仕事をしながら年を越した。ネットの仕事をしていると、年明けの瞬間はなにかと忙しい。運営しているホームページで新年のご挨拶をしなければならないからだ。よく正月にネットサーフィンをしていて、ホームページのトップページに「謹賀新年」だとか「明けましておめでとうございます」だとか「本年もよろしくお願い申し上げます」だとか書いてある、あれである。うちくらい運営しているホームページが多いと、とてもすべてには気が回りきらないので、1部のホームページだけでそれをやった。個人的に運営しているサイトは非営利なので、とくに何もやらなかった。
かように、年末年始といっても、俺にとってはそこいらに転がっている普通の1日と変わらない、起きて、めしを食って、仕事して、といったものであった。皆が年末年始だとか言って騒いでいるのを横目に、ひとりスーツを着ていつものように淡々と仕事をしているというのは、ある種の優越感のようなものを感じさせるが、街を歩いてみると何のことはなく、歌舞伎町などは特にこの時期に働いている人間であふれている。
一応年末らしいこととしては、年越しそばを食べた。食べたのは歌舞伎町のそば屋だった。そばを食べる前に、日本酒を飲みながら天麩羅を食べた。その後、閉店する前にスカラ座で最後にコーヒーを飲もうと思ったのだが、なぜかスカラ座の出入り口からおびただしい行列が出来ており、この寒いのに並ぶのは嫌だったので、外からお別れを告げ、他の喫茶店に入った。キャラメル・ラテを飲んで、テレビでイノキ・ボンバイエが始る前に、事務所に戻った。
ベルナルドはあぶなかったが、よくやった。グッドリッチは惜しかった。吉田もよくやった。佐竹もいつもよりは多分よくやった。ミルコは強かった。安田は健闘したが、弱かった。ちなみにあのタオル投入は、テレビ放映時間の都合で圧力がかかったのではないかと思えるくらい、不自然な気がしたが、いかがなものだろう。高山は最初でミスった。ボブ・サップは相変わらず。ではなく、意表をついた腕ひしぎ。ほほえましいじゃありませんか。ちなみにあの腕ひしぎは完全には決まっていないような気がしたが、レフェリーが試合を止めたのはまったく異論を感じないほどボブ・サップの力量が圧倒していた。とにかくみんな頑張ってるね。
新年が明け、悠里が近所の熊野神社に初詣でに行くというので、ついていった。俺は俺教の教祖であり信者なので、そういった宗教的な理由により、基本的には初詣ではやらない。第一、幻想異端者に初詣では無用である。それにしても外は寒かった。神社には、深夜デートかイベント気分でわいわいと、おでんを食ったり、酒を飲んだり、携帯で馬鹿な話をしていたりする若者であふれかえっていた。用事をすませ、腹が減ったので帰りにAMPMに寄って、タラコスパゲティとネギとろ巻きと納豆巻きとキュウリと卵とツナのサンドイッチと森永のホワイト・チコレートを買い、事務所に戻って「タイムボカン」や「千と千尋の神隠し」のビデオを見ながら食べた。ちょっと仕事をして、寝た。まことに完全無欠の年越しであったといえる。