家畜な日々
非現実:作

■ 〜愛しき繭〜17

拘束された両手両足は自由となっていたが、私はその場に蹲るのみ。
そんな私を見下すようにユウジは云うのであった。

「あぁ面白かったなぁ、癖になりそうだよ」
「…… ……」
「どうよ、公衆便器繭も癖になっちゃったんじゃない?」

拘束された痕を残す手首を擦りながら、俯き小さく頭を横に振る。
手錠の痕は、かなり酷く目立っていた。
(我を忘れる…なんて)
屈辱だった。
この深い痕は2度の快楽で、我を忘れ感じてしまった証拠でもある。

「さぁ、帰ろっか?」
「う……ん」
「おいおい〜〜うんじゃないだろう、公衆便器繭?。
僕は公衆便器と対等なモノかって?。」
「はっ、はぃぃ…… ……」
「そうそう、ソレが公衆便器だよ」
「はぃ……」
「じゃあ、行くぞ?」

(ぁっ!?)
私は男子トイレの個室から出ようとしてハッとする。
(ふ、服っ!)
途端に羞恥が蘇り、両手で胸を隠して立ち止まる。

「どうしたの、まだやりたいの?」
「ぇ…その……ふ、服ぅ」
「え、何だってぇ?」

楽しそうに尋ね返すユウジは確信犯。
上半身を覆うはずのワンピは真ん中からザックリと切り裂かれているのだ。
しかもスカートの部分は大事な箇所が楕円状に刳り貫かれている。
(これじゃ帰れなぃよぉ〜〜〜…)
パパと出くわしてしまったらどうしよう……頭にはそればかりが過ぎる。

「服ぅ、破けちゃってる、ぁ…ます」
「そうだったねぇ〜、これは困ったねぇ〜」
「これじゃ帰れないですぅ」
「確かにねぇ、大野さんに見つかったら大変だなぁ〜」

ニヤニヤとユウジは笑いながら云ったのだ。
(なぁ、なによぉ〜、何が可笑しいのぉ!?)
それは何か好からぬ事を考えているのであろう。

「仕方ないなぁ、僕がプレゼントしてあげるよ新しい服」
(……それって…まさかっ!?)

由紀に対する以前の露出調教が頭を過ぎった。
(それだけは……ゃっぁ!)
ブルブルと激しく首を振ってユウジに哀願する。

「心配するなって、その姿で街で露出調教やらせたらマジでヤバイだろ。
さすがに、それは僕も大野さんも出来ないだろうよ。」
(……ふぅ)

良かった、本当に良かった……大きく安堵する。

「ま、このままでいる訳にもいかないしな、車までは走れよ?」
「ぇは、はぃぃ」
「それまではコレ着てな?」
「ぇっ、え?」
「少しはマシだろ?」

ユウジが優しくジャケットを両肩に掛けてくれたのだ。
(ゆぅじ……)
あんな酷い事をされたのに、たった1つの優しさに触れて私は嬉しくなってしまう。

……やっぱりユウジが好き。
それだけは変わらない気持ち。

「さ、行くぞ?」
「はい」

私達は横付けしてある車へと走った。
両肩に掛けられたジャケットの前裾を、ギュっと両手で握り締めながら。
   ・
   ・
   ・
   ・
車内ではユウジも私も好きな女性アーティストのベストアルバムが流れている。
今かかっているタイトルは特に私のお気に入り。
でも、今は全く耳に入ってこない。
ユウジの運転する車は結構なスピードを出しながら、覚えのある国道をひたすら走り続けていた。
何処へ向かっているのか…… ……。
でもそんな事を考えている場合ではなかった。
助手席の私は気が気じゃないのだ。
今、私は…… ……。
助手席のシートを後手で抱え込むようして、再び手錠で拘束されているのだ。
両足は大きくM字開脚されたまま、両足首をシートの下で縛られている。
ジャケットは脱がされ半裸のまま、大きく股を開かされていては、短いワンピにスカート裾は何も隠してくれない。

そんな状況で……車が横を通り過ぎて行く度、私は恐怖するのだ。
そして願い祈り続けた。
(お願いだから……お願いしますぅ……いゃあ)
だが私の願いも虚しく、またもや車は赤信号で止まってしまった。

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