第5回
幻想異端文学大賞
募集要項
今回の「テーマ」:
“聖書”

「幻想異端文学大賞」とは?

 「幻想異端文学大賞」とは、あるひとつの「テーマ」にそってオンライン作家の方々から短編小説を募集し、審査の上、「最優秀幻想異端文学大賞作品」を選出するという、オンライン初のアンダーグラウンド系文学大賞企画です。
今回の「テーマ」は“聖書”です。

初めてご覧の方は、参考までに「募集要項」をご覧下さい)


受賞作品発表
※「皆様の批評」は読みたい方だけ反転してお読み下さい。


全作品一括ダウンロード(92k)


最優秀幻想異端文学大賞

クムラン・アーシュラム
作者:赤池あすら age: 27歳 sex: 男 作家
コメント:死海北西岸、クムランの洞穴群で共同生活する「エッセネ派」。平和なアーシュラムは、油を注がれた者の東方からの帰還によって、その秩序を乱していく。
 原始的、民族的なシャマニズムと、カバラー(秘教主義、伝承主義)を軸に、「イスラエル神話」の活劇化を試みた、アスラの懐古主義少年活劇シリーズのひとつ。人の強さとは、どのような生き方について言うのだろうか。
皆様の批評:キリストの存在感といい、歴史的背景の微妙なとらえ方といい、テンポいい展開といい、娯楽性満点の超A級芸術作品に仕上がっている/お金払ってでも読みたいと思った/設定が素晴らしい/面白い。ただ今回は会話だけで展開させる部分がちょっと気になった/面白かったです。でも、自分は「このお話の主人公、隣にいて同じように振舞っていたらやっぱり迷惑だろうな」って思いました。だって心配になっちゃうし/「キリストの活劇」と聞いて、一瞬物凄く期待した。読んでみると活劇ではなかった。作者があの作品を「活劇」と呼んでいるそのズレ方に、いまだに馴染めない。彼の文章力、表現力、総合的な創作力のみを客観的に評価する事しかできない/このボリュームを書きこなす力量は大いに評価します。「っぽうでボリュームのわりにはドラマが平坦な印象。これだけ緻密に背景設定をしておいてもったいない感じ



優秀賞

肋骨のイヴ
作者:きみよし 藪太 age: 24歳 sex: なし 白衣なウーパー
コメント:こういうのは初めて書きました。でも、頭の中の妄想は、半分以下しか文章になってくれませんでした。まだまだ修業が足りません。
皆様の批評:聖書の逸話にのせて、グロテスクで歪な少女の愛情を描き、救い様のないラストに向かってまっしぐらに崩壊してゆく、爽快なまでの絶望感に満ちた傑作/大迫力!!!!!生理的に受け付けない描写もありましたが、そんな個人的な好みはラストで吹っ飛んた。狂気あふれるその情景が目の前にググッと迫ってきて鳥肌が立つほど圧倒。すごい!!!!!/Qビック不在の今回、最も読ませてくれたのが本作/もっと、あんな事やこんな事、させていいんですよ。文学的になんて、考えなくていい!/「肋骨になりたい」とか全然説得力ないです。しかしその言い訳けがリアルです。先生に愛されたい。先生に触れたい。という気持ちを、どこか思春期の理性が聖書へと結び付けているんでしょう/たいへん良く書けましたの花まるです/良く出来たソープ・オペラ/エロシーンはさておき、この境界空間で出てくる『女性性』がステキ。「こういう狂い方なら、自分もちょっとやってみたい」って思う/物足りない。もう少し推敲を/文章がまだまだ


接神
作者:つぶら age: 25歳 sex: 女性 日記サイトではないはずなのに日記サイトだと思われている小説サイトの管理人
コメント:本当は好きじゃないんだよなあ、こういうの。あ、肩書きのが長い。
皆様の批評:チープなキリスト像が笑える。どこにでもあるような思春期の少女の気持ちが、官能的で冒涜的な設定のなか、笑って許してとばかりに展開する傑作/ラスト、過去形での終わり方が良かった/衝撃的な作品。これはある種のドキュメンタリーかも知れない。あの人を愛していた。というラストも衝撃的。恍惚を神学的に解釈する事で、女性でなくては手に入れられない秘儀参入があるのでしょう/割と誰も書いてないでしょう。ここまで。どこか奇麗事で終わらせている。赤裸々というか、つぶらさんて露出狂?って感じですね/「この人が神を空想するとは、こういうものを求めることなのか?」と思いました。それだけで充分面白いです/い、いやらしい/もう少しなにかがあれば/今ひとつ物足りない。まだまだ描けそうな印象を受けるだけに惜しい。現状では刺激的な出来事に頼った日記の域を出ていないように感じた



