午睡
 ぷに。
 ぷにぷに。
 ぷにぷにぷに。
「……おい、ニンゲン。テメェ、さっきからなにやってやがんだ……?」
 バルレルがこめかみに青筋を浮かべながら問うと、マグナは手を止めにかっと笑って答えた。
「バルレルのほっぺ、つついてる」
「…………」
 ぴきぴきっ、とさらにバルレルは青筋を立てあえて静かに言う。
「とっととやめろ。今ならまだ半殺しにまけといてやる」
「えー、だってさ。バルレルのほっぺって、ぷにぷにしててすごく触り心地いいんだけどな」
 ブチッ。バルレルの堪忍袋の緒はあっさり切れた。
「いいかげんにしやがれこのボケ野郎! オレの顔なんだと思ってやがんだ、ぶっ殺すぞ!」
「わ! バルレル急に暴れるなって!」
 ばたばた。
 しばしベッドの上で二人は取っ組み合う。
「何を考えてやがんだこのタコ! てめえはいつも行動がメチャクチャなんだよッ!」
「お前に言われたくないよっ! いつも好き勝手してるくせにっ!」
 どっすん、ばったん。
 互いに上を取り合い、相手を押し倒そうとして――
 数分間の試合時間ののち、上に乗っかっていたのはマグナだった。
「よっしゃぁ、勝ちぃ!」
「は……(ゼイゼイ)ちくしょ……(ゼイゼイ)」
 マグナはにかーっと実に嬉しそうに笑い、喘いでいるバルレルの下半身を足で固める。
 そしてそのまま上半身をおろし、両腕でバルレルの両手を掴む。
「なにしやがんだ…よッ……」
「え? 勝者の特権行使」
 マグナはぴとっ、とバルレルの体に自分の体を摺り寄せた。にかにか笑いながらほっぺをすり合わせる。
 バルレルは顔をしかめるが、マグナは意にも介さない。
「ンだよ、やめろよ、コラッ!」
「いいじゃんか、ちょっとくらい……」
 いまやマグナは完全にバルレルを抱えこむようにしてくっついている。さも嬉しそうに、にこにこ笑いながらほっぺをくっつけ、体を摺り寄せ、ほとんどぬいぐるみに対してするように楽しげにバルレルをぎゅっと抱きしめているのである。
「ッたく……」
 バルレルはさも嫌そうに顔をしかめたが、既に抵抗する気力もなく、結局マグナのするに任せた。
 溜め息をついて、天井を見上げる。
 こいつは時々、こんなふうになる。
 どういうわけか知らないが、時々やたら自分にスキンシップを求めるのだ。
 嫌だと言っているのに、ちょっとだけ、とか何とか言って自分に抱きつきほっぺやらどこやらをすり合わせまくる。翼ごと自分を苦しくなるほど抱きしめる。
 そしてさらには――
 厭なことを思い出してバルレルはむすっとした顔になった。
 そんなバルレルの表情をまったく気にせず、マグナはひたすらバルレルに抱きつき、猫のようにすりすり体中をさも幸せそうにすりつけている。
「バルレル、可愛いなぁ」
 不意にマグナにそう言われ、バルレルはきゅっと顔をしかめ寝っ転がったままマグナを睨んだ。
「テメェ、なめてんのか。誰のことが可愛いだってェ?」
「バルレルのことが」
「テメェ……オレ様を誰だと思ってやがる?」
「俺の護衛獣」
「だーっ! だからそうじゃなくってだなァ……」
 ぴとっ、とバルレルに体をくっつけ、幸せそうにすりすりするマグナ。
「バルレルの本当の姿がどんなんだか知らないけどさ。俺、バルレルのこと本当に可愛いって思うんだもん」
「アホか! 大体テメェ、初めて会った頃生意気とかなんとか言ってただろうがよ」
「あ、うん、それは今も思ってる」
 バルレルは寝転がりながら、ちょっとずっこけた。
「なんだそりゃ……どっちなんだよ」
