人妻の事情
非現実:作

■ その時は妻であらず2

「そこで提案です……」
「ぇ……え?」
「是非ともっ是非とも……奥さんの身体を僕に管理させて欲しいんですっ!」
「は…ぃい?」
「要は……貞操帯をつけて欲しいんです、奥さんに!」
「……ぇ、ぇ…え……え!?」

突拍子な田崎さんの発言に、イマイチ私は理解が出来なかった。
(貞操帯……って……あのっ!?)
貞操帯なる物は勿論知っている。
それを本来の使い方とは違う、調教やプレイという形でも使われている事も知っている。
私のパソコンのお気に入りサイトにも、そういったプレイ記事がある。
(それ…を……わ、わた私がっ!?)

「今日、回りくどく旦那さんの関係を聞いたのは、そういう理由なんです。
旦那さんが理沙さんの身体を求めてこないのなら……と。」
「た、確かに夫は全く……でも、そんな……」

突然、田崎さんが私の真横へと移動した。

やや小太りな田崎さんの行動は素早かった。

「無理な注文だとっ、本当に無理な注文だと思ってますっ!!。
でも、でもでも……1度でいいからやってみたいんですっ!!。」

私の真横で土下座しつつ、頭をこすり付けて田崎さんが言った。

「ちょ、ちょっとそんな事っ、止めてください〜〜っ」

土下座を止めようと私は袖を引っ張るが、当然動く筈は無い。

「お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますっ!!」
「ふっぅ…… ……」

どうあっても土下座を止める気の無い田崎さんだ、これはこのまま時間切れでこの話を無かった事にしようと決めて、私は再びソファーに座り直した。
   ・
   ・
   ・
数分が経ち、そろそろコーヒーも無くなりかけている。
尚も土下座で微動だにしない田崎さん。
その間、一切私は口を挟まなかったせいで、この場の空気は居心地が最悪だった。

「その……田崎さん……いい加減諦めてくださいよ……」
「…… …… ……お願いします」
「んもぉ……大体、貞操帯して私にどんなメリットがあるんです?」

突如田崎さんが顔を上げて、まるで……泣きそうな声で言うのである。

「貞操帯というのは、これも露出プレイの一環でして……」
「何処がですか……寧ろ隠されちゃってるじゃないの」
「そうですっそうなんです、大事な所を管理者に鍵で管理されて過ごすんですよ。
自分では触れず、オシッコも拭けず、お風呂でもあ洗えないんです。」
「……そ、んな事」

脳裏には……登録済みのHサイトで巡る貞操帯プレイの記事が蘇ってくる。

「この露出プレイは……臭いですっ、臭いなんてすよ。
女性特有の臭いや排泄の臭い、それを我慢しつつ過ごすんです。」
「ぅ、う!」

確かに……貞操帯をされた女性はそう綴っていた。

「そして、そして……何日か経って疼いて仕方ないアソコを我慢して……。
貞操帯の施錠が解かれた時、最高のエクスタシーを迎えられるんですよっ!。」
「さ、さ……ぃこうの……エクスタシー……?」
「蒸れに蒸れたオ○ンコが開放されるんです」
「……っ」

再び……私は身体の火照りを感じ始めていた。
(……貞操帯……そんなに凄い…の……って私何を考えて……)
全身が熱い。
そして再び燃え広がりだしたスカートの中を、両手で必死に抑える。
だが……私は想像してしまう……。
(こ、こんな風に火照った身体でも、貞操帯付けてたら……慰められないんだ…… ……)
いつの間にか……貞操帯を付けてたらどうなるかを想像している私がいた。

「僕が責任持って理沙さんの体を管理しま、いやさせて下さい。
決して悪いようにはしませんし、プレイを楽しんでもらうよう尽くします。」
「はぁ、はぁ」

(あの貞操帯サイトの女の人みたいに、私もするの?)
私の思い描くビジョンの中の私は…… ……既に貞操帯を付けた私がいた。
付けたらどうなってしまうのだろうか、頭の中でグルグルと思想が渦巻いている。

「……理沙さん……どうか、どうかお願いします」

夫ではない男の人に大事な所を鍵で管理される……。
(S○Xに興味ない夫に臭いで気付かれたら……どう…しようか)
欲望が増長してどうしても止まらなくなり…… …… ……

遂に私は。

頷いたのだった。

プレイという欲望に負けた。

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