この作品には男同士の性行為を描写した部分が存在します。
なので十八歳未満の方は(十八歳以上でも高校生の方も)閲覧を禁じさせていただきます(うっかり迷い込んでしまった男と男の性行為を描写した小説が好きではないという方も非閲覧を推奨します)。
あと下品な表現もちょろっとありますのでそこらへんが苦手な方もご注意を。
それからキャラに貞操観念というものがほとんどありませんので、その辺りもどうぞご了承ください。



jackpot boy's come fly
 よう! オレ、ダイチ! 元聖夜学園小Jチェア、相馬空海のしゅごキャラだぜ!
 卒業してからオレたちあんまりっていうかほとんどガーディアンの仕事には参加できなくなっちゃったけど、別に遊んでるわけじゃないんだ。オレ、っていうか空海はオレたちだけの力で中等部の×キャラ……とか……っていうか……とにかくそれっぽいのと戦ってるんだぜ!
 じゃあ今日はさっそくその一幕を紹介するな。放課後、部活が終わったあと、空海は顧問の篠田先生に体育倉庫に呼び出されたんだ。
「ちーっす。先生、なんかあったんすか?」
 空海でもさすがに部活関係の先生や先輩には基本敬語を使うぜ。体育会系の上下関係って厳しいからな。けど、そーいうのを自然体でこなして時々敬語忘れてもいっかーって雰囲気作り出しちゃうのはさすが空海だよな。
 で、その声にこっちに背を向けて立っていた篠田先生は、くるりとこちらを振り向いた。いつものごとくジャージ姿で。
「待ってたぞ、相馬。もっとこっちに来い。扉をしっかり閉めてな」
「はぁ」
 空海は言われた通り扉を閉めて先生に近付く。オレは篠田先生の目の光がどーにも怪しい気がして、空海の耳元に囁いた。
「空海、変だぞ。なんか今の先生変な感じがする」
「けど行かねーわけにもいかねーだろ。なんか妙なことしてきたらその時はその時だって」
「なにを独り言を言っている、相馬」
「ああはいはいなんでもないっす! で、先生、なんの用なんすか?」
 篠田先生の前に立ち笑顔で訊ねる空海――その両肩を、唐突にがっしと篠田先生のでかい手が握り締めた。
「……相馬」
「はい?」
「好きだぁーっ!!」
「わっ!?」
 篠田先生、いや篠田ががばたーん、とマットの上に空海を押し倒す。オレも空海も驚いて、暴れたけどさすがに力では学園一の筋肉を誇ると言われる三十歳体育教師の篠田にはかなわない。
「ちょ、篠田先生っ、たんま、たんまっ!」
「ああ、相馬……夢にまで見たお前の体……しなやかな手足、無駄のない筋肉、つややかな肌……なんて可愛いんだ……たまらん、相馬っ」
「うわ、人の話聞いてねー……つか、脱がさないでくださいって、ちょっとっ!」
 篠田の手はがっしり空海を押さえつけながらも、器用に空海の服をどんどんと脱がせていく。まだ着替える前だったからサッカーユニフォームのままだった空海は、みるまに上をまくり上げられ、下を引き下ろされ、どんどんと服の上しか見てない奴らが見たらびっくりするくらい白い肌身を体育倉庫のかび臭い空気に晒していった。
 そしてその手がついにパンツ(ちなみに今日は無地のトランクスだぜ)にかかった瞬間、空海は舌打ちしてオレに言う。
「しょーがねぇ、ダイチ! やるぞ、キャラチェンジだっ!」
「おうっ! キック、スタック!」
『キャラチェンジっ!』
 キャラチェンジした空海は篠田を上回る力で篠田を跳ね飛ばし、蹴飛ばし、立ち上がった。キャラチェンジすればこんな奴にオレたちが負けるわけないもんな!