「だから、どっちも本当だって。いっつも腹立つこと言ってて生意気だと思うしコイツはーとも思うけど、でもお前ってそーいう奴なんだから別にいいかって思うし。そんで笑った顔とかぷにぷにしたほっぺとかたまーに優しくしてくれるとことか見てると、なんかすごく可愛いなぁって思うんだよな」
「……バカじゃねェの!?」
 バルレルはふんっとそっぽを向いた。マグナがその顔を覗きこんで、面白そうに言う。
「あ、バルレル、今照れてるだろ?」
「照れてねェ!」
「うそつきー」
 くすくす笑いながらバルレルの体の上に頭をのっける。コテンと頭を倒して、マグナは黙りこんだ。
 しばしの沈黙。
「……なぁ、バルレル……」
 先に沈黙を破ったのはマグナだった。
「ンだよ」
「えっち、しないか?」
 バルレルはバッと上体を起こし、マグナを睨んだ。心なしか顔が熱いのは、気のせいだ――そうに決まっている。
「ザケンじゃねェ! なんでこのオレがニンゲン風情の相手しなきゃなんねェんだよッ!」
「なんだよー、いいだろー。別に初めてってわけでもないんだし」
「……ッだから! 二度とご免だッつッてんだ!」
「いいじゃん。この前もその前も、すごく気持ち良さそうにしてたくせに」
「〜〜〜〜〜ッ!!!!」
 枕がマグナの顔に命中した。バルレルはベッドから降り、部屋を出ていこうとする。
「ちょっと待てって!」
 慌ててマグナがバルレルを後ろから抱きしめた。
「離せよ!」
「あのさ。バルレルはしたくなんなかったのか? さっき、一緒にごろごろしてて」
「………ねェよ」
「俺はしたいな。バルレルと。バルレルとえっちしてたらメチャクチャ気持ちいいし、なんか幸せな気分になれるんだもん」
「………あのな………」
「それがダメでもさ。俺、バルレルのこと好きだから、一緒にいたいな」
「……………」
 無言になって、バルレルは振り上げた拳を下ろし、うつむいた。
 マグナが上からバルレルの顔を覗きこむ。
「バルレルー?」
「………ッ!」
 ごつん。
 バルレルは顔を思いっきり振って、マグナの頭とぶつけた。
 マグナが額を押さえ、のけぞって座りこむ。
「〜〜〜〜っ! 何すんだよ!」
「もしヘタクソだってみろ! 思いっきり笑ってやるからな!」
「………」
 マグナはちょっと考えて、にこっと笑った。
「了解。頑張るよ」
「……マヌケなこと言ってんじゃねェ、このボケ!」

 とりあえずは、キスから。
 マグナはベッドに座っているバルレルを抱きしめ、ディープなキスをかます。
 舌をバルレルの唇に突っ込み、舌と絡め合わせたり歯の裏をなぞったり。
 バルレルも舌を突き出して、やりやすいようにしてくれた。
 レロ、クチュ、ジュッ、チュパッ。
 聞こえてくる音に妙にそそられる。
 数分間キスを続けて、お互い頭がぼうっとなってきたのを見計らってマグナはバルレルをベッドに押し倒した。
「ん……」
 バルレルがベッドの上で体を動かす。どうやら翼と尻尾が体の下に敷かれて痛いらしい。
 マグナは背中に腕を入れて、体を浮かせてやった。
 と同時にその腕で背中やお尻をなでさする。
 なでなで、さすさす。
「………」
 バルレルはむすっとしているが、時折くすぐったげに身をよじっているのをみるとそれなりに感じてはいるらしい。
 マグナはちゅっちゅっとバルレルのほっぺに、鼻に、唇に何度もキスを落としつつ、少しずつ頭を体のほうへ移動させていった。
「バルレルってさ、サプレスにいた頃、言い寄ってくる奴とかいなかったのか?」
 胸に頭をすりよせながらマグナが言う。
「……いたさ。オレほどの悪魔になれば、いくらでも……その気になればよりどりみどりだ」
