非幻想異端的日常
2004年 3月 1日 (月)
カリシュマとタッブゥー インド映画「Hum Saath-Saath Hain」を見た。主演はカリシュマ・カプールとタッブゥー。あとどうでもいいがサルマン・カーンが出ている。
 これまたすごい映画だった。ストーリーが無い。三人兄弟とその結婚を中心に、幸せな家族をひたすらハッピーに描いたというだけの、普通そんな内容で三時間の映画がなりたつわけがないという内容だ。それでも楽しい歌と踊りと俳優の演技で飽きずに見せきってしまうのだから大したもんだ。最後の三十分くらいでちょっとだけ波乱のようなものが訪れるが、それもいたって下らないことで、この映画の脳天気ぶりをかえって強調しているにすぎない。
 俺としてはカリシュマ・カプール(画像左)の底抜けの笑顔とポップな演技を見ているだけで十分楽しかった。あとタッブゥー(画像右)はセリフが少ないながらも一番存在感があり、とても美しく印象的だった。「Mhare Hiwda Mein Nache Mor」という曲とそれが流れるシーンが一番好きだ。
 ハッピーな映画だけに悪者がおらず、ふだん他の映画で悪者役を演じている人たちがけっこう出演していたが、みんなここぞとばかりに善い人の役をイキイキと演じているのがまた面白かった。
 カリシュマ・カプールの映画をもっと見たいな。

 今週末はインド映画とインド料理ばかりに毒されてほとんど本を読んだり文章を書いたりできなかった。インド中毒だな。

2004年 3月 2日 (火)
 先日インド料理をかなりムチャクチャな作り方をした割にはおいしくできたことに味をしめて、またインド料理をつくってみた。今度もまたむちゃくちゃな作り方をしてしまい、今度は本当にまずくなった。やはり前回は偶然においしくなったようだ。

2004年 3月 3日 (水)
 ある人の紹介である人とお会いした。現状ではどうもあまり意味ある出会いではなかった。いつか意味あるものになるのかもしれない。それとも意味ないことが意味なのかも。

2004年 3月 4日 (木)
 ヤボ用で品川に行った。このヤボ用はちょうど一年前のヤボ用と関連している。ピッタリ一年前の今日だ。運命のシンクロニシティである。

 インド映画「Biwi No.1」を見た。この映画はサウンドトラックだけ半年くらい前に買っていて、曲だけ聴いていた。やっと本編を見れた。
ロロ 主演は近頃お気に入りのカリシュマ・カプール。そしてどうも好きになれないサルマン・カーン。あとジャケットには顔が出てなかったが、タッブゥーも出ていた。他にも先日見た「Hum Saath-Saath Hain」と偶然にも出演者が何人か重なっている。しかし映画のタイプはまったく違う。
 原案がタミル映画の怪優カマラ・ハッサンらしいが、確かにヒンディー映画の癖にアホなタミル映画のようなノリにあふれていて、歌もダンスもノリノリでむちゃくちゃ楽しい。インド映画にしてはテーマが不倫ものというのも珍しくてよい。サルマンはかなり軽薄な男を演じていて、個人的な感情も相まって、見事なハマり役に思えた。カリシュマ・カプールの嫉妬する演技がとても可愛らしい。また主婦からボディコンへの華麗な変身ぶりもなんともいえず素敵だ。
 アホな映画だが傑作には違いない。

