非幻想異端的日常
2007年 2月 1日 (木)
 朝、来客予定だったが、俺がちょっと事務所を外している間に客が来て帰ってしまった。携帯くらい鳴らしてくれ。

 午後、六本木。

 新宿東口で人と会ってたら、音楽家のピロさんからいきなりメールがあり、その直後に会ってお茶した。何かと話しは尽きず、社長室になだれ込んでさらに雑談。話題は映画からSMまで、とどまるところを知らず。

 六本木で前から好きだったうどん屋「つるとんたん」が歌舞伎町にもあることを発見。去年の6月にオープンしていたようだ。

2007年 2月 2日 (金)
 高いデジタルビデオカメラを買ったモトを取るために、本職の方でも動画撮影の仕事を積極的に入れてこうと思ってて、今日もせっせとヨドバシなどに足を運んで必要な機材を買ってきた。そしてさらに出費はかさむ。
 社長室を撮影スタジオにして、つぶらやコジロウさんでテスト撮影。
 うん、まあそれなりに。

 今夜は久しぶりにベッドで寝た。ここ1週間ほど、DVD見てたり仕事したりしてる最中にいつの間にかソファーで寝てしまうパターンがずっと続いてた。やはりベッドはいいが、朝つい寝過ごしてしまうのが少し時間がもったいない。

2007年 2月 3日 (土)
 あるモノを入れるために西新宿でバッグを買って持ち帰ってモノを入れてみたら、ぜんぜん小さすぎて入らなかったので、慌てて返品してきた。代わりにもうふた回りほどデカいバッグを買ってきた。こちらはかなり余裕があった。
 まあデカいに越したことは…ないか。

 夕食はレトルト・カレー。俺はレトルト・カレーはMCCが好きだとは前にも書いたが、今日はそのMCCの「鳥肌の立つカレー」というのを食ってみた。鳥肌の立つくらいウマいカレーという意味らしいが、残念ながら鳥肌は立たなかった。

2007年 2月 4日 (日)
 週末。

 昼、新宿東口でアマパさんというメイク担当のかたと会う。
 自主映画Reのメイクさんがなかなか決まらず困ってて、コミュニティのずっと以前の彼女の書き込みを発掘し、コンタクトを取ったところ、快く参加を承諾してくれ、本日初顔合わせとなった。
 会ってみてえらく美人で驚いた。宇井郎監督が2時間ほど遅れてきたもんで、そのあいだ美女とふたりで喫茶店で話しをつなげてなければならず、非常に焦った。

 その後、宇井郎監督と横浜の石川町へロケハンに行った。
 大きな家で、主人公の部屋とヒロインの部屋で借りる予定だったが、あまりにも広いので全シーンここで出来そうな勢いである。
 ささっと見学とテスト撮影を終え、鍋をごちそうになった。思いがけずうまいものを食えて、嬉しかった。

 夜、その足で新宿に舞い戻り、美術担当の美大生3人とお会いする。この3人がまた美人で、しかも頭が良くその場で初めて脚本を読んでもらったのだが、飲み込みが早くて的確な質問や意見がバシバシ返ってきて、気持ちがよいことといったらなかった。
 中華料理で飲み食いしながら打ち合せと雑談は10時くらいまで続いた。

 今日は初めてお会いした4人の方々がこぞって美人だったという驚異的な日だったが、実はこの現象は明日へと続く。

2007年 2月 5日 (月)
 週末2日目。

 朝、日暮里で萌え系美人女優の浅葱さんと待ち合わせ、メープルというカツラ屋さんに行った。
 自主映画Reの撮影で彼女演じるお母さん役はもっと髪の毛の長いイメージだったので、カツラかツケ毛を購入することにしたのだ。
 カツラをかぶってもらったがやはりかなりワザとらしいので、ツケ毛にした。イメージぴったり。しかしまた予定外の出費だ。

 午後、印度カラオケで埼玉に行った。
 新田駅でレイ子さんや他のメンバーと待ち合わせ、彼女のパキスタン人の友達の車でカラオケ会場入り。
 今回はいつものレギュラーというか主役だった花乃さんがおらず、その点はかなり寂しかったが、そのかわり新しく参加した日本人女性が4人もいて、これがまた全員美人なのだった。
 昨日と今日の2日間で、美人と新しく8人も知り合うなんて実に驚異的である。午前中は女優さんとも会ったし、えらく美人度の高い週末だ。向こう1年分くらいの美人運を消費したような気がする。
 まずはインド料理の食べ放題で腹ごしらえ。ここのインド料理は豆カレーもチキンカレーもマトンカレーもすべてルーが同じという有様だが、味はなかなかうまい。
 今日はあまり歌わず、デジタルビデオカメラでひたすら撮影に徹していた。最近、何かとイベントとなるとカメラが手放せない。人を映すのが楽しくてしょうがないのだな。

2007年 2月 6日 (火)
 新宿南口。銀座。

 帰り、東海林さだおの食い物のエッセイを読んでいたら、ホットケーキに関する見事な文章があり、ホットケーキが食いたくて居ても立っても居られなくなったので、帰り小田急の2階の喫茶店でホットケーキを食っていった。
 犯罪だ、東海林さだお。やばいぞ、こいつの文章。

