千佳
木漏れ日:作

■ 32

翌朝。
しのぶさんが起こしに来た。
「顔洗って、キッチンに来てください…。」
傍らには着物が置いてある。
私は慌てて飛び起き寝巻きのままトイレと洗顔を済ませた。

裸になり足袋から着物を着る。
祖母に着物の着方を教わっていて助かった。
急いで台所に向かう。
「すみません…遅くなりました…。」
幾人かの女性が忙しそうに働いている。
しのぶさんが私に言った。

「配膳をお手伝いしてね…。」
「はい…。」
私は指図通り動いた。
一通り終わると、しのぶさんが声を掛けてきた。
「お食事にしましょ……。」
私としのぶさんは隣の部屋に移動した。

しのぶさんと二人で朝食を食べる。
「終わったら洗い物してくださいね…。」
「はい…。」
食事が終わり洗い物をする。
しのぶさんと二人で。
終わると、

「私と一緒に来て…。」
着いた所はトイレだった。
黙々と掃除するしのぶさんはすごい。
私も手伝った。
しのぶさんが言った。
「一番汚れる所だから一番綺麗にしないとね」

そのあとも部屋や廊下、など掃除は幾らでもあった。
夕食の後片付けが済んで風呂に入る。
ホっとする時間だ。
一週間が過ぎた。
しのぶさんが呼びに来た。

「奥様がお呼びです…。」
私は急いで部屋に向かった。
「千佳さん…。」
「はい…。」
「あなたの学校の事なんだけど…。」
「はい…。」

「突然で悪いけどこれから学校に行ってほしいの」
「今すぐですか?」
「悪いわね…。」
「いえ、そんな…。」
「じゃ支度して…。」
「はい…。」

部屋を出るとしのぶさんが待っていた。
「こちらに…。」
連れて行かれたのはお風呂だった。
「どうしたらいいの?」
「シャワー浴びてお部屋に来て下さい…。」
私は言われたとおりシャワーを浴びた。

部屋に戻るとしのぶさんが、
「これに着替えて下さい」
青い服を出した。
ワンピースだ。

もちろん下着はない。
しのぶさんと外に出る。

駐車場の車に乗る。
運転はしのぶさん。
車は快調に走り出した。
車内では一言も話さなかった。
30分程過ぎた。
目の前に大きな建物が見えてきた。

門の中に入った。
女性が近づいて来た。
その女性が言った。
「千佳さんね?」
「はい…。」
「私に着いて来て…。」

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