2004年 3月 5日 (金)
 「8人の女たち」というフランス映画を見た。原題は「8 femmes」。この日記には書いてこなかったが、近頃フランス映画をまたちょこちょこ借りてくるようになった。フランス映画は何年たってもフランス映画という感じで、昔みたものの焼き回しみたいなものが多く、あまり俺をうならせるような作品に出会うことはなかったが、しかしこれは出色の面白さだった。
8人の女たち キャストがすごい。カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール他、フランスの大女優が総勢8人、ありがちなシチュエーション推理ドラマを繰り広げる。ちなみに昔フランス映画ばかり見ていた時期、この中の幾人かのファンだった覚えがある(カトリーヌ・ドヌーヴではない念のため)。それにしてもみんな老けたなぁ。
 冬の隔絶された一軒家で殺人事件が起きる。そこにいる8人の女性たちのなかの誰が犯人なのか? というミステリーを中心に、コミカルにエモーショナルにミステリアスにお話はテンポ良く進行する。シリアスの中に笑いがあり、バカバカしさのなかに人間の様々な側面が描かれる。レズだの不倫だの近親相姦だの出生の秘密だのゆすりだの、わいて出てくる伏線の数々。そしてラストのいい加減などんでん返し。
 これだけ言っても絶妙の域だが、おまけにこの映画はミュージカル仕立てなのだ! ミュージカルシーンは全編8曲。女優ひとりにつき一曲づつ。監督の好きな歌を好きな女優に歌わせ踊らせているという、自己満足以外の何ものでもないが、自己満足であるがゆえに、アンバランスな可笑しさに満ちている。だって、オバサンになったカトリーヌ・ドヌーヴがシルビア・バルタンを歌って踊るのだ。オバサンになったイザベル・ユペールがフランソワ・アーディを歌って踊るのだ。脱力の振り付けで。これで笑わないやつは往年のフランス映画を百本くらい見て出直して来よう。
 とにかくフランス映画もまだまだ捨てたものではないと思った。イザベル・ユペールもね。

2004年 3月 6日 (土)
 週末に横アリで行われるプロレスの試合のカードを見ていて、ダスティ・ローデスの名前を発見。こいつまだやってたのか。タッグマッチで、相棒はダスティ・ローデス・ジュニア。息子かよ。敵は大谷と小島。なんなく興味をそそられるカードではある。いまはもうダスティ・ローデスみたいなレスラーっていなくなってしまったな。そこにただ立っているだけでもうダスティ・ローデス以外のなにものでもない存在感というか、オーラのようなものがあった。昔はこういうレスラーがいっぱいいた。いまはプロレスの技も攻防もはるかに高度になってきて、一発一発の重みがなくなってきているだけに、それが引いてはプロレスラーそのものの存在感のなさに影響している。これは全体の空気がそうなってしまっているのだから仕方がない。プロレスといえば、週刊モーニングで連載しているプロレス漫画「太陽のドロップキックと月のスープレックス」はなかなか面白い。実在の人物に基づいたキャラクター達の位置構成がストーリーや漫画のコンセプトに非常にバランス良くのっかっている。

2004年 3月 7日 (日)
 いきなりE田さんが遊びにきた。暫くおしゃべりをして彼は帰っていった。俺は前日一晩中インド料理を作っていてほとんど寝てなくて、かなり支離滅裂な話ばかりしていたのではないかと少々心配だ。
 睡眠時間のリズムが完璧に崩壊したらしく、一日中地獄のように眠かった。

2004年 3月 8日 (月)
 自作のインド料理を食いすぎて、痔が悪化した。もう歩けないほどケツが腫れ、ちょっとした拍子に空前絶後の痛みが走る。何故だ。いままでレストランでどれだけインド料理を食べちらかしても痔が悪化したことなどなかったのに。俺はいったいどんな作り方をしたというのだ。スパイスを入れすぎたのか。しかしスパイスにレッドペッパーなどの辛みのきつい成分はいっさい抜いたはずだ。ならば調理法がいけなかったのか。よく解らんぞ。
 とうわけで、スパイスに詳しい方。痔を極度に悪化させるスパイス、あるいはその調理法なんぞがもしあるのだとしたら教えてください。

 インド映画「Abhay」を見た。「マトリックス」と「ターミネーター」と「羊たちの沈黙」をボロボロにかきまぜたような映画で、らしくないことするなよインド映画と文句のひとつも言いたくなるようなアホな映画だった。脚本・主演はカマラ・ハッサン。確かにこいつの仕事には違いない。もう映画に関してはどうでもいい。問題はゲスト出演のマニーシャ・コイララなのだ。
マニーシャ 俺の愛しのマニーシャをこんな使い方するなよ、ハッサン。あの美しいマニーシャが、ドラッグ好きパーティー好きのファンキーな映画スターの役で、主役のサイコ・キラーをホテルに誘い込みSMプレイのまねごとした挙げ句、ナイフでズタズタに惨殺され燃やされるという、もう泣きたくなるような扱いである。しかもマニーシャが「ボンベイ」の頃と比べて著しく太っているのもショックだった。顔はますます美しさに磨きがかかっているというのに、あの体型はなんだ。それでこの役だからもう、これだけでこの映画は駄作以外の印象を持つことが出来ない俺なのだ。
 はずれの少ないインド映画だが、たまにはこんなのもあるだろう。もともとらしくない映画だしな。ドラッグの描写はなかなかうまかったけどな。

