非幻想異端的日常
2008年 2月 1日 (金)
 今日のバイト先は孤独だった。人口が突然、減ったんじゃないかと思うくらい、孤独だった。

2008年 2月 2日 (土)
 週末に【電気苺】の撮影があるので、レイさんがやってきてミーティング。撮影するシーンは俺がもっとも思考停止を余儀なくされていたシーンであり、レイさんがもっともノリ気なシーンでもある。俺もレイさんの意気に感じ、やっとノリ気になってきた。
 これまでメールで大雑把に話し合っていたイメージを具体的なところまで固め、小道具や撮影の段取りを決めた。なんとか当日やれそうなところまで煮詰まった。
 後は当日にむけて、俺の創意のスイッチをオンにしておくのみである。

2008年 2月 3日 (日)
★★★★ ドイツ映画「アギーレ 神の怒り」を観た。クラウス・キンスキー主演、ヴェルナー・ヘルツォーク監督。高校の時「ノスフェラトゥ」ただ一本だけでファンになったヘルツォークの代表作だが、なぜか20年ごしの今ごろになってやっと観た。
 これはプチ「地獄の黙示録」だった。プチとは言っても、それは規模の問題だけで、ヘルツォークはコッポラに、キンスキーはブランドに、これっぽっちも負けているわけではない。逆にこの映画がなかったら「地獄の黙示録」は生まれなかったんじゃないかと思う。
 それにしてもこれだよ! こういう演出だよ! 俺が見たいのは。撮りたいのは。

2008年 2月 4日 (月)
 【電気苺】の撮影3日目。本日は水浮華さんちで水浮華さんとももにゃんのシーンを撮る。本映画の中でもとりわけ幻想的なシーンにして、もっともSMチックなシーンでもある。やたらセットや小道具が多く、朝から巨大な機材かかえて雪の中を出発。もよりの駅でごんぞーのベビーシッターを頼んでいたジョイさんとももにゃんと遅れてきたレイさんと合流し、水浮華さんちに着いて荷物をおろして近くのスーパーに足りないモノを買物に行った。
 なんとかかんとか必要なものはすべて揃い、撮影準備。予定よりかなり時間がかかって2時間近く遅れでやっと撮影がはじまった。時間は押していたが、今日は素晴らしい撮影になる予感がしていた。昨日買物したら小銭がピッタリなくなったし、朝から2年ぶりの雪が降ってたし、すべてが撮影の成功を象徴する予兆に思えた。
水浮華さんとももにゃん 撮影する予定だったシーンは3つ。かなり素敵な画が撮れていたが、1シーン目の撮影で時間のほぼ8割を使ってしまったため、予定していた最後の3シーン目はカットして、2シーン目を残りの時間を使い超特急で撮影した。急いで撮ったがクオリティはあまり落ちず、満足のいく仕上がりであった。だんだん俺のスイッチが入ってきたってこともあるが、出演のおふたりがとにかく見事だったのだ。
 ももにゃん(画像下)はとにかくスゴかった。初めてお会いしたときからスゴいオーラを持った女性だとは思っていたが、改めてその妖艶な顔立ちとスーパー・ダイナマイトなボディにやられまくった。彼女はエキストラの仕事もやっていて、テレビやドラマにも少し出演したことがあるらしいが、こんなスゴい人材をなんで世の監督たちはほっておくのだろう。例えエキストラが何十人いたって、まともな感性を持った監督だったら彼女の妖艶なオーラに目を留めるはずだ。きっと彼女の視線は魔女メデューサのように見つめられた者の思考を石のように停止させてしまっていたに違いない。演技も完璧で、本人は私生活ではMらしいが、今日はS役を難なく演じてくれた。
 水浮華さん(画像上)もまたスゴかった。俺は彼女をドキュメンタリーという形でここ半年の間、2度ほど撮影してきたが、彼女はその存在自体がクリエイティブなひとで、彼女を撮影していると、目の前に見えない創意のレールが敷かれているような気がしてくる。それは編集をしているとさらに確信に近いものに変わる。彼女は俺に現実をカメラで切り取って、それを映像作品という形に再構築する喜びを初めて教えてくれた、俺のこれまでの創作活動に欠かせない人物なのだが、今日もそんな彼女の本領は随所で発揮されていた。撮影中も様々なアイデアを出してくれて、彼女はいかなるシチュエーションでも撮られたり演じたりするだけに留まることのない、モノを創り出す種族の人間なのだと思い知らされた。ちなみに彼女は文章もうまく、小説もなかなかのものだ。
 【電気苺】ではふたりは少しの出演だが、いつかふたりを中心に添えて、スゴい映画を撮ってみたいものである。きっとスゴい映画ができるだろう。

