警察から電話があり、聞き忘れたことがあると言われてこないだ終わったはずの事情聴取にまた呼ばれた。行ってみたら、同じ質問をされただけだった。要するにどうしてもTさんの犯罪を立件させるために罪の意識があったことを認めさせたいらしい。完全な誤認逮捕だし、もう自白させるしか立件する手だてはないのだろう。いろいろ新しい質問をされて、こちらはTさんをかばうつもりはなく、ただ正直に質問に答えただけなのに、ちょっとでも罪を立証するのに不利な情報があると、「ウソをつくな!」と目くじら立てて喰ってかかってきて、「そんな曖昧な情報は調書に書くわけにはいかない」とつっぱねようとする。
映画監督の周防さんが「それでも僕はやってない」という映画を撮ったときのコメントで、記憶が曖昧なので言葉は違うと思うが、警察とは容疑者が有罪か無罪かその真実を突き止めるための機関なのではなく、警察が逮捕したことを正当化するための機関だみたいなことをテレビで言っていたが、こうしてその現状を目の当たりにすると背筋の寒くなるものがある。要するに人は一度逮捕されたら有罪が当たり前で、無罪の証拠がなければ有罪である事実はまず変わらないという、それが日本の司法であるわけだ。
とにかく今日、俺は取調室で「罪の意識があったことを認めろ」としつこく言われ続けた。どんなに否定しても「嘘をつけ」の一点ばりで、いつまでも終わらなそうだったので「ぶっちゃけ、刑事さんは本当は僕のことを信じてるんですよね? ただ仕事でそう言ってるんですよね? お気持ちはわかりますけど、僕は自分に嘘をつくわけにはいかなんです」と言ったら、刑事はいきなり黙って、バカバカしくなったのかなんなのか、すぐに帰してくれた。
まぁ、バカバカしくもなるだろう。それでも自分を騙し騙しやっているのだろう。警察ってつまらない仕事だろうな。
家に帰って、頼まれていた自主映画の脚本を書いた。さっさと終わらせないと自分の映画の制作が間に合わないので、徹夜で書きなぐった。