2004年 3月 9日 (火)
 ボロボロの尻を押さえて必死に仕事まわり。
 夕方、占いの取材でレポーターの妹をひきつれ、六本木に。撮影はスムーズに終わる。妹にバルチック・カレーをおごって帰す。

 インド映画「Kuch Kuch Hota Hai」を見た。「くちゅ・くちゅ・ほた・へ」と読む。主演はカージョルとシャールク。助演にラニ・ムカルジー。あと途中でいきなりサルマン・カーンが出てきてびっくりして笑いが止まらなくなった。
 どこかで見たようなシーンがいくつか目についたが、この映画はそもそも主演がこのふたりということでも解るように、かの大ヒット作「DDLJ」(1月9日の日記参照)の二匹目のドジョウを狙ったもので、ストーリーも同じような花嫁奪回ものということで、同じようなシーンがあるのは仕方がない。逆にラニ・ムカルジーの存在や、前半のキャンパスでのドラマなど、「DDLJ」と違う部分がとてもよかったので、同じような要素はまったく気にならなかった。
カージョル カージョルの前半のカーレッジ・スチューデントの時のボーイッシュなキャラから、後半のロングヘアーでサリーをしっとりと着こなした美人のお姉さんへの成長がまぶしく印象的である。またカージョルのせつない演技が胸をうち、計四回くらい泣かされた。見事なまでにカージョルの映画だった。もうひとりのヒロイン、ラニ・ムカルジーのセクシーさも忘れてはならない。ちなみにラニ・ムカルジーってカージョルのいとこだそうだ。ぜんぜん似てないな。
 「DDLJ」ほどの高度な演出と精密な脚本は認められなかったが、内容の楽しさでこちらも同じくらい面白かった。傑作なんだな。

2004年 3月 10日 (水)
 今日はずっと事務所で仕事。身体を壊して歩けないのでちょうどいい。しかし長い目で見たらずっと座っているのは良いことではない。

 夜、墨森先生が遊びにきた。体調のこととインド料理の作り方について相談した。相談自体が矛盾しているな。

 深夜、横になってどおくまんの「嗚呼!花の応援団」を読んでいるうちにうつらうつらしてきて朝まで眠ってしまった。極めて自然な現象である。

2004年 3月 11日 (木)
 森田芳光監督の「黒い家」を見た。
 なんでこの映画を見たかというと、先週原作を読んだのだ。原作は非常に面白かった。ストーリーテリングが巧みで、随所にもりこまれた保険会社の事情などの豆知識も興味深く、クライマックスはスリリングでむちゃくちゃ恐く、最後の最後まで飽きさせない見事な小説だった。基本的に普段から好んで読むタイプの小説ではなかったが、それでも、もっと貴志祐介の作品を読みたいと思った。
 さて森田監督の映画の感想の方だが、こちらはひとことで足りる。

 なにこれ?

2004年 3月 12日 (金)
 体調がボロボロで仕事どころではない。
 昨晩急ぎの仕事が入ってしまい、朝4時までiBookに向かっていた。その後、赤いきつねを食べ、少しビデオを見て、明け方寝ようと思ったが、どうも眠れない。朝十時頃やっと眠くなってきたと思ったら、あちこちから仕事の電話が鳴り出し、対応に追われているうちに昼過ぎになった。もう支度して出かけなければならない。結局ほとんど一睡もできなかった。
 スーツに着替え出かけようと立ち上がると、全身にヒヤッと冷たい感触がかけめぐる。寝不足による冷や汗である。かなりヤバい状態かもしれない。おまけに痔も相変わらず悪く、歩くのが辛い。とにかく出掛けた。
 本郷三丁目で用事を終わらせ食事をした後、水道橋へ打ち合わせに向かった。まだちょっと時間があったので、薬局でユンケルを買い、そこらへんに座って細いストローでずるずるやりながら時間をつぶした。打ち合わせを終え、事務所に戻った。すぐに寝た。
 深夜12時頃起きて、またダラダラと仕事をはじめた。現在深夜4時半。そろそろ夕食をとって、インド映画のDVDでも見るか。