 撮影後、急いで撮影機材を事務所に置いて、シネヨヨの飲み会に参加。
 最近忙しかったり金がなかったりでゴールデン街に出没してなかったので、この機会に【電気苺】な皆様に挨拶回り。
 ひさびさに日本酒を飲んだりして、かなり酔っぱらった。宴がおひらきになる直前、まだカニや刺身が皿の上に残っていたので、食べ物を粗末にするのは忍びないとばかりにガツガツ食いまくった。その後ヨヨに寄って飲んだが、かなり酔っててあまり記憶がなく、いつのまにかカウンターに突っ伏して眠っていた。
 酔い覚ましに歩いて帰った。

2008年 2月 5日 (火)
★★ 先週テレビで「東京ゾンビ」という邦画がやっていたのでビデオに録画して今日見てみた。
 柔術とゾンビ、パンチパーマとハゲ、黒い富士山にロシア、ちぐはぐな要素を節操なくもりこんだバカ映画で、それなりに出来は良い。後で花くまゆうさく原作だと知ったのだが、なるほどかのヘタウマシュール系の漫画が完成度の高い映画になったらこうなるわけか。
 映画としてはあまりおもしろくはなく、普通に少し笑えたくらいだが、なによりもこういったバカな映画が浅野忠信と哀川翔といった有名俳優を器用してちゃんと創られ公開されたという事実を評価したい。
 そんなわけで、人に「東京ゾンビってどう?」と聞かれたら「まあ、いいんじゃないの?」くらいのことは答えてあげたい程度に肯定的である。

2008年 2月 6日 (水)
 小岩。見積。データベース。古本屋。三島由紀夫。嶽本野ばら。川端康成。村上春樹。新宿。振込。編集長。編集。バカ。あげまん。

2008年 2月 7日 (木)
 バカ。銀座。かきあげ弁当。マイルドセブン。コーラ。水。お茶。SEO。バカ。日暮里。ルノアール。バカ。ユーチューブ。スターシップトゥルーパーズ。

2008年 2月 8日 (金)
 15年間にわたって毎週かかさず購読し続けてきた週刊モーニングを今週から止めた。理由は単純に読みたい漫画がほとんどなくなったのだ。この15年でこれほどおもしろい漫画が減った時期はなかった。きっと俺もモーニング卒業の時期なのだろう。さようなら、モーニング。長い間どうもありがとう。

2008年 2月 9日 (土)
 ポール・バーホーベンの「スターシップ・トゥルーパーズ」のビデオなんぞをひさびさに見ていた。これはバーホーベンの最高傑作だと思うどころか、一番好きなSF映画のひとつと言っても過言ではない。これに匹敵するSF映画というと、メル・ブルックスの「スペースボールズ」くらいしか思い当たらないな。表向きは異星バグとのバトルなのだが、その行間に描かれてる世界観が実に素晴らしい。ヤクザ映画とSF映画は嫌いなのだが、ヤクザ映画における「竜二」のような、例外的に好きなSF映画だ。
 しかしSF映画は嫌いなだけにあまり数をこなしてないので、きっとおもしろいSF映画は知らないところにたくさん眠っているのだろう。