「でも、その気にならなかった?」
「まァ、な……いちいち付き合って女房面されるのも鬱陶しかったしな」
「けど、一度もしなかったってわけじゃないんだろ?」
「そりゃ、確かにそうだがよ……」
「のわりにはすごく感じやすいよな。めちゃ敏感っていうか」
 ガバッ、と急にバルレルが体を跳ね起こした。
「あのな! それは単にテメェがオレの召還主だからだッ! 制約されてる召還獣には召還主の魔力は強力な力の源になる、その魔力が流れこんでくるから感じてるみてェに見えるんだよッ! 間違ってもテメェのお粗末なワザのせいじゃねェからなッ!」
「わかったわかった、そういきりたつなって」
 どうどう、となだめながらまたマグナがバルレルをベッドに横たえさせる。
「まあ、理屈はどうでもいいじゃん。お互いに気持ちよければさ」
「……フン」
 バルレルは横になりながらそっぽを向いた。
 マグナはバルレルの体のあちこちにキスをしながら、器用に片手だけでバルレルの服を脱がしていく。首にかかっている三眼ゴーグルを外し、腰のベルトを外し、上下が繋がっている服の前側のジッパーを一気に引き下ろし、手足を抜いた。
「さて……こっからがまた大変だな」
 バルレルの体にぴったり密着した、ボディスーツである。
 そこら中にトゲトゲがついているし、なによりどこから脱がすのか一見したところではさっぱりわからない。
 だが、伊達に今まで何回もやっているわけではない。
 マグナはまず靴を脱がせた。ボディスーツはつま先までをぴっちり覆っている。
 実を言うとジッパーは股の間にあるのだが、ちょっと見ただけではわからないように上にホックがかかっているし、それを腰より上に上げるにはちょっと進むごとにホックを一つ一つ開いていかなければならないのだ。
 かなり根気の要る作業だが、マグナはむしろ楽しそうにホックを開いては少しずつジッパーを上げていく。
 ジッパーを首の上まで上げてしまえば、あとは手足を抜いてしまうだけ。
 すぽっ、と体を抜け出させて――バルレルの生まれたまんまの姿、と言うと語弊があるがとにかくバルレルのすっぽんぽんになった体がマグナの目の前に現れた。
 むろんしっかり筋肉はついているがどこもまだ子供体型が抜けきっていない体。あらわになった肌はそれこそ陶磁器のように滑らかだ。
 バルレルはやや顔を赤くしてそっぽを向いているが、どこを隠しもせず手は脇に置いている。
「…………」
「…………」
「……なに、いつまでもじろじろ見てやがんだッ……」
 マグナはすべすべの肌を目の前にさらしているバルレルを、にこにこ笑いながらじーっと見つめていたのだ。
「え、だってさ。バルレルの裸って、可愛いし綺麗だからさ。する前に思う存分見ておきたいなーって思って」
「テメェ……ッ」
「肌とかすべすべだしさ。ここなんかすごく綺麗な色してるし」
 マグナがバルレルの薄いピンク色をした乳首をそっとつまむ。
「ん……ッ」
 バルレルは体を硬直させて顔を切なげに歪めた。
「ここも綺麗だよな。子供っぽくて可愛いしさ」
 そう言いつつ今度は剥けてはいるものの毛の生えていない、体に合わせて小ぶりなペニスを掴んで揉むように撫でさする。
「く……んッ……あ、んっ」
 『あ、んっ』と言った瞬間バッとバルレルは自分の口を塞いだ。どうやらそんな可愛らしい喘ぎ声を自分がたてたことが許せなかったらしい。
 マグナはくすっと笑った。
「いいじゃん、声たてたって。可愛いよ」
「あのな……その可愛い可愛いっつー言い方、ムカつくんだよッ!」
