君の瞳の輝き
あきんど:作

■ 第一部12

近藤「まぁまぁ、まだ中学1年のピュアの女の子をきれいに撮るつもりだし、まだ鈴ちゃんは経験もないんだし・・そんなに、無茶な・・」
 ここで男の大きな咳払いがした。
男「いや、その実は、おととい・・」
鈴「だめ!いや!言わないで・・」鈴は両手で耳をふさいだ。
男「一昨日、酒に寄って、この子を女にしてしまったんだが・・」
ママがそれを聞いて鬼のような顔で烈火のごとく怒った。
ママ「あんた!なんて事したんだい!」
 母親として怒るのは当然だと思った。だが次口に出た言葉は意外な言葉だった。
ママ「私よりこんな小娘のほうがいいの?あんた!私がどれだけあんたのこと大事に思ってるか・・」
男はあわてて言った。「いや、そうじゃないんだ!この子が誘ってきて・・」
ママは娘の方を見て「この泥棒猫!あんたはなんであたしの好きな人を奪っていくの!、あんたの父親が死んだのもあんたのせい!忘れたの?」
鈴はうつむきながら何も言い返せなくなっていた。
ママ「あんたが3年生のとき夜中にライターで火遊びしなかったらあの人は焼け焦げて死ななくてすんだんだよ。撮影でも何でもしたらいいのに!中学卒業したらどこででも行ったらいいわ!あんたの顔も見たくないわ!」
鈴「ごめんなさい・・おかあさん」
近藤「まぁまぁところで倉田さん。あんた、確か鈴ちゃんと撮影のときに何本かの契約をしているね。ちゃんと契約書交わしているね。ほかの撮影には応じないとか言う内容で・・つまりあんたの店の専属のジュニアアイドルって事にしたかったんだろうけど・・だからあんた抜きでは撮影はできないって事さ・・」
 なるほど、私を呼んだのはそのためだったのか・・
 私の答えは決まっていた。こんな撮影ごめんだ!そう言おうとした時、鈴はなきながら答えた。

鈴「私・・、わかりました。ごめんなさい。ごめんなさい。おかあさんごめんなさい」
そして、私を見ていった。
鈴「撮影・・やります・・」
近藤「じゃ、日取りと準備に取りかかる方向でよろしいかな?」
男は「おう!がっぽり稼げるようなのを撮ってくれよ!」
近藤「という事だから、倉田さん、頼んますよ。こっちは別にあんたを通さなくてもいいんだが、この子が契約がどうとかいうので・・」

私は鈴の表情を見た。思いつめた決意のようなものが垣間見える。
明彦「鈴ちゃん、本当にいいのかい?」私が聞いた。
鈴「う、うん。前みたいな感じで、するんですよね?」
近藤「そうだよ、でも中1になった鈴ちゃんの成長した姿も見たいし、まぁそんなに深く考えなくてもいいよ」


私はそれから近藤と一緒に店を出た。この男はきっといろんな姿態を撮るつもりだろう。
それがどんなものであるかは想像もつかないが普通ではないと私は考えていた。


近藤「あの、鈴って子はかわいそうな気がするけど、あれほどの逸材はいないしな!」

帰り道で近藤が話しかけてきた。
近藤「いろいろ調べたんだが確か小5の鈴ちゃんの誕生日パーティでが終わって、家族が寝ているときに
 遊び足りないあの子は玄関でライターでろうそくに火をつけたらしい。
 バースデーケーキを食べたんだが、もっと家族と遊びたかったらしい。その火が玄関にあった灯油に飛び火して
瞬く間に家は燃えたらしい。あの子の母親は逃げ延びたんだが、お父さんは亡くなったらしい。
お父さんに抱きかかえられて鈴ちゃんは逃がせてもらえたけど、父親は煙を吸いすぎてその場で倒れてしまったんだ」
 私はあの子がそんなトラウマを抱えていたとは思わなかった。
近藤「その後、母親はあの子を育てていたが、生活も行き詰まりあの男のいうとおりにスナックをやり始めたらしいが
いまじゃ、呑んだくれて子供のことよりも男に夢中みたいだ」

私は今日会った母親の言動を思い返してみた。確かに娘よりも男に気持ちが傾いていた。
鈴はそれで高校になれば家を出てひとりでの生活のためにお金が必要で来たのか・・

近藤「今度はきちっとしたスタジオで撮るんだが、あんた口出しは無用だぜ!
 今じゃ、未成年の子が援助交際とか言って男からお小遣いもらってほいほい身体売ってるし
それを撮影してるのもあるが、そういうのって素人が適当に撮ってるから画質も公正も光源もむちゃくちゃ
おれならこう撮るねっていうのを見せ付けてやりたいんだ!もちろん表立っては販売できないかもしれないが
地下ルートでさばけば、結構金になるし、あの子もそれを望んでいるだろ・・母親とは離れたがってるしな」

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