★ DVDでクリント・イーストウッド主演の「ペイルライダー」を見る。
 80年代で今さらこんなアナクロな西部劇が制作されていたとは驚きだ。いや、逆に80年代だからこそと言うべきか。もちろん当時としてもセルジオ・レオーネなんかの名作群とは比べようもなかったろうが、それにしても今にして見ると古臭い(古い映画以上に古臭い)。
 クリス・ペンはよかった。



 突然ですがここで皆様にお知らせというか、募集告知です。

 今週末からついに自主映画「Re」の撮影なのだが、エキストラとスタッフが足りない。そこでこの日記をご覧の皆様、下記の詳細をお読みになり、おもしろそうだから参加してみたいというかたがおりましたら、ぜひメールかお電話(090-4027-0840)でお知らせ下さい。尚、メールを下さる場合は件名に「自主映画」の文字を必ず入れてください。

○エキストラ募集
日  時:2月24日(土)午後1時〜
拘束時間:3時間程度
場  所:渋谷
募集人数:10人〜20人程度?
詳  細:通行人のエキストラが必要です。普通にあなたがいつも渋谷を歩くような格好で来ていただければ結構です。出来ればお友達をお誘いの上、おいでください。あなたが来れなくても、友達に声かけてみてください。


○スタッフ募集!!!(3日間)

<第1日目>
日  時:2月10日(土)午前8時〜
場  所:新宿中央公園

<第2日目>
日  時:2月11日(日)午前8時〜
場  所:埼玉県川越市

<第3日目>
日  時:2月12日(月)午前8時〜
場  所:地下鉄半蔵門線 水天宮前駅 徒歩5分 隅田川の永大橋近く

募集人数:各日3人づつ
拘束時間:6時間くらい
詳  細:五体満足の人間であれば、能力・経験はカンケイありません。マイクやレフ板を持ったり、荷物を運んだり、簡単な進行をチェックしたり、実に誰でも出来るような大変おもしろい作業です。3日間のうち、1日だけでもいいです。自分に出来るかしら、なんて言わないで、ぜひお気軽にご連絡ください。

※2月12日の撮影のみ、とても僕ひとりでは運べないような機材を運ばないといけないので、朝7時頃新宿に立ち寄っていただいて、撮影現場まで荷物を運んで下さる方がいらっしゃると大変有り難いです。車を持ってる方、大歓迎です。


↓質問などありましたらお気軽に。
090-4027-0840

2007年 2月 7日 (水)
 午後。来客2人。彼が事務所に訪れたのは久しぶりだ。

★★★☆ 夜、インド映画「アンジャリ」を見た。タミル映画。マニ・ラトナム監督。1990年制作。知恵おくれの幼女・アンジャリとその家族や友達の葛藤を描いたドラマ。
 前置き長すぎ。映画史上もっともいらない最初の1時間とまではいかないが、真面目にいらない。
 日本と印度の文化の違いか、アンジャリを取り巻く周囲の人々の描写に感情移入も共感もできず、かなり見ていてじれったい。その中で唯一の光は天使のようなアンジャリの笑顔で、あまりの愛らしさにこれもマニ・ラトナムの魂胆かと思えてきた。
 シャープなコントラストが見事なライティングと、子供の演出が素晴らしい。好きなタイプの映画じゃないが、最後は泣けてきた。悲しいようで、嬉しいような、辛いようで、天の祝福に満ちた、心の中にいつまでも大事に鍵かけて仕舞っておきたいような、ラストだった。

2007年 2月 8日 (木)
 自主映画Reの落書きシーンの撮影で使用するベニヤ板とラッカーを買いに川越に行った。母の車で店を2件ほど回った。ひとくちにベニヤ板とラッカーと言っても、落書きに関しては素人なのでどういう種類のものを買ってどう使うかよくわかっておらず、商品の棚とにらめっこをしながら試行錯誤に次ぐ試行錯誤を頭の中で繰り返し、試しに板切れとラッカーを一種類だけ買って外に出て道路の隅で試してみたりしながら、最後は無難なところで決めた。なんとかなるさ、きっと。
 まだ買わないといけないものがいくつかある。急がねば。

2007年 2月 9日 (金)
 自主映画Reの撮影でカラスの羽が必要なのだが、クランクイン2日前の今日になっても調達できていない。いくらなんでもそろそろ動かないとヤバいだろうということで、新宿中央公園をウロウロしてカラスの羽を探した。
 けっこう歩いたが見つからず、途方に暮れて、佇んでいると、カラスがカーカーと頭上の木で鳴いていたので、
 「おい、カラスよ、羽、一本くれよ、いいじゃん、一本くらい、お前の羽が必要なんだよ」
 と声に出して語りかけたら、パタパタと飛んでゆくので、その後を歩いて付いていったら、いきなり羽が何十本も落ちてるところに辿り着いた。案内してくれたらしい。
ハト(?)とカラスの羽 しかし、これはみんなハトの羽ではないか(画像左)。ハトじゃダメなのだ。カラスじゃないと。そこで再び、
 「おい、ハトの羽なんて何十本あったってしょうがないんだよ、お前の羽じゃないと!」
 と文句を言ったら、またパタパタと飛んでゆくので、付いてゆくと、今度はカラスの羽が一本だけ落ちていた(画像右)。最初からこれを呉れりゃあよかったんだよ。
 とりあえず、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとう、カラス。