2004年 3月 13日 (土)
 体調はちょっとは良くなってきたが、まだ外出するのは辛い。

2004年 3月 14日 (日)
 オフ会。
 昼過ぎ、編集長一家と墨森先生がやってくる。事務所で歓談。悠里が降りてきて、すぐ上がる。4時過ぎ出掛け、西新宿のカラオケへ。Qビックさんと合流。7時、予約していた台湾料理「夜来香」へ。つぶら。静夜さん。いったん体調の悪い悠里を見に、家に帰る。暫くして戻る。長島さんが来ていた。編集長一家は帰っていた。暫く雑談して、11時前に解散した。
 オールナイトにはならず、こじんまりとしたオフ会だった。俺ももう歳なので、この程度がちょうどいい。Qビックさんはずいぶんスリムになられた。殺生森の古狸だったのが、ようやく古狐になられたという感じだ。次回の幻想異端文学大賞の企画について、いろいろ相談させていただき、参考になった。
 編集長の細君と哲学や詩について論争をしたのと、ご息女のカラオケが一番の思い出だった。とくにあの「とっとろ、とっとーろー♪ とっとろ、とっとーろー♪」(「と」にちょっと「た」を含めて発音する)はなんとも言えなかった。

 次回の幻想異端文学大賞はスペシャル・リニューアル予定だ。近日公開。

2004年 3月 15日 (月)
 朝コンビニに朝食を買いに行った帰り、いきなり尻から出血した。帰って薬を付けて横になる。どうも痛いので、そのまま一日中寝ていた。夜、悠里とデニーズで食事。その帰り、また出血。仕事をしなければならないのに、痛いのと煩わしいので思うようにはかどらない。今宵は最低限のことだけやって、風呂に入って寝よう。そして明日こそ、医者に電話しよう。

2004年 3月 16日 (火)
 朝、ネットで検索して一番よさそうだと思った病院に電話した。女の人が出た。初診をうけたいとの意志を伝えると「うちは保険がききませんが、それでもよろしいですか?」と受付嬢。
 保険がきかない。なぜだ。暫く迷う。
 ネットで検索し、厳選に厳選を重ね選んだ医者だというのに、しょっぱなから保険がきかないときた。
 尻はかなり切羽詰まっている。痛いし、血は出っぱなしだ。
 健康状態ならいざ知らず、この状況でまた他の病院を探すのはかなり神経をすり減らす。一刻も早く楽になりたい。この気持ちは痔になった者でないと解らない。考えてもみよ、常に自分の腸の一部がお尻から外に飛び出し、そこから血が流れ続け、座っても歩いても激痛が走るのだ。これ以上の精神的および肉体的苦痛があるだろうか。もはや正常な判断力など皆無である。日頃読書と芸術観賞とパワーストーンと人間関係で培っている洞察力もへったくれもあったものではない。
 とりあえず予約をとった。今日の午後5時。

