家畜な日々
非現実:作

■ 〜そして家畜は悦ぶ〜5

ユウジ様からの電話は「遂に」という連絡だった。
……刺青だ。
律儀にも2週間掛けて、ようやく刺青屋を探したらしい。
ソレに対して、ご主人様は近日中にと答えた。
時間に猶予が出来た理由は、未だ刺青の絵柄を決めていないからだった。

「凄い事になってきたわねぇ?」
「……は……ぃ」

ここは地下室……。
繭様と私しかいない。
四つ這いのままされるがままにじっとしている私。
ベッドに足を組んで座る繭様は、私の背中にこびり付いた蝋を剥ぎ取ってくれている。
そしてご主人様はというと、書斎に残り刺青の絵柄考案に没頭しているらしい。

「最後の……一枚っと」
「ンぅ」

ペリっと赤い蝋が剥がされる。

「あ、ありがとうございました……繭様」
「蝋のせいかなぁ、背中が斑点みたく跡になってるよ?」
「……ジ、ジンジンしますぅ」
「病み付きになっちゃった?」
「……は……ぃ」

されている時は必死だったが、終わった今あの刺激は新鮮で、確かに身体は疼いている。

「でも今度は刺青だってさぁ?」
「……」
「蝋とは違って、取れないんだよ?」
「……ぅう!」
「あはは、パパはどんなの考えてるんだろうねぇ?。
変態家畜の雌豚由紀、新たな記録だねぇ。」
「……やぁ」
「ふふっ、その時を楽しみにしてなさいな?」
「うっぅ…ぅぅ……」

繭様が高笑いを残して出て行った。
残された私は蝋の残骸が散らばる床に、ただ泣き伏せるのだった。
   ・
   ・
   ・
どれほど泣いていたのか。
ハッと顔を上げて周囲を確認する。
見慣れてしまった……四方のコンクリートの壁。
(寝てた……ん…だ、私)
泣き疲れて、いつの間にか眠ってしまったらしい。
ポツンと佇んでいると、昂ぶっていた気持ちも冷静になる。
次第に頭もクリアになっていった。
(そうだよ……私、刺青入れられちゃうん…だ)
ソレがどういう経緯になるか、想像してみる。
(ありえないよ、ヤッパり)
違う世界の人間がする物、そういう認識でしかない。
それに、そういった人の関係者お断りという貼紙も繁華街ではよく見てきた。
それ程の特異な物である。
(……ご主人様が可愛いの選ぶ筈ないし)
可愛い絵柄のタトゥーシールはクラブに行く時とか、気分次第でした覚えはあるが……。
今の私の立場そしてあのご主人様の事だ、私が喜ぶ絵柄なんて考えられない。

ブルゥっと身体を震わせる。
それは決して寒い訳でも、感じている訳でもない。
ただの…… ……恐怖感。
オ○ンコや乳首に着けられたピアスは、外せばじょじょに穴は消える。
刺青は…… ……。
絶対に消える事の無い、それは背徳の代物だ。
正真正銘、他人に見せられない身体となる。
(私、まだ……人として生きたいんだ?)
冷静な頭が、私の本心を引き出していた。
(どうするの、私?)
決まっていた……。
この今の身体は、どう考えても人が驚く格好だ。
(でも……刺青を入れられたらもぅ)
遣い方は違うが一時の恥、警察に逃げ込めば保護してくれる筈。
これ以上は……もう言いなりになりたくは無かった。
(行動するしかないよね、もぅラストチャンス)
私は計画を施した。


逃げるチャンス……それは私が外にいる時、それは露出調教の時。
辛うじて服も着ている、何より私を辱めようとわざと距離を置いてくる。
ムネ様に尻穴を犯され、ご主人様に鞭で嬲られ、繭様のオ○ンコを舐め続けてその日を待った。
従順に見せる為、普段より大袈裟に腰を振って鈴を鳴らし、より鼻に掛かる声で鳴いてみせた。
そして、遂にその日が来た。

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