2008年 2月 10日 (日)
 今日は休日だというのにキャストの都合がつかず【電気苺】の撮影がないので、まったりと明日の撮影の準備に費やした。パソコンでアレを作成してプリントしたり、必要な機材を出しておいたりした。後は昼寝したりDVD見たりめし食ったりしてすごした。
 先週の撮影の時、10年以上着ていたお気に入りのジャケットのポケットのところをひっかけて破って台無しにしてしまったので、今日、新宿西口の京王モールで新しいジャケットを買った。少し光沢のある黒いジャケットで、とても気に入っている。

2008年 2月 11日 (月)
 今日は【電気苺】の撮影があるので朝から気合いを入れて、準備をしていたら、キャストが風邪をひいたと連絡があり、撮影が中止になった。図らずも土日両日ともずっと家にいるだけという、忙しい俺にしては極めて珍しい週末となった。夜までまったりと動画の編集をしたりDVDを見たりめしを食ったりしてすごしていたが、せっかくコンタクトを入れてよそいきのズボンを履いて昨日買ったばかりのジャケットを着ているのに、一日中家にいるのはストレスがたまるので、ゴールデン街に飲みに行こうかとも思ったが、外は寒く、ふんぎりがつかなかった。深夜12時頃、野良猫さんからメールがあり、いま歌舞伎町で飲んでいると連絡があったので、やっとふんぎりがついて出掛けた。やっと外出ができた嬉しさだけで、朝まで飲み明かした。

2008年 2月 12日 (火)
 めずらしくまったりすごした週末から一転して、三連休の最終日の本日、俺はバイトで仕事だった。バイト先はまったり暇だったが、最近にしてはそこそこ忙しくもあった。
 書くことがないので昼食のことでも書こう。バイト先ではいつも近くのampmで菓子パンと日清のチリトマトヌードルを買って食っている。ほとんどチリトマトヌードルだが、たまに他のものにもなる。ちょっと前までは家でおにぎりを作ってもってきていた。ちなみにおにぎりにはほとんど具が入っておらず、塩だけでにぎったシンプルな塩おにぎりだった。味塩をまぶした掌でまるめただけの米の塊がなんであんなにうまいのか、日本人って不思議だ。

2008年 2月 13日 (水)
 占い師さんと打ち合わせ。霊感のあるかたなので、俺の汚れた醜い心を読まれたらどうしようと恐れるあまり、かえって魑魅魍魎が脳裏に押しよせ、緊張した。あれだ、見たらショックを受けるので見ないほうがよいとわかっていてもつい見てしまう奥さんの浮気現場のような心理状態なのだった。

 テレビ関係のかたと打ち合わせ。松坂慶子のファンだと言ったら、松坂慶子の映画のビデオを貸してくれた。

2008年 2月 14日 (木)
 仕事という汚物にまみれた毎日に、唯一のやすらぎは一日の終わりにめしを食い、コーヒーをいれて安い葉巻をちびちび吸いながらゆっくり映画か深夜テレビを眺めるひとときである。食後に葉巻を吸うと必ず眠くなってくる。そこをさらに葉巻を吸って眠気を覚ます。頭はしびれ、テレビは意味のない断片的な映像の連鎖となる。眠気が限界にきたところで事務所に行ってパソコンをつけ、映像の編集作業をしながらいったん目を覚ます。幸い、編集しなければならない映像には困らない。前の日に編集した映像を改めて最初から流しながら、時間を寝かせて浮き彫りになったおかしなところやテンポの悪いところを切ったり貼ったりする。ここではまりすぎると寝られなくなるので、3時ぴったりにパソコンを落とし、部屋に戻って歯を磨き寝巻きに着替えて、テレビをつける。タイマーをセットし、布団に入って1日の終わりに杉崎美香の笑顔を見ながらいつしか眠るのである。
 どうでもいいが、一日の終わりがやたら長いな。