 昼、コンビニに食事を買いに行く。戻る途中、また尻から出血。死ぬ思いで歩いて家に帰る。またズボンとパンツが駄目になった。昼食後、暫く休んで、事務所に行って仕事。

 4時、出かける準備をしている途中、また出血。慌てて悠里に生理用ナプキンを設置してもらい、でかける。この状態で駅まで歩いて電車を乗り継いで行くのは拷問に等しいので、家の前からタクシーをひろった。
 病院は青山の一角にある上品な建物。
 受付をすませ、ロビーで待つ。痛くて痛くてもうただ待っているのも辛い。十分ほどして、名前を呼ばれた。
 先生は、丸顔でよくしゃべる、感じの良い人だった。三十分ほど痔について詳しい話をし、ベッドに横になり、血だらけの尻を差し出す。尻に指をつっこまれ、内視鏡みたいなもので中を見られた。
 化膿する一歩手前で、もう少しで手術だったが、ひとまず薬でほとんど直るとのこと。一応、この医者は「切らずに治す」ことをモットーとしている先生だったので、他の病院だったら有無を言わず切られていたくらいの状態だったのだろう。言い訳ではないが、別に「切らずに治す」先生だからここを選んだわけではなく、ホームページで手術と入院の設備がととのっているように思えたし、先生も痔に関する著書を多く執筆していて信用できそうだったからで、正直、出来ればさっさと切ってもらって楽になりたかったのだが、ひとまず先生の意向を尊重することにした。保険もきかないことだし、暫く様子を見て他の医者に変える可能性もある。初診をうけた感じでは、金儲けには固そうだが悪い先生じゃなさそうだった。
 帰って早速座薬を入れ、薬を飲む。
 相変わらず出血は止まらない。

 果たして、ザッピー浅野の尻の運命や如何に!

2004年 3月 17日 (水)
 一日たって、尻はずいぶん楽になった。まだちょっと立ったり歩いたりするだけで尻から自分の内部が飛び出してくるが、ひとまず出血は止まった。ときどきすごく痛むが、昨日よりはだいぶおさまった。

 朝9時頃起き、薬を飲み、仕事をし、食物繊維を中心とした昼食をとり、薬を飲み、昼寝して、仕事をし、夕食を食べ、薬を飲み、ビデオを見て、WWEを見て、座浴をし、座薬を入れ、寝た。

2004年 3月 18日 (木)
 まだ外出をするのが恐いので、一日中事務所で仕事をしていた。
 なるべく規則正しい生活をしようと心がけているのだが、身体にしみついた悪習はなかなか元に戻らず、夜眠れなかったり、運良く眠れても変な時間に起きてしまったり、また運良く朝まで眠れても昼間眠くなってしまったりする。ちゃんと昼食をとると夜食えなくなるし、睡眠も食事も、ひとつのことに没頭していたりするとすぐタイミングを逃す。そして限りなくリズムはずれこんでゆく。というよりも、ずれていない時の方が非常に少ないのだ。生きて動いているタコを隙間なく弁当箱につめこむことが不可能なように、俺の生活は一定の形をとどめることが困難なのだ。ということを改めて思い知った。
 でもそれにしてはよくやっている方だとも言えるかもしれない。

2004年 3月 19日 (金)
 だいぶ体調がよくなってきたので、新宿内ならいいだろうと、外出。金融機関とビデオ屋を回った。最初は調子良くとっとこ歩いていた。痔は出ない。自由に外を歩けるのがこんなに嬉しいものかと感激していた矢先、突然さあっと下半身に不気味な違和感がよぎり、いきなり出血した。用事も半端で、慌てて血の海を泳いで帰った。家にもどり、血を洗って軟膏をつけて横になった。まだまだ外出は無理だとみえる。買ったばかりのパンツがまた駄目になった。今度は赤いパンツでも買うか。
 今週いっぱい休めば大丈夫だろうと思って来週はかなり外出の予定を入れてしまったが、果たして大丈夫だろうか。

2004年 3月 20日 (土)
 痔の医者に行った。二回目。調子を聞かれたので歩行中の脱肛は少なくなりましたと報告すると、それはよかったとおっしゃりながら、それでは視てみましょうと診察台に寝かされ、また内視鏡を入れられた。「脱肛は少なくなったとは言っても、まだかなりあれですから、外出は控えてくださいね」と最後に言われ、前回と同じ薬を渡されて帰された。まだかなりあれだそうだが、来週のことを考えると先が思いやられる。
 とりあえずデスクワークは大丈夫なので、今週末あたり次回の幻想異端文学大賞の更新をしようと思う。長らくほっておいたメールマガジンも発行しよう。

