青い目覚め
横尾茂明:作

■ 幼心4

「由紀ちゃんちのお風呂って…銭湯みたいに大きいね!」

「そっかなー…由紀…銭湯知らないもん」

「じゃー今度二人で銭湯に行こうよ」

「いいけど…由紀…恥ずかしいな…」

「由紀ちゃん、さっきと逆だよー」

二人はキャッキャッと笑いながら擽りあった。

風呂から上がり、二人はキッチンでバスタオルのままジュースを飲んだ。
上気した二人の肌は目映いばかりの淡いピンクを呈していた。

「由美ちゃん、援助交際のこと…どうして知りたいの」

「………」

「隠さないで言ってごらん」

「由美…昨日…知らないおじさんに駅で声を掛けられてネ」
「10万円上げるから…ついて来なさいって言われたの……」

「由美ちゃん! まさか…ついて行ったんじゃないよね!」

「ううん…恐くて泣いちゃったの…」

「由紀ちゃん! 今度声掛けられても絶対ついてちゃダメよ!」

「何故?」

「ナゼって………なぜでも!」

「由紀ちゃん…ついてくと…何かされるの?」

「うーん…由紀もよくはわかんないけど…」
「ここでは話せないからベットにいこっか」

二人はキッチンを出、由紀の部屋に向かった。

由美は下着の用意が無かったから由紀のを借りた。

「由美ちゃん…由紀のブラジャー小さくてゴメンネ」

「うーんちょっと苦しいけど…我慢する」

「言ったなー! もー人が気にしてるのにー!」

「エヘヘ」

「さー、寝ながらお話しよ」

二人はベットに飛び込みお互い手を握りながら、
「ウフフ、中学の時の修学旅行以来だね」

「由美ちゃんいい匂いがするね」

「そうかしら…」
由紀は由美が昔から羨ましかった。二人で歩いていると出会う大人は「可愛い」って言ってくれるけど、
…必ず由美を見ながら言ってる…
中学になったとき先輩の男の子たちが、由美と仲のいい私に由美のことをしつこく聞いたり…ラブレターの伝書鳩をさせたり…
由紀だってけっこう可愛いのに…いつも由美ばかり…。

中学2年まで私より小ちゃかったのに3年の頃から急に由美ちゃん大きくなって…いまでは頭一つ分も大きくなっちゃった。

でも私…由美ちゃんが大好き! だって妹みたいだもん。

「由紀ちゃん! さっきの続き教えて!」

由紀は思考を中断され

「エッ! 何だったっけ」

「もー…、知らないおじさんについてくと…何かされるってことだよ」

「うーん…由紀もあまり知らないけど…多分Hなことされるんだよ!」

「Hなことって?」

「恥ずかしいから言えない!」

「もー…由紀ちゃんのイジワル! 由美後ろを向くから教えて」

由美はクルっと由紀に背中を向けた。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