2008年 2月 15日 (金)
 バイト先のオーナーが経営難で外に働きに出てるらしい。俺も経営が苦しくて、バイトしているわけだから、まったく世の経営者は何をやってるんだかわからない。俺は社員に給料を払うためにここで働き、ここのオーナーは俺に給料を払うためにどこかで働いている。あたりを見渡すと、会社を経営していたりフリーでやっていた人たちが、今ではみんなどこかに雇われ、働いている。不景気なのだ。

2008年 2月 16日 (土)
 【電気苺】の撮影が一時中断になった。理由はプロデューサーのレイさんが今の調子で撮影していたら完成がいつになるかわからないので、脚本を半分近くの長さに減らせと言ってきたのだ。今さらという気がしないでもないが、常識で考えたらそれは正論とも言えるし、これは基本的にレイさんの映画だから、従わぬ理由はない。しかし本音を言えば、このままイケイケドンドン撮り進めてゆきたいところである。
 しかしこの膨大な登場人物と伏線が複雑に絡み合った物語を半分近くにどうやって書き直すのかが問題だ。はっきり言って登場人物を減らすでもしない限り無理である。そこでレイさんと協議の結果、主役のいのっちの出番を大幅に削ることにした。もともといのっちは何かと事情があったので、ちょうどよいのだった。
 そんなわけで数ヶ月撮影がなくなるのは寂しい限りだが、これも皆さまに早くそして確実におもしろい映画を提供せんがためでもあるわだし、絶対に映画のクオリティだけは落とす気はないので、気合い入れて脚本の書き直しに入りたい。

2008年 2月 17日 (日)
 【電気苺】の撮影がなくなったので、今日はゆっくり前作「Re」の編集(まだ終わってないのだ)、そして夕方からはババチョップの自主映画上映会&交流会に参加。月に一度かならず行なわれているこの集まりだが、最初から参加するのは実に半年ぶりくらいなのだった。
 本日の上映会のラインナップは笑える作品が多く、俺の好みで楽しめた。ファンである木野監督の「萌え萌えハンター2」も公開されたが、パート1ほどの完成度は望めなかったものの、俺の好きな自主映画の女優さんが出ていたり、ところどころに木野監督のセンスは光っていたりして、おもしろかった。
 俺が撮影に参加したヒノモト監督の「夏を終わらせる儀式」も再上映されたが、これも見れば見るほどよい映画になってゆく。最初に脚本を読んだときはどんなものかと思ったが、よくこれだけ立派な作品になったものだ。よく映画は「脚本以上に良い映画にはなることはない」と言われるが、キャストや演出や撮影や編集などが介入する余地を鑑みると、それは嘘だとわかる。素晴らしいキャストに恵まれたこの作品はその好例である。

 家に帰って、今日の「オーラの泉」をビデオに録画予約しておくのを忘れていたことに気がつき、ショックをうけた。ゲストが柳原可奈子だったのに。誰か2月16日の「オーラの泉」を録画した方がおられましたら、貸してください

2008年 2月 18日 (月)
 最近やたら仕事が増えて忙しい。今日は【電気苺】の撮影が中断したのをいいことに、朝から日曜には珍しく仕事を片付けた。ひとつやっかいな仕事が終わったので、めしを食ったら眠くなり、そのまま夜まで眠りこけた。起きてからまったり動画編集をやった。