「わりーけどオレ、無理やりされる趣味ないんで!」
 言って篠田に背を向け、身づくろいをして出ていこうとする――と、背後にずもももん、と嫌な気配がした。
「……っ!?」
『……相、馬ぁぁ……』
 しゅるるるるっ、とぬめぬめとした肉色の大人の指三本ぐらいの太さのみみずみたいな、でもやたらびきびき筋が入ったなにか……触手? みたいのが何本も伸びてきて、空海の手足に巻きついた。そしてそのまま高々と宙に吊り上げ、空中にぶら下げる。
「な……なんだっ?」
『相馬ぁぁ、可愛いぞ、可愛がってやるぞぉぉ』
 篠田だったものは腰から下が何十本もの触手に変わっていた。下半身がうぞうぞと気持ち悪くうごめいてるのに、篠田の目はぎらぎらとどっかイっちゃってる感じに輝き、口元からはだらだら涎が垂れ流されている。そのバケモノみたいというかもろバケモノって感じの姿から感じられる気配に、オレは思わず叫んだ。
「これは……ダメたまだ!」
「ダメたま!?」
「いや、今名付けただけだけど!」
「今かいっ!」
「あれはきっと、篠田の『なりたいけどなっちゃいけない』っていう心の可能性が形になったものなんだ。『こうなりたい』って胸を張って目指せるものじゃなくて、ダメだって、なっちゃいけないってわかってるけど、それでも心の底ではなりたいって想いが抑えられない心の可能性。それがすごく強かったからダメな心の卵が暴走してダメキャラにキャラなりしちまったんだ! たぶん!」
「たぶんかよ! ってか、どーすりゃ元に戻せるんだっ?」
「わかんねー……あむみてーな力があれば×キャラみてーに浄化できるのかもしんねーけど……」
「オレは×たまの浄化もできねーしなー、くそっ……って、わっ!」
 触手がうぞうぞと動き始めた。空海を宙に固定している触手はそのままに、何本ものぬめぬめした触手が空海の体を這い回る。
 必死に暴れたけど、どうやらこの触手は一本一本が篠田の腕以上の力を持っているようだった。あっという間に空海のユニフォームはずり下げられ引き裂かれ、半脱げというか裸にユニフォームが引っかかってるだけ、って感じの格好になる。
「っの……んっ」
 触手の一本が怒鳴ろうとした空海の口の中に突っ込まれた。口に入れるには大きすぎる触手に空海はごほごほと咳き込んだが、触手はかまわず空海の口の中をぐちゃぐちゃとかき回す。先端から妙にぬちゃぬちゃした液が出てるみたいだった。
「ん……んんっ」
 そうして口の中を犯しつつ、触手の動きは変わっていった。液を擦りつけられてぬちゃぬちゃになった空海の体を、愛撫するように撫で、液をまぶすように弄りまわす。
「ん……ふ、うっ」
 空海が喘ぐ。触手は的確に空海のイイところを探り当ててきていた。きれいに筋肉の乗った胸を揉みしだき、引き締まった腹や脇腹を撫で回し、サッカー選手らしくしっかりとした、だけどそれこそカモシカのようにすんなりとした腰と足を指の一本一本までそれこそねぶるように触る。そして。
「ん……あ、うっ」
 空海の喘ぎ声に明らかな快感の色が混じる。触手の先が形を変え、おちょぼ口のような形になって、空海の乳首を転がし始めたんだ。粘液でぐちゃぐちゃにされた空海の乳首が、じゅるちゅると音が立つほどに吸われ、弄られる。
「ん、むう……あ、はぁっ、あふっ」
 そして、今度は空海の、年のわりにはでかいほうだけどまだほとんど肌と色が変わらないちんちんだ。先が穴みたいになって、半勃ちだった空海のちんちんを根元まで包み、じゅぷじゅぱといやらしー音を立てて啜りだした。これは相当キたらしくって、口の中を犯されながらも空海は身をよじらせて切なげに喘ぐ。
 と、篠田の上半身が動いた。相変わらずのイっちゃってる顔をすいっと空海に近づけ、にいっ、と口も裂けそうなほどに笑ませて、空海の体を持ち上げ股を開かせた。
「っ……」
 空海が息を呑む。この展開からしてそーなんのかなとこっそり考えてた通り、篠田は一本のひときわぶっとい触手をうぞぞぞと出してきた。その触手は空海の股間、ってゆーか尻の穴付近をつんつんとつつき、液でぬらぬらにしている。篠田は笑んだ口元からよだれをだらだらこぼしたままに、空海に顔を近づけ言った。
