色白の美奈
safty:作

■ メルトモ2

 二駅目で美奈ちゃんの友人が二人乗ってくる。
 二人とも美奈ちゃん程ではないが、それでもかなり可愛くて、胸もけっこう大きい。
 巨乳は、巨乳を呼ぶのかもしれない。
 二人の友人は、早紀ちゃんと姫奈ちゃん。
 やっぱり女子高生3人集まるとかしましい。
 たじたじとなってしまう。
「結婚してるんですか?」
「厳しいこと聞くね〜まだなんだよ〜」
「彼女いるんですか?」
「いないよ〜友達ばっかり。」(セフレだらけだから、うそは言ってないぞ。)
「え〜美奈ちゃんを彼女にしたらいいよ。」
「きゃぁぁぁぁ早紀ちゃんたら!!」
 ずばずばと僕の全身に周囲から鋭い悪意の視線が突き刺さるのを感じる。
 そりゃあ中年男性に、電車内のアイドルが好意的にしゃべりかけているのだ。
 嫉妬に狂った奴から、背中からナイフを突き刺されかねない。
「いい男さんじゃない。」
 姫奈ちゃんまでからかっている。
 美奈ちゃんは真っ赤っかになって恥ずかしがって、なぜか僕のお尻をバシンと叩いた。
「いてて! 何するんだよ!!」
「もう!」
 もう一回叩かれる。なんで僕が叩かれなきゃならないんだ? うれしいけど。
「そういう趣味はないぞ。」
「そうじゃない趣味はあるんだ。」
 にやにやと早紀ちゃんがつっこみを入れる。
「そうじゃない趣味ってなに?」
 姫奈ちゃんがきょとんとした表情でスーツの腕を引っ張っている。
「あのなぁ、小学生がお父さんの手を引っ張っているんじゃないんだから、勘弁してくれよ〜。」
「ナワ・ムチ・ローソクの世界とか。あっバラ族? バラ族? そうだバラ族だ!!」
 早紀ちゃんは突っ走っている。
 早紀ちゃんも姫奈ちゃんも電車内にファンが多くいる。
 電車内はし〜んとして、3人の楽しそうな会話だけが響いているかのようだ。
 ううっ電車内の男性をすべて敵にまわしてしまったなぁ………
 そんなことにお構いなく、3人はどんどん僕に絡んでくる。
 今時の女子高生は……頭が痛くなってきた。
 でも、美奈ちゃんと二人のときのさっきまでのどきどきとした緊張感は治まってくれていた。
「やっぱり……胸が大きい人が好き?」
 控えめな声で手を口の前で合わせて唐突に美奈ちゃんが聞いてきた。
「あたり〜♪」
「お? もしかして私たちストライクゾーン?」
 目を輝かせて早紀ちゃん……
「はいストライクゾーンです!」
 開き直って言い返す。
「一人1万で3万!! どう?」
「早紀ちゃん!!」
「ぐええ〜えぇ〜ぇぇ〜」
 姫奈ちゃんが早紀ちゃんの首を絞めて左右に揺すっている。
「それじゃあまた明日ね〜♪」
「痴漢すんじゃないぞ〜♪」
「また明日♪」
 彼女たちが通う進学校の最寄り駅で彼女たちは、赤いチェックのミニスカートをふわりと翻してあわただしく降りていった。
 もうすぐ季節は夏。
 扉の向こうに、白い雲を所々にくっきりと浮かべた高い青空が見えていた。
 電車内に取り残された僕は、しんとした悪意の満ちた空間に取り残され、なぜか背中に冷や汗が幾筋も伝い落ちた。

 日々が過ぎ、彼女たちの毒舌やら癒しやらを受けながら楽しい通勤、彼女たちが降りた後は冷たく鋭い視線にさらされる日々をすごしていたのだが、いつのまにか、僕が単なる友達以上の関係になっていないことを感じ取っているのか、親子がじゃれあっているかのようにしか捉えられなくなってきたのか、または、僕が鈍感になったのか、悪意に満ちた嫉妬の視線を感じることが減っていった。
 時々、背中にガムテープでいたずらされたり、ガムをくっつけられたりといった嫌がらせはよくあることとなってはいたが、あれだけかわいい女の子たちと楽しそうにしていれば、そうしたくなる気持ちも分からないでもない。
 あえてされるがままにしていたら、嫌がらせも少しずつ減っていった。
 そのうちに彼女たちは試験期間に入って、2本程早い電車で通学するようになって会うことが減った。
 そして試験明けのある日、メールが入った。
「今度の土曜日、早紀ちゃんと姫奈ちゃんとお泊まり会するので、昼間だけでもお茶しに来ませんか?」
 僕はすぐにOKの返事を返した。

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