非幻想異端的日常
2004年 9月 1日 (水)
 痔が悪化して、久しぶりにプリザエース軟膏を局部にぬったくったら、ピタリと痛みがおさまった。
 医者によると痔のぬり薬は大きく分けてステロイド系と非ステロイド系にわかれるらしい。ステロイドが入っていると炎症を抑える効果は抜群だが、そのぶん効きすぎて免疫力が弱まってしまうので、なるべくは使わない方がいいらしい。そこで最近はステロイドの入っているプリザエースは使用を控え、ステロイドの入っていないプリザクールジェルを使用していた。
 久しぶりにプリザエースを使ってみるとその劇的な効き目に驚きを隠せない。やはり劇薬なのだ。俺はこんなものをついこのあいだまで二十年間毎日使用しておったのか。

2004年 9月 2日 (木)
 二時間しか寝ていなかったのに、目覚めは至極壮快であった。仕事もはかどった。夜になり、やたら眠くなってきた。夕方、事務所に天野が来て仕事の打ち合わせをしたが、後半、眠気のあまり支離滅裂なことを言ってしまわなかったか心配である。

2004年 9月 3日 (金)
 わが社のMacの一番古いやつが起動するとピーと耳ざわりな音をたてるようになってしまった。耳ざわりなんてもんじゃない。脳の中心に針がささるような雑音だ。こんな音が一日中事務所に鳴り響いていたら社員が発狂するのも時間の問題だ。仕方がないので新しいMacを買いにソフマップへと出掛けた。ちょうど今月は決算だから、税金対策にもちょうどよい。
ぬりかべ 店員さんに聞くと、ちょうどアップルから新しいiMacが発表になったばかりなので、いま買うよりそれの発売を待った方がいいと言われ、もっともだと思って何も買わずに帰ってきた。今月中に買わないと税金対策にはならないが、発売が遅れたら予約して先に金を払えばすむことだ。
 しかし最近のMacのデザインはとんでもない。キューブや旧iMac、旧iBookの頃くらいまでは素敵だったが、宇宙ステーションのようなiMacが出たあたりからMacは確実にデザインがおかしくなってきている。今度のiMacはなんだ。モニターにハードディスクが入っている、というこの意味の無いコンセプト。見た目はほとんど妖怪ぬりかべである。でもまあ、Macだから許す。それに今のMacこなきじじいよりはマシだ。
 というわけで命名Macぬりかべ、買います。

2004年 9月 4日 (土)
 四谷の出版社で打ち合わせ。

2004年 9月 5日 (日)
昭和歌謡大全集 日本映画「昭和歌謡大全集」を見た。村上龍原作。出演、松田龍平、樋口可南子、岸本加世子、細川ふみえ、森尾由美、内田春菊。キャストはなかなか素晴らしい。
 しかし、なんなんだ、この映画。
 感想言うよりストーリー説明した方が早い。まず最初に少年が気まぐれで通りすがりのオバサンののどをナイフでかき切って殺害する。殺されたオバサンの友達がその少年ののどを包丁で刺して殺す。殺された少年の友達がそのオバサンのこめかみを銃で撃ち抜いて復讐する。その殺されたオバサンの友達が殺した少年たちのグループにバズーカ砲をぶっ放して虐殺する。ひとり生き残った少年は、オバサンたちの近所に核爆弾を投下してご近所もろともフッ飛ばして皆殺しにする。そういう映画だ。
 お話だけ書くと楽しそうだが、テンポが微妙にとろくさい。でもそれは人物描写の細やかさによるもので、作り自体はうまいし無駄なシーンがあるわけではないので、まあ許せる範囲ではあった。
 ところがこのとろくささがラストのオチの無さで一気にアダとなって表面化してしまう。いやそれとも核爆弾というのがすなわちオチなのかなあ。でもナイフ→包丁→拳銃→バズーカ砲→核爆弾ではストレートすぎてオチにはなり得ないよなあ。
 最後に尾崎紀世彦の「また逢う日まで」が流れるが、これはキューブリックの「博士の異常な愛情」の最後で核ミサイルを投下した後「晴れた日にまた逢いましょう」が流れるラストのもろパクりじゃないか。まさかこのラストがやりたいために「昭和歌謡大全集」なんてコンセプトにしたんじゃないだろうな。まあ原作を読んでみましょう。
 面白かったかどうかといえば、けっこう楽しめたことは楽しめた。ブラックユーモアという点では、「逆噴射家族」なんかのインパクトにはほど遠い。見終わった後の印象はやはり「なんなんだ」である。
 というわけで、浅く見る限りでは佳作あたりだが、深く考えてゆくうちに限りなく凡作に近づいてゆくというめずらしい映画であった。