『挿れてほしいのか、相馬?』
「………っ」
 空海は喘ぎながらもきっと篠田を睨みつけたけど、篠田は笑みを崩さない。
『心配するな、痛くないからな。ちょっとちくっとしたら、あとはもう気持ちよくてたまらなくなるさ――』
「……っ、あ、あぁっ!?」
 ずぶり、とその太さも問題じゃないみたいに一番太い触手が空海の尻に挿さる――とたん、空海が悲鳴のような声を上げた。
『気持ちいいか、相馬? オレのをケツにハメられて、そんなにイイかっ!』
「あ、あ、ああっ」
 空海の様子は明らかに普通じゃなかった。たぶんあの触手には挿れた相手をムチャクチャ気持ちよくする力があったんだろう。空海の目は焦点を失い、触手を突っ込まれた口からだらだら液交じりの涎をこぼしながら、ひどく切羽詰った表情で喘いでいる。
『イイんだろ? イイって言え! 言わないとイかせてやらねぇぞっ、この淫乱小僧!』
 ずっ、ずっ、と勢いよく中の触手を動かす篠田に、空海は反論もできずにただあ、あ、と喘ぐしかできない。空海の尻の穴が広げられて、ぶっとい触手が挿しこまれ、口にも乳首にもちんちんにも、体中に触手が突っ込まれて。
『イイって言え、おらあっ! ケツもチンコも口も乳首も体中犯されてイイんだろうがっ!』
 空海は焦点を失った目で、震える声で答えを漏らした。
「あ……イ、イイ……っ」
 篠田のぶっ壊れた笑みが、たぶん快感に歪んだ。
『よぉし、イかせてやるっ、どぷどぴゅ精液ぶちまけろっ!』
「――――っ!!」
 空海のちんちんがどくん、と脈打ち、精液を放つと同時に、すべての触手の先端からどぱぁっ、と白くねっとりした液体が噴き出した。は、は、と荒い息をつくことしかできない空海は、忘我の表情でそれを受け止める。
 触手がするると空海をマットの上に下ろした。立っていられずがくりと膝をつく空海の前に、篠田はずいっと顔を近づける。
「なん……だよ、せん、せっ……」
 荒い息の下からそれでも気丈にそう言う空海に、篠田はにい、と笑った。そしてみにょーん、と体の輪郭を歪ませた。その体はむにょーんと三つの人間の大人よりはちょっと小さい大きさに分かれる。
「これって、分裂かよ!?」
 思わずオレは叫んだが、篠田はオレの声など気にも留めずに分かれた三つの体それぞれで空海にとりついた。その三体の篠田は、それぞれ微妙に顔貌は違え、全員どこかに篠田の面差しを残した中学校か高校ぐらいの男子になっている。
『もーズタボロだなー、空海ちゃん』
『かっわいそーに』
『今度はオレたちが優しーく可愛がってやるからなー』
 めいめい勝手なことを抜かしつつ、なぜか全員サッカーユニフォームなそいつらは、空海の体にとりつき、めいめい短パンをずり下げてでかいちんちんを取り出し、四つん這いにさせた空海に突っ込む。一人はまだ荒い息をついている空海の口に、一人はぐったりと投げ出された空海の手で作らせた輪の中に、一人はときおり白い液体を漏らすほどひくひくと大きく開閉を繰り返している赤く息づく空海の尻の穴に。
 ずぶり。どこも当然のようにすんなりとずっぷり中まで挿れられる。「っ……」と小さく空海が呻いた。
『おっ、空海ちゃーん、突っ込まれて感じちゃったー?』
『ケツと口同時にヤられて、手にもチンコ握らされて気持ちいーんだ。すっげ、もーチンコビンビン』
 尻に挿れてる奴がぴん、と後ろから空海のちんちんをはじく。まだつつましやかなぐらいにしか毛の生えてない、空海のちんちんがぶるんと揺れる。
「……っ、ぅ、ぁ……っ」
『気っ持ちよさそーっ、すげえエロい顔してしゃぶっちゃって。乳首までもー勃ってねぇ?』
『すっげぇなぁ、あの相馬空海がオレたちのチンコ突っ込まれてしゃぶってしごいてよがってるぜ』
 ずっ、ずっ、と篠田たちは息を合わせて体を動かす。空海はもうされるがままだ。何度も体勢を変えながら、前から後ろから下から上から、口を、尻を、体中を犯される。