2008年 2月 19日 (火)
 ホラー映画「スクリーム」を見た。ずっと見たいと思ってて、中古ビデオをだいぶ前に買ったのだが、今ごろになってやっと見た。
 いっておくが、俺は八十年代、ホラー映画が大好きだった。今は嫌いになったので、ほとんど見なくなった。しかし今でも、八十年代のホラー映画は好きだし、昔のホラー映画を彷彿とさせてくれるような作品なら九十年以降のものでも好きである。
 さてこの「スクリーム」だが、これは七十年代から八十年代にかけて近代ホラー映画のパイオニアとなった監督たちの唯一の生き残りとも言える、ウェス・クレイブンによる、まさに八十年代ホラーのセルフパロディ的な傑作であった。
 ちなみにパイオニアとなった監督たちとは、ジョージ・A・ロメロ、ダリオ・アルジェント、トビー・フ−パー、などのことである。みんな現在も活躍しているじゃないかと言われそうだが、純然たるホラー映画界の第一線で活躍しているのはウェス・クレイブンただひとりである。ちなみにサム・ライミは彼らより少し世代が新しい(あまりホラー撮らなくなったしね)。
 さっきパロディと言ったが、別に普通のパロディ映画のように、既存のホラー映画みたいなシーンがたくさんあるわけではない。登場人物の会話という形を借りて、数々のホラー映画が言及され、その会話の内容を踏まえて観客の予想を裏切る方向に物語を誘導し、意外なラストにつなげてゆくのだ。映画の途中で手の内がわかったので、ラストは読めてしまったが、考えてみたらこれは非常に斬新なパロディの新形態と言える。
★★★★ これまではパロディといったらメル・ブルックスのような、既存の映画にあったシーンを映像で再現するのが一般的だった。いや一般的というより、それが映画におけるパロディの唯一の定義だったと言ってもよい。ところがこの映画は特にそんなシーンがあるわけでもなく、登場人物が全員ホラー映画ファンで、劇中で「ホラー映画だったらこの後こういう展開になるよな」とか「ここでこうきたらまるであの映画みたいだね」などと会話をさせ、それらをことごとく外しながら話しを進めてゆくのだ。
 もちろん出来が悪かったらそんなものは昔のホラー映画を知らない観客にとっては楽屋落ちでしかないし、知っている者にとっては姑息な手口にしかならない。つまりは脚本がとてもよく出来ているのだ。最後まで飽きずにおもしろく見れる。ちなみに「スクリーム」とはかの名画、ムンクの「叫び」の英語題で、殺人鬼のマスクがムンクの叫びに似ているのだが、ホラー映画だけじゃなく、名画のパロディまで盛り込んであるとは心憎い限りである。しかし振り返ってみて、やっぱり一番好きなシーンは、冒頭のドリュー・バリモアなのだった。

2008年 2月 20日 (水)
AVO UVEZIAN DOMAINE AVO 知り合いに葉巻をもらった。以前お土産にもらったのだが、葉巻は吸わないのでずっとホコリをかぶっていたものらしい。
キングエドワード 最近、葉巻を吸うようになっていろいろ買って試してみているのだが、なんだかんだ言って一本百円の安いキングエドワードが一番うまかったりする。一本千円以上するプレミアムシガーを吸ってみたこともあるが、やっぱりキングエドワードの方がうまいと思った。まろやかで軽い甘味が俺の好みに合うらしい。
 さて、この度もらった葉巻は「AVO UVEZIAN DOMAINE AVO」という名前。調べてみたら一本千円くらい。吸ってみると、確かに高い葉巻だけあって、優雅な香りがする。味の好みの問題でやはりキングエドワードの方が好きだが、この葉巻を吸った後でキングエドワードを吸うと、キングエドワードの味が安っぽく感じられてくる。味はキングエドワードよりうまくないのに、肝心のキングエドワードの味を安っぽく貶めるという、吸う順番によってはあまりよろしくない結果になる。これはやはりキングエドワードを吸った後の余波に楽しむのがよろしかろう。
 まあとにかく、みなさんも、吸わないのに葉巻をもらったら、すぐ俺にくれるように。

