百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第五章 タッグマッチ5

「あああああっ!!」
亜湖は大声を出して背中を押さえた。香は亜湖の髪を掴んで今度は自分の股に挟み、胴をクラッチした。そして直ぐに持ち上げた。パイルドライバーの体勢になり、亜湖は足を真っ直ぐに伸ばした。香はそのままパイルドライバーを決めた。亜湖の体はゆっくりと崩れ落ち横向きに倒れたが香は亜湖の肩を蹴飛ばし、仰向けにした―――。そう、これが見たかった。亜湖の痙攣―――。
場外で大の字になり、ビクッ、ビクッと痙攣している。しかも年頃の下着姿の娘が―――顔だって香から見たってかわいい亜湖が―――。香は亜湖のそばに立ちその様子を見下ろしていた。時々さくらの動きを気にしながら―――。レフリーが下りてきて亜湖の状態を確認し、試合を一時停めた。
3カメは汗びっしょりの亜湖が痙攣している様子を捉えていた。場外なのでこの間の新人戦の時の様に足の方から股間ではなく、上から映していたのでいやらしさは劣るが、そこはそこで考えた映し方をしていた。アップで汗で濡れている足、そして太腿と移動し、そして腰。汗を吸い込み濡れ始めているパンティを映し、そこで止まった。薄水色のパンティが汗を吸い込んで濡れている所は色が濃くなりまだ濡れていない所との色の差が出来て模様みたいに見えた。少しずつ痙攣の速度は遅くなっていき、ビクッ、ビクッと動く様子を詳細に捉えた。汗で濡れているパンティ姿で痙攣している様子を―――。そして胸に移り、汗を吸い込んで濡れ始めたブラジャーを映した。パンティと同じく汗を吸い込んだ所は少し濃く見えた。その胸、ブラジャーが腰から少し遅れて小気味良く揺れる。そして目を閉じ、口を少し開けている顔を映した後、再び腰、汗を吸い込んだパンティーを映した。
香は何となく、このカメラがどういう映し方をしているのか分かった。そして、
「下着姿でさらに、こんな姿晒してるんじゃ、人気出るわよね」
と呟いた。そして、亜湖の痙攣が止まると、レフリーが試合再開を告げ、それを聞き香は亜湖の髪を掴んだ。そして周りを見ると3カメはいなくなっていた。
今度はリング内で―――、いや、もう少し遊んで行こう。香はそう思った。兎に角亜湖を今餌食にしているわけだからやりたい事は全てやるのも悪くない―――。香と亜湖やさくらはまだレベルが違うから、これから暫くは、特にシングルでは対戦できない事は分かっているから―――。

チラチラとさくらの様子を気にして見るがさくらは蹲った状態のまま動かない。香は亜湖を起こした後、投げ捨ててある椅子に向かってボディスラムで投げ捨てた。
「ああっ!」
亜湖は声を上げ、背中から腰を押さえたがさっきより椅子の分だけダメージが大きいはずだが、声は小さかった。場外パイルドライバーで一気に体力を奪われ、声を出す事も苦しくなった。
香はジュディにさくらの動きに注意するように指示した。そして、亜湖の髪を掴んで起こした。亜湖は首を振りながら起き上がった。香はもう一度亜湖を鉄柵に振った。亜湖は香を振り返そうとしたが出来なかった。ただでさえ力の差があるのに、ダメージを受け過ぎた亜湖と多少疲れは見せているものの亜湖と比べればノーダメージに等しい香では振り合いになった時にどっちが勝つかは明らかだった。
亜湖は鉄柵にぶつかる直前に向きを変え、背中から激突した。
「あうっ!」
声を上げ、首を振った。何とか倒れないように両手で鉄柵を掴み、両足で踏ん張った。しかし足はガクガク震えていた。亜湖はそうしているのがやっとで、香の動きは見ていなかった。