「は……く、っ、あ……っ」
『へっへっへっ、すげぇよさそーじゃん、空海ちゃん』
『可愛いねぇ、いちいちエロく腰振っちゃって』
『じゃーそろそろイかせてやろーかぁ。俺らもそろそろ出してぇしな……っと!』
 篠田たちの動きの速度が上がった。横たわった一人の腰にまたがらされた、確かきじょーいって格好を取らされた空海は、下からぴたんぴたんと玉袋が揺れるぐらいの速度で突かれ、喉の奥までガンガンチンコ突っ込まれて、手でもしゅっしゅっとチンコしごかされて、自身の胸やらチンコやらも弄られしごかれて――
「あ……く、あっ!」
『おらイくぞ、出すぞ、中にどぷどぷ種付けすんぞっ!』
『喉の奥に出すぞ、全部飲めよっ!』
『顔にぶっかけんぞっ、たっぷりよがりやがれっ!』
 どくっ、どぷっ、とまた精液を放った。
 は、は、と息をつきながらぐったりとする空海をにやにやとやらしー目で見ながら、篠田たちの体がまたみにょーんと歪んだ。するりと空海の体から抜け出て、三体の姿はそのままに、一回り大きな大人の体へ変わろうとし――
 その前に、空海が呟いた。
「オレの心、アンロック」
 カァァッ、と世界中の人間がみんな星になっていっせいに輝いたみたいなきらめきがオレの視界を満たす。体中がはじけそうな気持ちよさに包まれながら、オレは卵に戻って空海と文字通りひとつになった。
 オレたちの体中に、世界の果てまで走っていけそうなパワーが満ちている。服装がずたぼろユニフォームからパイロットのようなものに変わっている。そしてそのエネルギーが爆発するままに、体を動かしつつオレたちは言った。
『キャラなり、スカイジャック!』
『な……なぁっ!?』
 慌てふためく篠田たちを睨み据え、空海は不敵に笑った。
「好き放題やってくれてどーも、篠田先生」
『なっ、お……お前抵抗する気力も失ったんじゃなかったのかっ!』
「じょーだん。抵抗しようと思えばいくらでもできたんだけどさ、やっぱ顧問のこころのたまご壊すわけにもいかねーじゃん? けど浄化のやり方もわかんねーからとりあえずやりたいことやらせてみたら満足すっかなーって思ったんだけどさ」
 ここで空海は軽く肩をすくめ。
「このままじゃ体力もちそうになかったし。明日も学校あるし。それにいい加減好き放題やられっぱなしってのも面白くなくなってきたし。そーいうわけなんで、とりあえず力ずくでぶちのめさせてもらうことにしたから。悪いな、先生」
『ちょ……まっ』
「ゴールデンビクトリーシュートォォォ!!」
 どごーん。

「あー……ったく、まだ腰いてー」
「大丈夫か、空海」
「まーな。つかお前、途中からかぶりつきで見といてその台詞はねーだろ」
「あ、ち、違うって! あれはただ空海の作戦がわかったから反撃の機会をうかがってただけで」
「そーかい」
 笑って言って空海はオレにデコピンをしたので、オレは頭を押さえつつもちょっと嬉しかった。持ち主に笑ってかまってもらえて嬉しくないしゅごキャラはいねーもん。
 あのあと、篠田は空海の一撃で元に戻った。たまごも篠田の中に戻ったみたいだった。で、そのまま放置――するわけにもいかないんで、保健室の先生に通報した(空海一人じゃ篠田を運ぶのつれーからな)。
 キャラなりした格好のままシャワー室に直行して、制服に着替えたあとでだけど。キャラなりするとどんな格好でも専用のコスチュームに変わるけど、元に戻った時裸同然のずたぼろユニフォームじゃまずいからな。
「ったく、ユニフォームが一着パァだぜ。あ、理事長に報告しとかねーとな。万一あんなんが日奈森とかの方に行ったら大変だし、対策考えとかねーと」
「だな。そしたらユニフォーム代払ってもらえるかもしれねーし!」
「まーな。……にしても腰いてぇ……篠田の奴好き勝手やりやがって。もー一発くらいかましときゃよかったかな」
「んなこと言って、実はけっこーノリノリだったじゃねーか、空海」
「んー……ま、それはそれってことで」