2004年 3月 21日 (日)
HAHK インド映画「Hum Aapke Hain Koun..!」を見た。主演はマドゥーリ・ディクシット(画像左)とサルマン・カーン(自主規制)。監督は3月1日に見た「Hum Saath-Saath Hain」と同じ人。さてここで、その3月1日の日記に書いた「Hum Saath-Saath Hain」の感想を振り返ってみよう。
  「Hum Saath-Saath Hain」は、3時間近くもある長さにもかかわらず、ストーリーがなく、ほとんど結婚式の模様を描いただけというとんでもない映画だった。最後の三十分くらいでやっと波乱のようなものが訪れるが、ほとんど映画の最後に付け足したようなものだった。
  さて、本日見た「Hum Aapke Hain Koun..!」はどういう映画だったのかと言うと、これがまったく同じなのだ! しかも映画の長さは輪をかけて長い、3時間半。やはりインドの結婚式の模様が延々と描かれ続ける(3時間だよ、3時間)。そして最後の三十分でやっと波乱のようなものが訪れる。その波乱というのが、これまで描かれてきた結婚式の奥さんの方が、唐突に階段から転げ落ちて死ぬという、またとんでもない展開である。さらにこの映画は、インド映画史上最高の興行成績をおさめたという(最近やぶられたらしいが)、またとんでもない結果をはじきだした映画でもあるのだ。
  この映画、見ているだけで幸せな気分になれる心あたたまる映画ということで、好きな人は好きなようだが、俺はただひたすらツッコミを入れたくなる感情を抑えきれないままに終わってしまった。これがマドゥーリ・ディクシットの代表作というのはどうも納得しがたい。はずれの少ないインド映画にあって、最高のヒット作がこれというのも、わけがわからない。まあ音楽とか、個々のシーンは面白かったけどな。しかし俺はむしろ、「Hum Saath-Saath Hain」の方が精錬されているように思えたし、いちおしのカリシュマ・カプールが主演していたこともあって、あちらの方が好きだ。というより、「Hum Saath-Saath Hain」はかなり好きな映画だ。
 インド映画はつまらなくても面白い、というインド映画の愛らしい一面を垣間みた一作であった。

2004年 3月 22日 (月)
クローサー 香港映画「クローサー」のDVDを買った。これは去年劇場に見に行って大好きだった、香港版チャーリーズエンジョルもどきの美少女活劇の名作である(2003年4月7日の日記参照)。この手の映画にしてはストーリーがよくできていて、演出もよく、アクションもかなり頑張っている。DVDで見直してみてひとつ気が付いたことがあった。DVDは広東語と北京語の両方のバージョンが見れるのだが、オリジナルが広東語であるにもかかわらず、広東語で見るとスー・チーとヴィッキー・チャオの声がまるきり違う女性の声の吹き替えなのだ。これが北京語にすると、本人たちの声になる。カレン・モクはどうかと言うと、これが逆に広東語でしゃべっていて、北京語は吹き替えだ。しかし彼女だけは、吹き替えであってもちゃんと本人の声で吹き込んである。では双方が絡むシーンはどうかと言うと、カレン・モクの方がふたりに合わせて北京語でしゃべっている感じなのだ。カレン・モクの唇の動きがたまに合っていないことを差し引いても、三人とも本人の声が聞けるだけに、やはりこの映画は北京語で見ることをおすすめしたい。ビデオは恐らくオリジナルの広東語になっているかと思われるが、ヴィッキー・チャオのあの舌足らずなしゃべり方とスー・チーの色っぽい美声なくしては、この映画の面白さは半減すると言わざるおえない。特にふたりの吹き替えの声は非常に味気ないアナウンサーみたいな澄まし声で、映画館でもこんなバージョンを見ていたのかと思うとやっぱりDVDを買ってよかった。