佳作

聖書
作者:週刊文学文芸編集長 age: 36歳 sex: 男性 LEVEL42戦士
コメント:聖書が書かれた意図は明らかです。いつ、誰が書いたかは問題ではありません。なぜ書かれたのかこそが重要で、そしてそれは私達自身自明の理であるところの「神たる視点」によるものです。即ち私達は皆、神たらんとする存在なのです。最も重要な唯一冊の本を創り出そうとしているのです。
皆様の批評:純粋に面白かった/よく解らない展開に頭がクラクラしたかと思ったら、そこに秀逸な聖書の解釈が隠されていた。ラストもとても好き。文句なしに面白い/テーマが興味深い/もっと現実と幻想の境界線が曖昧でも良かったかもしれない/文章レベルが明らかに違うのですが。出版・執筆関係の方なんでしょうか(笑)/下手すると陳腐になりがちなアイデアをここまで面白く文章化する手腕に脱帽。だけどそのわりには物足りない気がした。文章が上手いとそのぶん内容も期待してしまうので、力を出し切っていないように見えて損。とくにオチが弱い。せっかくここまで興味深い物語世界を構築しているのに、段差が低すぎる/小気味良い読み応えでした/さくっと読んですかっとする「文芸道」ってイカします/次回作にご期待ください



参加賞

ウエヌスとタンホイザー
作者:夜長 age: 年齢不詳 sex: 女性 バイセクシュアルの塾講師
コメント:風邪をひいて熱に浮かされながら、書き上げました。時間がなくて、きちんとしたベットシーンがかけなかったのが残念です!
皆様の批評:夜長さんほど、幻想異端な世界でめざましく成長している作家はいないと思う。そういう点で、これまでの発展と、今後への期待を込めて、この作品を私は最大限に評価し、その存在価値を崇拝します/西洋物語風の丁寧な語り口に好感が持てました/元ネタを良く知らないのですが、楽しめました/既存の物語を夜長さん独特の世界で実に妖艶に物語っている。どうだろう、しばらくオリジナルではなく、神話や伝説、伝承の類を、トレースするような作業を繰り返し行って行くと、彼女のオリジナルの物語にも凄みが増すのではないだろうか。最高点は、その時にとっておきたい/これは語り部による語り形式ではなく、肉感性のある言葉で表現して欲しい話でした/あらすじっぽかったのが少し/小さくまとまってしまっている


狂(凶・境・叫)
作者:長島剛 age: 皇紀2633年・ユダヤ歴5773年
  ・イスラム歴1351年生まれ
sex: 男 職業・長島剛
コメント:サスペンスホラーと呼ぶべきか、ミステリに分類すべきか、そんな作品です。一言書くとすれば、「楽しんで下さい。」
皆様の批評:展開が読ませる/長島さんが初めて構造的な手法を用いてモノを書いたような気がする。いろいろと評価できる点も多くなった。同時に指摘できる点も増えた/単純なストーリーに、聖書の引用をきれいに重ねたコンセプトがいい。でも文章がいまいちノレなかった/もう少し分かりにくい部分を多くしても良かったか/「すごく面白そうな」話でしたが、それは粗筋の問題。これはもっと表現形態を考えるべきだと思います/文章は上手だったなぁ、と/トリックがすぐに分かってしまったので、その後の文章は勿体ぶった感じがして読み進むのに苦労した。説明口調な地の文も感情を押しつけられるようで鬱陶しかった/聖書の引用句の使い方も素直すぎて物足りない


密やかな聖書の狭間で
作者:あかつき age: 31歳 sex: 惰性 係長
コメント:少しでも面白いと感じていただける部分があれば幸いです。
ちなみに主人公はたまらなく口が臭い……わけではありません。念のため。(笑)
皆様の批評:私が今回最も評価しているのがこの作品/とにかく筋運びが綺麗。聖書の狭間に差し込まれた電話番号。見つけて欲しかった不貞。裁かれるのか裁かれないのか、彼女は神託の彼に委ねる。しかし、勝ったのは人間だった。いや、神が不在だったのかも知れない。残ったのは、肉体だった。精神ではなかった。シビレました/アナタ乾きすぎ。自分はそうなるより小さなハッピーがそこらへんにあるのが好き/もう少し、行間が少ない方がいいです/綺麗だけど、難しい/狙いすぎの感が/聖書の使い方が陳腐。表現も稚拙で、退屈した


初めて御訪問の方は、御参考までに
「第5回幻想異端文学大賞」募集要項
を御参照ください。


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