 しかし最近、人間非ざるものとのコミュニケーションが多いなあ。


 テステスさんに貰ったDVDで「地獄の黙示録/完全版」を見始めたら、20分くらいで止まってしまい、見れなかった。残念。
 それにしてもこの映画、つくづくジム・モリソンに見せたかったな。

 最近、毎日、胃が痛い。

2007年 2月 10日 (土)
山羊汁 明日の自主映画Reの撮影に向けて、買物。本当に映画制作って金がかかる。
 忙しくて金がなくて頭がゴチャゴチャしてきて、三菱東京UFJ銀行のATMで金をおろしたら、その場にカードを忘れてきてしまった。
 帰り、栄養つけようと思い、沖縄スーパーに寄って、レトルトの山羊汁を買った。食ってみたら、トロっとして割とうまかった。

2007年 2月 11日 (日)
 自主映画Reの撮影初日。俗にいうクランクインってやつだ。今日から3日連続。しかも3日とも朝8時から6〜8時間。後になって考えてみたらとてつもないハードスケジュールである。

 スタッフが足りなかったので、6日の日記とミクシィで大々的に募集したが、誰ひとりとして名乗りを上げる者がいなかったので、なんとか知り合いでかきあつめた。
 本日初日の助っ人は高校時代の同級生・トンチンと、もと俺の膝のりの秘書・シアンである。ふたりともかなり久しぶりに会った。

 場所は新宿中央公園。
 時間は予定より1時間ほど遅れ、若干の取り残しを残し、夕方3時頃終了した。
 照明のやっさんが徹夜明けでかなり疲れていたのと、天気が曇り空でほとんど照明の出番がなかったこともあり、照明にほとんど気を配らなかったので、後でVTRを見たら少し映像がのっぺりしてしまりがなかった。と、スーパーバイザーの宇井郎さんが不満を漏らしていた。
 シアンは相変わらず気さくによく働く。トンチンは相変わらずマイペース。
 主人公が走るシーンがあり、シャイニング撮影中のキューブリックばりにカメラを持って(ステディカムも無いのに)俳優さんを追いかけ回したら、ちょっと無理してしまって即行、筋肉痛になった。
 俺はどうも人の脚本を臨機応変に変えたりするのが苦手なようで、最初はかなりいじるつもりだったが、結局そのまますべてのセリフを生かすことにした。そしたら撮影中、脚本家の姐御さんがちょこちょこ助言をくれて、俳優さんが言い難いセリフをその場で削ってくれたりした。こういうのは有り難い。
 帰り、皆でパークタワーの杵屋でうどんを食った。全員お疲れモードで、会話をする気力もなさそうだった。

 宇井郎さんと小野寺くんとトンチンとシアンとで事務所に寄って、本日撮影したVTRを鑑賞。
 照明の点と若干のまあわからないでしょう程度のミスを抜かして、そこそこの画が撮れたと思われる。

 皆が帰った後、ひとりでもう1度VTRを見直し、明日の撮影地、川越へと出発した。

2007年 2月 12日 (月)
 自主映画Re撮影2日目。
 宇井郎さんは昨日のハードな撮影で体調を崩し欠席。
 本日の助っ人は昨日に続いてシアン、それからお母さん役の浅葱さんの相方さん。ロケ地は川越の俺の実家。母は家を撮影に貸してくれた上に、邪魔な猫を隔離しておいてくれたので、現場にほとんど姿は見せなかったが、母こそある意味、最高の助っ人だったと言える。
 昨日はずっと外での撮影だったので、室内撮影の有り難さを思い知った。やっぱり室内は楽だ。太陽が動かないし、車や工事などの余計な音もしないし、疲れたらその場に座れるし、落ち着く。
花食いシーン お母さん役の浅葱さんの自然な演技を引き出すためにかなりテイクを重ねたが、まあそこそこうまくいった。やはりこの映画の影の主役はお母さんに違いない。画像は本日のベストショット、お母さんが花をはぐはぐと食べるシーンである。
 2日目なので技術的なことにも馴れ、ずいぶん昨日よりは納得のゆく画が撮れた。
 しかしやっぱり取り残しが若干あった。ベランダでの撮影があったのだが、風が強すぎて、やむなく中止にした。快便の後の残便感とでも言おうか。残念。

 撮影後、皆で実家の横のとんこつ醤油ラーメンを食い、帰った。

 小野寺くんだけ事務所に寄り、本日撮影したVTRをふたりでチェック。
 とにかく昨日よりよかった。

 明日の撮影も朝が早いので、小野寺くん、事務所に泊る。

2007年 2月 13日 (火)
撮影中の俺 自主映画Re撮影3日目。
 今日が一番ハードだった。外のシーン30カットを1日で撮影するってことがこれほど無茶なことだとは。初日の撮影で外の撮影が大変だとは感じていたが、今日はもう骨の髄まで思い知った。はっきし言って、外の撮影、同じシーンなら1日で撮影できる範囲はせいぜい12カットである。もう太陽が動くのでいちいち照明を変えてカメラのホワイトバランスを調整しなきゃいかんし、川沿いなので船がうるさい音をたてて通るたびに撮影は中断されるしで、精神的にも肉体的にもボロボロに疲れまくって死ぬかと思った。
 本日の助っ人は由井さん、その友達、浅葱さんの相方さん、その友達の自主映画監督のマシュ〜さん。
 マシュ〜さんは10年以上自主映画活動をやっているベテランで、むちゃくちゃ助かった。なにせ今日はうちの最大のベテランである宇井郎さんとやっさんがふたりとも欠席なのだ。マシュ〜さんがいなかったら、技術面で質問したり助言してくれる人がいなかったところだった。
 それにしても主演のZuckさんは良い役者だ。映画の撮影をしてるといろいろ頭を悩ますことが多いが、彼はそのあれこれある悩みの完全に外にある存在だった。はっきり言って撮影中、主役なのに彼の存在をすっかり忘れていたと言っても過言ではない。
 今日も取り残しはあった。1カットだけ。

