獣欲の生贄
フェラ男優:作

■ 復讐5

「また、さっきのように、口に出し入れするんだ。 歯を当てないように、唇を窄めて……」
坂井はさらに椅子から腰を浮かすように、脚を広げて投げ出す、自分の欲棒を握る菜実の横顔がよく見える。
菜実は、再び、坂井の怒張してパンパンに傘の開いた陰茎を頬張っていく……。
丁度、くびれた亀頭部分まで咥えて唇を締める。
ゆっくりと太くて長い竿の三分の一ほどを深く口腔内に挿入すると、鈴口が菜実の咽まで達した。 そこから唇を絞って、引き上げていき雁首を引っ掛けてしごき抜く……。
ジュポッ……。
口内に溜まった唾液のせいで、雁首をしごき上げるたびに濡れた空気の漏れる音がする。
チュップ……。
菜実の柔らかな唇の締め付けが、射精間近の敏感になっているクビレを擦り上げるたびに、坂井はゾクゾクとする快感の刺激で絶頂へと登りつめそうになるのを堪えていた。
このまま、もう数分も持つかどうか。
菜実は初めてのフェラチオで、男に腰も手も使わせずに、射精へ導こうとしていた。 

「菜実、男が気持ち良くなったらどうなるかは、知っているな?」
「……」
上下の律動のペースを緩め、菜実は坂井をチラリと見た。
(ああ、やっぱり……、射精するんだ。 あの女の人のように、私の口の中で……?)
菜実の記憶に、昨日、女に口移しで呑まされた坂井の精液の感触がよみがえる。
今度は口移しではなく、このまま直に出されそうなのだ。
(いや、お願い……。 そんなこと、しないで……)
菜実は坂井に許しを請うような精一杯の視線を投げ掛けた。
「このまま、お前の口の中に出すぞ。 いいか、俺が出し終えるまで絶対に口を離さずに、出したものを少しも溢さずに、受けとめるんだ」
(ああ、やっぱり……、このまま出されちゃうんだ)
菜実の表情が泣きそうになる。
一瞬、上下する律動が止まりそうになるが、あきらめたのか、すぐに元のペースで小刻みなピストンを続けた。
菜実は幾分スピードを速め、射精へと導こうとしていた。 それは、とくに意識して早く終わらせようというものではなく、初めてのフェラチオに真面目に取り組む菜実の素直さみたいなものだった。

「ああ、イキそうだ……」
坂井の陰嚢からペニスの裏側にかけてギュルギュルという精子の塊りが尿道の方へ送られる感覚があり、ムズ痒い快感がその度に繰り返される。
もう、一瞬の気の緩みで強い刺激でもあれば、いつ突然に放出が始まってもおかしくない状態だった。
(菜実はこんなに素直に、いい子に育ったんだな……)
坂井の頭の中では、菜実は離れていた自分の娘のようなものに思えた。 それはもちろん屈折した愛情に違いないのだが、菜実にさせている淫蕩な行為で坂井は、菜実のあるはずない自分への愛を倒錯して感じていたのだった。
そして、坂井は自分の快感のボルテージとともに、さらにその行為をエスカレートさせていく。

(さあ、菜実……、これが今日のメインディッシュだぞ……)
菜実は熱心に坂井の言いつけどおり、怒張の先端を咥え上下に唇を律動させている。 幾分、慣れたのかそのスピードも動きもスムーズになってきていた。
愛情を込めて奉仕しろという坂井の命令も、菜実は精一杯の丁寧さで応えているのだ。
ただし、初めての男性器を間近で見ることが怖いのか恥ずかしいのか、菜実はずっと目を閉じて口淫奉仕を続けていた……。
「菜実……」
幾分、息の荒い声で坂井が呼びかける。
「しっかり、目を開いて見るんだ。 こんなことはまだ基礎なんだからな……」 
坂井は容赦なく菜実への性技の指導を続ける。
「俺は時間がないんだ、命の時間が……。 これからの課題はもっときびしいぞ」
「……」
菜実は動きを一瞬止めて、上目で坂井を見る。
「このまま、フェラチオで俺をいかせろ……」
坂井は自分のペニスの先っぽを咥えたまま見つめる菜実の目を見つめて言った。
菜実は視線を投げかけながら、またゆっくりと上下に唇を滑らせ、舌で裏の縫い目を擦り、唾液を絡ませる。
「いいか、いかせるときは速く強く、そして緩急をつけていくんだ。 最初は指を使ってしごいたっていい……。 菜実の思うようにやってみろ」
菜実は剛直の根元へ手を伸ばした。
(ああ、すごい、男の人のモノって、固くて熱くて、ビクビクってしてる……)
菜実は坂井の命令どおりに、動きを速め、剛直した肉棒の根元に白く細い指を絡ませて擦っている。
(いかせるって……、射精するってことだよね、ああ……、そんなことって)
熱心におしゃぶりする菜実の表情が曇る……、初めて男を射精させるのだ、先日初めて精液を口にした体験の記憶が蘇る。
(また、あのヒドイものを口に出されるの……)

菜実はフェラチオでいかせろという命令に、従順に奉仕を続けながらも、初めて経験する男の射精を、口で受けなければならないことに怯えていた。
眉間に皺をよせ、うつろに坂井の淫猥な股間を眺めながら、肉棒の先端を吸い上げ、太幹を三本の指でしごいた。 その手つきは菜実が知るはずもないのに、絶妙に坂井の射精を導くリズムになっていた。
「そうだ、菜実……。 初めてにしては上出来だ」

目を開けると菜実は嫌でも床下の光景が目に入った、下階は大勢の人達が行き交う駅ビルのショッピングフロアなのだ。 
菜実は落ち着かない様子で、坂井の顔や床下の様子にキョロキョロと視線を迷わせていた。
下の人達に自分のはしたない行為を見られているような気がするし、坂井がいつ射精を開始するかと思うと、きがきでならないのだ。
「菜実、そんなに怯えなくてもいい。 愛しあっている恋人達なら、皆、していることさ……」
菜実は再び、坂井の顔を見つめる。
「菜実の愛が知りたいのさ……」
菜実の奉仕で陶酔した表情だが、その言葉は切なく真剣なものに聞こえた。
「お前のママは……、俺を愛してくれた……」
「……」
菜実には答える言葉もない。
「さあ、菜実! 下を見ながら俺に愛撫をするんだ」
坂井の声が突然大きくなった。

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