「だって本当に可愛いし。それに声我慢してたら気持ちいいほうに集中できないじゃんか。どうせやるなら気持ちいいほうがいいと思うけど?」
「………勝手に言ってやがれ」
 バルレルはふんっとそっぽを向いた。笑って手を伸ばしてくるマグナを、きっと睨んで言う。
「テメェも脱げ! オレだけ一方的に見てんじゃねェ!」
「あ、うん、わかった、今脱ぐ今脱ぐ」
 マグナは服に手を掛けると、サッサッと手早く脱いだ。あっという間に素裸になる。
 またにっと笑って、バルレルの体の上に身を乗り出す。
「じゃ、やるぞ?」
「ゴタク並べてねえでやるならさっさとやりやがれ」
 マグナはあははと笑って、バルレルの素裸の体を抱きしめた。
 最初の時のようにひたすらすりすりと体をすりよせ体中を撫でまわしながら、あちこちにキスを落とす。
 バルレルは唇を噛んで、その体をムズムズさせる愛撫に耐えた。
 やがて頭を移動させ、マグナは乳首にキスをする。口の中に含んで、舌と歯を使って転がすように弄んだ。
「ん……く、ゥッ……」
 耐えきれず、バルレルの口から声が漏れた。
 マグナは笑って、乳首を転がしながらバルレルのペニスに手をやった。
 睾丸ごと手の中に包み込み、今度はもっとはっきり揉みしだくようにする。
「ん、ふッ、う」
 はぁ、と切なげに息をはくバルレル。
 マグナがバルレルの尻にもう片方の手をやって、マッサージするように揉んだ。
 既に勃ち上がっていたバルレルのペニスが、ふるふると震えだす。
 それを見計らって、マグナはひょいと顔を下げてバルレルのペニスを口に含んだ。
「んあッ!」
 バルレルが思わず声を上げる。
 マグナはそれにかまわず口の中のペニスを弄んだ。
 舐めたり、吸ったり、口を上下に動かして歯で扱いたり。
 くちゅ、じゅっ、ぴちゃ、といやらしい音が立つ。
 その度にバルレルはびく、びくと体を震わせた。
 ふと、刺激が止まる。
「……?」
 不審に思ってバルレルが顔を起こしてみると、マグナはベッド脇の小さな壷を取って、中身を手に出していた。
「それ……」
「潤滑油だけど?」
 バルレルがむっと顔をしかめる。
「またオレがやられんのかよ。ッたく、なんでいつもいつもオレがやられる側なんだ?」
「そんじゃ、今度試しに交代してみる?」
「え……」
 不意をつかれたような表情になったバルレルを見て、マグナが笑った。
「冗談だよ。バルレル実は挿れられるの好きだもんな」
「なッ!」
 がばっと起き上がりそうになったバルレルを、なだめながらまた横たえさせる。
「ッたく、誰が挿れられんのが好きだッつーんだよ……」
「まあまあ」
 つぷっ、と潤滑油をたっぷり塗った指が、バルレルの中に入った。
「ひッ!」
 不意をつかれて悲鳴を上げるバルレル。
 それをなだめるように、マグナはまたペニスを口に含んで刺激した。
「あ、んあ、んッ……」
 気持ちよさに力が抜けてきたバルレルの体に、挿れる指の数を増やしていく。その度にバルレルのアナルに、たっぷり潤滑油を塗りつけて――
「ん、ふう……う、ん……」
 バルレルはアナルからの刺激に切なげな表情になって、ときおり身をよじらせながらマグナの愛撫を受けた。
 ――かなり時間をかけて愛撫した後、マグナはバルレルの体を起こした。
「んあ……?」
 半ば呆けたようなトロンとした目でマグナを見るバルレル。
「挿れるから、ちょっとオレの上に乗って」
「ん……」
 ペニスとアナルの両方を刺激されたので意識が蕩けてしまったのだろう、バルレルは素直にマグナの股の上にまたがった。
