光梨の奇妙な日常
煙突掃除屋さん:作

■ AM7:15 朝食1

AM7:15 朝食


「ぷっは〜〜〜〜!いい気持ち!」

ジャバジャバと水しぶきを上げながら冷たい水で顔を洗うと一気に眠気が飛んでいってしまう。すっきりした顔で鏡を覗き込むと、光梨は手で髪型を整えて鏡の中の自分にニッコリ笑いかけてみた。備え付けてある柔らかなフェイスタオルで雫を拭き取りながら色々な角度で確かめるように鏡を見る。

「よし!今日も可愛いぞ!光梨!」

手のひらで両方の頬をパチン!と叩くと上機嫌でもう一度大きく伸びをした。



『光梨さ〜ん!学校に遅れてしまいますよ〜!』

 キッチンから星歌の呼ぶ声がする。光梨はタオルを首に掛けると食堂に続く廊下へと出て行った。

「あ…… お姉ちゃん、おはよう」

 2階に続く階段から加奈が下りてきた。屋敷には4階建ての棟が3つあり、それぞれが2階と4階に渡された廊下で繋がっている。加奈の部屋は東棟、光梨の部屋が西棟、そして先ほど窓から見た駿介の部屋は加奈と同じ東棟にある。朝の一分一秒を争う中では部屋の配置が光梨にとって大きなハンディとなっているのだ。
 先ほど乱れていたポニーテールは再び綺麗にまとめられていた。光梨はまだ起きたままの姿だったが、加奈は既に着替えを済ませて制服を着込んでいる。

「今朝は駿ちゃん激しかったみたいね。大丈夫だった?」

 光梨が下唇の辺りを人差し指で指しながら悪戯っぽく加奈に笑いかける。

「そんな…… そんな事ないよ」

 加奈は軽く頬を染めて光梨から逃げるように食堂へと入っていってしまった。光梨もゆっくりと後を追って食堂に向かう。
 食堂の大きなテーブルには既に駿介が座ってコーヒーを飲んでいた。駿介は2人に気付くと広げていた新聞をたたんで膝の上に置いた。

「光梨ちゃん、加奈ちゃん、おはよう」

 パーティー用にも使えそうな大きなテーブルの一番奥の席に陣取った駿介は2人に軽く手を上げて挨拶をする。

「駿ちゃん、おはよ!」

「おはようございます」

 それぞれ挨拶すると光梨は駿介の右側に、加奈は少し離れた左側の席に座って落ち着いた。すかさず星歌が朝食を運んでくる。

「もう先に食事は済ませたよ」

 駿介はそういうと再びコーヒーカップに口をつけた。
 駿介は光梨達姉妹の従兄弟にあたる。三年前から海外に事業を展開している光梨達の父親・桂太郎に屋敷の管理と娘達の世話を頼まれて住み込んでいるのだ。本人は事業とは関係の無い公務員で、毎朝決まった時間に役所へと出かけて行く。26歳という若さにしては落ち着いた印象を受けるが、本来の彼はそうでもないらしい。光梨と加奈は駿介を兄のように慕っているようである。

「いっぱい出しすぎておなか減ったんでしょ?」

 光梨が悪戯っぽく駿介の顔を覗き込むと駿介は笑いながら首を横に振った。

「残念だけど今朝は時間がなくてね。ね?加奈ちゃん」

 駿介が加奈の方に目をやると頬を染めた加奈が恥ずかしそうに頷いた。

「ふ〜ん、駿ちゃん今朝は出してないんだぁ。光梨だったらすぐに気持ちよくしてあげるんだけどなぁ」

 光梨は悩ましげに上唇を舐める素振りをして駿介に視線を送る。

「じゃあ明日は早起きして光梨ちゃんが起こしにきてくれよ」

「はははは…… それ言われちゃうと辛いんだよねぇ」

 光梨は運ばれてきたトーストをパクついた。焼きたての香ばしいパンにバターの香りがたまらない。

「光梨ちゃんは着替えてないけど間に合うのかい?」

 駿介はそう言うと右手を伸ばして下着を着けてない光梨のTシャツの上から形の良い乳房を軽く掴んだ。

「ァん……」

 光梨は突然のタッチに軽く身悶えしたが、すぐに駿介の方に身体を向けて胸を弄る手を受け入れる。

「加奈は朝のクラブがあるんでしょ?私は今朝は休みなのッ……あん……」

 駿介の指が敏感な突起を捕らえるとピクンと顎を浮かせて感じ入る。駿介はひとしきり光梨の乳房を弄ぶと再びカップに手を伸ばした。

「もう終わりなの?」

 駿介の方に胸を突き出したまま光梨は口を尖らせた。

「本当に遅刻しちゃったらいけないからね」

 駿介は笑いながら何事もなかったようにカップに口をつける。

「ん〜〜 すぐにイッちゃうのも勿体無いもんねぇ」

 胸に残る駿介の手の感触を感じながら光梨は駿介に顔を近づけた。

「じゃあ、朝食が終わったら光梨がお口でしてあげる!遅刻しないように一生懸命するから、いいでしょ?」

 光梨は駿介の笑顔を見ながら運ばれてきたマグカップに口をつけた。光梨はコーヒーが苦手なので温かいココアを飲むことにしている。メイドの綾乃が作ってくれるココアは甘味も苦味も丁度良く、どこのカフェと比べても一番光梨の口に合うのだ。が……

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