2004年 3月 23日 (火)
 Yahooショッピングのストア・カンファレンスに行った。これはYahooショッピングに出店している人たちが集まって、売上の向上にむけて講演を行ったり、懇親をはかったりする集まりである。うちの会社はYahooでパワーストーンを売っているので招待されたのだ。俺はホテルの食事を目当てに参加した。昼間は講演会、夕方から懇親会という構成だった。
 以前に似たような説明会に出席したときも思ったが、Yahooのやることはいつもどこか間が抜けている。日頃からお世話になってこういうのも何だが、今日もつっこみどころ満載のイベントだった。
 講演会は時間が押しまくり、予定時間が一時間以上も遅れた。しかも次から次へと現れる講演はほとんど中身がなく、もう少しちゃんとしたスピーチを頼む人間を選べなかったのかと思うほどおそまつな内容だった(一部、大変勉強になった部分もあるにはある)。あげくのはてに、ある人のスピーチで「わたしは楽天市場とYahooショッピング両方に出店してますが、やはり楽天さんの方が三倍ほど売上が良い」と暴露される始末。あれほど楽天撲滅に躍起になっていたYahooだから、事前に知っていたらこのような発言が許されるはずはない。最後の質問コーナーでは、Yahooショッピングのシステムの甘さだとか、セレクトストアばかり検索結果の上位に出てくることへの批判だとか、都合の悪いことを集中攻撃され、質問に答えるYahooの上層部は答えにならない答えを駆使して対応に追われるばかり。こういうときにここぞとばかりに頭ごなしに批判したがる参加者も見ていてあさましく、同じ穴の狢だが、このようにやり玉に挙げられるYahooという会社の器にもやはり問題はあろう。これまで他のショッピングサイトのカンファレンスに参加したことはあるが、こんな風には普通はなるものではない。
 講演会のあとのレセプションパーティーでは、それほど大きくない会場に参加者がごったがえし、やたら狭くてゆっくり歓談している場合ではなかった。俺はひたすら隅に座って、めしを食っていた。食事は至極うまかった。悠里は盛んに人に話しかけ、活発に前に出ているようだった。そのうち悠里がやってきて、誰とも話さずひたすらめしばかり食っている俺に、社長なんだから少しは人と話をして人脈を広げるべきだと怒り出し、俺はもともとめしを食いにきたのだし、今日のYahooの態勢の至らなさに呆れていた部分もあったので、一気に不機嫌になり、頭にきてそのまま飛び出すように会場を後にした。悠里とは暫く険悪なムードになっていたがすぐに元に戻った。
 まあなんだ、かなり間抜けなイベントだったが、それなりには楽しかった。これからもお世話になると思うので、Yahooさんにはとりあえずもっと頑張って、もっともっと器の大きな会社になって頂きたいと思う次第である。

2004年 3月 24日 (水)
 朝から動画編集をした。朝のうちに終わらすつもりが夜までかかった。考えてみれば当たり前のことだった。最近、動画編集の仕事が妙に多い。動画編集は時間がかかる。他の誰かにやらせられたら楽なのだが、誰もようやらないし、やってて楽しいことは楽しいのでつい自分でやってしまう。如何ともし難い。

2004年 3月 25日 (木)
 新宿西口でKさんと会った後、千葉に行って撮影をした。痔を酷くして以来はじめての遠出である。痔はなんとか大人しく腸内に納まってくれていて、生理用ナプキンも汚れることなく無事かえることができた。撮影はなかなか面白かった。

 千葉の中古メディア館で「チャーリーズエンジェル」「チャーリーズエンジェル/フルスロットル」のボックスセットがあったので、買った。ついでに女子十二楽坊の新しいアルバム「輝煌」を買った。
張爽と蒋瑾 「輝煌」はなかなかよかったが、前作と比べて一段と中国っぽさが薄れているような気がした。これまで買った女子十二楽坊のアルバムでは中国でのライブアルバムが一番中国っぽくて好きだった。100分以上のDVDライブ映像が入っていたのはかなりお得だった。暫く見ないうちに皆ずいぶんと垢抜けて美人になっている。特に琵琶の張爽(画像左)は痩せたのかかなり可愛い。 あと二胡の蒋瑾(画像右)は仲間由紀恵っぽい雰囲気があって個人的にちょっと好みである。

2004年 3月 26日 (金)
 給料日。金が入ったところで嬉々としてまたネット通販サイトを荒し回る。先月に買ったインド映画のDVDもまだ半分くらい見ていないのに、後から後からDVDが増え続けている。インド映画ばかりでなく、香港映画やその他の映画もあり、ビデオソフトもまだかなり未見のものがたまっている。よくDVDやビデオや本は集めるのが快感だという人がいるが、俺は決してそのタイプの人間ではない。誤解の無いよう言っておくが、見るために、読むためにそういったものは買うのだ。人と比べて、収集癖は薄い方だと思っている。ただそれらを嗜む十分な時間がないのである。

