非幻想異端的日常
2009年 3月 1日 (日)
 警察から電話があり、聞き忘れたことがあると言われてこないだ終わったはずの事情聴取にまた呼ばれた。行ってみたら、同じ質問をされただけだった。要するにどうしてもTさんの犯罪を立件させるために罪の意識があったことを認めさせたいらしい。完全な誤認逮捕だし、もう自白させるしか立件する手だてはないのだろう。いろいろ新しい質問をされて、こちらはTさんをかばうつもりはなく、ただ正直に質問に答えただけなのに、ちょっとでも罪を立証するのに不利な情報があると、「ウソをつくな!」と目くじら立てて喰ってかかってきて、「そんな曖昧な情報は調書に書くわけにはいかない」とつっぱねようとする。
 映画監督の周防さんが「それでも僕はやってない」という映画を撮ったときのコメントで、記憶が曖昧なので言葉は違うと思うが、警察とは容疑者が有罪か無罪かその真実を突き止めるための機関なのではなく、警察が逮捕したことを正当化するための機関だみたいなことをテレビで言っていたが、こうしてその現状を目の当たりにすると背筋の寒くなるものがある。要するに人は一度逮捕されたら有罪が当たり前で、無罪の証拠がなければ有罪である事実はまず変わらないという、それが日本の司法であるわけだ。
 とにかく今日、俺は取調室で「罪の意識があったことを認めろ」としつこく言われ続けた。どんなに否定しても「嘘をつけ」の一点ばりで、いつまでも終わらなそうだったので「ぶっちゃけ、刑事さんは本当は僕のことを信じてるんですよね? ただ仕事でそう言ってるんですよね? お気持ちはわかりますけど、僕は自分に嘘をつくわけにはいかなんです」と言ったら、刑事はいきなり黙って、バカバカしくなったのかなんなのか、すぐに帰してくれた。
 まぁ、バカバカしくもなるだろう。それでも自分を騙し騙しやっているのだろう。警察ってつまらない仕事だろうな。

 家に帰って、頼まれていた自主映画の脚本を書いた。さっさと終わらせないと自分の映画の制作が間に合わないので、徹夜で書きなぐった。

2009年 3月 2日 (月)
 今日も家にこもって脚本執筆。夜は大縁会に参加して、帰ってまた脚本の執筆。とにかく書いて書いて書きまくって、やっと書き終わった。根を詰めてやったので、予定より一週間早く書き終わった。しかも予定していたより長くなってしまった。まあいいや、とりあえず来週見直しておかしなとこ直して、監督さんに送ろう。

2009年 3月 3日 (火)
★★★ 昼すぎ、税理士さん来る。
 夜、池袋にて集金。取材の打診をされる。

 日本映画「母べえ」を見た。山田洋次監督。吉永小百合、浅野忠信、志田未来主演。
 山田洋次の映画は笑えたかと思うとじわっと泣かされたり、そうかと思うとまたニヤニヤ笑えてきたり、そんなことを交互にくりかえさせられながら、退屈だなぁと思いつつも、とうとう最後まで見せられて、なんだかんだ言っていい時間をすごしたと思えてしまう、そんなところが魅力なのかもしれない。だからあまり劇的なシーンがあると余計な気がするが、いい映画だった。

2009年 3月 4日 (水)
 ネットラジオ収録を予定していたのだが、天気予報で雪だというので延期にした。
 しかし結局、雪はふらず。

★★★★ 「Tokyo Real」という日本映画を見た。これは今流行の携帯小説の映画化らしい。いま俺が脚本を書いている映画に主演する予定の俳優さんが出ているので参考までにとTSUTAYAで借りてきた。
 最近の日本映画はクソばかりだし、ましてや携帯小説の映画化なんてもう百パー、クソだと思って見たら、以外にめちゃくちゃよく出来た映画だった。ただよく出来てるからおもしろかったかと言うと、そうとも限らないところが微妙なとこだ。
 内容は主人公の女子高生が夜遊び→レイプ→ドラッグ→そして○○と転落してゆく様を描いたドキュメンタリー風の作品で、エゴが形を変えただけの愚にもつかない優しさが如何に人をダメにするかを学んだだけでも見た価値はあった。
 女子高生の転落といっても、よく洋画でアウトローな主人公がカッコ良くころがり落ちるような転落とはもちろんほど遠く、大人にほったらかされ、主体性なく欲望の海をふらふらしていたら、いつの間にか周囲の景色が地獄に変わってたという感じだ。
 しかし最後の○○はなんかとってつけたような流れで違和感あったな。転落していった末の、一応の底を形にしてみました、な感じ。