 帰り、またもや小野寺くんが事務所に寄って、本日の撮影分をチェック。
 無茶な外での長時間撮影で、ライティングがかなり変化してしまったし、あまりのハードな撮影状況に少し妥協してしまったし、これはきっと使えないVTRばかりなんじゃないかと、今日ばかりは見るのが恐かったが、見てみたら意外と大丈夫だった。細かいことを気にしなければ、まあいいんじゃないかくらいなレベルに納まっていたので、ああよかった。
 あとは編集の勝負ですな。

 とりあえずこれをご覧の皆様、24日の撮影でエキストラが必要なので、暇なかたはぜひご参加ください。
 詳細は6日の日記を参照。

2007年 2月 14日 (水)
バレンタイン・キッス 午後起き。筋肉痛。仕事。洗濯。カップ麺。のり弁。テレビ。切腹。編集。

 テレビで国生さゆりが21年ぶりにバレンタイン・キッスを歌っていた。
 あまりの懐かしさに高校の頃を思い出し、涙が出た。青春だったなあ。
 http://www.youtube.com/watch?v=W04tZ6Iom7o

2007年 2月 15日 (木)
★★★★★ 本日はバレンタイン・デーということで、つぶらからチョコレートのような包装につつまれた、おでんを貰った。バレンタインでおでんとは、流石だ。意表のつきどころが違うな。

 映画「切腹」を見た。1962年。小林正樹監督。仲代達矢、三国連太郎、丹波哲郎、岩下志麻主演。脚本は橋本忍。なんとまあ、カッコよくてシブい映画なんだろう。
 完璧な映画ってあるもんだなあ(しみじみ)。脚本も演出も演技もカメラワークも雰囲気もアクションもドラマもストーリーもセリフもなにもかもすべて完璧。これほどの「映画」の完全体に俺は生涯いくつ出会えることだろう。黒澤の傑作名作群に平気な顔して肩を並べる完璧さ。
 個人的には仲代達矢のモサモサとしゃべる演技が特に好きではないので、丹波哲郎のカッコ良さにほとほとシビれた。こういうのをキャスティングの妙というのだ。

2007年 2月 16日 (金)
 自主映画Reの打ち合せで新宿東口ボアにて宇井郎さんと待ち合わせ。午後1時の予定だったが、宇井郎さん、来る途中で体調崩して病院で点滴受けていたため、3時間半遅れで到着。その間、取り残したシーンのロケハンで新宿を徘徊したり、DVDショップを観覧したり、ボアであんみつを食ったりしていた。
 打ち合せはさらっと終了。その後、宇井郎さんとヨドバシ行ってカメラのフィルタを見たりしていた。

 夜、俳優のぶらっきぃ!さんの出演する演劇を見に中野へ。
 やたら尻切れとんぼな脚本で、起承転結が無く、ひとつの物語として完成しておらず、おまけに魅力的な俳優がほとんど出ていない。肝心のぶらっきぃ!さんも一番マイナーな役だった。
 もともと演劇が好きではなかったが、これまで見た数少ない演劇の中でも最も出来の悪いものだった。まあこんなものでも勉強になったし、興味深いところもあったし、見た甲斐はあった。

2007年 2月 17日 (土)
 午後。自主映画Reの問題のベッドシーンのリハーサルで主演のZucasaさんとヒロインの小梅さんと監督の宇井郎さんがやってきた。助監督のテステスくんも来るとか言っていたが、時間をかなり過ぎても来る気配がない。いつものことである。
 俺のベッドでささっとカメラを回しながらひととおりリハをやった。あたりさわりなく、まあ大きな問題は無し。小梅さんが良い演技をした。ふたりの息は微妙。後はぶっつけやっつけ本番である。
 リハが終わった頃、美術の打ち合せで例の美大三人娘(4日の日記参照)のうちのふたりがやってきて、ベッドシーンのセットの打ち合せ。かなり素敵なセットを考えてくださった。
 全員帰って、俺と宇井郎さんだけになってから、やっとテステスくん登場。で、いったい何しに来たんだ、この男は。
 と思ったら、明日の撮影が朝早いので、またうちに泊まるつもりで来たらしい。

 夜、仕事の打ち合せで天野が来訪。テステスくんを紹介する。ある意味、このふたり、似てるな。
 打ち合せと仕事が終わり、ピザハットでピザを注文して天野とテステスくんとコジロウさんの4人でむさぼった。うまかった。
 食後、天野とコジロウさんは帰り、社長室でテステスくんと、テステスくんお勧めの映画のDVDを鑑賞。

