この本は、ラクして稼ぐという、人生観を徹底させ、世渡りを続ける作者(俺)が、のんき路線で取り組む、ＴＤビジネスを紹介したものである。感慨深くもあり、あほらしくもあるという、業界ひまネタを、するどく抉った好著、などと、自分でキャッチを振っていれば、世話がないか(笑)。少なくとも、この本を読まずして、ＴＤビジネスを語るなかれ、といえるだけのデータやエピソードを、並べたつもりではあるが。

　読みどころは、当BLACK BOX、オーナーのご意見も含めて、やはり客ネタらしい。近所のねーちゃん連中に読ませて、ウケたのも、その辺だな。実際、わけのわからないのがごろごろいるし、サイコしてる、キレてる、翔んでる、なんてのが、けっこう目につく。それでいて、仕事仲間は皆お友達。流す範囲の近所の顔ぶれも、やっぱりお友達。実際のところ、こういうローカルな乗りも、なかなか良い。

　だから、世の体裁の良い仕事は、縛りがきつい。ノルマがあり、肩が凝って、どうもしっくりこない。預金通帳の残高を増やし、ガキを育て、前のめりに生きて、結局どうなんだ。あぁ？そんなの、忙しがって、格好をつけてるだけだろ？なんて、さばけた感覚のひとなら、共感してもらえるかも。共感ついでに、購入していただければ、なお良いが(笑)。

　「悪徳」に、「撃退」という、キツめのタイトルについては、出版事情に通じた人ならご承知の、販売戦略上のものである。しかし、まんいちこの線で売れたら、さらにあつかましく、「帰ってきた、悪徳タクシードライバー」だとか、「仁義なき、悪徳タクシードライバー」「悪徳タクシードライバー、大阪戦争！」なんてのを、書くつもりである(ホンマかいな？)。ネタをばらしたがっているＴＤ仲間は、大勢いるのだ。