2008年 2月 21日 (木)
 風邪をひいた。本当にもう、風邪で寝込んでる暇なんてないので、ウザい。風邪がウザい。風邪なんて引くな。ってゆーか来るな。おまえと遊んでる暇はないんじゃボケ。というわけで風邪など一切無視して、普通に生活してやった。あたかもそんなものないかのごとく、1日をすごした。すごさざるをえない。忙しいのだ。まったく、俺の人生どうかしている。こんな忙しくなるなんてありえない。確かに俺は今までの人生、忙しくない時期はなかった。こんなに忙しくなるなんて、本当にもう、今が俺の人生で一番忙しい時期なんだろうな、と思っていると、もっと忙しくなる。いやもう今度こそ、これが俺の人生で一番忙しい時期だ、と油断していると、さらにもっと忙しくなる。まさかこれがピークだろう。これ以上忙しいなんて物理的に有り得ない、などと高をくくっていると、またそこからさらにもっと輪をかけて忙しくなる。そうやって忙しくなり続けて二十年くらい経つ。本当にもう冗談じゃないのだ。今こそ、この瞬間こそ、俺の人生で一番、ピークに頂点に究極に忙しい時期に違いない。絶対にこれ以上忙しくなることなんて有り得ない。この今の時期を乗り越えたらきっと楽な人生が待っているのだ。だから風邪なんて無視して、フル稼働でがんばるのだ。ふぁいとー、ゲホッ。

2008年 2月 22日 (金)
 最近、鳥居みゆきにハマった。ちょっと遅れをとった。もっと早く知るべきだった。衝撃だった。二十年ぶりにキた。どう二十年ぶりにキたのかというと、これがいろいろな意味である。
 俺は海外のコメディが好きで、その延長線上で日本のお笑いも見る。笑いのクオリティはどちらが高いとは言えないが、スタイル的に日本のお笑いは力技が多くてたまに泥臭く感じる。そんな俺がこいつだけは海外のお笑いに匹敵するセンスを持っていると認めていたのが二十年前にお笑いスター誕生で初めて見て衝撃を受けた松本人志だったわけだが、その俺が二十年ぶりに、松本人志以来衝撃を受けたのがこの鳥居みゆきなのだ。
鳥居みゆき もちろん鳥居みゆきは今のところ、松本人志のセンスには及ばないのだが、その発想力に、将来松本人志にも匹敵しそうになる筋の良さを感じる。なによりも鳥居はキレかたが良い。二十年前はこういうキレたアーチストがたくさんいた。ニナ・ハーゲン、戸川純、大竹まこと。はっきり言って、カンニング竹山をエンタで初めて見たとき、こんなもの大竹まことが二十年前にやっていたのとまるきり同じことを遠慮がちにやってるだけじゃないかと白けた気持ちで、八十年代を懐かしく想ったものだった。つまり、なんだか、鳥居みゆきには俺が二十年前に大竹まことやニナ・ハーゲンや戸川純に感じた懐かしいキレかたを彷彿とさせるのだ。
 初めて鳥居みゆきをテレビで見たとき、これは最近よくある力技タイプの芸人だなと思いかけた。しかしよく見るとまったく違った。ちょうどアートで言うとヘタウマの絵のようなもので、ただギャーギャーわけのわからないことを宣っているようで、一縷のセンスが光っている。後でネットで調べてみたら確かに「ヘタウマ演技」というキャッチが随所で使われていた。一発で初めて見る芸人の本質を見抜くとは、俺の慧眼も大したものだな。それともこれは運命だろうか。
 YouTubeでいろいろ見てみたら、あるある。テレビでいつもやってるようなヒットエンドラーンな騒がしいギャグばかりではない。イッセー尾形のような完成度の高い一人芝居もあれば、ネットのバラエティ番組では見事なアドリブトークの才能も披露している。シュールもあれば毒もある。
 どれだけ見てもつかみどころがなく、理解不能で、ひたすら狂おしく、それでいて何か俺を惹き付けるセンスがある。それはきっと、斬新な笑いと芸風の根底に、俺が二十年間探し続けてきたノスタルジーのカケラを見つけたからかもしれない。新しく、懐かしい。俺はこんなアーチストを求めていたのだろうか。
 そういえばここ数ヶ月、女芸人を何人か連続で好きになった。にしおかすみこにはじまり、柳原可奈子、いがわゆり蚊。しかしにしおかすみこはゲラゲラ愛想笑いしながら雑談してるだけの芸無しタレントになり下がってしまったし、柳原可奈子もバラエティに出てばかりでなかなか芸を見せてくれなくなった。いがわゆり蚊は中国人ネタが中国好きの俺の好みに少しハマっただけで、その後の展開が止まったままである。きっと彼女たちは鳥居みゆきという最終地点に至るまでの前兆だったに違いない。いやー、そんな気がしてきた。
 ついでだからYouTubeでも貼っておこう。どうせそのうち削除されてるんだろうが(数ヶ月前に貼った柳原可奈子ぜんぶ削除されてたもんな)、まあ、削除されてたらリンク上のキーワードで検索すれば他のところにアップされてるかもしれません。