2004年 9月 6日 (月)
 レンタルビデオで何を借りるか一時間ほど迷い、あれこれ候補にあがったなかで、けっきょく一番くだらないやつを借りてきた。帰って見てみて、やはり後悔した。よりによってなんで俺はこんなものを。感想なんて誰が書くか。

2004年 9月 7日 (火)
タイガーアイ他 うちでやっているパワーストーン販売店に、ずいぶん前タイガーアイのポイントを仕入れた。やたらカッコよくて俺がほしかったくらいだが、いいものこそお客さまに売らないと、と思ってガマンした。ところがこれが、何ヶ月たった今でも一向に売れる気配がない。頭にきたのでカレンダーに丸をつけ、この日までに売れなかったら俺がもらうぞと決めた。それが今日である。さっそく出してきて、秋葉のぬいぐるみやグレートサスケのサインや金ウンやドラえもんの人形などと一緒に事務所に飾った(画像参照)。実にカッコいい。こんな素晴らしい石を誰もほしがらないなんてね。

2004年 9月 8日 (水)
 知り合いの会社のテレビCMが放映されるというので、見てみた。
 それにしてもあんなものがついにゴールデンタイムのテレビでCMを流すようになったのか……。
 そんなことをしみじみ思いながらテレビを見ていると、いきなりCMは流れ、いきなり終わった。
 たった5秒。なんて短い。
 反響があるとは思えないが、まあまったく意味がないわけではない。ようするにステイタスってやつだ。広告の原点である。

2004年 9月 9日 (木)
 運営している検索エンジンのログがぶっとんだ。しかたがないので新しくCGIスクリプトをダウンロードしなおして、五千サイト以上のログを手動で移動させることになった。忙しいのにややこしい仕事ばかり増えやがる。

2004年 9月 10日 (金)
 第八回幻想異端文学大賞第二部門「連続殺人鬼を描こう!」がめでたく三作品そろった。今週末発表する。執筆中の方は急ぐように。同時に第三部門の募集も開始するので、参加希望の方は、募集期間が短いので気をつけるように。
 とりあえず今回はやはり「ロリータ」がメインなので、他のふたつはさっさと終わらせよう。

2004年 9月 11日 (土)
 渋谷で腹が減ったので、吉野家みたいなカウンター式の安いステーキ屋さんがあったのでそこに入る。霜降りのサーロインステーキが980円だというのでそれを頼んだ。それなりにやわらかくてうまかったが、なんか普通の肉の食感と違う。やわらかいというより、もろい。
 なるほど、これが以前に漫画で読んだことのある、腐る寸前の売れ残りの肉を、ひき肉にしてつなぎをまぜてこねまわし、人工的に脂肪をうめこんで端っこに脂身をつけたして作るという、合成霜降りステーキ肉なのか、ひょっとして。
 まあガムみたいにいつまでも噛み続けなければならない硬い肉よりはずっとましだが、脂身とかが部品のようにポロリと落ちたりするのはなんか肉として情けない。

2004年 9月 12日 (日)
インファナル・アフェア 話題の香港映画「インファナル・アフェア」を見る。アンディ・ラウ、トニー・レオン主演。あとあまり意味のない役でケリー・チャンが出ている。
 途中までは面白くてかっこよくて悲しくて、興奮して見ていたのだが、後がいけない。なんでこんな最後にしちゃったのかなあ。これはちょっと違うよなあ、どう考えても。普通に考えてこういう展開になるかなあ。途中までこんなに面白くうまく魅せてくれて、なんで後半こうなるのかなあ。残念だなあ。ぶちこわしとまではいかないが、感動の置いてけぼりじゃないか。
 総合的にかなり面白かった映画ではあるのだが、前半が面白すぎただけに、後半の破綻がなんか残念でしょうがない。
 つくりなおせ! 以上。

2004年 9月 13日 (月)
 第八回幻想異端文学大賞第二部門「連続殺人鬼を描こう!」の作品を発表した。
 とりあえず言いたいことはたくさんあるが、それはすべてが終わってから言うとして、とりあえず審査募集中である。

2004年 9月 14日 (火)
 夜遅く明るくなるまでせっせと仕事をしていた。
 がんばってるなあ、俺。なんてしみじみ思ったものである。

2004年 9月 15日 (水)
 夕方天野と箱箱さんがやってきた。うちの事務所はなぜか昔から来客が重なる。しかも本日は両方とも外注スタッフと同系統だ。まず天野が来て打ち合わせをし、しばらくして箱箱さんが来て打ち合わせをし、最後に皆でインド料理を食べに行き、戦うことと統率することについてざっくばらんに雑談をした。

