ボクらの秘密
木暮香瑠:作
■ 自由研究5
しゃがんで一生懸命土を掘る美紀。
今、美紀の前に回れば胸元からブラジャーが確認できるかも……、黒いブラジャーしてるのか……。
ダメだ、ダメだ!! こんなこと考えていちゃ……。発掘しなくては……。でも、ボクの頭の中では美紀は、巨乳グラビアアイドルのようにエッチな黒のレースのスケスケの下着姿でポーズをとっている。そりゃあ、学校の女の子の中では胸は大きい方だけど、巨乳アイドルほど大きくはないけれど、それでもボクの頭の中ではHな本のアイドルの顔だけ美紀に置き換えられている。
ボクは確信を得るため、美紀に探りを入れてみた。
「美紀って、黒とか好きなの?」
ボクは美紀に訊ねた。
「えっ? 黒? どういうこと?」
「えーっと、黒い服とか……」
下着を聞きたいんだけど、それを聞くのは恥ずかしい。Hの烙印を押されてしまう。とりあえず黒い服が好きかどうかから探りを入れてみる。美紀は、キョトンとしている。話の流れが判らなくて……。
そうだ、確か美紀、黒い服を着てるのを見たことある。
「美紀、黒いTシャツ持ってたよね……」
「ああ、あれね。持ってるけど、黒が好きだから買ったわけじゃないよ」
美紀は地面を掘りながら、ボクの質問に答えてる。
「じゃあ、どうして?」
「胸のピンクの英語の文字がかわいかったから買ったんだよ」
「そうなんだ……」
「黒い服はあれだけかな。あのTシャツだけだよ」
そう答えたあとちょっと考えて、思う出したように言う。
「あっ、ピアノの発表会用に買ったボレロとスカートがあった。……それくらいだよ、黒い服は……」
ボレロってなんだよ。判らないけど、黒い服は多くは持ってないってことか……。
「じゃあ……、服以外では?」
「黒い小物? もってないなあ……。やっぱりピンクが多いかな」
ええっ? 黒が好きなわけじゃない? 好きなのはピンク? そういえば文房具や小物はピンクが多いな、美紀……。妄想の中で美紀にピンクの下着を穿かせてみる……。ピンクのブラジャー、パンティもいいな……。イヤイヤッ、今はそんな問題じゃない。黒かどうかが問題なんだ。
「別に黒が好きってことはないなあ、わたし……」
そうなんだ、やっぱり美紀は別に黒が好きなわけじゃないんだ。じゃあ、どうして今日は黒いパンティ? ボクのモヤモヤは続く……。なんなんだ? この頭の中の晴れない感じは……。
「でも……、男子は好きでしょ? 黒いもの……」
今度は美紀が聞いてきた。それも黒い色について……。
「まあ、好きかな……」
そりゃあ、好きというか、ランドセルも黒だし、黒い小物も多く持ってる。えっ、男子が好きだから? 男子が好きだから黒い下着を着けてる? ……そうだ、女子は見せパン穿くって聞いたことあるぞ。見せパンって見せる用のパンティだよな。じゃあ、今日美紀が穿いてるのは誰かに見せる為?
美紀が黒いパンティを吐く理由を考えてみる。でも、何も思い浮かばない。やっぱり見せパン? 誰かに見せる為なのか? その誰かはこの中にいる? それともボクの知らない誰か? でも、ボクの知らない誰かなら、今日、そんな見せパンティ穿いてくる理由はない……。やっぱりこの中にいる? でも美紀は、今ボクと発掘してる……、それじゃあボクに見せたいため? とんどんイケナイ妄想は膨れ上がっていく。
「健は何色が好きなの? やっぱり黒?」
今度は美紀から質問してきた。ボクの好きな色が気になっている? やっぱりボクに見てほしくて穿いてきた? 黒いパンティ……。
「いっ、いや別に……。でも……、黒もいいかな?」
頭の中では美紀が、黒のスケスケレースのランジェリーを身に着け、グラビアアイドルの様にポーズをとっている。やっぱりボクに見せるため?
ナイナイナイ! それは無い! きっとナイ!! いつもも喧嘩ばかりしてるし……。なんでもボクのすることにいちゃもんつけるし……。ボクを呼ぶときだって、健っていつも呼び捨てだし……。
「健、どうしたの? それよりちゃんと探してる」
「うっ、うん。探してる……」
「顔、赤いよ」
えええっ、ヤバイ。妄想が顔に出てる?
「うっ、暑いから……」
「ジュース飲む? 熱中症になっちゃうよ」
美紀が肩にかけてた水筒をボクに差し出す。変な妄想をしてることは気付かれてないみたいだ。
「だ、大丈夫。オレも持ってるから……」
ボクは自分の水筒からジュースを飲んだ。
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