映画「南京の基督」を見た。五年くらい前に人に勧められ、どうも見る気にならず、躊躇していた映画だが、ここにきていきなり見る気になって、借りてきた。これが結構かなり酷い映画だった。芥川龍之介の「歯車」や「南京の基督」の名シーンの数々が、浅薄で安易なストーリーに乗っかって、間抜けなまでに阿呆らしく映像に現される。あの短い小説を、長編映画のストーリーにはめ込むとしたら、これが一番安直な形だろうな。それに幼稚園の映画教室じゃないんだから、もう少し深く人間について考えよう。人間が泣いたり笑ったり怒ったり叩いたり死んだり生きたり苦悩したり困ったり信じたり疑ったりしていたが、何一つ俺にはその理由が解らなかった。富田靖子は良かったけどね。