★★★ 日本映画「[Focus] フォーカス」を見た。浅野忠信主演。
 ドキュメンタリータッチというか、自主映画タッチというか、そんな雰囲気で、こういう映画ならアイデア次第で自主映画でもじゅうぶん撮れそうだ。
 浅野忠信の演技は相変わらず素敵だった。
 10分やそこらの長回しシーンがたくさんあり、リアリティ溢れる演出で、そこに浅野忠信の素敵な演技が見事に溶け込んでいて、実におもしろかった。
 部分的にヘタなところがあったり、ツメが甘かったり、若干残念なところもあった。

2007年 2月 18日 (日)
 自主映画Reの撮影。
 今日は宇井郎さんが監督の日なので俺は気楽だ。
 朝7時すぎに起き、前日から泊まっていたテステスくんとロケ地である横浜の石川町へと向かう。
 駅には宇井郎監督、メイクのアマパさん、出演のZucasaさん、小梅さん、美術の美大三人娘、撮影のドクトルさん、その友達、脚本の姐御さん、などなどが居て、かなり大人数なので何回かに分けて車で現地に向かった。照明のやっさんも後からやって来た。
 今回のロケ地は宇井郎さんのマイミクさんの自宅。かなり広い家で、ここでベッドシーンと、主人公の部屋のシーンと、ついでに屋上があったので、先週の撮影で撮り残した(12日の日記参照)屋上のシーンも撮影した。
 まず屋上のシーンを撮影し、ベッドシーンを撮影し、主人公の部屋のシーンを撮影する。屋上のシーンだけ俺が監督である。他のスタッフがベッドシーンの用意している間に、屋上のシーンはささっと終わらせた。
ベッドシーン撮影風景 ベッドシーンの撮影。なぜか照明のやっさんがやたら張り切っていた。調子ついでに、美大三人娘のひとり、マイコさんを弟子にこき使っていて、それをまたマイコさんが面白がってやるもんだから、端から見ていて良いコンビぶりだった。さっきまで小梅さんの背中に見事な刺青の絵を描いていた美術の子が、今は脚立に座って照明機材を持っている様子は自主映画ならではのシュールさと言えよう。ちなみに画像は俯瞰で撮られるヒロインの小梅さんである。こうして見るとAVの撮影みたいだが、AVではない。
 メイクのアマパさんの仕事っぷりに感動した。もともと美人の小梅さんを見違えるほど美しくメイクしてくれたばかりか、主演のZucasaさんの目の下に瑕(ニキビ?)が出来ていたのをささっと消してくれたり、ベッドシーンのふたりの汗ばんだ肌を霧吹きやクリームで演出してくれたり、嫁入り前の小梅さんの前を隠すヌーブラを貸してくれたり、その他もろもろ、何か困ったことがあったらとりあえずアマパさんに相談してみよう、みたいな感じで、それをまたことごとく、ドラえもんのポケットみたいな大きな鞄から飛び出すアイテムで器用にこなしてくれるもんだから、これがプロの仕事なのかと言葉も出ずただ感心するばかりだった。
 ロケ地の家を貸してくれた宇井郎監督のマイミクさんにも計り知れないほどお世話になった。家を貸してくれただけでなく、駅から車で送り迎えしてくださったり、お食事までご馳走になり、また撮影中、あれやこれやと突発的に必要になる小道具などをわざわざ家の中から探してきて貸してくれたりと、もう1日中お世話になりっぱなしだった。
 斯様に多くの人たちに支えられ、最も長く大掛かりな撮影日は無事に終わった。時間にして朝の9時半から夜の9時まで。12時間の長丁場だったが、とりあえず予定の撮影はすべて終了できた。さすが宇井郎監督、23年ぶりの監督とは言え、ベテランらしい手際の良さである。
 これでほぼ全体の90%以上の撮影が終わった。

 へとへとになり家に帰ったのが夜11時。
 ひとりコンビニで買っためしを食い、今日の撮影分をチェックした。
 やはりあれだね、自分で監督したものじゃないだけに、俺だったらこう撮るのに、みたいなじれったさはあったりする。

2007年 2月 19日 (月)
 昨日で予定していた撮影がすべて終了したので、予備でもう1日押さえていた本日が暇になった。
 昼過ぎ起きて、ぶらぶらと招待券で映画を見に行く。

★★ 映画「墨攻」を見た。
 映画が退屈なのか、俺が疲れていただけなのか、寝てしまったので、よくわからなかった。
 日本の漫画が原作で、俺も昔読んだことあるが、原作はおもしろかった。あの原作にあった、やってきた墨家がたったひとりで、ひとりで何が出来る、とバカにしていた人々が、その見事な知略に感心して彼を見直す、というプロセスが何故か省略されていた。原作はほとんど忘れてしまったが、きっと他にも原作にあった盛り上がるべきポイントが幾つか省略されていたに違いない。だから退屈だったのかな。
 戦闘シーンは迫力あるような、ないような、とにかくすべてにおいて平凡な出来だった。