香は、亜湖が攻撃を食らった時に腰が落ち足を投げ出す格好にならず、食らった反動で前に倒れるように攻撃を入れる動きをした―――。亜湖は気付いていなかったが亜湖のブラジャーのベルトが右脇の下でブラブラ揺れていた事、今の鉄柵攻撃でブラジャーのホックが外れてしまった事に香は気付いたからである―――。新人戦でさくらにロメロスペシャルを掛けた時に思ったこと、ノーブラの時に弓矢固めやロメロスペシャル掛けたらどうなるだろうか? それを知るのも悪くない、という感情―――いや、劣情を抱いてしまったから―――。
ちなみに左側は背中が鉄柵についていたのでまだそうはなっていなかった。
香は亜湖の胸元にジャンピングニーを入れた。香の動きを見ていなかった亜湖はまともに受け、体を鉄柵に押し付けられ、香の狙い通り反動で前に倒れた。香は亜湖が気絶していないことを確認すると髪を掴み起こした。スルッとストラップが肩から外れ、ブラジャーはその場に残りフラフラと立ち上がった亜湖は乳房が露になった。
香はパンティ一枚姿になった亜湖をリング内に入れ、落ちてるブラジャーを拾い少し眺めた後コーナーに掛けた。こういう事を想像してオナニーまでした事あるくせにいざ、こうなった時これだけ冷静なのが意外だと思った。
「ああっ! センパイ!」
さくらが"異変に"直ぐに気付いた。そしてコーナーに掛けられたブラジャーを取り返そうとしたが、ジュディに掴まりハカイ締めにされた。
「あんたは黙って見てな!」
ジュディはそう言いわざとさくらの顔を亜湖と香の方へ向けさせ、そして体は締め上げ逃げられないようにした。さくらは何とか亜湖を助けようともがいたが、もがけばもがくほどさらに締め上げられ、もがき疲れてぐったりしてしまった。
「センパイ……ごめんなさい……助けに行けません……」
さくらは目に涙を溜めそう呟いた。亜湖はいつも自分を守ってくれたのに、肝心な時にお返しが出来ない、助けに行けない悔しさに、涙を流さずにはいられなかった。
香はとりあえずエルボを落とした後そのまま亜湖をフォールした。カウントツーで亜湖は何とか返したが足の振り上げ方に力強さが無かった。
「確認は―――無理か」
香は呟いた。エルボを食らった時、亜湖は声を出していなかった。もう亜湖の体力は殆ど無い事に香も気付いていたから、"ブラジャーの有無で胸の揺れ方の比較"は無理だと思った。ならばもう少し亜湖が強くなってからでも構わない―――。とりあえず今日はこれで試合を決めてしまおう、と。
香は亜湖の髪を掴んで起こした。亜湖はまだ自分がパンティ一枚姿になってしまった事に気付いていないようだった。亜湖は何とか立ち上がったが、右足を前に出したと思ったら左足を、とフラフラしていた。そのフラフラになった亜湖の頭を股に挟み、それから胴をクラッチした。そして有無も言わさず持ち上げ肩に担いだ後、一気に前に落とし、両肩に乗った亜湖の足を、右足を左腕で、左足を右腕で固めた。
カウントが入った。
「ワン、ツー、スリー!」
亜湖は右腕を上げる事で肩を上げようとしたが腕を上げ掛けたがそのままパタッと落ちてしまった。15分55秒、ポニードライバーで香とジュディ組の勝利だった。香はコーナーに行き亜湖のブラジャーを取り自分の肩に掛けた。そして自軍のコーナーに寄り掛かって足を組み、パンティ一枚姿で、気を失っている亜湖を見下ろした。ジュディはさくらに掛けていたハカイ締めを解き、香の隣に行って腰を振って踊った。
さくらはハカイ締めを解かれると這って亜湖の元に行き、
「セ、センパイっ! 亜湖センパイ!!」
と亜湖の隣に座り込み、呼び掛けた。香はその様子を見て静かにリングから降り、控え室に引き上げ、ジュディも付いて行った。

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