『娼品』梓
matsu:作

■ 6

「あの……イラマチオと足コキ、アニリングスがどんなものか知らないんですが……」
「ああ……それについては、明日お話します。なに、大丈夫ですよ。明日完全にモノにできなくても、奉仕技術の開発は一ヶ月間継続でやっていきますから」
「は、はあ……そう、ですか」
「では、他に何か質問は?」
「さっき予定を前倒しして、って言ってましたが、どんな予定が組まれてるんですか?」

 藤田さんは少し話しにくそうに顔を伏せたが、やがて口を開いた。

「えっとですね……簡単に説明しますね。まず最初の一週間は奉仕技術を一通り開発しながら、拡張と快感に慣れて貰うんです。そして次の一週間でさらに性交技術と軽いSM技術を開発します。この二週間が終わると、今度は中間報告というのがあるんです。この中間報告というのは、最終的にあなたが『娼品』として認定されるための試験を人事部で受けることになるんですが、その人事部で現在の開発の進み具合を試験してもらって、開発期間の延長をするかどうか査定するんです。」

 藤田さんはそこでいったん言葉を切り、一息ついてからまた話し始めた。

「ただし開発期間が延長されても、あなたの親の会社への援助は続けられますのでご安心ください。それで何事もなく中間報告が終わったと仮定して、三週間目はさらなるSM技術の開発と、多人数での性交に慣れてもらいます。そして四週間目で今までの総括をするというわけです。そうして立派な『娼品』となるべく、人事部で中間報告よりもさらに厳しい試験を受けてもらい、合格して晴れてわが社の『娼品』として登録されるのです」

 ここまで割と早口で説明されたが、要するに段階的にハードなプレイを強要されるということだろう。

「以上で簡単な説明を終わりますが、何か質問はありますか?」
「いえ、今は特にありません。説明していただいて、ありがとうございました」
「それでは今日はこれで終わりますが、そのバイブと貞操帯は明日の開発の時まで着けていてくださいね」

 そう言って藤田さんは、机の上にリモコンと鍵を置いた。

「もしあなたがバイブを使って楽しみたいというのであれば、このリモコンで操作してください。あと、トイレと入浴のときのみはずすことを許可します。この鍵をつかって外してください」
「はい、分かりました」
「それから、そこのクローゼットにバスローブなんかも入ってますので、着たければ着ていただいて構いません。……それでは、私はこれで」
「はい、お疲れさまでした」

 そうして藤田さんは、軽く礼をして部屋を出て行った。手持無沙汰になった私は、改めてこの部屋を物色してみようと思い、とりあえずクローゼットを開けてみた。中にはさっき説明されたようにバスローブが何着かと、メイド服やバニースーツといったコスプレ衣装、棚の中にはさまざまなサイズのブラジャーが入っていた。

(何でブラジャーなんてあるんだろう……)

 しばらく考えてみて、はたと気が付いた。多分だが、これは胸の形が悪くならないようにするためのものだろう。私は『娼品』になるのだから、おっぱいの形が悪いのはマイナスイメージになるのだろう。
 続いて私は部屋を見回してみた。すると部屋の角に鏡台が置いてあるのを見つけた。鏡台の上には化粧品と一枚の紙が置いてあった。その紙には「肌をきれいに保つには」などといったことが書かれてあった。これもまた『娼品』には必要なのだろう、ありがたく使わせてもらうことにした。

(くきゅうぅぅ〜〜)

 おなかが鳴る音を聞いて、そう言えば何も食べてないな、ということを思い出した。考えてみれば十二時間もずっとバイブに弄ばれていたのだから、おなかが空くのも当然だ。私は内線電話で藤田さんを呼び出した。

「どうかしましたか?」
「あの……おなかが空いたので、ご飯を持ってきてもらえませんか?」
「ああ、そういえば十二時間もずっと悶えていたんですから、何も食べてませんでしたね。すいません、今届けさせますので少しお待ちください」

 二十分ほどすると料理が運ばれてきた。さすが専属のシェフがいるだけあって、とても美味しかった。私はおなかが空いていたこともあり、料理をぺろりと平らげた。

「さて……と、ご飯も食べたし、シャワーでも浴びて寝ようかな」

 私はそう思い立って、机の上に置いてあった鍵で貞操帯を外し、オマ○コとアナルのバイブを抜き取った。そうして風呂場に入り、シャワーから熱いお湯を出す。当然この入浴の様子も撮影されているのだが、あまりの気持ちよさにこのときだけは日常に戻れたような気がした。

「ふぅ……」

私は一通り体を洗い終えると、風呂場から出て一番にバイブを入れて貞操帯を装着した。トイレと風呂のとき以外はつけているように言われたからだ。それが終わると私は髪を乾かし、バスローブを着てそのまま床に就いた。とにもかくにも疲れていた私は、そのまま泥のように眠った。

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