 にっ、と笑う空海に、オレもにっと笑い返す。しゅごキャラは持ち主の心の可能性。どんな時でも絶対に持ち主の味方だ。空海が本気で嫌がってたら、オレだってなにがなんでも死ぬ気で篠田に立ち向かってただろう。
 つまり、空海はなんのかんの言いつつちょっと楽しんでたってことで。ま、空海はあーいうの初めてじゃねーし、男だしな。それに面白いのも楽しいのも気持ちいいのも好きだし。
 なんてことを話しつつ、オレたちは空海んちに帰ってきた。玄関に靴を脱ぎ捨て、リビングに入る。
「たっだいまーっ」
「おう」
「……って、海童兄ちゃん?」
 空海は目を瞬かせた。リビングには長男の海童にーちゃんがいて、新聞を読んでたんだ。
「どしたんだ、珍しいじゃん。仕事、もう終わり?」
「おう。……お前は遅かったじゃねぇか」
「あー、部活終わったあと顧問に捕まってさー……っ、と!」
 冷蔵庫を開けようとしていた空海の動きは止まった。ふいに後ろから海童にーちゃんが空海の体を抱きすくめて、自分の方を向かせたからだ。
「なっ……なんだよ」
「なんだ、こりゃ」
 言いながら、海童にーちゃんは空海の胸元を指差す。
「……へ?」
「なんだ、こりゃ、っつってんだよ」
「へ……あっ」
 空海はやばっ、と慌てた顔になった。空海の胸元には、篠田の触手が吸いついた、鬱血の跡ができちまってたからだ。
 海童にーちゃんは、マジに怒るとヤクザ級に迫力のある顔に怒りのオーラを背負わせて空海をねめつける。
「てめぇ……ガキのくせに、バカな真似してんじゃねーぞ」
「いやこれはその、別にそーいう――んっ」
 思わず言い訳しかけた空海の唇を、海童にーちゃんはぐいっと体を抱き寄せて塞ぐ。かさかさに乾いた、どちらかというと分厚い、でもすごく熱い(と空海が言ってた)自分の唇で。
 目を見開いて空海はちょっとばたばた暴れたけど、海童にーちゃんはかまわず空海の体をしっかり抱きしめながら、触れさせたままの唇の角度を何度も変えつつ、空海の口の中を舌で探る。そのうちに空海も体から力を抜いて、なんかほわんとした顔つきになって、海童にーちゃんを抱き返し、とろんとした瞳でキスを返し始めた。
 ……まー、実はこーいうの初めてじゃないんだよな、実は。ぶっちゃけると。
 空海は昔っから海童にーちゃんに一番懐いてて、海童にーちゃんも(わかりにくいやり方ではあったけど)空海のことすげー可愛がってて、一人エッチとかそーいうエロいことちゃんと教えたのも海童にーちゃんだったんだけど。小学校卒業した夜にそれが一線越えたっつーか、押し倒されたんだよな、空海。海童にーちゃんに。
 で、あれよあれよという間に初体験しちゃって。別につきあうとかそーいうんじゃなくて、兄弟愛の延長線上ってことらしいけど。今もちょくちょくそーいうことやってんだよな、この二人。だからまぁ空海は男とどうこうってのは初めてじゃなかったんで、篠田のあれこれにもわりとフツーに対応できたんだけど。
 空海の口の中をたっぷり探ってから、海童にーちゃんは唇を離した。ぽわん、とした顔で腰砕けになって自分にもたれかかる空海を支え、台所の椅子に座らせてふん、と鼻を鳴らし。
「ガキのうちは、こーいうことは保護者としとくんだな」
 そう言ってちゅ、とこめかみにキスを落とし、海童にーちゃんはリビングを出ていった。
 空海はその後姿を見つめ、ちょっと恥ずかしそうな顔になってべえっ、と舌を突き出し(空海のこういうところが出るのはもう海童にーちゃんが絡んだ時ぐらいだ)、それから笑ってまだおぼつかない腰を叩いて立ち上がり。
「よーっし、ダイチ! 久しぶりに行くか! 一発、走りこみダッシュ!」
 と言ったので、オレは満面の笑顔で。
「おうっ」
 と拳を振り上げてそれに応えたんだ。

 とまぁこんな具合に、登場はしなくても見えないところでオレたちはいろんなのと戦ってるんだぜ! そういうわけだから、みんな、オレたちのこと応援してくれよなっ!

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