアリバイを証明できるでしょうから」

【ディラ】
「んー、基本ヴェイルと一緒にいたんだけど、ちょくちょく離れたわね。女の子と喋ったり、男と喋ったりしてたから。喋った男? ユーリルとか、ライアンとか、ロレイソムとかだけど? まぁ気配は感じたから、ヴェイルは私からあんま離れてないと思うわよ」

・ソードワールドRPG
【アーヴィンド】
「……ファリスに誓って、僕とヴィオはずっと一緒でした。他の方と話していた時もありますが、それでもヴィオの姿が見えなくなるほど離れたことはありません」

【ヴィオ】
「うーん、ありばいっての証明しなきゃならないんだろ? 難しいなー……アーヴとはいつも一緒にいたけどさ。あとは……うーん、フェイクはどこにも姿見えなかったし……ごめん、わかんないや」

・ガープス・百鬼夜翔
【草薙閃】
「……俺は基本的に煌と園亞と一緒にいた。一時間前から十五分ぐらいは九龍と話してたと思う。学校での姿の潜ませ方とか、武器の隠し方とか、いろいろ参考になる話をしてくれたから。その間園亞は別の場所にいた。それから五分くらいかけて園亞と合流して、少し会場内をうろうろしてから、天野と家事のことについて話したよ。園亞はそれから少し巴と一緒にお喋りしてたみたいだな」

【草薙煌】
「俺は俺の生贄と一緒にいたぜ。どこに行くにもな」

【四物園亞】
「えっと……いろんな子とお喋りしたりしてましたー。天野くんと巴ちゃん? うん、話しましたよ。あとは同年代の女の子と少し……うん、話して、ましたよ」

・Persona4
【八十八在】
「……何人かと、話したことを覚えています。料理の話や、戦い方についての話を。……ロンさんとの間のことについては、黙秘権を行使させていただきます」

・DRAGON QUEST VI
【ローグ】
「ふむ、そうだな。アリバイについての証言を言うならば、五十分前前後にはユルトと少し話した。四十分前前後には、フォルデが喧嘩を吹っかけてきたのでそれなりに対応させてもらったな。三十分前前後には、ククールがミレーユをナンパしていたんで追い払いもした。もちろん、このどれもが完全なアリバイではないのはわかっているが、俺は仲間としょっちゅう顔を合わせていたからな、仲間たちも含めて一人で舞台袖に行くのは難しいと思うぞ。というかさらに言うならば、滝川さんを殺すということ自体、恐ろしい難事だと俺には思えるんだがな」

・新ソードワールドリプレイ ヘッポコーズ
【ノリス】
「ん〜……いろんな人と遊んだり、からかったりしてたからなぁ……え、セデルくんとルビアちゃん? とランパートくん? ええと、そう言われれば話したかな。セデルくんなんでも鵜呑みにするし、話してて面白かった覚えがあるよ。ランパートくんもちょっとからかったと思う。あ、あと走一くんもちょっとからかった覚えがある。時間までは覚えてないけど」

【イリーナ】
「私はみんなでルビアちゃんたちと話をしたり、あと声をかけられて巴ちゃんと話したりしてました! トレーニングについて話せる女の子ってあんまりいないから、楽しかったです! ただその途中でノリスの姿が見えなくなっちゃったんで、探したりもしてましたけど。時間? 四十分前から二十分前くらいだと思います」

・eX-D
【菅野走一】
「……ノリスと話したのは一時間ほど前だと思う。隼人くんと話したのは五十分ほど前から十分ぐらい。それからしばらくは、仲間内だけで飲み食いしてた。……正直、この事件、まるで魔法かなにか使ったように思えてしょうがない。あの滝川さんを、いくら油断してたからって、音もなく殴り殺せるなんて、なにか不思議な仕掛けでもしたんじゃないかって」

・東京魔人学園外法帖
【緋勇龍斗】
「俺は基本いつも澳継と一緒にいたな。澳継はいろんな奴とやり合ってたから、目立ってたんじゃないか。少なくともセオに喧嘩を吹っかけて、フォルデと激しくやり合ってたのは相当目立ってたし。あと、一緒にユルトと少し話をしたな。結婚と戦いについて、俺たち二人とも少し思うところがあったんで」

【風祭澳継】
「は? なんでンなこといちいち言わなきゃなんねーんだよ。セオと、フォルデ? ……知るかよそんなん、あいつがおっそろしくびくついてやがったから苛々したんでそう言ったら、そいつが出てきて喚いたんで喧嘩になっただけだ。……ユルトとは、確かにちっと話したよ。なんか手応えのねぇ野郎だったけど……妙に、腰は据わってんな、と思った」

・サモンナイト3
【レックス】
「だいたいはナップと一緒にいたけど、他の人とももちろん話したよ。マスターさんとは教育についてちょっと話したし、ディックさんとは児童心理学について話したな。あと、セオくんとちょっとお喋りをしてみようとしたんだけど、あんまりうまくいかなくて……とにかく、僕は十分以上会場を離れた覚えもないし、僕が舞台袖に行くのはまず不可能だと思うよ」