2004年 9月 16日 (木)
 本日より我が社に新人の営業マンが入社した。ササキさんといって、俺が十年前新卒で入社した会社の先輩だったお方だ。いわゆるベテランである。
 これでついに我が社にも営業部といったものが新設できそうな予感だ。広告代理店で営業部がないというのは辛かった。いくら企画をたてても新しいクライアントを開拓をする部署がなければ意味がない。せっかくの人脈も宝の持ち腐れである。
 また一歩まともな会社に近づいたかもしれない。してないかもしれない。

2004年 9月 17日 (金)
最強 DVDでビートたけしの「座頭市」を見る。テレビの時代劇ドラマ風のまとまったお話しに、映画的な迫力とプラスアルファとキャラ性とダメ押しをもりこんで、ミスなく作り上げたという感じの、なかなか面白い映画だった。彼の映画をすべて見てきたわけではないが、たけしの映画で面白いと思ったのは実にデビュー作以来である。
 これまでのたけしの映画は変にリリカルな演出が、つっこみどころ満載のストーリーのギャグ性をひたすら引き立てるばかりで、笑い飛ばしてなんぼの世界だったが、この映画はそんなリリカルな部分をすっぱり切り落とし、ハリウッド的な娯楽性に徹したところが勝因だったと言えよう。

2004年 9月 18日 (土)
 新人のササキさんと池袋に営業にでかけようとしたところ、いきなりよしこさんから電話があり、ちょうど新宿にいてこれから帰るところだというので、一緒に池袋まで行った。毎日この日記を読んでいるので久しぶりに会ったような気がしないと言われた。

2004年 9月 19日 (日)
 団鬼六オフィシャルサイトに試しに拙作「華の穴」を掲載してみた。
 鬼六ファンがこれをどう読むのか、興味があるのだ。
 ちなみにこれは職権乱用であろうか。

2004年 9月 20日 (月)
 第八回幻想異端文学大賞第一部門【ロリータ】の締切がまた延長となった。ただ今回はまだトップページで次の締切を発表していない。というのも、このままずるずるレギュラー陣の作品があつまらず、延長に延長を重ねていってもきりがないので、現在執筆中の方々の様子をみてから、十分な検討のうえ、今度こそ本当の最終的な締切にしたいと思っているのである。なのでみなさん、今しばらくお待ちください。

2004年 9月 21日 (火)
 祝日。事務所で西遊記関係の本を読みふけり、ぶらぶらと近所を散歩し、インド料理を食った。

2004年 9月 22日 (水)
 忙しいのに、気になることがいろいろあって集中できない。こんなときは、本を読むのが一番だ。活字を目で追っていると、不思議と心が落ち着いてくる。
 それにしても今日は疲れた。たまっている仕事、さっさと片付かないかなあ。

2004年 9月 23日 (木)
黒沢映画フィギュア AMPMで黒澤明のフィギュアが売っているのをみつけた。「用心棒」と「椿三十郎」のキャラクターに、演出中の黒澤明と、ぜんぶで七種類。それぞれ彩色版と白黒版の二種類あり、箱の中にはその十四種類のどれかがひとつだけ入っている。数年前流行った妖怪根付けとまるきり同じパターンだ。
 これはまた微妙なものを作りおる。集めるか。どうするか。とりあえず、ひとつ買った。電車の中であけてみると、一番つまらない亥之吉(用心棒の丑寅の弟だ)の彩色版が入っていた。なんかくやしいので、帰りにもうひとつ買ってみた。今度は室戸半兵衛(椿三十郎の敵役)の白黒版が入っていた。これはちょっとましだった。家に帰って、組み立てて飾ってみる(画像参照)。なんかかっこいいぞ。困ったな。とりあえず、もう少し買ってみよう。

2004年 9月 24日 (金)
 祝日。仕事でQRコードの機能がついている携帯が必要になったので、西新宿のドコモショップに機種変更に行った。適当にF900iのシルバーというやつを選んだ。なんでもFOMAはこれまでの携帯のような面倒くさい手続きがいらず、FOMAカードをさしかえるだけで機種変更ができてしまうらしい。便利になったものだ。
 夜、インド料理を食べながら、古い携帯から新しい携帯へと、赤外線送受信でこれまで撮りためた写真や動画をうつしかえていた。どうでもいい画像ばかりだが、一応、思い出である。それにしてもこれも便利な機能である。
 一番面倒くさかったのが、これまで集めてきた膨大な数の着メロであった。着メロだけは著作権があるので携帯から携帯に移しかえることができず、けっきょくすべてダウンロードしなおした。数時間かかった。
 後で気がついたのだが、新しく買った携帯、うちの営業のササキさんと同じやつじゃないか。なんかつまらない。