2009年 3月 5日 (木)
★★★ ピアノの先生の先生のところで作業。体調悪そうだった。

 ギャオで香港映画「ライフ・イズ・マネー」を見た。
 スー・チーとトニー・レオン主演のコメディである。監督はバリー・ウォン。
 トニー・レオンの顔は嫌いなのだが、この映画の彼はそれなりにカッコよかった。
 スー・チーは相変わらずとても魅力的。おもしろかった。

2009年 3月 6日 (金)
 来月くらいからスタートする占い師のあたる♪ちゃんとやるネットラジオの初収録。
 池上梅園で散歩しながら収録した。思ったより固かったが、思惑通りの内容にはなったような気がする。初回としてはこんなもんだろう。池上梅園の後、カラオケボックスで第二回目も収録した。
 その後、駅前の喫茶店でミーティング。

2009年 3月 7日 (土)
 高田馬場BABACHOPにて毎月第一金曜日にやっているお笑いイベント「一金笑イブ」を鑑賞。「背中」でお笑い芸人役をやるイシダさんを連れて、ロケ地の下見と、役作りの参考にしていただくのが目的だった。
 お笑いライブはどうせテレビに出ていない無名の芸人さんばかりが出演していてあまりおもしろくないだろうと高をくくっていたのだが、なんとほとんどがテレビにも出演されている方ばかりで、しかも笑いのクオリティはテレビよりも遥かに高くて驚いた。テレビではできないような過激な笑いができるのと、会場の臨場感が決めてかもしれない。さすが主催のケーボーズさんの人脈の広さには頭が下がる。
 今日は純粋に映画制作の参考にと思ってショーの内容には何も期待していなかったのだが、逆に映画制作のことなどすっかり忘れて最初から最後まで笑いっぱなしで楽しんだ。

2009年 3月 8日 (日)
★★★ TSUTAYAのレンタルで「スパイダーマン3」を見た。
 前二作は映画館で見たので、初めてDVDで見てみるとやたら画面が小さく感じて迫力の落差が激しい。しかしまぁ、おもしろいことはおもしろい。
 クライマックスにちょっと異議がある。敵がふたりもいて、同時にスパイダーマンにも仲間がひとり加わり、二対二の戦いになるのだが、こういう場合はひとりがひとりと戦い、もうひとりがもうひとりと戦い、片方が先に倒して、同時に片方はピンチに陥り、最後はふたり力を合わせて強いほうの敵を倒すってのがセオリーなんじゃなかろうか。ジャッキー・チェンの映画を見てもそれは証明されている。
 敵がふたりいるってゆうのはサービス精神の一環なんだろうが、なんだかふたり一緒にふたつの敵と戦うのは目まぐるしくて、そのぶんの効果が出てるとは言いがたく、敵の数を増やしただけ無駄だったような気もした。その点、この映画は俺にとってのカツカレーに似ていた(カツもカレーも俺の大好物なのだが、ふたつを合わせたことで味が倍以上にうまくなっているわけではなく、結局二食に分けて食ったほうが二度楽しめてよかったと思って食べるたびに残念な気持になるので俺はカツカレーが好きではないのだ)。
 しかし、とにかくおもしろいことはおもしろかった。

2009年 3月 9日 (月)
★★★★ ヤフオクで懐かしのテレビドラマ「ママはアイドル」のビデオ全巻を買って、毎日見ている。中山美穂は俺の永遠のアイドルだが、このドラマは同じくらい後藤久美子がいい味出している。演技の技術は拙いが、この年齢でこの味を出せる女優は最近でもなかなかいないかと。

2009年 3月 10日 (火)
★★★★ 恵比寿で打ち合わせ。雑談で、最近俺の周囲で起きた事件にそれとなく言及したら、意外な反応があった。まさか、関係者?

 TSUTAYAで溝口健二監督の「噂の女」を借りて見た。
 日本映画の巨匠といったら黒沢や小津などもスゴいが、やはり究極のリアリズムといったら溝口健二の右に出るものはいない。ただストーリーを映像で説明しているだけの最近の映画と比べるまでもなく、今見ても画期的な作風だ。ラストシーンなんて素敵すぎて思わず唸りたくなる。
 考えてみたら溝口健二の映画を見るのはほぼ二十年ぶり。見てない映画がまだたくさん残っているので、これから次々と見倒して参りたい。