2007年 2月 20日 (火)
 自主映画の撮影で体力を著しく消耗したのか、風邪を引いてしまった。

★ インド映画「BLACK」を見た。アミタブ・バッチャン、ラニ・ムケルジー主演。
 巨匠バンサーリ監督の新作(といっても2005年だが)で話題作ということで、かなり期待して見たのだが、ストーリーも演出もすべて当たり障りの無い凡作だった。
 感動させようとかなり気合い入ったシーンは多いが、クサすぎて感動する気にもならない。2005年のインド映画雑誌フィルムフェアで最優秀作品賞を受賞したそうだが、このような演出に皆よく騙されるものだと不思議に思う。
 最近のインド映画はこないだ見た「Veer Zaara」もそうだが、映像が綺麗なだけで中身の無い作品が非常に増えた。嘆かわしいことだ。

2007年 2月 21日 (水)
 風邪が治らないので、遅くまで寝ていた。
 午後、あちこちから電話が連続でかかってきた。クライアントの友達が理不尽なことを言ってきて、クライアント周辺が翻弄され、俺がそれに巻き込まれる形になっていた。俺はとばっちりはイヤなので、とりあえず素直に状況をかわしつつ、やるべきことをやることにした。
 夜、ケンちゃんとコジロウさんと松屋にめしを食いに行った。
 風邪はだいぶよくなったような気がする。

2007年 2月 22日 (木)
 いつもより少し多めに寝て、あとは暖かくして普通に暮らしておれば、風邪はいつのまにか治る。毎年のパターンだ。
 というわけで風邪はだいぶよくなった。

 仕事。ケンちゃんと大げんか。仕事。掃除。人生いろいろだ。

 映画「レオン」をやっと見た。
 評判に比べて驚くほど普通の映画だ。ヘタだし、人間は薄っぺらだし、話しはツッコミどころ満載だし。
 ゲイリー・オールドマンだけは良かった。

 本谷有希子の小説「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」を読んだ。
★★★★ 去年から買っている松尾スズキ監修の季刊雑誌「hon-nin」で連載中の自伝小説「改めて!ほんたにちゃん」がおもしろくて、本谷有希子の単行本を読んでみたわけだが、これがなかなか壮絶な狂気のドラマでおもしろかった。これだけのタイトルに一片も負けてない内容の小説というのも素晴らしい。
 本谷有希子さんが一体どんな人生を歩んできた人なのか興味は尽きないほど、この方の文章には、しょーもない人間、救いようの無い人間を描く感性がナイフのように研ぎすまされている。先日「江利子と絶対」という短編を読んで、あれにもかなりやられたが、これは長編だからか、さらにしょーもない人間、救いようの無い人間の度合いがパワーアップしていた。
 ちなみに「江利子と絶対」と同じ本に収録されていた他の短編は普通のホラーだったり、恋愛ものだったり、普通すぎて、まったくおもしろくなかった。どうやら本谷さんはしょーもない人間、救いようの無い人間の内面にざくざくと残酷に深くナイフで切り込んだ作品じゃないと、実力が発揮されない感性なんじゃないだろうか。そういえば「改めて!ほんたにちゃん」もコメディータッチながら、自分自身をそんな風な人間として描いていた。
 本作品はもともと彼女の主催している劇団での演劇を小説化したもので、今年ついに映画化が決定したそうだ。期待したい。

 どうも眠れないと思ったら、明け方、母から電話がかかってきて、祖父がたった今亡くなったと知らされた。黙祷。

2007年 2月 23日 (金)
 デビッド・リンチの「マルホランド・ドライブ」を見た。“マルホランド・ドライブ”ってカタカナで書くとどうも長ったらしくてしまりがないな。英語で聞くと“モホラン・ドライブ”と聞こえるのだ。そんなことはどうでもいい。
 これが実に、ほぼ20年ぶりマトモに見たリンチの長編映画なのである。
 リンチと言えば、高校の頃に熱狂した監督だ。忘れもしない高校の頃、父と当時話題になっていた「ブルーベルベット」を見に行き、その余りの画期的で斬新なアート感覚に、映画館を出たわれわれは思わず顔を見合わせ、ううむ、と唸ったものである。
 その後デビュー前に撮影した自主映画「アルファベット」からハリウッドでスターウォーズの亜流にかこつけてフリークス満載の映像をもて遊んだ「砂の惑星」まで、俺の中で数年の間リンチ旋風が巻き起こった。
 そしてアメリカの映画館で「ワイルド・アット・ハート」を見て字幕が無いので訳が解らず爆睡し、それを最後にリンチに興味を失いさっぱり見なくなった。
 つまり俺は自分の英語力の無さを棚に上げ、実に20年もの月日をリンチから遠ざかってしまったのである。お陰でこの20年、リンチがいったいぜんたいどういう状況にあるのかさっぱりわからなかった。
 この度テステスさんがこの作品のDVDを貸してくれ、やっと「ブルーベルベット」以後のリンチ作品にマトモに触れることが叶ったわけだが、正直言って、20年前、ことごとく俺の想像を超える衝撃を与え続けてくれたリンチの世界はここにはなかった。
★★ 少しシュールな味付けの映像と少し抽象的なストーリー展開で普通のミステリーを淡々と作っただけという気がする。今見たら「ブルーベルベット」も俺の目にはこんな風に映るのだろうか。いや「ブルーベルベット」はもっと印象的な映像がちりばめられていたような気がする。
 ひとくちに言って時空の交差のような感覚で人間の欲望やエゴがストーリーの中でループするわけだが、それは「はい、ココをこうやってねじりました」って感じに、わかりにくさが解りやすく映像に露見している。わけのわからないストーリーながら、悪い意味で、感覚的に納得できてしまった。
 そう見えてしまうのは、ひとえに美しさが足りないのだ。見る者の目をくらませ、結び目を覆い隠すような美学がなぜ、どこにも無い。とてもじゃないが、天才の仕事とは思えん。
 もう一回、「ブルーベルベット」を見てみたい。