2004年 3月 27日 (土)
 痔の病院。やっぱり保険がきかないのはどうも高すぎる。他の病院も検討しはじめよう。このままでは破産してしまう。
 まあとにかくようやく外回りができるようになった。

2004年 3月 28日 (日)
 団鬼六先生が文藝春秋社から「生きかた下手」という本を出版することになり、それの出版会が歌舞伎町のロシアンパブにて行われたので、オフィシャルサイトの取材で出席した。会場に着くと、鬼六先生の新しい愛人さんを紹介された。鬼六先生に挨拶をしたら、やはり俺のことは覚えていなかった。
 ひととおり挨拶を終えると、ビデオカメラを用意し、すみっこの席で待機する。退屈しのぎに会場を眺めていると、くるわくるわ。作家の北方謙三、勝目梓、丸茂ジュン、女優の小川美那子(いつものメンバーだな)。宴が始まってから遅れて愛染恭子もやってきた。そしてなんと、杉本彩もやってきた。セクシーダイナマイトだ。生で見れるとは思わなかった。今日一番の収穫である。
 とりあえずひととおりビデオに納めて、宴が終わるやいなや、さっさと帰った。帰りに入口で鬼六先生の新しい愛人さんが新刊の「生きかた下手」をおみやげに配っていた。もちろん貰って、帰りのバスでむさぼり読んだ。むちゃくちゃ面白い。
 団鬼六というとどうしても古くさいSM官能小説のイメージが強いが、最近の彼は73歳の高齢にして、実に面白いエッセイや真面目な小説を精力的に書きまくっていることを知る人はあまりいない。またそのどれもが非常にクオリティが高く、面白いのだ。「真剣師小池重明」の映画化もいよいよ本格的に始動するようだし、これからますます団鬼六の再評価は高まってくるだろう。
 とにかく団鬼六の新刊「生きかた下手(文藝春秋社)」はなかなかおすすめの名著である。

Raja Hindustani インド映画「Raja Hindustani」を見た。ものすごい傑作だった。主演はカリシュマ・カプールとアミール・カーン。ゴヴィンダとのコンビでコメディ女優として名を馳せていたカリシュマ・カプールが、一気にインドを代表するスター女優へと飛躍するきっかけになった名作。いろいろ聞くとファンの間では初期のコメディ路線をなつかしむむきもあるが、シリアス路線のカリシュマもなかなかのものだ。共演のアーミル・カーンはこういった愚直な役柄がよく似合っていて、かの超大作「ラガーン」も思えばこんなキャラだった。
 この映画でもっとも有名なのは音楽。ラストを含めて三回ほどかかる「pardesi」という曲はインド映画史に残る名曲で、俺がいままで聴いたインド音楽のなかでも最も好きな曲のひとつだ。特にラストの曲の使い方はずるい。見事に泣かされた。かなりクサいが、クサくても匂わないのがインド映画のいいところと言えよう。
 いいシーンは他にもたくさんあって、カリシュマ・カプールのエモーショナルな演技が後半のほとんどのシーンを印象的なものにしている。とにかくこの映画は後半がいい。DVDで一生に渡って繰り返し見たい名作だ。
 早速サントラも買ってしまいました。

2004年 3月 29日 (月)
 一日中動画編集をしていた。

 そろそろいいだろうと思い、久々にインド料理を食べに行った。ネパール人の店員さんと、インド映画の話で盛り上がった。
 ひとつ、いいことを教わった(明日に続く)。

2004年 3月 30日 (火)
 仕事で池袋に行ったついでに、昨日インド料理屋のネパール人の店員さんに教えてもらったインド食品専門のスーパーマーケットを探索。あったあった。教えられた通り、インド映画がたくさんある。DVDはひとつ千円、CDはひとつ五百円、ビデオは二百円だそうだ。これまでネット通販で買っていたのが馬鹿みたいに安い。ないDVDは注文できるそうだし、これからはこちらを利用しよう。

2004年 3月 31日 (水)
 深夜、WWEのカナダのスペシャル番組がやっていた。見ているうちにいつのまにか眠ってしまい、半分も見れなかった。誰かビデオ撮った人おらんかえ。


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