僕の転機
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■ 第7章 奴隷達の思い7
立ち止まると右手の扉が開き、コック服を着た男がゴミ箱を抱えて出てきた。
店の中から怒声が飛び、男はただひたすら謝っている。
佐知子のセンサーは、その男がターゲットだと教える。
佐知子が男の顔を視認出来る位置に来た時、宗介の残酷さを理解した。
(この人を相手に選ぶなんて…。ご主人様…、酷いわ…。お兄ちゃん…)
佐知子の目の前に現れたのは、ホームで一緒だった、2こ上で佐知子を最も庇ってくれた良二だった。
目の前に現れた美女を直視出来無い良二は、ぺこりと頭を下げて中に入ろうとした。
その時、佐知子は口を開いた。
「待って…私を使って下さい…精液を譲って下さい」
固く目を閉じ、口にする。
声を掛けられた良二は、意味を把握出来ず困惑するが、聞き覚えの有る声に動きを止める。
「私の身体で、精液を絞り取らせて…。お兄ちゃん」
佐知子は、血を吐くような思いでその言葉を伝えた。
「さ、佐知、子?」
かろうじて、それだけの言葉を口から漏らす良二。
近付く佐知子の、首輪を見て、良二が佐知子の立場と、言葉の意味を理解する。
「お前…。やっぱり…、そっちに行っちゃたのか…?分かったよ。ちゃんとしないと、主人に怒られるんだろ…。来いよ」
良二の前に跪き、口を使う佐知子。
その表情は、人形のようだった。
良二が達して、後始末を終えると、良二は憐れみを浮かべた目で一瞥し、扉の中へ消えて行った。
残った佐知子は、ひとしきり、嗚咽した後涙を拭いて立ち上がった。
(ふふふっ…笑えるぐらい、酷い事を思い付くのね…でも、踏ん切りが付いたわ…そう、私は奴隷。でも、あなたの物には成らない)
佐知子の目には、固い決意が示されていた。
しかし、佐知子は、その決意が又も宗介の思惑通りの反応だったとは、思いもよらなかった。
路地を出た佐知子は、凄かった。
センサーが反応する男達を駆け引き無しで誘い、身体全てで奉仕し、落として行く。
あっという間に、10人を落とした。
この時、時間は2時をさそうとしていた。
美由紀12人、佐知子10人が、歩美参加時の処理人数だった。
◇◇◇◇◇
2時になり、ワンボックスから3人目の影が吐き出される。
所在なげに歩く、ピンクのメイド姿の歩美。
歩美は、駐車場を出ると左に曲がって進んだ。
俯きながら歩いていたため、自分が何処に向かって歩いているのかを、全く理解していなかった。
暫く進むと、足下はいつの間にか、土に変わっている。
歩美はどうやら公園に入って居たようだ。
フッと我に返り、
(いけ無い、こんな所でボーッとしてちゃ…早く、目標を見つけなきゃ…)
歩美は、踵を返し出口を探すが、どう歩いて来たのかすら憶えていない。
それに加え、顔を上げたときに自分の位置も確かめず、方向転換したため、歩いて来た向きさえ判らなく成った。
(いやだ…どうしよう…ここ何処?)
完全に迷子に成ってしまっていた。
オロオロと、回りを見渡す歩美。
その時、かすかに右乳首が反応した。
(はっ、右側?今動いたわ…こっちね)
歩美は、急いで右に向きを変え、歩き出す。
すると、クリトリスにかすかに振動が、加わり出す。
(こっちね、良かった。これで、これで…)
木の茂みの向こうから、人の声が聞こえて、クリトリスの刺激も強くなる。
(あっ!でも、どうやって声を掛けよう…SEXして下さいなんて言ったら、処女を奪われかねないわ…ここはダイレクトに…)
木の茂みを回り込み、目を瞑り大きな声で、歩美が言った。
「すみません!私に精液を下さい!」
顔を俯かせ、真っ赤になりながら歩美が言った言葉に、たむろしていた5人の人物は、言葉を失った。
歩美は、何の反応も返って来ない事に、疑問を感じ、恐る恐る顔を上げ、目を開ける。
途端に、歩美の目の前が暗くなった。
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