2009年 3月 11日 (水)
 一睡もせずに朝早く外出。虎ノ門にて打ち合わせ。
 帰って少し仕事して、夕方まで寝る。夜はまた仕事。

★★★ 映画「パリ、ジュテーム」をTSUTAYAで借りて見た。これは世界中のいろんな監督たちがパリを舞台に愛をテーマで描いた約5分くらいの短編を集めたオムニバス映画である。監督でめぼしいところではコーエン兄弟、ヴィンチェンゾ・ナタリ、ウェス・クレイヴン、トム・ティクヴァなどである。他の監督はよく知らない。そもそもコーエン兄弟が参加しているから見たのだ。
 一番気に入ったのはオリヴィエ・アサヤスという監督のエピソード。というより、このエピソードに比べたら他に気に入ったエピソードはひとつもないと言っていいほど、このエピソードだけがよかった。このエピソードがなかったら、他の作品の中でどれが良かった悪かったと感想も言えただろうが、このエピソードがあるために、他のエピソードは皆どんぐりの背比べにしか思えなかった。
 ちなみにお目当てのコーエン兄弟の作品は慣れた手つきで職人技を披露されただけみたいな味気なさを感じて、あまり好きになれなかった。

2009年 3月 12日 (木)
 「背中」の第二話と第三話の衣装合わせ&リハーサル。
 16時から女学生役ののんたれさんが来て、衣装合わせ。悩むかと思ってたら、意外とスムーズに決まった。
 16時半から相手役のアライさんが来て、見ておきたいシーンだけを演じていただいた。ほとんど大丈夫そうだった。おふたりとも言った通りの反応が返ってくるのでやりやすい。
 リハ後、近くのデニーズで食事。ついでに映画の中の食事シーンの動作の軽い擦り合わせをやった。
 とりあえずやることやったので、第二話だけはこれでいよいよ撮影に入れる。

2009年 3月 13日 (金)
 東京ビッグサイトにて行われた健康博覧会に行く。父の会社がブースを出していて父が講演をやるので見に来るよう至上命令が下ったのと、友人のタケシさんが来ているのでお茶でもしようということになったのである。
 父の講演の最中にタケシさんと合流し、講演が終わった後、会場を見て回った。あれこれ健康食品の試食を食べたり飲んだりしたが、健康になったような気になるよりも、食い合わせが心配になった。
 帰り、新橋駅構内の懐かしい感じがする喫茶店ででタケシさんとお茶した。

2009年 3月 14日 (土)
 銀座。
 駅でReのヒロイン女優の椿琴美さんとバッタリ遭遇。お互い急いでいたので挨拶だけで別れた。
 E社で仕事の手伝い。最近ここのS社長に会うたびに「何か儲かるアイデアはないか」としきりに聞かれる。あまりにも同じ質問ばかりされると、足を持たれて逆さまに振られてる気分になるが、こんなシケた頭から出てくる儲けのネタなど鼻血の一滴ほどにタカが知れている。それだけ彼も行き詰まっているのだな。

2009年 3月 15日 (日)
 Tさんがやっと出所してきた。結局、検事の判断で不起訴になった。正当な判決でとりあえずめでたしめでたし。
 出てくるとき、若くてガラの悪い刑事(俺の調書をとった刑事とは別の人)に睨まれ「ちくしょう! 検事のやつ不起訴にしやがって! 覚えてろよ! そのうち絶対逮捕してやるからな! 俺はお前なんか絶対認めねえからな!」と悪態をつかたそうだ。
 俺の調書をとった刑事はまだ心があって、自分を騙し騙しやってる姿が不憫にも思えたが、ここまで悪に染まってしまえば気も楽なのかもしれないな。

2009年 3月 16日 (月)
 「背中」のロケハンで西新宿の街をカメラを持って歩き回った。本番は西新宿の街中を使ってゲリラ撮影をするので、事前の綿密な計画は大事である。
 かなりあちこち歩き回ってだいたいルートとイメージを固めた。
 アシスタントにシアンを呼んでいたので、最後にギャラ代わりにインド料理「ジンナー」でめしをおごった。

2009年 3月 17日 (火)
今日の夕食 最近めずらしく自炊をするようになった。人生40年、ひとり暮らしをして10年、自炊をするようになったのは初めてである。人間、変われば変わるもんだな。
 写真はキャベツのみそ汁と、雑穀ごはんと秋刀魚である。

2009年 3月 18日 (水)
 出所してきたTさんと初対面。二十日間クサいメシを食って痩せてるかと思ったら、前とまったく変わらなかった。事務所で今後について話し合い、その後近くの喫茶店で雑談して帰った。