【ナップ】
「いろんな人と話してたな。基本は先生と一緒にお喋りとかしてたけど、一時間くらい前は俺たち、生徒四人で行動してたし。その最中にランパートがなんか知らない奴と話してたから、なにしてんだろうってみんなとちょっと別れて話に行ったりもしたし。んで、武術についてちょっと盛り上がったりもして。それからすぐ仲間たちのとこに戻ったけどさ。とにかく、俺自身は舞台袖になんて行ってないし、滝川さんも殺してないから」

・DRAGON QUEST II
【ロレ】
「基本ずっと飯食ってたな。このパーティの飯うまいし。パーティでいちいち誰々と話さなきゃ〜とかいうの、ぶっちゃけうんざりしてっからな、俺。サマとマリアもだいたい一緒にいた。ちっと姿が見えなくなった時はあっけど、十分も離れてたことはなかったし。舞台袖に行って帰るには十分はかかんだろ?」

【サマ】
「そうですね……僕は、ほとんどロレとマリアと一緒にいました。離れた時はありましたが。他の人とお喋りもほとんどしなかったですね。ただ、ロレがこの事件の犯人というわけではないのは間違いないと思いますよ。ほとんど一緒にいたわけですし」

【マリア】
「ほとんど仲間たちと一緒にいましたけれど、他の方とお喋りなどもいたしました。ビアンカさま、ミーティアさまともお話しましたし、マーニャさまともお話しました。けれどそう長く仲間たちから離れた覚えはないと思いますわ。それは、お喋りの時間を合計すればゆうゆう舞台袖まで往復できたでしょうけれど、お喋りの間は相手してくださった方が私の不在証明をしていただけると思いますし」

・サモンナイト4
【ライ】
「……ずっと料理の味確かめながら、この味再現するにはどうしたらいいかとか、料理の研究してたぜ。その間に天野とか九龍とか八十八とかとも話した。それだけじゃ不在証明にはならねーだろうけど……とにかく、俺は会場を離れたりはしてねぇよ」

・世界樹の迷宮
【セディシュ】
「……一時間前から、十分くらい、ディックは、ユィーナと話してた。それから、五分ぐらい、レックスと話してた。あと、俺は、それから五分ぐらい、レウと話した。あと、アルバーは、それから五分ぐらい経った頃から、隼人と話してた。……それくらい」

「……ここまでの証言に、嘘は?」
 訊ねた速水に、フェイクはあっさり首を振った。
「嘘は感じられない。……だが、こんな証言を積み重ねたところで意味があるのか? 真正面から、『お前は滝川を殺したか?』って聞きゃあいいじゃねぇか」
 速水はその言葉にあっさり首を振り返してみせる。
「それだとごまかす方法を相手がすでに考えていた時に対応できない。――それに、少なくとも僕には、今の証言十分以上に役に立ったしね」
「……なんだと?」
「おーいディックくーん、鑑識の結果まだー?」
 携帯端末に声をかけると、端末の向こうから『ちょっと待て』という言葉がかかってから数十秒、会場にディックが入ってきた。
「もらってきたぞ」
「おー、ありがとーv」
「そんなものを使って、なにを」
「決まってるでしょ? 犯人を指摘するんだよ」
「――なに!?」
「そう、犯人は………」
 速水はゆっくりと手を上げ、すっ、とその人を指差してみせる。
「君だ!」


 ここで、本企画のルールを説明したいと思います。
 出てきた証言、そして数少ない証拠。これを用いて、『この殺人事件の犯人を推理する』のが、この企画の目的です。
 推理のためのルールは以下の通りです。

・死体の状況の説明については、嘘はないとディックは主張している。
・現場の状況の説明については、嘘はないと速水は主張している。
・フェイクが呪文をかけてから聞いた言葉(すべての証言を含む)には、嘘はないとフェイクは主張している。
・証言にまったく登場していない人物の中には犯人はいない。
・この話に出てきている人物は、特殊能力及び身体能力を、八百万間堂作品で使用している中でももっとも高いレベルで使用できるものとする。

 この五つのルールに反しなければ、どんな推理でもかまいません。誰が∞なぜ∞どうやって¢齔を殺したのか明記の上、拍手かメールで推理メッセージをお寄せください。その際にはHNを明記してくださるようお願いいたします。
 そして、お寄せくださった推理の中から、一番『面白い』と管理人が思った推理を考えてくださった方に、小説リクエスト権をプレゼントいたします!
 締め切りはこれから半年後、2011年12月5日まで。そこまでにいただいた推理を、作品にしてそれからさらに一ヶ月後の2012年1月5日に公開いたします(不慮の事故が起こらなければ)。その推理を誰に披露させるか書いていただけるとよりありがたい。誰も企画に反応してくださらなかった場合に備えて考えておいた推理を速水が披露したあと、真実の推理としてお望みのキャラクターが推理を披露いたします(特にキャラ指定がなければ速水が披露します)。
 この企画は、ミステリ的に妥当な推理であることももちろんですが、それ以上に『面白い』と思えることがより高いポイントを得ます。なにせこんな歯抜けだらけの証言で犯人を特定するとかまず無理ですから。
 ですので、推理メッセージを送る数については制限はありません。思いついた時に思いついただけ送ってくださるとありがたいです。
 このサイトの小説リクエスト権らしく、リクエストする小説のジャンルにはまったく制限はありません。『これ書かせたい!』と思ったジャンルをなんでもリクエストしていただけます。
 ではでは、メッセージお待ちしています!

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