 正常位で挿れるとバルレルの翼と尻尾が痛むため、マグナは俗に言う駅弁ファック″という体位を好んだ。
 ぼうっとした顔でマグナを見ているバルレルのほっぺに笑ってキスをすると、マグナはバルレルを持ち上げて滑らせるような感じでペニスを挿れた。
「んくッ!」
 バルレルが体を震わせた。既に何度も挿入されているとはいえ、挿れられる時はやはり苦しいらしい。
 おまけにこの体位だと体重がかかってかなり深く挿入されるのだ。
「う、んんンッ……」
 苦しさに耐えながらはふはふと息をつくバルレルの背中を、マグナが優しく撫で下ろす。
「俺にしがみついて。爪立ててもいいよ」
 言われるままにバルレルはマグナにしっかりしがみついた。顔を胸にすりよせ、腕を背中に回して体と体を密着させる。
「力抜いて。動かすから……」
 言いつつマグナも左腕をバルレルの背中に回し、もう片方の手でペニスをいじる。
「んは、うふう、ん……」
 バルレルが荒く息をつきながらマグナの体に頭をもたせかける。頃合やよし、とみてマグナは律動を開始した。
 んぷ、ぐぷ、ぬぷっ、ちゃっちゃっ。
 ひどくいやらしく感じられる音が部屋の中に響き渡る。
 下から上に腰を動かすのでどうしても動きが小さくなってしまうが、体重がかかっているのでそれでもかなり奥まで届く。
「ん、はっ、あっ、んっ!」
 バルレルの声が激しくなってきた。体の中心を突かれているので、どうしても自然に声が出てしまうのだ。
「く、ふっ、んっ」
 マグナも微妙に締めつけてくるバルレルのアナルに思わず呼吸を荒げる。その拍子に思わず声が出てしまう。
 マグナは腰の動きをただ突くのからねじりこむようにグラインドするようにした。バルレルの細い腰をしっかり掴んで、自分は腰を回転させながら様々な方向から突く。
「んひっ、あっ、くふっ、ひぐぅ!」
 体の奥をかきまわされ、奇妙な声を大声で上げるバルレル。その腕は耐えるようにしっかりマグナに抱きついて、ペニスは先っぽから汁を垂らしながら震えている。
 気持ちいいんだな、とマグナは笑って、バルレルのペニスを優しく扱き出した。
「ひあっ! んふっ、んっんっ、あんっ!」
 もはやバルレルは恥も外聞もない状態だった。ちゃっちゃっ、と結合部から音を立てながら幾度も体の奥を突かれ、ペニスを扱かれて体中が快感で満たされている。
「あっ、ひゃっ、んふぁっ、ん!」
「ふっ、んっ、くうっ」
 互いに声を上げながら、快感のボルテージを上げていく。突いて扱かれ、抱かれ締められ、意識が飛びそうになって――
『あ………ッ!』
 二人はほぼ同時に、頂点を迎えていた。

「…………………」
 バルレルはずーんと縦線を背負って毛布に包まっていた。
「……あのさあ、別にそんな落ち込むことでもないだろ? お互い気持ちよかったんだしさー」
「……別に落ちこんでなんかいねェ」
 と言ったそばから、暗い雰囲気をしょってブツブツ言い出す。
「なんでこのオレがいっつもいっつも……ニンゲンごときに……しかも挿れられてイくなんて……」
「あーもう、しょうがないなー」
 マグナはひょいと毛布ごとバルレルを包み込むように抱きしめた。
「心配するなよ。どんなにお前が落ちこんでて、自分のこと嫌いになっちゃっても、俺はおまえのことちゃんと好きだからさ」
「……ンなこと言われても嬉かねェよ」
 ふんっとそっぽを向くバルレルに、マグナはいきなり少し毛布をはいで顔を覗きこんだ。
「あ、やっぱりお前今照れてるだろ?」
「照れてねェ!」
「うそつきー」
 くすっと笑って、ほっぺにちゅっとキスを落とした。


戻る   次へ