2009年 3月 19日 (木)
★★★☆ ギャオでスピルバーグの映画「太陽の帝国」を見た。
 内容をひとことで言うと、変わり者のイギリス人の少年が特殊な環境でその変わり者っぷりを発揮する映画。
 反戦のメッセージ性は薄く、戦争の混沌の中で少年が成長してゆく様を描いた、そして少年の成長を軸に戦争の混沌を描いたドラマである。
 たまにあからさまに黒澤っぽいシーンがあって、こういう描写をやりたい気持ちを押さえきれないところにスピルバーグの若さを感じた。

2009年 3月 20日 (金)
 朝から新橋→銀座→渋谷→六本木と、忙しく外回りの日。

2009年 3月 21日 (土)
 マシュ〜さんの主催する自主映画と即興演劇のコラボレーション企画「エンタメBOX」が高田馬場BABACHOPシアターにて行われ、夜の部を鑑賞。自主映画もよかったが、2年ぶりにインプロモーティブの舞台を見れたのがよかった。
 イベント後、近くのわたみんちで打ち上げ。「Re」を見てお父さん役の俳優さんを気に入って自分の映画に出演してもらったという監督さんがいて驚いた。

2009年 3月 22日 (日)
 背中の脚本、また新たにみっつ書いた。書きはじめれば一瞬で書けるのだ。書く時間がないだけなのだ。一瞬で書けるなら時間みつけて書けるだろうと言われそうだが、一瞬も時間があったらやりたいと思っていることが他にも無数にあるのである。

カレー 脚本が無事に書けたので、ひさしぶりにBABACHOPの自主映画上映会B-DASHに出掛けた。腹が減っていたので近くの店でカレーを食べたら、えらい量が多くて(画像参照)無理してぜんぶ食ったら腹が痛くなり、しばらく近くのスターバックスでコーヒーを飲みながら休んでいたら上映開始時間に遅刻した。
 「Re」の脚本を書いてくれた姉御さんがいて、彼女の参加した自主映画の新作が上映されたが、すばらしい作品だった。こんな映画を撮りたいのだ、俺は。
 あと、美しくておもしろい漫画家の女性と知り合った。

2009年 3月 23日 (月)
 「背中」に出演するイシダさんの所属している演劇学校の朗読劇に招待される。朗読劇なので皆同じような格好で最初はモノトーンな雰囲気から、見ていくうちにひとりひとりの演技の個性が浮き上がってきて、その認識の変化がおもしろかった。

2009年 3月 24日 (火)
 午前中、虎ノ門でミーティング。その後、銀座のX社でサポート業務。

 午後、実家の川越に帰って日本テレビの番組の一部を制作しているディレクターさんとその一団と合流。数日前、彼からニュースの再現VTR撮影のロケに使えるマンションの一室を探していると問い合わせがあり、うちの実家を紹介したのだ。
 まず近所の団地の公園で親子が遊んでいるシーンの撮影。ここは俺が小学生の頃に実際に遊んだ公園で、ひさしぶりにきてみたらずいぶん寂びれていた。
 続いて実家のマンションで撮影。内容は子持ちバツイチのキャバクラ嬢が詐欺師に騙されるドキュメント。女優さんがえらい美人だったので、そのうち俺の自主映画に出演してくださいと頼んでおいた。
 プロの撮影現場を見学できて、勉強になった。

2009年 3月 25日 (水)
 ピアノの先生の先生に荷物をベトナムまで郵送したいので手伝ってくれと前日に頼まれ行ってきた。荷物が重くて死ぬかと思った。

2009年 3月 26日 (木)
 ネットラジオの収録予定だったのだが、あたる♪ちゃんが具合が悪くて延期になり、終日事務所にて仕事。

2009年 3月 27日 (金)
 いろいろゴタゴタがあって一時休業を強いられていたバイトだが、本日からようやく再開。もともとこの店の営業も潮時だと思っていたので、これを機会に閉店することになり、五月半ばまでの期間限定の再開である。営業日も週三日だけ。
 ひさしぶりに出勤したら、すでに事務所を片付けはじめていて、従業員の意識もなんとなく残り火モードで、いくら五月までだとはいえ、ちょっと気が早すぎるように思えて嫌だった。最後までこれからもずっと続くような気持でやりたい。そんなことを社長に言ったら、俺の気持を代弁するかのような良い言葉を教えてくれた。
 「たとえ明日、世界が終わりになろうととも、私はリンゴの木を植える」
 ドイツの神学者、マルティン・ルターの言葉だそうだ。

2009年 3月 28日 (土)
 午前中、英語サイト制作の打ち合わせ。デザインだけかと思ったら、文章を英語に訳してくれとか、英文でおかしなところがないかチェックしてほしいとか、難しい仕事もあわせて頼まれた。英語はずいぶん使ってないし、第一どんなに英語が出来たって、海外向けの通販サイトで求められるレベルはなかなか難しいんじゃなかろうか。それとも、多少拙い英文のほうが現地っぽくて外国人の興味もひいたりして。