 つぶらが体調を崩して休み、ケンちゃんが祖父の不幸で休んだ。コジロウさんしか居ない寂しい事務所で、俺もささっと仕事を片付け、支度をして、母の実家に向かった。お線香をあげ、再び新宿の事務所に戻り、仕事の続きをした。明日が給料日じゃなかったら泊まってゆくところだ。

 24日は葬儀と重なるので撮影は中止になった。

2007年 2月 24日 (土)
 9時頃起きて銀行まわって給料その他の支払いを終わらせ、ふたたび母の実家へと旅立った。今夜は祖父の通夜で明日は葬式だ。
 着くなり着替えて葬儀場に行った。俺はずっと香典の受付をやっていた。
 通夜ではめずらしく酒を飲んだ。
 特に書くことが無いので、祖父との他愛ない想い出でも記そう。母方の祖父といえば、やはり一番の想い出は俺がまだ漫画家を目指していた幼少の頃、祖父が勤める東海大学に何度か連れてってもらい、大きな黒板に絵を描かせてくれたことである。黒板といえば普段は学校の先生が勉強に使うもので、生徒は犯すべからざる領域という意識があった。それが大きな黒板いっぱいに好きな絵を自由に描いて良いというのが、漫画が唯一の楽しみだった子供の頃の俺にはとても嬉しくて、誰もいない大学の教室で、黒板いっぱいに恐竜やドラえもんの絵を喜喜として描いたものだった。そのあいだ祖父は教室の後ろのほうで腕を組み、俺が絵を描くのをひたすらじーっと見詰めていたような気がする。今から考えると祖父は俺の描く絵を割と買ってくれていたのかもしれない。
 夜はそのまま母の実家に泊まった。

2007年 2月 25日 (日)
 祖父の葬式。俺はまた受付。ちゃんと葬儀に出席していたら、お経の最中に必ず100%寝ていた自信があるので、失態を曝さずに済んだ。
 納骨でひさしぶりに母方のご先祖様のお墓に行った。母の実家は駅前開発で俺が成人した後に場所も建物も大きく変わった。お墓は昔の場所の近所にあるので、子供の頃に実家に帰った時に過ごした近所の光景が部分的に残っており、酷く懐かしかった。恐らく25年ぶりくらいじゃなかろうか。あの頃はとても味のある風景がずっとどこまでも続いていたのに、今は驚くほど味気ない住宅街に変貌してしまっている。でもあの頃はあの光景が当たり前だと思っていたから、何も感じることがなかった。失われて初めて気付くものがあるからこそ、失わないうちに気付くべきものを見つける気持ちが生まれる。それを映像の芸術に生かせてゆけたらよいとしみじみ思う。

 朝食でご飯を2杯食い、火葬場でおにぎりとサンドイッチを食い、納骨後にまた天ぷらやら寿司やら豪華な昼食を食った。昼過ぎまでにそれぞれ米つきで三食もしてしまった。普段一日一食しかしない俺にしては明らかに食い過ぎ以上だった。

 夜、静香(妹1)と一緒に小田急線で東京に帰った。

2007年 2月 26日 (月)
 まだ風邪が完全に治らないので、午後まで寝ていた。
 起きて、今日はずっと家でゆっくりしていようと思ったが、自主映画Reのロケ地が一カ所決まっていなかったので、カメラをかついでロケハンへと出掛けた。
 探しているのは公衆便所だ。誰か、汚くてそれなりに広くて撮影許可が下りる(もしくはゲリラ撮影が可能な)公衆便所(もしくは個室の中が公衆便所に見える便所)をご存知の方は、教えて下さい
 さて、とりあえず散歩がてら渋谷の方角へと歩いた。小田急線の参宮橋駅、代々木の神宮公園などをぶらぶら通り、いつのまにか原宿、そして渋谷へと到着した。新宿から渋谷まで歩いたのは初めてだが、意外と近いな。
 ロケハンというより、ほとんどタダの散歩だった。
 渋谷に来たからには、ここでめしを食わないと気が済まないということで、食べ放題のインド料理「オーカルカッタ」で久々のインド料理をむさぼり食った。食後はチャイ。ラッシーなど甘いドリンクも頼みたかったが、金がもったいないので、食べ放題に付いているフルーツポンチの汁の部分だけをグラスにそそいで、甘いドリンクの代用として飲んだ。ささやかな裏技である。
 食後、電車で新宿の家に帰って映画を見た。