鳥居みゆき+カンニング竹山+面接
http://www.youtube.com/watch?v=2570I3JFUdQ
http://www.youtube.com/watch?v=O3uDiTPfjYY
http://www.youtube.com/watch?v=JUCEvMhzncI

鳥居みゆき+結婚式
http://www.youtube.com/watch?v=b2QCOQmnlfk

鳥居みゆき+黒い天使
http://www.youtube.com/watch?v=CQoOBayq2ps

 追記:鳥居みゆきが売れない時期に歯科助手のバイトをしていたのは有名な話しだが、俺のバイト先の同僚が数年前に鳥居みゆきと同じ歯医者に勤めていた知り合いだという事実が判明した。いろいろ興味深い話しを教えてもらった。それにしても鳥居みゆきが○○だとは驚いた。

2008年 2月 23日 (土)
 レイコさんと東銀座の南インド料理ダルマサーガラで食事。レイコさんにはこないだ【電気苺】の撮影に使う印度のアクセサリーを借りたり、食事をおごってもらったりしてお世話になったので、アクセサリーを返しがてら、食事をおごったのだ。
 ダルマサーガラで食事をするのは久しぶりだった。ミールズのセットを注文した。味が変わったのか、風邪をひいていたので舌がバカになってたのか、俺の知っている南インド料理の味とはかなり違うものだった。まあなんでもインド料理はうまいのだ。うまかった。
 食後、少し銀ブラしてから、喫茶店に入り、レイコさんのノートパソコンを開いて動画編集を少し教えた。レイコさんは日本に印度のカラオケを普及させようと活動しており、自らインドのDVDを取り寄せパソコンに取り込んでカラオケ映像を作成している。俺も協力したいので、こうしてたまに動画編集ソフトの使い方を教えているのだ。
 ところが俺のメインで使っているソフトはFinalCutで、レイコさんはAfterEffectなので、わからない機能が少しあり、彼女のもっていた疑問点の肝心なところを明らかにすることができなかった。まあ基本のところは教えたので、細かなところは説明書を見ていただければと思う。