2009年 3月 29日 (日)
★★★★★ 松本人志監督・主演の映画「大日本人」を見た。これはさすがにびっくりした。
 まさに、天才が天才的なセンスを発揮してバカ映画をつくったらどうなるか、というもしもの答えがここにある。
 言葉で説明するべきではないが、あえてざっくり言うと、廃れゆく伝統を時代遅れのヒーローになぞらえた作品で、他にも様々な風刺がきいている。
 高度なコンセプトを築き上げ、ラストでぶっ壊すのもセオリー通り。しかし如何せん、そのぶっ壊し方がテレビのコントでは、センスの無い観客にはテレビの延長だと思われても仕方がなかろう。これでもじゅうぶんインパクトあるが、普通の映画作家がこれをやったらもっとインパクトあっただろうにな。しかしあえてヤボなこと言わせてもらえば、このラストは松本にしか出来ないぶっ壊し方とも言えるが、松本なら別のぶっ壊し方にもチャレンジしてほしかった気もする。
 インタビューのところはちょっとたるかったが、二回目を見てみたらより深さがわかって二度目のほうが逆に飽きずに見れた。三度目を見てみたらさらにおもしろかった。見れば見るほど一連のインタビュー・シーンは味がある。繰り返し聞くほど深くなる珠玉の言葉もたくさんあった。わかるぞ、俺にはこのスゴさが。
 カンヌではブーイングが起きたというが、しかしこれは大傑作ではないか。外人は仕方がないとして、日本人ならこのセンスはわかるべきじゃなかろうか。わかった上でバカにするのはいい。それは感性の違いというものだからだ。しかしこの映画をバカにしている方の中には、この映画をバカにすることによって、この高度なセンスがわからない己のバカさ加減を白日の下にさらけ出しているだけな方も、もちろんこの日記を読まれている皆様にはいないと思うが、広い世の中には少しいると思う。
 とりあえずこの映画がつまらなかった方はもう一回見てほしい。それでもわからなければ、もう一回見てほしい。こんなすごい才能を映画界から離してはならない。この映画は評価されなければならない。ここまでオリジナリティにあふれ、さらに深く細かくしっかりとディテールが作り込まれた日本映画が他にあるだろうか。最近では無い!
 映画史上もっともインパクトのあるオリジナルな傑作を三つあげよと言われたら、俺はタランティーノの「パルプ・フィクション」と、ラース・フォン・トリアーの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と、この「大日本人」を迷わずあげるだろう。

2009年 3月 30日 (月)
 「ゼロから自主映画をつくる」と「大縁会」合同の花見イベント。代々木公園で朝の十時から午後四時までの長丁場である。最近は夜の一時には寝て朝の七時に起きる生活を続けていたので、体力的には問題なく朝から元気だった。
 桜の下で食うのもうまいが、それ以上に葉巻がえらくうまかった。
 当初の予定では午前中はヨガ教室、午後は気功講座が余興として開催される予定だったが、午前中のヨガの先生が「今日は寒いので」という理由でドタキャンとなり、仕方なく午後の予定を繰り上げて午前中から愉快さんによる気功講座とあいなった(愉快さんはプロの気功師でもある)。寒いと思われていた気候もポカポカと春の日差しに恵まれてあたたかく、気功の実技をやっているあいだもすぐ隣で偶然にも別の一団がヨガ教室をやっていたりして、ドタキャンしたヨガの先生に恨み言を吐きながらの愉快さんの講義はとてもわかりやすくためになった。
 ミクシィで知り合った商業でも活躍している映画監督の遠藤さんがスタッフを連れていらっしゃり、初対面。その後マシュー監督もやってきた。総勢十数名集まり、なかなかの大盛況だった。
 花見の後、歌舞伎町に移動していつもの清瀧で二次会の飲み会。朝から遊んでいたので皆ヘトヘトに疲れており、早めの九時頃切り上げ、会はお開きとなった。

2009年 3月 31日 (火)
★★★ ギャオで映画「失楽園」を見た。森田芳光監督。役所広司、黒木瞳主演。
 九十年代以降の森田芳光監督の映画で初めてイイと思った。失礼にも森田芳光監督は八十年代で終わったと思っていたので、これはなかなかの拾い物だった。
 エッチなシーンばかりだが、この内容ならエッチなシーンはこれくらいあって当然だと思う。リアリズムってやつである。
 リアリティがしっかり描かれてるから、このラストが生きてくるのだ。


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