 映画「ピンクパンサー」を見た。スティーブ・マーチン主演。
 オリジナルのピンクパンサーといえば、俺の大好きなシリーズである。それを大好きなコメディアンであるスティーブ・マーチン主演でリメイクというのだから、見ないわけにはいかない。問題はピンクパンサーにスティーブ・マーチンという取り合わせだ。
★★★★ もともとピーター・セラーズ演じるクルーゾー警部は、ひらたく言うと「ドジで天然」なキャラだった。対してスティーブ・マーチンは主に「何を考えているのかワカラないアホ」を演じてきたコメディアンである。もちろんスティーブ・マーチンは天才だから、何を演じさせても一流ではあるだろうが、比較されるのがピーター・セラーズ演じるクルーゾー警部では分が悪い。到底オリジナルを超えることは不可能であることは前提として、スティーブ・マーチンが出来る範囲でどこまで頑張ったかをとくと見させてもらった。
 しかしこれはなかなかどうして素晴らしい。無理してないのが良い。オリジナルを超えられない部分は無理せず、オリジナルを踏まえ、オリジナリティを出せるところで出している。ツボはほとんど外してはいなかった。かなり笑えた。
 だいたい、芸風が違うからと言っても、今のこの宇宙に他の誰がこれ以上のクルーゾー警部を演じられるというのだ。この映画のスティーブ・マーチンを絶賛しないなら、もう「ピンクパンサー」を現代にリメイクさせたこと自体を告発するしか術は残されない。
 共演のジャン・レノもいい。大スターなのに主張しすぎず、うまく役に納まっていながら、持ち味をちゃんと出している。この役は最初ジャッキー・チェンが考えられていたと噂を耳にしたが、ジャン・レノでよかったかもしれない。
 クルーゾー警部が完全な天然に終始しておらず、クライマックス直前に騙されていたことを知り、ショックを受けるシーンがあったが、こういう展開はクルーゾー警部的にどうなのかと疑問が大いに残るものの、ここのスティーブ・マーチンの演技にすっかりやられてしまった。このあたりは完全に俺の負けである。恋愛エピソードなんて余計もあったが、あーもうどうでもいいや。
 じゅうぶん俺には満足のおもしろさであった。以上。

追記:後日、DVD特典の監督の解説音声を聞いていたら、実はこの映画は撮影終了後、試写をしたらあまり笑えないので、クランクアップ半年後くらいに笑うシーンを幾つか追加撮影したらしい。追加されたシーンをひとつひとつ検証してみたところ、なんとこの映画の笑えるシーンの半分以上は後から追加されたものであることが解った。なるほど、この映画がおもしろいのはスティーブ・マーチンの功績というより、ハリウッド的プロダクション気質の賜物であったか。やられた。

2007年 2月 27日 (火)
 風邪がゆるい状態でズルズル治らず、今日も大事をとって午後まで寝ていた。午後まで養生したって、そのぶん仕事がたまって朝まで起きてるんだから、まったく我ながら何をやってんだかわからない。

 夕食はスーパーでべったら漬けと納豆と野菜コロッケを買って米を炊いて食った。「分厚く切るとうまいんだよね」なんて独り言を言いながらひとりべったら漬けを台所で切る独り暮らしの寂しさを味わいながら、食後、映画を見た。

 映画「砂の女」を見た。岸田今日子主演。1964年制作。安部公房の不条理小説の映画化である。脚本が安部公房自身が書いている。
★★★ どこを見ても砂しかない世界に閉じ込められた男と女を描いた物語だが、救いようのない生活とはこのことだ。まさに砂だらけ。座れば尻に砂がささる、寝転がっても頬や背中に砂がつく、天井からは砂がふりそそぎ、口を開ければ風に吹かれて砂が入る、歩けば足下に砂がからみつき、水を飲めば歯の隙間に砂がジャリジャリ音をたて、頭をかけば髪の間から砂が落ち、動けば辺りに砂が舞い、止まれば足の裏に砂が食い込もう。きっと岸田今日子を抱いた時も粘膜に砂粒がからみついて痛かったに違いない。
 そんな気が狂いそうな毎日に、最初男は脱出を試みるが、次第にそこでの女との生活に安定を覚えてゆき、逃げる気力さえ失ってゆく。逃げようとしている時はまだ救いがあったのだ。まさにこの主人公は、俺の恐れる未来の姿ではないか。俺はこの数ヶ月、孤独に次第に慣れゆく自分がとても恐かった。こんな生活もまんざらではないと思いつつ、それを認めるのがイヤだった。いや、本当に毎日それなりに充実しているけどね。
 岸田今日子はさすがのハマり役。合間に挿入される砂の映像が美しい。

2007年 2月 28日 (水)
 風邪が治りそうで治らない状態で続いてて、ここにきて完全にぶりかえした。朝まで起きてたりしてるからだろうか。咳が止まらない。暖房のフィルタが汚れているせいだろうか。頭が痛い。毎日パブロン飲んでるが、使用期限が2007年の3月。ひょっとして効いてないのだろうか。クラクラする。仕事は少しづつ片付けている。そろそろこないだ中止になった映画の撮影の日程も組まないとな。やることはたくさんある。医者に行った方がいいのだろうか。パークタワーのマリーシアクリニックは雰囲気がいいので嫌いじゃない。今日は六本木に行った。クライアントがFTPソフトが接続できなくなって困ってたので、問題を解決してあげた。やはりファイアーウォールが原因だった。明日は月末なので振込がある。遅くとも昼過ぎには起きないといけない。水曜日なので掃除もしないといけない。夕食は六本木のスーパーで帰りに買ったアジフライだった。パブロン飲んですぐに煙草を吸ったら異常に頭がクラクラした。煙草は一昨年やめたはずだ。古い暖房の音がうるさい。リコリスでパブロン飲んで寝よう。


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