2004年 9月 25日 (土)
 眠くて日記が書けない。

2004年 9月 26日 (日)
 毎週のように通っている行きつけの回転寿司に行った。あら汁を注文したら、大きなマグロの目玉がまるごと入っていた。これがうまいのなんの。脂がのっててトロトロで、呑みくだすと食道にまとわりつくような快感がはしる。よく来てるのでサービスしてくれたのかもしれない。行きつけの店をつくると、いいことあるものだ。

 家のCDプレーヤーが壊れたので、ヨドバシカメラに新しいCDコンポを買いにいった。安くて音がよさそうな、手ごろなのを買った。

 深夜テレビをつけたら、いきなり知り合いが出ていてびっくり。
 去年、仕事で一度おつきあいした女社長さんだ。がんばってるね。

2004年 9月 27日 (月)
 スーパーで松茸が三個入りで490円で売っていたので「安い」と思って買ってみた。帰って串焼きにして食ってみたら、あまりうまくなかった。まあ値段が値段なので当然かもしれない。ちょっとお腹が痛いのはなぜだ。

g@me 仲間由紀恵主演、東野圭吾原作の日本映画「g@me」を見た。仲間由紀恵は「トリック」を見て以来注目している女優なので、興味があった。
 ちなみに原作の東野圭吾は江戸川乱歩賞受賞のデビュー作「卒業」だけしか読んだことがない。高校の頃、江戸川乱歩賞にこっていたことがあり、毎年江戸川乱歩賞受賞作をかならず読んでいた時期があった。「卒業」はありきたりな学園ミステリーだったが、犯人である女学生の殺人の動機がとんでもなくて、少なからず印象に残った作品ではあった。なにせ、女学生がシャワー室で自慰行為を目撃され、恥ずかしくて殺人を計画してしまうのだ。当時フジテレビのゴールデンタイムでこれがドラマ化されたとき、そのシーンが目当てで思わず見てしまったものだ。
 で「g@me」である。まあ、だいたいこんなところだと思っていた通りのもので、いいところも悪いところも予想していたレベルを大きく超えず、悲しいくらいに普通の日本映画だった。一応ミステリーなのでプロセスが少し楽しめたというだけである。終わり方は冗談としか思えないほどかなりアホらしい。いまどきあれはなかろう。

2004年 9月 28日 (火)
 数日前たまに手持ち無沙汰の時にいいかと思って、たまたまiモードで見つけた「三国志」ゲームに参加した。これはユーザひとりひとりが三国志の武将になって、三国志の世界を縦横にかけめぐるという、マルチユーザ参戦型のシュミレーションゲームである。
 マイメニュー登録し、自分のデータを入力し、参戦すると、ゲーム開始は明日からだと言われた。次の日アクセスしてみると、いきなりどこかの陣営に入れられていた。早速はじめたが、データの見方が訳わからず、陣営のメンバーとの軍議用のフレメにも入ったが、後から後からメールが受信され、意味のない雑談もまぎれていたりして、なかなかついてゆくのが難しい。気が付いたら没頭していて解説ページを読んだりフレメで質問したり機能をいじったりしていた。
 ちょっと待て、俺は散歩しているときとかに、何気なく遊べるゲームがしたかっただけなのだ。なんで仕事のあいまにも一生懸命、こんなことをやっておるのだ。さては間違えたか。

2004年 9月 29日 (水)
 仕事で大塚に行ったついでにホープ軒でトンコツ醤油ラーメンを食する。
 ここのラーメンもだいぶ味が落ちた。ような気がする。たまたまか?

2004年 9月 30日 (木)
 新人のササキさんを連れて、I社にごあいさつ。I社のK社長とMさんは、かつて俺がササキさんとG社でサラリーマンだったときに上司だった人物である。もとG社にいた人たちはみんな我々のように独立して都内のあちこちにちらばっている。十年前みんな同じ事務所で働いていたのかと思うと今となっては信じられない感じだ。

 ササキさんの歓迎会で、スッポン料理に行った。生血、刺身、唐揚げ、鍋、雑炊と、いつものコースでたらふく食った。肉厚のスッポンにかぶりつき、小さな骨をプッと口先からつまみだしつつ口いっぱい頬張り、ぷるんぷるんでむちむちの肉を噛みしだく快感は何にもかえ難い。うますぎだ、スッポン。


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