2008年 2月 24日 (日)
 コンビニに行ったら「ブルース・ブラザース」のDVDが安く売っていたので買った。メイキングなどの特典映像も入っているのでお得である。こうしてジョン・ベルーシの日常風景を見る機会もあまりないものだ。
 この「ブルース・ブラザース」という映画は好きな人は多いが、公開当時は大駄作とかなり評判が悪かった。試写会から評判が悪く、公開してからもマスコミから酷評されまくった。そして現在はコメディ・ミュージカルの名作として人々に愛され語り継がれている。賛否両論のサンプルのような映画なのだ。
 俺は中学生の時にこの映画を初めてテレビで見て、そのあまりのおもしろさに飛び上がってよろこんだ。高校の時にテレビで再映されたのを見て、そのあまりのつまらなさ稚拙さ退屈さにあきれかえった。大学生になり、ジョン・ベルーシのファンになってから改めて見てみたら、味わい深い演技やミュージカルシーンや映像を心の底から楽しむことができた。
 人の感性は時とともに変わってゆくものだが、俺はその変化とともにこの映画を好きになったり嫌いになったりしてきたので、この映画を良いという人も、駄作だと言う人も、両方の気持ちをよく理解できる。
 確かに稚拙で退屈なところもあるし、ひたすらモノを壊すだけで笑えない面もあるが、映画としての見応えはあるし、この映画を好きと言う観客も含め、俳優やスタッフたちなど、人間にとても恵まれた映画だと思う。
★★★☆ さてこの度ほぼ十五年ぶりにこの映画を見てみて、また新たな角度から楽しく観賞することができた。今回、特に気に入ったのが、十五年前は特になんとも思わなかったカントリー・バーでのシーン。
 映画の中盤、ブルース・ブラザースがそうと知らず、カントリー&ウエスタンのバーの舞台に立つ。最初はブルースを演奏しはじめるが、観客から激しいブーイングを受け、仕方なくウエスタンの名曲「ローハイド」を歌いはじめる。ここのダン・エイクロイドがびっくりするほどうまい。そしてその横で、ブスっとした顔をして腕を組んでいるジョン・ベルーシが、投げやりに入れる合いの手がまた絶妙なのである。そしてベルーシは壁に飾ってあった鞭を勝手に持ち出し、床で鳴らしはじめる。旧作ファンには失礼にあたるかもしれないが、オリジナルの「ローハイド」よりはるかに名曲になっている。それどころか、これまで歌われた「ローハイド」で一番うまいんじゃなかろうか。さらにその後、それまで憮然としていたベルーシが、ローハイド一曲で機嫌が直ったのか、単にヤケクソになったのか、今度はエイクロイドと脱力系の恋愛の歌を唄いはじめるのだ。この落差がまたおもしろい。素晴らしい映像と音楽が人物の感情の動きにうまく添って名シーンとなった好例であろう。
 豪華キャストも良いね(ツイギーとか)。

http://www.youtube.com/watch?v=Uzbh0aGkaic

2008年 2月 25日 (月)
 休日だが、本業が忙しく、朝から仕事。少し遅い昼食をとったら眠くなり、そのまま次の日の朝まで眠り続けた。結局、今週末は脚本にとりかかれなかった。

2008年 2月 26日 (火)
 仕事があまりにも忙しく、なかなか脚本にとりかかることができない。撮影が中断され、脚本には手が届かず、俺はいま、創作と創作の隙間にはまり込んでいる。常に創り続けていないと死んでしまう人間が、こういう状況に立たされたとき、心には虚無感しか残るものではない。
 ちょうど「創作」という名の一本道を歩いていたら、ふと道が一カ所だけ途切れてて、その途切れた部分に穴が空いていて落ちてしまい「多忙」という名の蓋をしめられた。下では「虚無感」という名のぬかるみが足下を捉え、這い上がるのを阻んでいる。そんな感じでしょうか。

2008年 2月 27日 (水)
 池袋で撮影。前半は撮影しやすかったが、後半は撮影しにくかった。撮影しにくい場合、撮影に何も期待するべきではないことを今日は学んだ。撮影しにくいものをいつまでも撮影しにくいと認識し続けるということは、撮影しにくいことに気付いている癖に期待を捨てようとしない自分がそこにいるわけである。敵は内にあり。と、すべての苦難はここに通じるのだ。

2008年 2月 28日 (木)
 せっかく知り合いになっても知り合いじゃないことにしておかないといけない出会いって虚しいものがある。それでも俺は心のどこかで、出逢った人とは誰とでも、ずっとどこかで繋がっているものだと自然に思っている。これは何故かと考えたら、人と出逢うということは、個人が特定されることに他ならないという大前提があったのだ。つまりその時に繋がったのではなく、繋がった先がやっと見えたというだけのことなのである。

2008年 2月 29日 (金)
 充電しようと思ってひさびさにBK1で本を注文した。坂口安吾と高島俊男と下関マグロを買った。数日たって本が届いた。高島俊男がおもしろくて、むさぼり読んだ。歩きながらも読んだ。仕事の合間にも読んだ。高島俊男が書いたものなら、領域にかかわらず、どんなものでもおもしろい。こういうのを文章に芸があるというのだろう。


戻る
wwwnikki ver 0.641(20020410) (c)AuSYSTEM 2002